ブログ「日々是千早」もよろしくね!

[SSメモ] 075 2011/11/23 29-511

  • 以下本編-



「…プレゼント? 欲しいものなんて別にないよ」
「無いってことないだろ。去年だって……」
「いいの。誕生日をオフにしてくれただけで感謝してるの」
それだけいうと、美希はバッグを掴んで立ち上がった。
「美希、ちょっと待ってくれ。何か怒ってる?」
「別に。用がないなら美希もう帰る。欲しい物あるけどハニーには無理だと思うし、じゃぁね!」

やれやれ。
去年の誕生日は仕事の都合できちんとしてやれなかったから
今年は夏過ぎからスケジュールを調整し、なんとか誕生日当日をオフにできた。
プレゼントだって美希が希望を出すというから尋ねただけなのに。
俺には無理なんていうけど、美希が欲しがっているものは俺だってプレゼントしてあげたい。
だが年齢とか立場も考えて欲しいんだよ。親御さんの手前だってあるんだし。
せめて結婚できる年齢になるまで、それだけは我慢してくれないものか。



美希の我がままや無理強いというわけでもなく、半分以上は甘やかした俺の責任だ。
Cランク昇格を境に一気にブレイクした美希は、以前とは別人のようにやる気を見せ
仕事にもレッスンにも真剣に取り組むようになった。
だが彼女の変化はそれだけではなかった。
俺のことを恋人に見立て"ハニー“と呼ぶようになったのもそのひとつである。
ようやくやる気を見せた彼女が、その類まれなる潜在能力を発揮しだしているのである。
調子を合わせて恋人ごっこに付き合ったのは、そうしておけば仕事がうまくいくという
プロデューサーとしてのスケベ心である。
大人びているのは外観だけで、中身はまんま中学生のお子様。
調子を合わせておけばなんとでもなると見くびり、その真意を見ようともしなかった。

だけど美希は真剣だった。仕事の対するのと同じ、いやそれ以上に。
最初はさりげなく腕を組むとか、軽めのハグ。
それで満足していた美希だったが、要求は少しずつエスカレートしていった。
既にハグは事務所でもできないような熱い抱擁に変わり、キスに至るまでそう間が無かった。
挨拶のような頬へオデコへのキスにも、不満をだくようになるのはあっという間だった。

ちなみに唇へのキスをしたのは俺からである。
ライブを終えた直後の楽屋で、まだ興奮が冷めやらない美希の火照った体を抱きしめ
半ば無意識に美希の唇を奪っていた。
美希は驚いて目を丸くし、すぐその目を閉じた。
潤んだ瞳と紅潮した頬、それにおずおずと背中に回された美希の手。
それが少し震えているようなのは緊張なのか、それとも。

やり過ぎたかという思いも、そのあと見せた美希の嬉しそうな表情で吹き飛んだ。
美希が喜んでくれるなら、恋人ごっこも上等。
褒めれば褒めるほど、乗せれば乗せるほど、美希のパフォーマンスは向上していく。
そんなことを言い訳に、今度は俺が行為をエスカレートさせていった。
最後の一線だけ越えなければ、その思いを心の中に秘めながら。

だがキスから先に進んだとき、最初美希が見せたのは躊躇いだった。
仕事を終えた美希に、頑張ったご褒美という名目でするキス。
抱き締めるその体はどこまでも柔らかく、肌から立ち上る甘酸っぱい体臭は
美希がまだ中学生であることを俺に忘れさせる。
胸に押し付けられた乳房の感触。
幼い顔に悩ましい喘ぎでキスに応える美希に、つい無意識に手が背中から下り…

「ハニー、ダメだよ……」
キスの合間の息継ぎをしながら、美希が弱々しい声で呟く。

「こういうのは嫌か?」
背中から降ろした手で、美希のくびれをそっと撫でてみる。
「イヤじゃないの。ハニーになら何されてもいい、でも……」
「でも、何?」
「美希ね、ちょっとだけ怖いの」
「なら止めとこう」
「……もうちょっとだけならいい」
動きを再開させた俺の手が、腰をこえてヒップラインに進出すると
重ねた唇の中で「んっ…」と可愛い声で喘いでくれるからもう止められなかった。
一通りの愛撫が終わったあと、赤らめた顔を俯けて恥ずかしそうにもじもじしながら
美希は意を決したかのように、顔をあげて俺を見つめる。

