ブログ「日々是千早」もよろしくね!

[SSメモ] 21 2010.9
「匂い」をテーマにした書こうとしていたフェチ系のお話。
設定やプロットの固定に難航して、結局スレには投下できなかった作品。
そういうのが惜しくて、2011年にブログ開設をしたのち、過去の未完成品紹介
という感じでちょっと無理やりまとめ上げたテキストがこれ。
初期の未完成作らしく後半ドタバタしたまとまりのなさ……
ちなみにキスレッスンとか低ランク千早に使ったプロットの原点でもある
描写がそこここに見受けられる。
結構匂いフェチっぽい話が多いがこれがその嚆矢である。


  • SSはここから-

スケジュールの空き時間に無理やり突っ込んだため、金曜夕方のダンスレッスンは
いつもと違う、初めてのスタジオで行うことになった。
スタジオなんてどこも同じだと、些少なところに拘るお姫様ではない。
スタッフはいつもと同じ顔ぶれだし、何の問題もないはずだ。
事実、千早はフロアを軽く一瞥しただけで、淡々とストレッチを始める。
流石に高ランクになった今、レッスンの種類で文句をいう千早ではない。
現に今日のレッスンだって、来週のライブで発表する新曲の、振り付けの完成度を
もっと高めたいと、自分から訴えてきたくらいだ。
千早が気にする部分を何度か繰り返し、アドリブを入れたり、時には俺や講師の
アドバイスをいれて試行錯誤を繰り返し、改めて曲を入れて通してみると、
なるほど格段によくなっていた。
最初のころの、歌だけに拘っていた姿はもう微塵もない。
ダンスも表現力も、全て高いレベルで、ボーカルに収斂させている。
歌い終わった千早が弾んだ足取りで駆け寄ってくる。
額に浮かんだ汗が、照明を反射してきらりと輝く。

「プロデューサー、どうでしょう?」
「どうもこうもない。完璧といっていいな」
「では、この形でOKということで?」
「ああ、文句のつけどころがない」
「ありがとうございます」

最後にスタッフを交え簡単な打合せをけ済ませるとその場で解散とした。
千早の身支度に時間がかかるから、鍵だけ預かるとスタッフたちは先に帰す。
人を待たせてシャワーを浴びるような神経を千早は持ち合わせていない。

暇つぶしがてらモップをかけ、スタジオの照明を消してロビーに戻る。
置いてある雑誌でも読もうかと思っていると、更衣室の扉に人影が映った。

「千早、早いな。もう終わったのか?」

返事がない。というか、なんか様子が変?。
俺は雑誌を放り出すとドアの前までいき、もう一度声をかける。
「千早、どうかした? 具合でも悪くなったか?」
「プロデューサー……あの、他に誰かいますか?」
「いや、俺だけだ」

それを聞いて、千早はドアを小さく開く。隙間から覗く顔が心なしか赤い。
何気なく視線を下げて気づいた。
シャワー前に出てきたのか、胸元にバスタオルを巻いただけだった。

「シャワーのお湯が出ないんです。見てもらってもいいですか?」
俺はあわてて視線をそらした。
まだ水を浴びるには早すぎるから、風邪でもひかれては大変だ。

「わかった。見てみるから、は、入るぞ?」
「どうぞ」

大きめのバスタオルのおかげで露出は少ない、ビジュアル的な危険度は遥かに高い。
この一枚の布を取れば、その下は全裸なのだ。
長い髪をざっくりとまとめ、普段隠れているうなじがあらわなのもそうだ。
いやいや、そんなことを考えている場合じゃない。
千早の方を見ないよう更衣室に入り、シャワーを見る。
確かに湯が出ない。ガスの元栓かもしれないが、何分初めてのスタジオで勝手が
わからないし、経験のあるスタッフはもう帰ったあとだ。


俺のすぐ後ろから覗き込んでいる千早で気付いた。
やばいものがもう一つ、千早の体臭だ。
普段から化粧っ気のない千早だから、当然ながら香水などつけているわけがない。
だから彼女と距離が近い時に鼻腔に感じるのは素肌の匂いということになる。
外見も風貌も大人びてはいるが、それは女の匂いというより、女になりきる前の、
強いていうなら、ほんのり甘酸っぱい、という表現がぴったりくる匂いだ。
今日のように汗の臭いが混じれば、それが強調されると同時に艶かしくもなる。
一人の女としての千早が醸し出す、未熟ながらも雌としての芳香。
視覚や聴覚と違い、嗅覚は人間の本能を司る脳の部位に直結していると
何かの本で読んだことがあるが、まったくその通りだ。
バスタオル一枚下には全裸の千早…という視覚情報はまだ職業意識で何とかなる。
二人きりのとき、彼女が耳元で甘える台詞も、素数を数えることで対処可能だ。
しかし嗅覚だけは駄目だ。

