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[SSメモ] 23 2010年12月

  • 以下本編-


忙しいスケジュールの合間を縫い、懸命に編み続けているマフラー。
学校の友達のおかげもあり、なんとか間に合うメドがたちそうだ。
間もなく完成するこれは、大切なあの人へのクリスマスプレゼントなのだから。

クリスマス・イブも当然仕事はぎっしり入っている。
プレゼントを渡すとしたら最後のライブが終わってから、ということになる。
せっかくのクリスマスだから、綺麗なツリーの下でお渡しできればいいな、なんていうことを
真剣に考えている自分が少し可笑しくて、つい苦笑いしてしまう。
恋人同士でもあるまいし。そんな関係になれないのはわかっているのに。

 ◇

「プロデューサー、イブのスケジュールでご相談が……いえ、ライブの後のことで」
「ライブがすんだらデートするなり帰るなりご自由にどうぞ。
 ああ、事務所で音無さん主催のX’masパーティーあるって。参加者が微妙らしいけど」
「……あの、プロデューサーのご予定は?」
「仏教徒の俺に聖夜なんて関係ない。家で焼き鳥を食べるのが恒例行事だ」
「そ……そうなのですか」
「うむ。で、千早の相談って?」

<千早の予定は?> とは聞いてくれない。理由だって分かってる。

「あの、ライブの後に少しだけでいいので、お時間いただけないかと」
「別にいいけど、何かな?」
「その…ライブ会場の近くに綺麗なツリーがあるらしくて。一緒に見物とか…だめですか?」
「いいよ、それくらいなら」

快くOKしてくれるのは聞く前から分かっていた。
短時間、ツリーを見物するだけという些細なお願いなのだから。
でも、裏を返せば <それ以上のことは駄目> ということになる。
それでもいい。とりあえず約束は取り付けたのだから。
日ごろの感謝の気持ちです、と言えば私のプレゼントは受け取ってもらえるだろう。
本当の気持ちを表に出しさえしなければ、少なくとも拒絶はされずにすむ。


では、もし私がそれを口に出してしまえば?
彼も返事を形にしなければならないし、それがNOであることも分かっている。
だから自らそんな馬鹿な真似をすることもない。
折角のクリスマスなのに、考えれば泣きたい気持ちになってしまう。

こんなことならプラチナの指輪なんて、もらわなければよかった。
あんな素敵なリングをもらって、ただの感謝の気持ちだけだなんて。
プロデューサーはずるいです。
プロデューサーとアイドルという関係でなければ駄目なのですか?

イブのステージを終え、挨拶周りを済ませると、楽屋に戻って準備を始める。
いつもより丁寧にメイクもして、こっそり薬指にプラチナをつけた。
人前でつけない約束だったけど、手袋で隠すので許してください。
目深にかぶった毛糸の帽子とマフラーで顔を隠し、通用口の混雑に紛れて会場をあとにした。


「見事なまでにカップルばかりね……」
ツリーの周りはとても一人で待つ雰囲気ではなく、少し離れた場所に移動する。
写真を撮るカップル。
プレゼントを交換するカップル。
人目もはばからず抱き合ってキスを交わすカップル。
目の前にそんな恋人たちの姿を見ていると、こっちにまで幸せな気分が伝わってくる。

<好きです、プロデューサー>なんてことをつい呟いてみたり。
本人には決して伝えられない言葉だけど、今ここで呟くだけなら構わないだろう。
<プロデューサーは私のこと好きですか?>
<ずっと一緒にいてください>
<私のこと、離さないでください>
<私は……千早はあなたのものです>

一人盛り上がる私を、携帯の着信音が呼び覚ました。
プロデューサーだった。

「すまんが打ち合わせが長引きそうだ。んー、早くても30分はかかるかな」
「プロデューサー、お仕事を優先してください。こちらは特に構いませんので」
「わかった。この埋め合わせはまた今度かならず。じゃ」


「プロデューサーの嘘つき。バカ」
通話の切れた携帯に呟き、きらびやかなツリーの広場に背を向けた。
ドタキャンなんて、とっくに想定済みの事態だ。
仕事なのだからしょうがない。どうせツリーを見てマフラー渡すだけの事なのだし。
こういう雰囲気だから、プロデューサーが恥ずかしがって受け取らない可能性も考えられる。
恋人限定みたいな広場に、そうでない私達が混じればかなり浮いた感じにもなっただろう。
そういった意味では、これはこれでよかったのかもしれない。

天気予報では今夜から雨が降るっていってたから、降り出す前に引き上げるべきね。
どうせ降るのなら、雪のほうが雰囲気あるけど、それはもう関係ない。
イブを逃した今、マフラーを渡すタイミングなんていつでもいい。
よし、一旦事務所に寄って、デスクに置いて家に帰ろう。
そういえば音無さんのパーティー、この時間ならまだ途中に違いない。
飛び込みだけど、少し混ぜてもらって。それから家に帰ろう。


「あれ、事務所真っ暗……?」
まだ9時を過ぎたところだ。いくらなんでも終わるのが早すぎないだろうか?
社内を見回ってもそれらしい痕跡は見つからない。
もしかしたらどこか別の場所に変更にでもなったのだろうか。

「しょうがないわ。参加するなんていってなかったのだし」
中止の可能性もあるのだし、わざわざ連絡をとってまで参加したいイベントでもない。
誰か別の人に聞いてみる? そう思ってアドレス帳を開いてみたけど、すぐに閉じた。
クリスマスのこんな時間、みんなはそれぞれが楽しく過ごしているはずなのだ。


本当なら、私もプロデューサーと一緒にツリーを見て、マフラーをプレゼントして。
確約はしていないけど、夕食だって一緒にと期待していた。

「今までに比べたら、歌っていられただけましってもの」

強がりとは分かっていても、一人ぽつんと事務所にいると妙なテンションが止まらない。
せっかくだからと、音無さんが買ってきた小さいツリーのスイッチを入れる。
蛍光灯を消すと、柔らかい豆電球の明かりが机の周りに広がった。

「小さいイルミネーションでも、なかなか雰囲気が出るものね」
ケーキ代わりの春香お手製クッキーと、ありふれたティーバック。これが私のクリスマス。
本当に何もなかった去年までと比べれば、これは大きな進歩だし、来年はもっと……

来年は。
私はどうしているのだろう。
私の隣には、誰かがいてくれるのだろうか……

考えても仕方ない。
クリスマスがしたいわけでも、好きな人が欲しいわけでもない。
ただ歌い続けることだけが私の目標なのだから。
今日はもう家に帰ろう。
帰り支度をはじめようとしたとき、携帯に着信があった。

「プロデューサー? どうしたのですか今頃」
「いま事務所にいるのって、千早?」
「そうですが……」
「他に誰かいる?」
「いえ。私ひとりだけです。用事済ませていま帰るところですけど」
「オーケー、わかった」 


人の気も知らないで。彼の能天気ぶりに少しイラっとしたのだけど、
マフラーを手渡しできるのだと思い直し、すぐに上がってくるであろうプロデューサーを待つ。
ドタドタした足音が階段を駆け上がり、勢いよく開いたドアから赤い何かが飛び込んできた。

「プ、プロデューサー?」
「ノーノー、ワタシ、サンタクロースネ!」

いやいや格好見ればわかりますが、一応突っ込みますか?

「えーと、サンタクロースさん……。何か御用でしょうか?」
「イエース、サビシイコ、イネエガ? ヒトリボッチノオンナノコイネエガ?」

正直かなりイラっときて、それはナマハゲだろうと突っ込む気も起きない。
だいたい誰のおかげで一人ボッチのクリスマスになったと思っているのですかプロデューサー?

「ワタシサンタ。プロデューサーデハアリマセン。ムシロカレニタノマレテキタ」
「ふざけるのもいい加減にしてください。用がないなら帰ります」
「ヨウハアリマス。プレゼントアズカッテキタカラ9393カオ、ヤメテクダサイ?」
「結構です」
「エンリョシナイデ、プロデューサーカラノプレゼント、ウケトッテクダサイ」
「プレゼントも何も、手ぶらじゃないですか」
「イイエ。トテモダイジナプレゼントアズカッテマース」

駄目。限界だ。もう付き合ってられない。

「サンタさんのおかげで愉快な気持ちになれました。が、もう結構です、お腹いっぱいです」

手を伸ばして例のマフラーの包みを掴むと、偽者サンタの胸に押し付けた。
「これはそのお礼です。どうか受け取ってください。ではさようなら」

サンタの脇を通り抜けようとして、腕を掴まれた。
次の瞬間サンタの、いやプロデューサーに抱き締められていた。
真っ白なひげと眉毛が間近に迫り、その向こうから真剣な目が覗いている。

「……面白くありません。苦しいので離してください」
「チハヤサン、ヒトノハナシハチャントキクアルネ」
「……はい?」

別に素直に返事したわけじゃない。キャラ崩壊のひどさに呆れただけだ。

「プロデューサーサン、タチバモセキニンモイッパイアル、ワカルアルカ?」
方向性がわからないけど一応うなずく。

「ダカライロイロタイヘン。タントウアイドルノワガママタイヘン。ワカルアルカ?」
これには頷かないで睨んだだけ。

「タチバジョウ、スキナヒトニ、スキイエナイ。ソレトテモセツナイユーテタ」
「…………!?」
「デモイチバンツライノ、ダイジナコノ、キモチニコタエラレヘンコト、ソーモユーテル」

プ、プロデューサー……な、何を言ってるのかぜんぜんわかりません。
だって、そんなこと急に言われても。
こ、心の準備。そういうことはちゃんと準備してからでないと

「デモモーゲンカイ、ジブンノキモチツタエテオキタイ、ダカラキイテ」
「……わ、わかりました。一応、聞きます」
「オメメツブッテ、シッカリキクアル」
「……」
「好きだ、千早。愛してる」

んんっ!? ……んん。  んっ…

ああっ……どうして……
どうしていま、キスなんて。
涙が止まらないじゃないですか。
やっぱりプロデューサーずるいです。こんな風に不意打ちなんて。
私がいうより、先に私にあんなこというなんて。
でも。
嬉しいです……
あの、私も言っていいですか?
いいえ、言っちゃいますから。私だって……


「プロデューサー、好きです。大好きです!」



「こんなプレゼントですまんかった。実は、その」

良い訳なんていい。だからその口を自分の唇で塞ぎとめた。
少し長いキスになったけど、ついでにひげをひっぱがすとちょっと気分が晴れた。

「良い訳なんか聞かないし、謝っても許しませんから」
「ドーシタラユルシテクレマスカ」
「とりあえずサンタキャラはもう止めてください」
「はい、すいません」
「では。私も一応仏教ですから、プロデューサー宅の恒例行事に参加させていただきます」
「……はい」
「焼き鳥もいいですが、私にはチキンとケーキを用意してくださいますか?」
「わがままだな」
「そういったのはプロデューサーですよ。ほら、すぐ出発の準備してください」
「はい」
「あ、それと……その包み、今開けてもらっていいですか?」

 ◇

「冷えると思ったら、雪か?」

事務所を出ると、チラチラと白いものが街灯に反射している。
「寒くありませんか?」
「うん、大丈夫。特に首のあたりは熱いくらいだな」
「ふふっ、思いを込めて編みましたから。離れようとしても離れないかもしれませんよ?」
「分かってる。今夜は離さないよって感じで?」
「…………(9393)」
「あ、だから変な意味じゃなくて。ねえ、千早待って! 首絞まるから引っ張らないで!!」


親友のアドバイスは素直に聞き入れるべきである。
私はその教訓を、長めに編んだマフラーで大事な人を捕獲できた事実を以って肝に銘じておく。




おしまい


番外編。(というかこれってエロを補完するだけの話かよw)


1年後。
行為の最中は、奔放なまでに体を弾ませるくせに、一旦ことが終われば
頭からすっぽりシーツを被り、わずかな隙間から顔だけを覗かせている。
今年の誕生日に初めてを済ませてから約1年、恥ずかしがりなところは少しも変わらない。

「このホテル、高かったのでは?」
「いや。夜景の見物料と思えば安いくらいだ」
「確かに夜景は凄くきれいですね。ずっと見ていても見飽きません」
「そうだろ」

宿泊費よりも、むしろこの日の部屋を押さえるのが大変だったわけだが、
千早にはいえない本当の目的の為なら、金も手間も正直惜しくない。
夜は長いのだし、先ほどの慌しかった交わりのおかげで、落ち着きも取り戻せた。
シーツを捲くり、千早の上半身を露出させると、まだ上気したままの顔を向け、
いつもそうするように胸を隠したりせず、軽く睨むように俺を見上げる。
俺が手を差し伸べると、千早は口元を上げて笑顔をつくる。

「あんなに乱暴にしておいて、まだ私を苛めたりないのですか?」

この一ヶ月、殺人的なスケジュールのせいで、オフどころか千早と体を交える余裕もなかった。
久しぶりのセックスで余裕がないのは致し方ないし、確かに乱暴ではあった。
部屋に入るなり愛撫をはじめ、服を着たままベッドに押し倒し、そのまま犯したも同然なのだが
千早とてその時にはたっぷり溢れさせていのだからお互い様である。
さっきの千早の台詞は皮肉でも文句でもない、平たく言えばリクエストである。
つまり、次はもっとやさしい愛撫で、たっぷりと可愛がってくださいと俺は理解する。


「もちろん。明日の朝まで、苛めてあげる」
「ふふっ……本当ですか?」

本人は自覚していないだろうが、こういう時に浮かべる千早の表情はやけに妖艶になる。
生来の生真面目さが仕事や学業と同様、セックスに対しても発揮されているからだと思っているが
快感を覚えてからの貪欲さや奔放さは、どんなに本人が否定しようと否定しきれるものではない。
そこを指摘しながら責めるのが一番面白いという事実もあるが。


「そういえば、プロデューサーにあやまらないといけない事が」
「ん?」
「ファーストキスの相手、実はプロデューサーではなくて」
「な、何?」
「去年、事務所に乱入してきた不審な男に奪わて。でも、とても素敵なキスでした」
「そうだったのか。で千早は俺よりそいつのキスの方がいいとでもいいたいのか?」
「さあ……どうなのでしょう」

シーツを引き剥がし、まだ赤みを帯びた裸身をむき出しにする。

「そうだな、こういうときは。俺のキスで忘れさせてやるよ」

腕を絡めてきた千早の上半身をそのまま引っ張り起こす。
贈ったばかりのチョーカーが揺れる首筋のすぐ下には、先ほどの行為でばらまいたキスマークが
散らばった花びらのようだ。

このままベッドで第2ラウンドというのもいいが、余力が充分残っているうちに例の目標を。
無言のまま作戦を組み立てている俺を見て、千早が小首をかしげる。
部屋の照明を全て消して立ち上がると、ベッドの上の千早を抱きかかえて窓際にいく。
そのままカーテンを開いて眼下の夜景を見下ろす。

「あ、あの……外から見られてしまいます」
「暗くしてあるから大丈夫。ほら、あっちのビル」

向かいにある高層ビルを指差す。
明かりの灯ったフロアは、人影が明瞭に浮き上がっているけど、暗い部屋はただ真っ暗だ。

「でも……」
「大丈夫、見えないから」
そういって千早を立たせるが、窓に背を向け俺の胸に顔を埋める。
「やっぱり恥ずかしい……」
俯けようとする顔を無理やり上に向け、唇を捕まえる。
抗議のつもりか、開くまいとする唇を舌で丹念になぞると、すぐに抵抗は放棄される。
ゆるんだ唇を舌でこじ開け侵入すると、すぐ従順になった千早の舌が出迎える。
しばらくは、ぴちゃぴちゃと音を立てながら唾液の交換。

時折、唇を外して耳元で囁く。

「千早の後姿、特にお尻が外から丸見えになってるな」
「んっ……またそんな意地悪を……んんっ、隠してください」
「駄目に決まってるだろ、そんなの」
「やぁ、んむ……だめです」

腰を抱えていた一方の手を、尻から前にすべらしていく。
柔らかな陰毛を通り抜け、指先を滑り込ませたソコは、再び潤みが始まっていて
簡単に指の侵入を許す。

「今日はお尻だけじゃなく、ここも外に向かって拡げて見せないと駄目だよ、千早」
「あぁ……いや、お願いですから……それは許してください」

先端を浸した指先をさらに進め、ゆるゆると動かすたび反応した千早の腰がくねっていく。

「さてと、どうしたものかな……」
「あの……それ以外のことなら何でもしますから……恥ずかしいのだけは……」
「そうだね、じゃ一緒に夜景見ながらここでしよっか」

返事を待たず、千早の体をぐるりと回し、両手をとって窓枠につかせる。

「あっ、だ、駄目です……こんなとこで」

閉じようとする足の間に腰をすすめ、すっかり立ち上がった硬直をこすりつける。

「ほら、足をもっと開かないと入らないよ?」
「うぅっ、やぁ、いやですぅ……」
「千早だって欲しいくせに。ほら、こんなにいっぱい濡れてるよ?」

なぞらせただけでヌルヌルになった指先を千早の口元にもっていく。

「ほら、口あけて。自分の舌で確かめて」
「あむぅ……んっ、あぁやだ……こんなに濡れてる」
「わかったら、お願いしなきゃだろ?」
「んっ、はい……あの、このまま千早に……い、いれてください」
「はい、よくできました」

そのまま下半身を押し付ける。既に十分潤んでいるソコは簡単に俺を受け入れた。

「あっ……は、はいってくるぅっ」

窓枠についた両手で体を支える千早を、俺はむさぼり始めた。
そして千早のスイッチが完全にオンになった頃を見計らう。
後ろから足を抱え上げて持ち上げると、大きく開いた千早の秘部を窓に向ける。

「ほら、千早のいやらしいとこ、沢山の人に見られてるかもな」
「あぁ、だめです、いや、いやいや、やめて……」
「だーめ、ほら。折角なんだから。千早、自分で触ってみなよ」
「そ、そんなことできません……無理ですぅ、もう駄目」
「ちゃんとできたら終わりにしてあげるけど。だめならずっとこのままだよ?」
「ほんとに、自分でしたら許してくれますか?」
「もちろんだよ」

最初はおずおずとした千早の指も、一旦自分の秘部に触れるとすぐしなやかに動き出す。
くちゅくちゅと響かせながら、目を固く閉じたまま懸命に快感をまさぐる千早の表情がガラスに映る。

「やっ、だめ、やだ、だめ、いく、いっちゃう、いっちゃう……」



千早の裸身を押し付けたときについた、しゃぶった乳首の跡が二つガラス窓に並んでいる。
もう少し明るくなれば、千早の輪郭の痕跡も残っているが見えるかもしれない。
チェックアウトするまえに、ガラスは掃除しておかないといけないな。
できれば彼女に内緒で。
俺はシーツにくるまって熟睡している千早の寝顔を見下ろす。
去年のクリスマスに初めて同じベッドで眠った時も。
誕生日、初めて彼女を抱いた時も。
千早の寝顔はいつだって幸せそうでいて、ほんの少し悲しそうだから。
悲しい影が消えてなくなるまで、俺は千早の寝顔を見守っていくつもりだ。


おしまい

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