「ねえ、ハニーどうだった?」
「どうって?」
「美希の体だよ……ハニーは触ってみてどう思ったのかなって」
「ああ、柔らかくて温かくてずっと触っていたいと思った」
「男のひとってどうしてオンナノコの体、触りたがるんだろうね」
「あ、ああ……まあそれは本能ってやつかな」
「じゃあ……ほかのトコも触りたいよね、む、胸とか」
「美希、無理しなくてもいいから」
「あは、無理に我慢してるのハニーなの。ほら、今が触るチャンスだよ?」
俺をからかって胸を突き出し誇示するいつものしぐさも
潤んだ目で訴えられるだけで
「触っても変態さん呼ばわりしないか?」
「するわけないの。ハニーは美希の恋人なんだから。でもね、優しくだよ?」
「じゃあお言葉に甘えるが、その前に…」

まず抱き寄せてキスしたのは、美希のおっぱいを前に逸る心を静めるためだった。
恋人ごっこはあくまで美希を喜ばせるためのであり、失望させてはいけないのだから
本能にまかせ、夢中で揉みまくるような醜態は絶対に避けなければならない。
だから俺は、あくまで本命はこうして抱きしめてキスを与えることであり
胸を触るのは、美希がいいというから仕方なくといった体をとったのである。
重ねていた唇を少しだけ離し、美希に囁きかけた。

「いいか美希、触るよ?」
「……んっ、いいよ」
目をみつめながら、手のひらをそっと乳房に着地させる。
「あっ……」
手を置いた一瞬だけ力が入った美希だが、すぐに表情と体から力が抜けていく。
「えへへっ、ハニーの顔マジになってるの」
「み、美希、お前……どうしてつけてないんだよ」
「どうしてって、その方がいいでしょ? それよりハニーのしたいように揉んでもいいよ?」

恥らいつつもオンナの顔と声でそんなことを言われた瞬間、俺の理性は弾けて飛んだ。
柔らかくも弾力のある美希の乳房に指をめりこませ、夢中で揉みしだくと
最初は声を我慢していた美希だったが、そのうち俺の名前を呼びながら
愛撫に応えて体を震わせてくれるようになった。
男を知らない生娘が、胸への愛撫だけで達するものなのか分からないが
ともかく美希は、俺の指が服の内側に侵入し勃起した乳首を軽く抓ったあたりで
一際大きな声をあげると、背中をのけぞらせてからがっくりと脱力した。

「……あのね、ハニーに触ってもらうとすごく気持ちよかったの」
「そう、イッたみたいだったしな」
「ふぅん、あれがいくっていうの。でも好きな人になら触ってもらうだけでも幸せなの」
「そうだろ。恋人同士がこういうことをする理由がわかるだろ」
「うん。だからまたしてくれるよね、ハニー?」


抱きしめてキス、それから体中を愛撫する。
何か特別な理由がなくとも、俺と美希は暇さえあればそうやって体を重ねる。
楽屋でもレッスンスタジオでも、移動中の車の中でも。事務所だって例外ではない。
ミーティングのための時間は、唇を重ねあうための時間にとってかわり
収録の合間にできた、わずかな時間ですら休息のためではなく
お互いの体をまさぐりあう時間になっている。

そうしてどちらかが、あるいはお互いが慌しい愛撫に我慢ができなくなれば
仕事が終わるのを待ちかねて、誰にも邪魔されない場所でその続きをした。
たいていは俺の家だが、そうも出来ないときには、美希を自宅に送っていく
途中の公園などがその場所に充てられる。
だが美希が一番望むのは俺の部屋だった。

「初めては全部ハニーのお部屋でするの」

最初のキスも乳房への愛撫も、美希の言葉どおり俺の部屋が初めてだった。
その夜、自分から上半身全て脱ぎ捨てた美希を押し倒したのも俺のベッドだった。
夢中になって胸に顔をうずめ、乳首にしゃぶりついて離さない俺の頭を
美希はやさしく抱きしめ、快感の喘ぎ声をもらしながら撫で続けてくれる。

美希は何度も泊まりたいといったが、俺は決してそれを許さなかった。
一線を越えれば歯止めが利かなくなるのが分かっていたからであって
ケジメなどという格好のいいものなんかではない。
そして美希が部屋にくるときは、必ず事前に処理を済ませておくことにしている。
そうでもしなければ間違いなく最後まで突っ走っていただろう。
そんな配慮と苦悩をよそに、美希は期待に満ちた目を俺に向けてくる。

ねぇ、ハニーは美希のこと欲しくならないの?
ねえ、ハニーになら、美希のことあげちゃってもヘーキだよ?
ねえ、ハニー、今度お部屋に泊めてくれてもいいよね?