この匂いを心行くまで満喫したい。
簡単じゃないか。振り返り目の前の千早を抱きしめるだけでそれはできる。
俺はしばしの葛藤の末、振り返ってスーツを脱ぐ。
あらわになっている千早の肩に羽織らせる。

「多分元栓だろうから、ちょっと見てくる」
あちこち探した末、配電盤の収められた鉄箱の中にそれを見つけ栓を開いた。
シャワールームに戻り、湯の栓を開くと程なく湯気とともに熱い湯が迸る。

「お待たせ、千早。これで大丈夫。冷えてるからゆっくりと浴びるんだぞ」
そういって千早に羽織らせた上着を取る。
「だ、大丈夫です。プロデューサーの上着のおかげで」
「そうか?」

そっと肩に手を置いてみると、千早のいうとおりだ。
それだけで顔を赤らめた千早が愛しく、無意識に千早を抱き寄せてしまう。
それをハグ、というなら今までに何度も千早とそうしている。
しかしこういう姿の時というのは初めてだ。

「……!」

顔を寄せ、むき出しの肩にそっと唇を当てる。
思っていた通り、かすかにしょっぱい汗の味がする。

「プ、プロデューサー……わたし、汗臭いですから」
「うん。少ししょっぱい」
「だ……だから、その」
「千早の味はダンス風味だな」
「い、意味がわかりません」
「すまん。俺もなぜ自分が何をいっているのか全く分からない」
「今日のプロデューサー、少し変ですよ」
「すまん。千早の匂いに理性がどうかしてしまった」
「そう……みたいですね。ちょっと身の危険、感じてます」
「悪かった。もうやめる。ていうか流石にそこまでする気はないから安心してくれ」
「プロデューサーのことは、信じていますから。それよりさっきの行為の理由、
あとでちゃんと話してくださいね。でないと、納得しませんから」
そういうと、千早はするりと抜け出してシャワールームに消えた。
俺は手の中に残ったバスタオルを握り締め、それから顔を埋めた。



夕食の間、更衣室の出来事などなかったように振舞う千早は、機嫌よく喋り
俺のできの悪い駄洒落にも笑い転げる。
まったく女心というのは理解の範疇を超えている。
最新のアルバムの売れ行きが好調だから? 
それとも来週のライブ、早々に追加公演が決まったから?
まさか、千早はその程度のことで舞い上がったりはしない。
ランクアップのときも、難関オーデション合格のときも、喜ぶ以上に反省点や今後の
課題を考えるのが常なのだ。
一体この明るさの理由は何だ?


レストランを出ると、そろそろ暗くなった帰り道、
散歩がてら、人通りの少ない公園に千早を誘う。

「さっきのことだけどさ……」
「はい」
「ごめん」
「理由を説明してほしいとはいいましたけど、謝ってほしいなんていってません」
「不快、とか嫌じゃなかったか?」
「……少し驚きました。けど、嫌とはその……」
「理由をいうと、土下座して謝っても足りないだろうな」
「そんなにすごい理由、なんですか?」
「どうだろうな。心の準備ができてるといいが」
「そんな風にいわれると、緊張してしまいます」

台詞とは裏腹に、千早の表情はリラックスしている。

「一言でいえば、そうだな。千早の匂いに欲情した」
「よくじょう……? ああ、シャワールームだけに」
「千早も上手にぼけるようになったもんだ」

すいません、少し恥ずかしくて、その。そういって悪戯っぽく笑う。

「それは私がようやく大人扱いされた、ということでしょうか」
「ふむ。綺麗にまとめてくれてありがとう」
「どういたしまして。でも、あの時はかなりドキドキしました……
それ以上求められたらどうしようかと緊張もしましたし」
「求めてもよかったのかな」
「ノーコメントです。そもそも更衣室でというのは如何なものかと思いますが?」
「確かに。訂正しよう、今後は少なくとも場所は選ぶことにする」
「状況も選んでいただけたら。やはり心の準備というものも大切かと」
「了解しましたよ、お姫様。これで、その納得はしてもらえただろうか」
「はい。あ、あの」

言葉を切った千早が何か言おうとして口ごもる。

「どうした?」
「あの。実はもうひとつお願いがありまして。
「急なことでよく分からなかったので、できればもう一度試してみたいかな、と」
「試すって……よく分からなかったというのはどういうこと?」
「ですから、その……少しくすぐったくて、でもそれだけじゃなくて……」
「えーと、もう一度してみてもいい、ということでいいのかな」
「はい、その通りです。では準備はよろしいでしょうか?」
「準備って心の? いや、それは千早のほうこそ」
「いいえ。まず汗をかかないと。ですから、ここから家まで走って帰りますよ」
「走るって、ちょっと、千早待って、家まで走るって、おーい」

くすくす笑いながら駆け出した千早が停まってくれそうにないので、
仕方なく俺も千早の後を追って走り出した。
時々は千早と一緒にトレーニングもしているが、食後間もない今、
アスリートなみにビュンビュン走る千早についていくのは大変なことだ。
といって夜道、千早を一人先に行かせるわけにもいかない。
所々でペースを落とす千早を追いながら、俺は2キロ近い道のりを
倒れそうになりながらなんとか走り続けた。

ようやく家に着き、軽く汗ばんだ千早と比べ、ワイシャツまで汗でびしょびしょに
した俺はそのままソファーにひっくり返った。
千早が入れてくれた冷えたスポーツドリンクを一息でコップを飲み干し、
2回お代わりをしたところでようやく呼吸が静まってくる。

「ぜー、ち、千早。わ、わざとだろ……」
「ふふっ、あれくらいではプロデューサーが欲情するほど汗が出ませんね」
「い、いま、それどころじゃないくらい、見ればわかるだろう……」
「どうやらそのようですね。凄い汗です」
そういって俺の隣に腰を下ろす。

「待て待て、今の俺はかなり汗臭いぞ」
「女も、男のひとの汗の匂いに欲情すると思いますか?」
「さ、さあ。俺にはわからん……」
「それもそうですね。では試してみます」

千早は身動きもままならない俺のシャツを脱がし始めた。
前を完全にはだけると、自分もシャツを脱ぎキャミソール一枚になる。
そのまま抱きついてきて、首筋に顔をうずめる。
今度は匂いだけでなく、乳房が胸に押し付けられる感触つきだ。
俺も千早の背中に手をまわし、やわらかく抱きしめる。
千早の肌から汗と体臭が混じった、あの甘酸っぱい匂いが立ち上る。


不意をつかれた。
千早はしばらく俺の匂いを嗅いでから、舌で首筋に触れてきた。
ためらいがちに一舐めしたあと、今度はゆっくり舌を這わせてくる。
強烈な快感が背筋を走り、下半身がどうしようもないくらいな状態になる。
今それは千早のお腹を圧迫しているはずだが、気づいているのかいないのか、
千早は俺の首筋を舐めるのに夢中になっている。
目の前に垂れかかる長い黒髪をそっとかきあげ、俺も千早の首筋に唇をあてた。

「ふぁ!?」

千早の首筋も舐め上げるてやると、体がぴくりと反応する。

「千早、俺のはどんな味がした?」
「プロデューサーの……しょっぱくて、でも」
「千早も欲情したかな?」
「わ、わかりません、そんなの、あっ……そこ、だめです」

彼女の反応からみて、どうやら首筋は千早の性感帯のひとつらしい。
舌先で強弱つけながら首筋をたどるたび、彼女の体は敏感に反応する。
これなら今夜、少しばかりステップアップしても大丈夫だろう。
しっかりしがみついている千早を抱っこしたまま体を起こす。
千早の足を抱え上げて、俺のひざの上で向かいあうと顔を覗き込む。
上気して紅潮した顔が思いのほか色っぽい。

「プ、プロデューサーも、よくじょうしました?」
「ああ、千早にあんな風にされたからな。すっかり欲情したよ」

千早はそれを聞き、嬉しそうに微笑む。

「だから、今夜はもう少しだけ先に進もうかと思っているんだが」
そういって千早の腰に手を回し、軽く体をひきつける。
当然千早の下半身は痛いくらい硬直しているそれと接触することになる。
千早は気づいたが、以前と違って逃げようとはしない。

「もう……少しだけ?」
「うん。最後までじゃないけどね。千早はまだ大丈夫?」
「少しだけなら……だいじょぶだと思います」
「嫌だったらちゃんというんだよ」
「……はい」


俺は腰を支えている片手を外し、千早の体に沿ってゆっくりと上に移動させ、
肩までいったところでキャミソールの紐に指をかける。
これまでは服を着たまま抱きしめあうだけだった。
それが今日、千早の肌に唇をつけた。
今夜はいよいよ千早の体、いやまだ見ぬ乳房を。
そう思っての行動だったが、もっと基本的なことを忘れていた。

俺の指の動きからその先を悟り、緊張と期待が混ぜこぜになった表情の千早は
動きを止めた俺に気づき、軽く首を傾げる。

「千早、一番大切なこと忘れてた」
そういって両手をいったん離す。
「千早、両手で俺の肩もって。そう、倒れちゃだめだよ」
そして、離した両手でそっと千早の頬をはさみ、顔を近づけた。
今度も千早はちゃんと俺の意図を悟った。


ゆっくりと顔が近づき、そして唇が重なる。
初めてのキスは、軽く唇を合わせるだけのもの。
重なり合う直前、瞼を閉じた千早はそのまま、ずっと唇を合わせている。
時折千早がもらす甘い鼻息が可愛らしく、いじらしい。
呼吸がつづかなくなったのは当然のことだが、俺のほうだった。
一旦唇を離し、大袈裟に深呼吸してみせる。
それを知った千早は、悪戯っぽく微笑むと大きく息を吸い込むと、
今度は自分から俺に唇を重ねてくる。
息継ぎのタイミングが悪かった俺はわずか数秒で苦しくなるが、
千早がしっかりと頭を抱えているので逃れられない。
軽くタップすると、離れる代わりに俺にたっぷり空気を吹き込んでくる。
主導権を取ったのが嬉しいのか、何回も人工呼吸のようなキスを繰り返す。


「プロデューサーが私のファーストキスの相手になりました」
「そうだな。千早の初めては全部俺のものだからな」
「でも肺活量は鍛えてもらわないと、少し物足りないです」
「キスとはそういうものではないのだけどな」
「冗談ですよ、プロデューサー」

そういって、今度は軽くチュっ、というキスをくれる。
まだ子供のようなキスだが、本人はキスを経験したのが嬉しいのか、
くすくす笑いながら、それも何度か繰り返した。

「大人のキスを教えるのは、また今度だな」
「キスにも大人とか子供とかあるのですか?」
「ああ。今見たいなのはそう、まだ子供のキスだな」
「ではその前のは?」
「あれは、キスというより人工呼吸だ。もし俺が溺れたときには頼むよ」

ふくれっつらの千早は、顔を近づけ俺の鼻の頭を軽く噛む。

「今のは?」
「プロデューサーが私を冷やかしたときにする、怒ったキスです」
「ふむふむ。初めてにしては、意外とテクニシャンだな」

また鼻を噛まれた。ついでに舌でひと舐めしていく。

「大人のキス、はまた今度なのですね……」
「そうだよ。ステップアップは少しづつ、だから。その代わり」

俺は膝に乗せた千早の体を半回転させると、ソファーの隣に下ろす。
きょとんとした千早の肩に手をまわし、やわらかく引き寄せ。
もう片方の手を千早の頬に添えた。
「千早、唇から力抜いて」

先ほどよりも柔らかく、そして深く唇を合わせた。
唇を重ねながら、強弱をつけ、軽く千早の唇をはさんだりもする。

「んっ……んんっ」
目を閉じ、悩ましげな声を漏らす千早の顔が可愛い。
息継ぎを挟み、長い時間そのキスを続ける。
最後に舌で軽く千早の唇をなぞってから、顔を離した。
余韻を楽しむかのように目を閉じていた千早が、しばらくして瞼を開く。

「どうだった? 今のが大人のキスの入門編ってとこ」
「今のキスが今日した中で一番好きです。すごく、やさしかったから」
「そうか。次回の続きも楽しみにしておいてくれ」
「まだこの先、あるんですね……」
「ああ。でも今日はこの辺りにしておこう」


「プロデューサー?」
「ん?」
「キスする前、何か別のことしようとしていませんでした?」
「ああ、ていうか、分かってて聞いてるだろ」

千早はクスっと笑い頷く。

「ひょっとして催促されてるのかなー」
「さ、催促なんかしてません。ただ私はちゃんと心の準備できたので……
だいたいプロデューサーが順番間違えたのが悪いんです」
「いや、え、悪いのか、それは」
「せっかく覚悟決めたのに……もう次は駄目かもしれませんけどいいですよね?」
「やれやれ。せっかくのムードが台無しだよ、ちーちゃん」
「わ、わたしのせいにしないでくださ、んむっ……」

未熟な千早を思ってあえてペースダウンしたつもりだったが、
今夜の千早はかなりテンションがあがっているみたいだ。
それに俺としては主導権は自分が握っておきたい。
だから、すこし強引に抱き寄せて唇をふさいでやった。
華奢な体を抱きしめる手にも強めに力を入れる。
何度もキスを繰り返し、わざと鼻息も荒くしてみせる。

「プロデューサー、さっきより強引です」
「ほんとは我慢できないからなんだ」
「わたし、もう少し大丈夫です。さっきの続き、してください。でも……」
「でも?」
「さっきのように優しくしてもらうほうが……」
「わかった、千早」
「だってプロデューサーって演技丸出しだもん」
「そういうことは分かってもいわないほうがいいの。ほら」

そういって、ソファーに押し倒した格好になっている千早を抱え起こすと、
さっきと同じように膝に乗せる。

「いいか、千早」
返事はなく、こくりとうなずく。
俺はもう一度手をのばし、キャミソールのストラップに指をかけると
片方づつゆっくりと肩から外す。そして慎重に千早の腕から抜くと、
キャミソールは重力に従ってはらりと落ちる。
白い、シンプルなブラ。成形されたカップが小ぶりな胸全体を覆い隠している。

こうしてみると、プロフィールに記載されている数値より、明らかに大きい。
小さいながらもきれいに盛り上がり、細い体ゆえ決して貧相なものではない。
これと同じ状態は水着撮影のときにも見てはいるが、この先に進むのかと思うと
われながら興奮が収まらない。
はやる心を抑えよう。そう、素数だ。素数を数えよう。
……素数って1からだっけ。もういいや。

まだブラははずさず、胸の間あたりの肌にそっと唇を這わせる。
敏感な部分への刺激を受け、漏れそうな声を懸命にとどめる千早が可愛い。
そろそろ頃合か、いや。もう我慢の限界だ。
はやく千早の胸を見たい。味わいたい。
俺は頬をそっと乳房に押し付け、背中に回した手でホックを探る。
片手で外すテクニックは今は隠し、あえてぎこちなくそれを解放した。
ブラを取り去ると、恥ずかしさが勝ったのか、胸を抱くように隠す千早。
俺はその腕にキスしてから待つ。

「ゆっくりでいいんだよ? 恥ずかしいなら、今日はここまででもいいし」
千早は目をあけると、俺を見つめ、すぐ目をそらす。
ゆっくりと腕が下ろされて、乳房全体があらわになった。
「は、恥ずかしいです。でも、これが私、です。小さいですけど、私の胸、です」
「とても綺麗だよ、千早」
俯いた目を恐々とあげて俺を見る。

「ほんとう、ですか?」
「ああ、心からそう思う。綺麗だし、形もすごくいい」

本心だった。着衣の状態では確かに千早の胸は小さい。
しかし直接見たその美しさとの前では、小さいことなどほんの些細なことだった。
それくらいインパクトのある乳房だった。
ほぼ完全なお椀型のふくらみ、真っ白な肌、
そしてやや赤みを帯びたピンク色の、小さめの乳首。
全てのバランスが完璧に整い、千早の美しさを構成している。
あまりにそれが綺麗すぎて、俺は手を伸ばすのも忘れてそれを見つめ続けた。

「プロデューサー、見るだけ、なのですか……」

千早の声にわれに返る。

そこにキスした。
軽く乳首を口に含む。
舌でそっと、それを撫でる。
ようやく手が動き、開いているほうの乳房にそっと沿える。
やわらかく張りがあって、肌が汗ばんでいることもあって
手のひらがぴったりと乳房にすいつくようだった。
俺の舌が乳首を転がすたび、そして手のひらがかるく揉むたび、
千早の体が反応し、こらえきれない声が漏れる。
これ以上は駄目だ。自分を抑え切る自信がなくなりそうだ。
今日はこれで終わり、とわかるよう千早をしっかりと抱きしめた。

「恥ずかしかったか?」
「少し。でも……」
「ん?」
「プロデューサーのキスがとても暖かくて……気持ちよかったです」
「そうか」
「この綺麗なおっぱいは俺だけのものだよ?」
「プロデューサーもわたしだけのもの、ですよ?」
「もちろんそうだ」

危険なくらい高ぶりかけた欲情が落ち着くくらい、美しい乳房だった。
しばらくソファーの上で抱き合って、キスを交わしながら落ち着いた俺は、
千早を抱き上げると風呂まで運んだ。

「何なら一緒に入る?」
冗談のつもりだったが、千早は真剣な顔でうなずく。

「でも、恥ずかしいので電気は消してください」



おしまい。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます