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[SSメモ] 25 2011/05


EP54 25レス序盤の流れから。

  • 以下本編-



◇ 起

営業回りを終え、事務所に戻った俺と千早を出迎えたのは、届いたばかりの新衣装、
<ミニウエディング>を巡る大騒ぎだった。
「これは酷い。どうして誰も止めないんだ? 音無さん、おーい、ピヨちゃーん」
「プロデューサー、衣装室から音無さんの声が聞こえます」
「そうか、じゃあちょっと注意を」
その俺の鼻先を、衣装を抱え飛び出した亜美が掠め、更衣室めがけ走り去っていく。
後姿をみれば呆れたことにパンツ一丁。よりによって、黒だと?
続いて飛び出した真美、こっちは上下揃いの赤。赤と黒のエクスタシーとはこれいかに?

「プロデューサー、ぼんやり見てる場合ではありません!」
千早の叱咤に我に返り、慌てて衣装室を覗いたが、中は惨憺たる有様だった。
唯一まともなのは、隅っこでぶるぶる震えている雪歩くらい。ほとんどのアイドルが
下着姿、あるいは中途半端に衣装を着た状態のままフロアの上でくんずほぐれつの大騒ぎである。
その中に混ざって大人一人、ちゃっかり衣装に袖を通して、いやよく見ればサイズが合わず
背中のジッパーが全くあがっていない。ピヨ助……7号は流石に無理だろ?

ともかく騒ぎを収めようと、一人づつ引き離していったわけだが、
金髪中学生の胸元がはだけ、乳輪らしきものがコンニチワしかけたり
お嬢様のずり下げられたパンツからはみ出すべき柔毛が見えずパイパン疑惑が生じたり
リボンが飛んで誰か分からないが、偶然掴んだ膨らみが柔らかさと弾力を高次元のバランス
で両立させた超ハイスペックおっぱいだとわかったり、とにかく大変だった。

それはともかく、無責任な大人一人、部屋の真ん中に正座させた。
「音無さん、アナタがついていて何やってはるんですか」
「ああん、いわないでプロデューサーさん。私には一生縁がないかもしれない女の憧れ、
せめて衣装でもいいから袖を通してみたくて、よよよよ」
「あーもう小芝居はいいですから、脱いでください。だいたい7号なんて無謀でしょうが」
「あ、あははは。入るかと思って。ごめんなさいね」
入るか、ボケ。目の前のハッピーな頭を引っぱたきたい衝動を辛うじて押さえつつ、
妙なシナをつくり身をくねらせる彼女から思わず目を逸らしたその瞬間。

ビリッ、ビリビリビリ…

室内にいた全員が凍りついたように身をすくめ、音の発生源に視線が集まる。
あれ、誰の衣装だっけ?
二人で1着の亜美と真美以外、原則として一人一着である。
まだ着替えてない私服の雪歩も胸に衣装を抱えているし、ほかの子は皆、白い花嫁姿だ。

いや、私服姿がもう一人いた。
7号…ち、千早の衣装か。
お、おのれピヨ助、やってくれた喃…

皆も同じ思考をたどったらしい。今度は千早に視線が集まったが、
そこにあるのはあの見慣れた淡々とした無表情だった。
恐らく全員が(あぁ、いつもの9393だね)と安堵した瞬間。

千早の双眸にあふれた涙がこぼれ、頬にふた筋、流れて落ちる。

そのまま千早は衣装室から無言で走り去った。

ほんとうにピヨ助、やってくれた喃……



◇ 承

楽しみにしていた衣装、それが届いたその日、目の前で真っ二つに引き裂かれた。
気づけば一人、オーディオルームに鍵をかけ閉じこもっていた。
派手な衣装、露出の多いエッチな衣装、可愛すぎる衣装。正直どれも嫌だった。
衣装にこだわりなんてなく、歌いやすければなんでもよかった。
でも、あの衣装だけは別。
衣装が届いたら、それを着てプロデューサーと一緒に写真を撮ってもらうつもりだった。
ウエディングドレスを模した、ただのステージ衣装だけれど、
せめて気分だけでも味わえるのなら、それでもよかった。
それなのに…着る前に……思い出すだけでまた涙がこぼれてしまう。

「千早、晩御飯一緒に食べに行くからでておいで」
「千早、皆帰っちゃったから、俺たちも帰ろう?」
「千早、出てきてくれるまで俺もここ動かないぞ」

閉じこもったときから、ずっとドアの前で呼び続けているプロデューサー。
衣装替えすら嫌がる私が、どうしてここまで拗ねているのか分からなくて困っているだろうな。
喉も渇いたし、お腹もすいてグーグー鳴っている。
それに、その…生理現象だってそろそろ我慢の限界が近い。
窓の向こうは真っ暗で、時計を見れば9時前だから、もう3時間近く篭城していたことになる。
だからその時欲しかったのは、ドアをあけるきっかけ、ただそれだけ。


「千早、いいもの見せてあげるから、顔だけでも出してくれ」

えっ、いいもの?
その言葉に意表をつかれた私は、ついフラフラ立ち上がり鍵を解いてドアを開いて…

目の前が真っ白になった。
いや、そうじゃない。真っ白い、そして真新しい匂いの……服?
これ、さっきのあの衣装…にしては、何か違うみたいだけど
「おお、天の岩戸作戦は成功だな」
衣装の向こうからプロデューサーの声がする。
「プロデューサー、この衣装…?」
「これか。ちゃんと説明してやるから、顔洗って衣装室においで。先いって待ってるから」


片付けられた部屋の真ん中、さっきの衣装がハンガーにつられていた。
手を伸ばし、生地に触れる。それだけであのステージ衣装とは全然違う素材だとわかる。

「アレとは違うだろ? デザインは少し派手だがれっきとした本物だよ」

生地はしなやかで光沢のあるシルク。しかも薄い生地が何層にも重ねられ全体のシルエットを
形作っている。ところどころ薄く透けているのだってとても可愛い感じ。
透けるのはおへそとわき腹あたりだろうか。
ベールも手袋も、それにガーターベルトがついた白いストッキングだってどれも素敵で綺麗。

「実はそれも仕事用なんだ。まだ先の話だからサプライズにしようと思ってたんだけど」
「仕事、ですか?」
「ああ。例の結婚式場で花嫁のモデルになってもらう。これはそのうちの1着さ。
ま、なんだ。俺が一番気にいったのを借りてきたっていうか、あはははははは」
「プロデューサー……」
「嫌とはいわさないぞ。ドレスはこれ以外にも沢山あるし、振袖に白無垢に盛りだくさん。
 将来の予行演習にもなるから一石二鳥だぞ」
「そ、そこまでいうのなら、仕方ありませんね。それより、あの、この衣装」

「もちろん、ここで装備してみるだろ?」


◇ 転

「い、いや手伝うのはいいけど…いいの?」
「な、何を今更いっているのですか。今まで散々私の肌を見ているくせに」
「それはそうだけど、電気消したら見えないし」
「プロデューサー、これは衣装の試着であって、その、セ、セ、セックスするわけでは…」
「え? 聞こえないよ」
「と、ともかくちゃんと手伝ってください!」

そういって背けた頬がもう真っ赤に染まっている。
そういうことでいいのなら。
背中を向けた千早のジャケットに手をかけ、ゆっくり脱がせていくと、
千早も逆らわず、協力するように体を動かしてくれる。
わざと時間をかけ、ジャケットを丁寧にハンガーに吊るしてから
今度は後ろから腕を回し、抱きかかえるような格好でブラウスのボタンに手を添える。
自然と体が密着し、目の前に流れる黒髪に思わず顔をうずめてしまう。
そうしながら、わざとゆっくり体に触れながらボタンを外していく。
小さな膨らみの弾力、その下にある肋骨、鍛えて引き締まったお腹。
手のひらで確かめながらボタンを外し終えると、ブラウスを体から引き剥がした。
ついで、下に来ていたキャミソールの裾をつまみ、これは万歳させて一息に脱がせて
ブラウスと一緒にハンガーに吊るしておく。

ズボンもブラウスのように後ろからと考えて思い直し、まっすぐ立つ千早の前で膝をついた。
手を伸ばし、真鍮のボタンを外しゆっくりジッパーをおろす。
そういう予定の時には、千早なりのお洒落なのか、水色やレモンイエローのパステルカラーが
多いから、今日のように白のショーツというのはある意味新鮮でもあった。
白といっても初めての頃のような地味なのではない。艶のあるサテン地と、
ふんだんに使われているレースから覗く柔毛がなんともエロい。
ついキスしくなり顔を寄せかけて、千早の手が頭を掴んで制止する。

「プ、プロデューサー…衣装替え、ちゃんとしてくれないと駄目、です」
「そうだったな」
名残を惜しむ変わりに、そこに軽く息を吹きかけてから、ズボンを下ろしていく。

「さてと…」
立ち上がり、向かい合う。
背中に手を回し、軽く抱き寄せ顔を近づける。
「ま、まだ駄目です…よ?」
「まだ、ってことは後でならいいの?」
「し、知りません…」
その隙にブラのホックをつまんでパチンと外してしまう。
「やぁっ、駄目っていってるのに」
「肩が出るドレスだからブラの紐見えるのは無粋だろ?」
「むーっ……それはそうですけど…。触ったら怒りますから」

軽く頬を膨らませてみせるあたり、ちゃんと着付けが終わるまでは駄目っぽいようだ。
楽しみはきちんとドレスを着せてから。
それまではじわじわと体の火を煽らせてもらうよ、ちーちゃん。
知ってるんだぜ、もう少しづつ濡れはじめているって。

「残念だな。キスもだめ、おっぱいも触っちゃだめか」
「そ、そうです。これは着替えなのですから、真面目にしてください」
「脱がせる前、セックスがどうとか言ってなかった?」
「そ、そんなこといってません!」
「そうか。それならちかたないね」

脱がせたズボンを丁寧にたたんでから、勿体ぶった手つきでドレスを取り上げる。
「さて、ではお嬢様、お召し物をどうぞ」


◇ 結

背中のジッパーを広げ、ドレスを千早の頭からかぶせる。
腰のあたりを外側からつまんでシルエットを整えると、開いたままの背中から手を入れ
つっぱっている部分を直してからジッパーを閉じる。
胸のあたりを気にしているので、前から手を差し込んでドレスの内側に縫い付けられている
パッドにおっぱいをあわせてやると、もう限界が近づいているのか、溜息が大きくなる。

「どう、ぴったり合ってる?」
一旦手を抜き出し、背中のほうから両手で胸を軽く包み込む。

「んんっ…あの、右の胸が、その、もう少しだけずれてる……感じ」
もう一度手をいれ、丸っこい乳房全体を手のひらで包みながらパッドの位置を調節する。

「どう? こんな感じで」

問いかけに応えず、千早の手がドレスの内側にもぐった手を外側からきゅっと押さえる。

「も、もう少し…」
「こらこら、着替えに集中しなきゃ」
「ん、やぁ、まだずれてるもん」

甘えるような鼻声、それは千早のスイッチが完全にオンになった証拠だ。
でもまだ早い。
それから数回、軽く乳房を揉んでやってから手を抜いて、残りのパーツを用意する。
ベールを広げ、頭に被せる。本当はピンで落ちないようにするわけだが
今夜は都合上、引っ張ればすぐ取れるようにしておく。

手袋。
指を通させ、丸めた手袋をのばしながら、そのまま二の腕を撫で上げていく。
指を絡めておいてから、腕を持ち上げ無防備になった脇に舌で不意打ち。
もう声を殺すのは無理らしい。
あぁっ、と大きな喘ぎが衣裳部屋に反響する。

ストッキング。
さすがにまっすぐ立つのも難しくなってきたらしい。
膝をついた俺の肩に手を置いて体を支えている間、片足づつ通したストッキングをのばしていく。
伸ばしきった手をそのまま太ももから上にあげ、既に熱っぽさを感じる部分の直前で離す。
それから最後に、フリルで囲まれたガーターベルトを通して、完成。
本当は白いハイヒールもあるのだが、それはこの際省略しておく。

「ほら、千早。見てごらん」
衣裳部屋の奥壁、一面の鏡の前に千早の手を引いて連れて行く。
「あ、ああ…プロデューサー、あああっ、すごく…」
「綺麗だよ、千早。ほら、泣かないで」

頬を流れる涙を唇で拭い取る。

「千早、ぎゅってするよ?」
「…キスが先です」
「あぁ…ほんとにちーちゃんは我侭だな」
「んんっ……。ふふ、こんな我侭な子と結婚するひとはきっと苦労するでしょうね」
「へ。望むところさ、ほら」
「んんんっ、あっ、んん……も、もっといっぱい」

本当はもっとこう、3時間の篭城分くらいは攻め続けてやろうと思っていたのだが
ドレス姿の千早があまりにも可愛すぎて、俺自身収まりが付く状態ではなかった。
抱き合いながら何度もキスをせがむ千早に応えてやりながら、徐々に舌を絡めあわせ
千早の喘ぎが本格的になったところで、手を伸ばして探ると、溢れ出た愛液はとっくに
パンツをびしょびしょにした上で太ももにまで流れ出していた。

クリーニングが大変だな、そんな考えを頭の隅に追いやりながら、鏡に向けた千早の手を
椅子の背につかせ、後ろに回った俺はドレスの裾を大きくまくりあげた。



◇ final

ぐっしょりと濡れ、半分がた染みになっているパンツをどうしようかと迷ったが
ストッキングくらいなら、愛液が付いても洗うのは簡単だろう。
そう思いながらもドレスを捲り上げた今の姿がなかなか扇情的でつい見とれてしまっている。

「プ、プロデューサー…あ、あのぉ、まだ?」
「まだって、もうちゃんと着替えさせてあげただろ?」

恥かしがりやの千早、精一杯の可愛い催促に、俺は反射的にそう応えている。

「で、でもぉ…もう」
「最初にセックスじゃないですっていったの、千早のくせに」

おもむろにパンツをずらして、白い尻を丸出しにすると平手を一発。
スナップを利かせたが、力は加減したから、パァンと音は大きいがそう痛くはないはずだ。
その証拠に、叩かれた千早があげたのは悲鳴ではなく嬌声なわけで。

「ひゃんっ!」
「それにこんなにびしょびしょにして。何だ、これは?」

花弁に添えただけのつもりだった人差し指が、とぷんと中にもぐりこむ。

「やぁ…それは…プロデューサーが」
次の平手はさっきより少し強く打ちすえてやる。

「したいってちゃんと言えばしてやるのに、人のせいばっかりにして」
「ご、ごめんなさい。プロデューサー」
「千早、お願いの仕方は教えてやっただろ?」

レースの手袋に包まれた手が、おずおずと俺のズボンに伸びてくる。
俺自身興奮しているせいか、溢れた先走りでパンツの前はけっこう濡れてしまっている。
その恥かしい染みを誇示するよう、いきり立った愚息がその輪郭を持ち上げている。

ふぅうううううっ。
千早が吹きかける熱い息がパンツを通して愚息に伝わる。

「ほら、今日は出してしゃぶっていいから」

そういってやると、千早は純白の手袋が先走りに塗れるのも構わず、パンツをずらして
顔を出した愚息に唇をつけた。

「そう、上手になったな千早。口できれいにしてくれたらすぐ入れてやるからな、うっ」
いつもなら、丁寧に唇、舌でじっくりと舐めさせるところだが、千早に負けず切羽詰っている俺は
すぐに千早の頭をつかんで亀頭全部をくわえこませる。

「あむっ……んむ、むちゅ、ちゅぷ、じゅぶ、じゅぽっ…」
激しく上下する頭からベールがはらりと落ちるのも気づかない。
最初は飲ませてやろうかと思ったが、しゃぶりながら何度も切なそうに懇願する千早を見ると
そのいじらしさに免じて入れてやることにした。

頭を撫でてやりながらそっと腰を引いてフェラを中断させる。
「んっ、よしよし。すごく気持ちよかったよ、ちーちゃんの口は」
腰を屈め、涎と先走りに塗れて濡れ光る唇を捕まえ、ご褒美がわりのやさしいキス。
「んふんっ…んんんっ、ぁん、んむん…」
「じゃ、いれてよ?」

ずらせたままのパンツを足首まで下ろし、立ちバックの姿勢をとらせ足を大きく開かせると、
溢れた愛液の雫が、カーペットのそこここに染みをつくっていく。
まあ、気にすることもあるまい。
濃い色のカーペットだから、乾けば跡が目立たないのは既に数え切れない程残っている
誰のものともわからない染みの数を見るまでも無い。


顔を寄せ、そのまま顔千早の花弁に埋めた。
深々と息を吸い、濃厚な香りを楽しんでから舌を伸ばし膣を探る。

「やぁ、ひゃあん、やぁ、そこ…だ、め……」
切羽詰った千早の喘ぎ。まだだ、もっと昂ぶってほしい。
顔全体を動かすようにして、すっかり花びらを開き鮮やかな紅色の中心を舐め上げる。
小さく膨らんだ秘密のボタン。かすかに包皮を押しのけ、千早の真珠が俺の舌を待つ。
尖らせた舌でそっとつついてやりながら、徐々に舌にこめる力を強めていく。
そのたび、千早の喘ぎもより大きく、より高くなり
言葉だけの拒絶は、やがて切ない要求に変わっていく。

「あっ、やぁ、もっといっぱい、あん、ああん、そこ、や、違う、した」
でも俺はそれには答えない。時には正確に、時にはポイントをずらしながら
それでも動きを止めず、徐々に真ん中の泉を目指していく。
「ああ、お願い、はやくほしい、ねえ、ぷ、プロデューサー、はやく」
舌先で強く肉のボタンを押してやる。
「やっ、あっ、ああああ、入れて、はやく、いれてぇ…」
立ち上がり、狙いもそこそこに腰を突き出すと、一息で千早の奥底まで
一気に潜り込んだ。

 - - -

「こんなもので大丈夫でしょうか?」
男物のTシャツ1枚だけ身に着けた千早が、四つんばいになってカーペットの
あちこちを雑巾でぬぐっている。
俺はといえば、カーペットの隅まで千早に転がされ、まだ動けず息を整えている。

立ったまま、後ろから1発。続いて床に押し倒して正上位で2発目。
そこで俺の体力は尽き果てたのに、むくりと俺の下で身を起こした千早が
無理やり口で奮い立たせたあと俺に跨がり強制的に3発目。
しかも発射直前、根元を握って堰き止められてから咥えこんだ千早の中に流し込んだ、
というより吸い取られ飲み込まれたというべきか。
搾り取った精液を満足げに飲み干し、唇に残ったものまで舌で綺麗に舐め取ると
脱いだドレスを丁寧にハンガーにかけると、全裸のまま出て行って、Tシャツと雑巾を
もって戻ってきて今に至る、とそういうわけだ。
なので、向こう向きの千早がTシャツのすそから丸見えでも
もうピクリともしない。

その千早は、一通りカーペットを検分して、掃除のできに満足したらしい。
寝転がったままの俺の元にもどってくる。

「お疲れ様でした…だいじょうぶ、ですか?」
「大丈夫なもんか、腰が抜けて動けない」
「まぁ…あんなに激しく動くから、でしょうか、ふふ、ふふふ」
「仕返しするなら、俺が動けない今がチャンスだぞ」
「仕返し…ですか? んー、そうですね、さっき何回も叩かれましたし、ずいぶんと意地悪な
こともされましたから…お言葉に甘えて」
そのまま千早は寄り添うよう身を横たえると、俺の鼻をおもむろにつまむと。

ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ…


鼻の穴が開放されたのは、ブラックアウト直前だった。
ひゅーひゅー音を立てるほど猛烈な勢いで空気をむさぼりながら、千早をいじめるのは
程ほどにしようと、俺は思った。
歌手を本気で怒らせたら、キスで殺されかねない。

 いや、まじで。



おしまい

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