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[SSメモ] xx 2011/09
未亡人ネタというスレの流れから、わりと即興っぽく書いたもの。
全体的な構想は壮大だけど、それだと莫大な時間とレスを消費してしまう
というとこから、端折りに端折った短いダイジェスト。
いつか正式版を書けばと思いながら、時の流れにそのまま置いていった。
  • 以下本編-

都心の高級ホテル、上層階からの眺めは、性欲発散のため漁った女を連れ込んで
その気にさせるには何よりだが、今日のようなビジネス目的でもそれなりに役に立つ。
地の利、威圧感。なにより背景にある経済力の誇示。想像もできなかった地位と力。
若手プロデューサーの頃、掌から零れ落ちた大切なものを、この力で拾い上げることが
できるだろうか。
その答はもうじき訪ねてくるはずの来客が、教えてくれるだろう。

密やかなノックが3回。目的の来客なのはドアスコープで確認するまでもない。

「どうぞ。いるのは俺だけだから遠慮はいらないよ」
「……ご無沙汰しております。プロ、いえ…」
「いいよ、プロデューサーで。そのほうが話しやすいだろ、お互いに」

彼女と出会ってそろそろ10年が経とうとしているが、長い髪もスレンダーな体つきも
一向に変わらず、強いて言えば顔立ちや体のラインが心持ち柔らかくなったようだ。
ただし表情には翳が差し憔悴の色が濃い。

無理もない。結婚して2年もたたない内、仕事上の後ろ盾でもある夫を病魔に奪われた
だけでなく、莫大な負債を背負い込むことになったのでは。
それに告別式からまだ半月もたっていない。

「軽いのなら大丈夫だろ、少し気も楽になるはずだ」

少し躊躇ったあと、千早はグラスに唇をつけた。強くないのは知っているが
今から行う商談には精神力なんかよりもアルコールの力の方が役にたつはずだ。


「単刀直入にいって、この“商談”俺は受けるつもりでいるし、条件もシンプルだ。
ただ君はイエスかノーかで答えるだけでいい」

ホテル。深夜。誰にも知られないように。できれば黒っぽい“女らしい服装”で。
そして俺の伝えたとおり、やってきた千早。
だが、まっすぐ俺をみつめるその瞳には何の感情も浮かんでいない。
俺は目を逸らし、夜景を見下ろしながら続ける。

「君だってもう大人だから、いちいち説明しなくてもわかるだろう?」

視野の端、ガラスに映った千早がちらりと視線を移す。
二つ並んだベッド。

「…ええ。そのつもりでお伺いしましたから」

抑揚の乏しいつぶやく様な声。

「それはイエスと受け取っていいんだな?」
千早は答える代わりに立ち上がり、ベッドの前にたつ。
無言でワンピースのボタンを外していく。

何故拒否しない。いや、なぜ責めない?
どうしてそう唯々諾々と非道な申し出に従っているのだ?

「電気、暗くしてください…」

千早に歩み寄り肩をつかんで抱き寄せる。
抗わなかった。力をぬいて俺のするがままになっている。
そのまま押し倒した。ワンピースの胸元を荒々しく押し開き、ブラの上から乳房を掴む。
それでも千早は目を閉じたまま声ひとつ立てない。
ワンピースを無理やり剥ぎ取り、ブラをむしり、力任せにショーツをひき下ろしても。

優しく抱きしめてやりたかった。
かつてそうしたように、温かい口付けを交わしたかった。
終わったあと、髪をなでながら照れる千早を抱きしめて眠りたかった。
もう一度。あのときのように。

それができなかった。
顔を正視できない俺は唇をさけ乳首に吸い付き強く吸う。
一瞬顔が歪み、苦しそうなうめき声をたてる。
足首をつかみ閉じた腿を開かせる。照明が無遠慮にその間にあるものを浮かび上がらせる。
記憶の中のそれとまったく変わらないのに、いまは俺を拒絶するかのように閉じられて。
だからそこにも口をつけ、唾液を塗りこんでいく。
千早自身へのキスではない、ただ己の欲望を目の前の性器にぶちまけるためだけに。

膝をつき、先端をあてがい、そのままこじ開けて押し込んだ。
端正な顔が苦悶を浮かべる。
一切の声を出すまいと、歯を固く食いしばり。
それはもう男と女の営みとはいえなかった。
俺は大切なものを両手に抱きしめながら、それを壊しつづけ、そのまま果てた。
絶望的なまでの虚無感。取り返しのつかない悔恨。
取り戻したかったものを、いま自らの手で壊しつくした。
嗚咽を漏らしながら涙をこぼす俺の頭を、千早の手が抱き寄せる。


「よせ、千早。俺はそんな風にされる価値もない下衆な男だ」
「いいえ…私を助けようとしてくれた、ただひとりのひとです」
「助ける? 困った千早を、いや悲しみに暮れる未亡人の体を金の力で奪った最低の人間だ」
「ではどうして泣いたりするのですか」
「泣いてない」
「相変わらず、あなたは嘘つくのが下手ですね」
「中で出した。出来たら必ず責任は取る」
「……そうだったら良かったのに。でもきっと無理、ですよ」

そこで初めて千早の声が湿った。

「…ピルのんでいるんです」


−SSはここまで−


当時書いたのはここまで。
やることやったら続き書くのが面倒になったのでなく
どういう話がいいか思いつかなかっただけ、のはず。

もしこの先続きをかくなら、是非ハッピーエンドで頼んだよ>未来の俺

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