そんなことを、あの無邪気な笑顔でおねだりされるたび、
俺は揺れる理性を懸命になだめ美希の要求を跳ね返してきた。
上半身は脱がせても、下半身は脱がさないどころか手も伸ばさない。
美希のほうからそれ以上の要求がなかったから高をくくっていたが
何気ない表情の裏で、美希なりに期待を高め続けていたらしく
最後の一線を頑として越えようとしない俺に、不満を燻らせていた美希が
あのような行動にでるとは、まったく予想すらしていなかった。



美希の誕生日パーティで行うサプライズイベントの打ち合わせ。
そう言われて集まった俺が、一体何を疑うことができたであろう。
出されたお茶を味わった直後、強烈な眠気に襲われ眠り込んだ俺が
意識を取り戻したのは見たこともない殺風景な部屋だった。
壁にかかった大きな鏡に映った俺は、どういうわけか
両手両足が頑丈なベルトで椅子に縛り付けられていた。

「ごめんねハニー。窮屈だけどしばらくの我慢なの」
「おい美希、一体どういうつもりだ。ふざけるのはやめてほどきなさい」
「美希、ふざけてなんかないよ? 凄くマジメなんだから」
「マジメならこんな真似しちゃ駄目だろ。今すぐ解けば叱らないから、な?」
「叱られてもいいの。じゃあそろそろ始めるね」
「おい美希、始めるって…あっ、ちょっと脱ぐな、待てって」
美希は俺の言葉にかまわず、こっちを見たまま上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。

スカートが無造作に脱ぎ捨てられると、美希の体を隠すのは下着と薄いキャミソールのみで
上下揃いの下着は随分と大人っぽいデザインのものだった。
そんな姿はこれまで何度も見て慣れているつもりでも今は状況が違いすぎた。
大人っぽい下着に妖しげな美希の表情。
美希の狙いが俺の予想通りだとしたら、やばいことになるかもしれない。

「ねえハニー、今日は美希が色々としてあげるの」
美希は俺の膝にまたがると、呟くようにそういった。
「だから変な真似はよしなさい、冗談が過ぎるぞ」
それには答えず、美希は俺の頬を両手で挟むとゆっくり顔を近づける。
口を閉じて拒否の意を示して見せたが、美希にわき腹をくすぐられ
思わず開いた口を、美希のピンクの唇でぴったりと塞がれた。
キスというより、ただ口と口を合わせただけの行為。
それでも美希の表情は緩み、口元には小さな笑みが浮かんでいる。

「いいよ、ハニーがそういうつもりなら、美希も容赦しないの」
そういいながら、美希は何度も何度も唇を重ねてくる。
それだけではなく、またがった腰をもぞもぞと動かし擦り付けてくる。
下着とズボンを挟み、お互いの秘部がこすれあう。
事前の処理を済ませていないため、温かく柔らかい美希の股間の刺激で
意思とは反した勃起が始まる。

「ほらね。口では駄目っていっても、ハニーの体は正直なの」
「違う、これはただの生理現象だ」
「どっちでもいいの。大きくなればこっちのものなの」
「や、やめろ、何をする気だ」
「ハニーは黙ってるの。美希はこっちのハニーに用事があるんだから」

手足を拘束されている状態で阻止するのは無理だった。
ベルトが外され、ジッパーが下ろされ、情けないことに少々染みのできたトランクスが
美希の目の前にさらけ出される。

「ハニー、これってお漏らしちゃったの?」
「違うわ! そんなわけあるか」
「じゃあ、これはなぁに?」
しなやかな指が、染みの部分をそっとつついて、目の前にかざして観察している。
「や、やめなさい美希。そういうことはアイドルのすることじゃない」
「そのアイドルの前でこんな風にボッキさせてるの、ハニーなんだよ?」
「……う、うぅ……」
「ねえハニー、男のひとも気持ちいいとオンナノコみたいに濡れるの?」
「……違う、いやそんなことは知らん」
「ハニーは知らなかったんだね、オンナノコが濡れるってこと。
美希ね、最近はハニーにチューされただけで濡れちゃうの」
「そ、それは……どうも」
「そんなことより、今からハニーをもっと気持ちよくしてあげるから期待してね」
そういってキャミソールとブラをあっさり脱ぎ捨てた美希は、俺の前で腰をかがめて
天を突いて勃起している一物を見つめながら近づいてくる。

「や、やめろ美希、何をする気だ」
「ハニーが気持ちいいことだからやめないの、ハニーが降参するまでは……」
「頼む美希、降参する、だからそれだけはやめてくれ」
そういいながら、俺は心の一部で美希が示唆する行為を待ち望んでいた。
自分で処理するとき瞼に思い描く、美希の裸身と奔放な行為。
それが今、現実に再現されようとしている。

美希は上体を俺の股間に近づけると、ゆっくり豊満な乳房を押し付けた。
手で触れるのとはまた違う、柔らかく包まれる感触は身震いするほど気持ちよかった。
だがそれはまだほんの序の口だった。
美希は両手で乳房を寄せて一物をしっかり挟み込むと
ゆるやかに上体を動かし、刺激を始める。

「んっ、ほらぁ…ハニー、気持ちいい?」
「……あ、ああ」
「じゃ次はこれ使うね」
乳房を俺に押し付けたまま、美希は手を伸ばして取り出したもの。
透明の液体が入ったボトルのふたを開くと、胸の谷間に液体を注ぎ始めた。
ローションのひんやりした感触も、すぐ美希の体温で暖められ
さっきとは比較にならない快感が一物を襲う。

「んっ、あぁ……ハニィの、とても固くて熱いの」
「美希、だめだ……もうこれ以上は」
「いいよハニー。最後までいったら許してあげるから」
「た、たのむ美希、お前の体を汚したくない」
「美希へーきだもん、だからいいよハニー、我慢しないで出しちゃって」

どこでそんなことを覚えてきたのだ、などと突っ込むような余裕はなかった。
それどころか、このまま流されてしまおうにもありかと迷っていたくらいである。
だが逡巡はほんの一瞬だった。
このまま目をつぶればほんの少しで頂点に達し、溜まった白濁で綺麗な乳房を汚す。
もちろんそんな選択、俺にはできなかった。

「やめなさい、美希!」
腹に力を込め、大声を出すわけでもなくできるだけ静かに一喝した。
「ひぇっ!! ハニー?」
驚いた美希が体を離し俺を見上げる。
「もういい、美希。こういうことはやめてきちんと話をしよう」



濡れたタオルでローションを拭い取る間、気まずい沈黙に耐えかねた美希が
ことの顛末をポツリポツリと話しながら、脱ぎ散らかした服を集め、着替えなおす。
要約すれば、一線を越えようとしない俺に焦れて実力行使に出たということになる。
場所といい、他人を使って呼び出したことといい、第三者の協力や入れ知恵があったのは
この際不問にしておいた。
美希に悪気はない。流れにまかせエスカレートさせたのはむしろ俺の責任である。
だから、身繕いを終えて向かい合わせに座ると、まず俺から美希に謝った。

「違うの、悪いのは美希なの、だからごめんなさいなの、ハニー」
「確かに行き過ぎではあったが、そのことはもういい。気持ちよかったしな」
「……ハニーのそういうとこ、キライじゃないんけどちょっとビミョー」
「そ、それはおいといてだ。ここらではっきりさせておこうと思う」
「あ、あのね、ハニー。これでお別れとかは美希イヤだからね?」
「誰が別れるといった。こんな悪さをする美希、俺がずっとついてないとダメだろ」
「美希悪くないって、さっきハニーがいったばかりだよ?」
「いちいち突っ込むな。それより美希、お前ががいやだといっても俺は離さん。
なんなら一生ずっとだ、それでもいいのか?」
「ちょっと待つの、ハニー。その言葉は誕生日にいってほしいの」
「え、どうしてだよ」

「あのね、美希が一番欲しかったのはハニーのその言葉なの」


おしまい

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます