最終更新: saimuseiri01 2013年02月19日(火) 09:50:25履歴
コラム
同じく先回に引き続き、Aさんのお話ですが、今度は、裁判所の管轄に関するお話です。
Aさんは東京都に在住していますが、なんと、北海道の裁判所から訴状が届いていました。
そして、今から1ヵ月後に札幌の裁判所に出頭しないと「先回以前に記載した不利益な事項」になりますよ。と書いています。
Aさんは、北海道にいく交通費もなく、「どうして北海道からきたんだろう」と途方にくれるばかりです。
いったい、東京に住んでいるAさんに北海道で訴訟提起することって法律上許されているのでしょうか?
そのことを説明する前に裁判籍のお話をしたいと思います。
裁判籍とは「ある人が訴訟を提起する若しくは訴訟を提起される場合にどの裁判所が管轄になるかは法律で決まっていて、その裁判管轄のことです。
例えば、東京に居住しているAさんは東京の住所地を管轄する東京(簡易、地方)裁判所が管轄裁判所となります。
このことは民事訴訟法4条で普通裁判籍として定められています。
民事訴訟法第4条
1項 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2項 人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。
住所とは必ずしも「住民票上の住所」に限るわけではなく、住民票は愛知県にあるが仕事の関係で(しばらく)東京にいるような場合は、東京が普通裁判籍となります。
裁判籍の話
ではどうして東京に住んでいるAさんに北海道の裁判所で訴状が受理されたのでしょう?
それは、裁判籍とは「普通裁判籍」だけではなく、他にも特別裁判籍等があるのです
例えば、貸金返還請求のような財産権上の訴えは義務履行地が裁判籍となります。
貸金の場合は民法で義務履行地が「債権者の住所地」と決まっているので、例えば、
北海道にあるBカード社が東京にいるAさんに訴訟を提起する場合には、被告の住所地であるAさんの住んでいる「普通裁判籍」である東京の管轄裁判所に提訴することもできるし、Bカード社の本店所在地である義務履行地である特別裁判籍の札幌の裁判所に提起することもできるのです。
その他、特別裁判籍には「不法行為のあった地」とかの裁判籍もあります。
例えば、東京在住のCさんが神奈川在住のDさんの乗る自動車に静岡で接触して怪我をした場合、被害者のCさんは不行為のあった地である静岡で提訴することもできるし、自分の住所地である「義務履行地」(Cさんは損害賠償請求権の債権者でありCさんの住所地が義務履行地となります。
また、民事訴訟法4条の普通裁判籍である被告Dさんの住所地の神奈川県で提訴することもできるのです。
次回は、対応策についてお話します。
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