勇者「勝ったら俺の嫁な?」
魔王♀「・・・ふん、まぁいいだろう・・・私に勝てるのであればなっ!!!」
魔王♀「煉獄の炎で燃え尽きろっ!!!!」
勇者「あちち」 1のダメージ!!
魔王♀「・・・?、暗黒の稲妻で砕け散れっ!!!!」
勇者「パチッときた」 1のダメージ!!
魔王♀「・・・なぜ死なんっ!!!?」
勇者「レベル上げまくったからな、そろそろ俺の番いい?」
魔王♀「・・・まだだ!!」
勇者「あきらめろ、お前じゃ無理」
魔王♀「死ねッ!!!!!」
勇者「よっと」 スカッ
魔王♀「なっ!?避けた!!?」
勇者「無理だって」
魔王♀「・・・誰が人間の嫁なんかに・・・っ!!!」
勇者「だから無理だってのに」 スカッ
魔王♀「また避けられた!?」
勇者「もう俺の番でいいな?」
魔王♀「ひ!?」
勇者「未来の嫁だからな、傷つかないよう慎重に・・・っと」
勇者のみねうち攻撃!!
魔王♀に999999のダメージ!!
魔王♀「」
勇者「あ、やっちった・・・」
勇者「・・・未来の嫁が木端微塵になっちまった・・・と、とりあえず蘇生だな・・・」
魔王城寝室
魔王♀「・・・はっ!?」
魔王♀「わ、私は・・・生きてる?」
魔王♀「た、たしか勇者にぶっ飛ばされたハズ・・・」
魔王♀「か、体に・・・どこも異変は無い・・・な」きょろきょろ
魔王♀「・・・・・・・・悪い夢か、そ、そうだよな悪い夢に決まってる」
勇者「おい〜す」がちゃ
魔王♀「ひ・・・っ!!!!!!?」びくっ!!!
勇者「体はどこも悪くないか?」
魔王♀「き、貴様ぁ!!!」
勇者「そうがっつくなよ?新婚初日ってのに」
魔王♀「ふざけるな!!!!あんなの無効だ!!」
勇者「どっちにせよお前、俺に勝てんだろ?」
魔王♀「くっそ・・・っ」
勇者「そうそう、病み上がりなんだから大人しくしてろ。リンゴ切ってきたぞ、食え」
魔王♀「っ・・・・・・・・・・・・・・」しゃりしゃり
勇者「にしても、この魔城でかいなぁ〜」
魔王♀「・・・・・・・・・・」
勇者「王国の城なんかよりずっとでかくて豪華だし」
魔王♀「・・・・・・・・・・・」
勇者「いつから住んでんの?親の代からあったの?」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・・」
勇者「返事くらいしろよ」べしっ
魔王♀「きゃんっ!?」
勇者「礼儀のない奴だな、まったく」
魔王♀「私をどうするつもりだ?」
勇者「ん〜?」しゃりしゃり
魔王♀「なぶり殺しにでもするのか?悪趣味なやつめ!!!殺すならさっさと殺せ!!」
勇者「しないよ」しゃりしゃり
魔王♀「じゃあどうするつもりだ!!見世物にでもするか!?勇者に手も足もでない魔王なんてお笑いだものな!!」
勇者「嫁を見世物にはせん」しゃりしゃり
魔王♀「・・・・・・・・・嫁?」
勇者「ん」しゃりしゃり
魔王♀「・・・・・・・・・・・私にもリンゴよこせ」
勇者「ほれ」
魔王♀「ん・・・・・・・・」しゃりしゃり
勇者「嫁と言ったら嫁だ」
魔王♀「意味が分からん」しゃりしゃり
勇者「つまり今日から新婚夫婦」
魔王♀「意味が分からんと言ってるだろ!?」
勇者「もの分かりが悪い奴だな」
魔王♀「どこの世に魔王と勇者が夫婦になる!?」
勇者「ん〜、まぁつまるところ一目惚れだな」
魔王♀「・・・・・・・・・・」
勇者「・・・・・・・なんか言えよ」
魔王♀「いや、ちょ、え?・・・・え、えぇ?」
勇者「顔真っ赤だな魔王ちゃん」
魔王♀「一目惚れ?」
勇者「うん」
魔王♀「私は魔族だぞ?」
勇者「うん、つーかどう見ても魔王ちゃん若い娘にしか見えんけどな」
魔王♀「なんだ!?その魔王ちゃんって!!」
勇者「マイハニーがいいのか?」
魔王♀「っ・・・・・・もうそれでいい・・・・」
勇者「もの分かりが良い子は好きだぞ?」なでなで
魔王♀「っ王国の人間は黙っていないぞ!!」
勇者「あ〜まぁ多分な」
魔王♀「大勢の軍勢を引き連れてお前を討伐しに来るぞ!!いい気味だなっ勇者!!」
勇者「俺の力みた?」
魔王♀「・・・・」
勇者「どんだけ軍勢引き連れようと負ける気しないけどね」
魔王♀「・・・・」
勇者「とりあえずはしばらくここで籠城するつもりだ」
魔王♀「はぁ!?」
魔王♀「誰がお前なんかにここを明け渡すかっ!!!」
勇者「あ、言い忘れた。魔王ちゃんを蘇生する間に奴隷の呪文かけたんだった」
魔王♀「っ!?なにぃ!?」
勇者「少なくとも一生俺の奴隷だな」
魔王♀「そ、そんな・・・・っ」
勇者「まぁ、そう気を落すな魔王ちゃん」なでなで
魔王♀「本当に私を嫁にするつもりならその相手に奴隷の呪文をかけるのか・・・・・・?」
勇者「ん〜力で従わせてもいいけどそれじゃ夫婦とは言わんしな」
魔王♀「呪いをかけるのも夫婦とは言わん!!!」
勇者「まぁ、寝首をかかれる防止くらいに思っての処置だ」
魔王♀「っ・・・・」
勇者「まぁ、寝首かかれて死ぬ程度なら勇者してないけどな」
魔王♀「化け物め・・・・っ!!」
勇者「ありがと」
魔王♀「くそぉ・・・・っ!!」
勇者「そんなに嫌がる?」
魔王♀「当たり前だ!!人間の嫁になるくらいなら
勇者「死んだ方がマシって?」
魔王♀「当たり前だっ!!!!」
勇者「死んでもいいけど何度も蘇らせるよ」
魔王♀「だろうなっ・・・!」
勇者「まぁその、なんだ」
魔王♀「?」
勇者「魔王ちゃんにとって人間なんてノミくらいの寿命だろ?少しくらい俺と付き合ってくれよ」
魔王♀「・・・・・・・・・何歳だ、お前」
勇者「18歳、魔王ちゃんは?」
魔王♀「・・・・・・・・・・500歳」
勇者「・・・・・・・わぉ」
勇者「18と500かぁ、年の差どうとかのレベルじゃないな」
魔王♀「・・・・」
勇者「まぁ、俺はそんなのどうでもいいけど」
魔王♀「っ・・・」
勇者「結構時間も過ぎたしなにか食うか、腹へったろ?」
魔王♀「ひ、人の作る食事などいらん!!」
勇者「そう言ってさっきあげたリンゴ旨そうにほおばってた癖に」
魔王♀「するさい!!」
勇者「なんか作ってくるかな、何がいい?」
魔王♀「人の話を聞けぇえええ!!!!!!!!」
勇者「じゃ〜ん、勇者特製ビーフシチュー♪あ、キッチン借りたぞ」
魔王♀「・・・・・・・」
勇者「良い匂いだろ?」
魔王♀「ふ、ふん・・・なにが良い匂いだ」
勇者「ほれほれ〜」
魔王♀「め、目の前で見せびらかすなぁ!!!」
勇者「見せびらかす?」
魔王♀「っ・・・」
勇者「食べたいんだろ?」
魔王♀「・・・・・・・・・・」
勇者「食べたい?」
魔王♀「・・・・・・・・・・」こくん
勇者「だめ〜♪」
魔王♀「っ!?・・・・」
勇者「あぁ〜超良い匂い」
魔王♀「・・・・・・・うぅ・・・・・・」
勇者「・・・・・・・・あぁ、もう可愛いなぁ魔王ちゃん!!」
魔王♀「・・・・・・?」
勇者「嘘だって!!ほらどうぞっ!!おかわりもあるよ!!」
魔王♀「・・・・・・・・・いただきます」ぐしぐし
勇者「旨いか?」
魔王♀「・・・・・」こくん
勇者「はは、沢山作ったんだ食え食え」
魔王♀「・・・・・・・」もぐもぐ
勇者「・・・・・・別に嫁にしてなにか企んでるわけじゃないから安心して?」
魔王♀「っ・・・・・・・」
勇者「まぁ、一人の人間のワガママに付き合うと思ってさ?」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった」
勇者「いい子いい子」なでなで
魔王♀「・・・・・・・・おいしかったぞ」
勇者「はは、そうかそうか。それが作ったものにとって一番嬉しい言葉だよ」
魔王♀「・・・・・・・・・・」
勇者「さ〜て、じゃあ俺は食器洗ってるから魔王ちゃんはお風呂にでも浸かってきなさい」
魔王♀「お風呂?」
勇者「ん、あ〜心配すんな。覗いたりはしないよ?」
魔王♀「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」だだだだだだだっ
勇者「あの調子じゃもう体調はいいな」
かぽ〜ん
魔王♀「いい湯だ・・・・」
魔王♀「お湯まで湧かしてくれてたのか、あいつ・・・」
魔王♀「何を考えてるんだ・・・・・魔王を嫁にするなんて馬鹿げて事を言って・・・」
魔王♀「・・・・・・・・ただの戯れに言ったのか?」
魔王♀「手も足も出ない無力な魔王を飼いならして飽きたら殺すとか・・・・」ぶるっ
魔王♀「・・・・・・・・・それだったら食事を作るもお湯を湧かすなんて事をするのか?」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・・」
魔王♀「・・・・・分からん」
「お〜い、魔王ちゃん?」
魔王♀「っ!?」
魔王♀「な、なんだっ!?」
「代わりの洋服ここに置いとくから上がったら着るんだぞ?」
魔王♀「わ、分かったから早くどっかいけ!!!!!!」
「はいはい」
魔王♀「///////////////くそぉおおおおおお!!!!!!!なんなんだあいつは!!!!!!」
魔王♀「おい!!」
勇者「ん?おぉ、似合ってるぞ」
魔王♀「ね、ネグリジェじゃないか!!!!?」
勇者「見れば分かる」
魔王♀「ふざけるな!!・・・・・・ってなんでこんなもの持ってるんだ!!」
勇者「そりゃ町の棚を漁るのが勇者の仕事の一つでもあるんで」
魔王♀「っ・・・・・・・・!!」
勇者「似合ってるぞ」
魔王♀「う、うるさいっ!!」
勇者「ふ〜ん、黒いローブなんか着てるからあまり分からなかったけどやっぱり美人だな魔王ちゃん」
魔王♀「っ!?」
勇者「胸なんかおっきいし、足もスラッとしてさ?顔も凄く綺麗だし。可愛い系というより美人系かな?」
魔王♀「じろじろ見るなぁ!!」
勇者「すっごく照れ屋なんだ、また」
魔王♀「うるさい!!!やめろ!!」
勇者「まぁ、明日ははやいしもう寝な」
魔王♀「な、なにをするつもりだ?」
勇者「ん〜、王国に行こうかなって」
魔王♀「!?」
勇者「まぁ、あの馬鹿に嘘の報告でもしに行くかなってな?」
魔王♀「そんなのすぐにばれるぞ?」
勇者「まぁ、そうだろうな」
魔王♀「・・・何を考えてる?」
勇者「明日、王国で魔王ちゃんとデート?」
魔王♀「」
魔城寝室
魔王♀「・・・・・・・・なんで一緒に寝るんだ」
勇者「夫婦なんだから良いだろ?それにこのベッドの大きさならあと100人寝れそうだし」
魔王♀「なにかしたら
勇者「なにもしないって、それに魔王ちゃんじゃ抵抗できないだろ?」
魔王♀「っ・・・」ぶるぶる・・・
勇者「だからなんもしないってのに」
魔王♀「時々お前が怖い・・・」
勇者「そう怯えるな、別に悪いようにはしない。ホントだぞ?」
魔王♀「・・・・・・・・・分かった」
魔王♀「・・・どうせ、私じゃお前に抵抗した所で無力だしな」
勇者「おいおい」
魔王♀「奴隷の呪いをかけられ逆らうこともできない、それ以前に力で敵いもしない。舌を噛んで死のうも復活させられる」
勇者「お〜い」
魔王♀「私はお前の気分次第で生かすも殺すも容易い存在でしかないんだ・・・」
勇者「嫁にそんなことするか」
魔王♀「・・・・・・・」
勇者「・・・・・・・魔王ちゃん?」
魔王♀「私はお前みたいなひよっこなんかと違って500年間も生きてきた」
勇者「うん」
魔王♀「その間、沢山の修羅場もくくってきた」
勇者「まぁ500年だもんな」
魔王♀「数えきれない死闘を繰り広げた私をいつしか人や魔物は最強の魔王と恐れるようになった」
勇者「ふんふん」
魔王♀「・・・・・・・・私にも誇りはあった!!これまで負け知らずの最強と謳われた私にはっ!!!!」
勇者「うん」
魔王♀「・・・・・それがなんだ?急に現れた人間に瞬殺され奴隷だと?」
魔王♀「・・・・・・・・ふざけてる、こんなのありえない・・・・あんまりじゃないか・・・?」
勇者「まぁ、その〜」
魔王♀「・・・・・・同情はいらん」
勇者「えぇと・・・・まぁごめんな」
魔王♀「・・・・・・・・・」
勇者「そ、そんなに気にするなよ?強さがすべてじゃないって世の中」
魔王♀「・・・・・・・・・・・奴隷の呪文」ぼそっ
勇者「あ、あれは不意打ちの対応処置であってプライドをズタズタにするつもりは
魔王♀「もう寝る、話しかけるな」
勇者「・・・・・・・・・・・・・おやすみ」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・・・・・ん」
ちゅんちゅん
魔王♀「・・・・・・・・・・・」むくっ
魔王♀「・・・・・・・・・・」きょろきょろ
魔王♀「・・・・・なにもされて・・・・ないな」
魔王♀「・・・ふっ、された所で私は抵抗することもできんか・・・・」
勇者「・・・・・・・・がぁ〜、がぁ〜」
魔王♀「・・・・・・・・・馬鹿面め」ぺしっ
勇者「っ・・・・・・・・・・・・ん?」
魔王♀「・・・・・・・・・・・」
勇者「・・・・・・・ん〜・・・・・・・・・おはよう・・・・・」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・ん」
勇者「・・・・・・・・・ここどこ?・・・・・・あぁそっか昨日魔王倒して籠城してるんだった・・・」
魔王♀「ボケてるのか?」
勇者「ん〜、いままでさんざん火山とか荒れ地や沼地で野宿してきたから調子おかしくなっちゃうんだよ」
魔王♀「ふん、よく生きてこれたものだ」
勇者「だろ?」
魔王♀「褒めてない」
勇者「そっか〜、さてと・・・・朝食でも作ってくるかね」
魔王♀「・・・・・・・・・・」
勇者「なにがいい?」
魔王♀「・・・・・・・・・昨日の残りでいい・・・」
勇者「・・・ん。分かった、少し待ってな?」がちゃん
魔王♀「・・・・・・・・・・//////〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
魔王♀「・・・・・・・」もぐもぐ
勇者「にしてもさ」
魔王♀「・・・・・・・・・?」もぐもぐ
勇者「ここら周辺も魔城の中も、誰とも魔物に会わなかったけどどうなってるの?」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・・・・・私を恐れて近寄らないんだ」
勇者「へぇ・・・ん?身支度や生活はどうしてたの?」
魔王♀「魔力で作り出した使い魔にさせてた」
勇者「へぇ〜便利なものだ、今はしないの?」
魔王♀「私が死んで、すべて消滅したんだよ誰かさんのおかげでな?」
勇者「ご、ごめんよ・・・」
魔王♀「ま、まぁ?今は代わりの便利な奴隷がいるからいいがな・・・」
勇者「あぁ〜なるほど・・・」
勇者「・・・・・・・・・・」
勇者「・・・・・・・・・ん?」
魔王♀「・・・・・食事も終わったし、行くのか?」
勇者「ん、そうだな。ここにいても仕方ないだろ?」
魔王♀「・・・・・・・・・・」
勇者「どした?」
魔王♀「・・・・・・・外に出るのは久しぶりだ」
勇者「・・・・・・ちなみに何年くらい?」
魔王♀「・・・・・たぶん10年くらい」
勇者「・・・・良かったな、ひきこもり卒業だ」
魔王♀「哀れむような眼で見るな!!!」
勇者「にしてもなんで引きこもりなんか?」
魔王♀「・・・・・・別に理由はなんかない、ただ皆私を恐れて近寄ろうとなんかしないから私から離れただけだ」
勇者「ひきこもりは皆そう言う」
魔王♀「うるさいっ!!!私は最強の魔王なんだっ私に周りの存在など必要ない!!」
勇者「・・・・・・・・」
魔王♀「哀れむような眼は止めろというに!!」
勇者「ま、まぁ・・・今日は一緒に王国を見て回って楽しまないか?魔王ちゃん」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・うん」こくん
勇者「そうかそうか」なでなで
魔王♀「・・・・・・・頭を撫でるな」
勇者「よし!!、そうと決まればまず服を着替えないとな?」
魔王♀「・・・・・・服?」
勇者「まさか昨日の真黒のローブを着てく気か?修道士みたいだよアレ」
魔王♀「人目に肌を晒したくない」
勇者「せっかくの真っ白い雪肌なのに・・・まぁこんな美人な嫁が他人の眼につくのも癪だしな」
魔王♀「・・・・っ」
勇者「今日はあのローブでいいよ、そのかわり城の中では色んな衣装に着替えてもらうけど」
魔王♀「うぅ・・・・・」
勇者「そろそろ行くか?」
魔王♀「わ、分かったよ・・・・はぁ」
魔王♀「・・・・・うぅっ、朝日がまぶしい・・・」
勇者「10年ぶりか?」
魔王♀「・・・・・目が痛いな」
勇者「はは、どうだ?城の周りに変化はあるか?」
魔王♀「・・・・・・・・・・・・・なにもない」
勇者「ペンペン草も生えてないもんな」
魔王♀「わざと聞いたのか?」
勇者「まさか、さて・・・どうやって行くか?」
魔王♀「・・・・・・・・飛んでいくか?」
勇者「ん〜、俺としては羽も無しに空を飛ぶような奴と一緒に居るのを見られるとまずいんだけど」
魔王♀「・・・・・・・・・・歩けと?この私に?」
勇者「だめ?おんぶするから」
魔王♀「・・・・・・・・はぁ、分かった」
魔王♀「ぜぇ・・・ぜぇ・・・・少し休憩しよう・・・」
勇者「体力ないなぁ、それでも最強の魔王様?」
魔王♀「う、うるさい・・・・こんなに歩いてのは久しぶりなんだ・・・・」
勇者「全く、箱入り娘というか温室育ちというか・・・・」
魔王♀「ぜぇ・・・・・ぜぇ・・・・・ん?」
キングドラゴン【レベル85】が現れた!! 「ぶぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
勇者「ほぉ、ここらは流石に強いな」
魔王♀「勝てるのか?・・・・・・いや、聞くまでもないか」
勇者の攻撃 キングドラゴンに7890のダメージ!!
キングドラゴン「」
勇者「まぁ、伊達に勇者してないしな」
魔王♀「・・・・・・あいかわらず馬鹿げた力だ」
魔王♀「・・・・・・・・お前のその装備見せてみろ」
勇者「ん?いいけど」
装備 鉄の剣
鉄の籠手
鉄の胴当
鉄のベルト
鉄のブーツ
魔王♀「なぁ・・・・ふざけてるのか?」
勇者「鉄の兜は売ったよ、頭が蒸れて禿げちゃうから」
魔王♀「・・・・・・これでやってきたのか?今まで」
勇者「うん」
勇者「あの馬鹿王から出発祝いにもらったんだよ、ふざけてるだろ?これから世界を救う救世主に糞武具を送るなんて」
魔王♀「ま、まぁ確かに・・・」
勇者「あと祝い金500ギルだよ?、酒代にもならねえよ糞が」
魔王♀「・・・・・」
勇者「あぁ、ごめんな?魔王ちゃんに当たっても仕方ないよな・・・」
魔王♀「別に・・・気にするな」
勇者「だから嫌みをこめてこの糞防具でいままでやってきたんだよ。あぁ、もちろん手に入れた防具やアイテムは全部酒代に消えたけ
ど」
魔王♀「っ!?じ、じゃあ伝説の武具もか!?」
勇者「あぁアレ?、1ギルにしかなんなかったよ」
魔王♀「・・・・・手に入れたもの全て酒代に消えたというのか?」
勇者「うん、人間やればできるもんだね。いやお酒の力かな?」
魔王♀「・・・アホだ」
勇者「開き直れば何でもできるもんなんだよ、俺の唯一の楽しみは旅の最中に酒屋を飲み歩くことだったし」
魔王♀「・・・・・・・・今の所持金は?」
勇者「0ギル、あぁ今の奴倒したから・・・・・お、あいつ結構持ってるじゃん!!ただ今の所持金5000ギル」
魔王♀「そうか・・・」
勇者「さぁて・・・じゃんじゃん狩るぜ〜♪」
・
・
・
勇者「ふんふんどれどれ」
所持金9999999ギル
勇者「よっしゃ、これで飲めるぜ〜♪」
魔王♀「地平線の彼方まで魔物の死屍累々・・・」
勇者「今日はパァ〜と飲もうぜ、魔王ちゃん」
魔王♀「酒の為に辺り一面に究極魔法を乱発するか・・・」
勇者「いちいち斬ってるんじゃ面倒だしな?俺のМP無限みたいなもんだからさ。もう便利便利」
魔王♀「・・・・・めちゃくちゃだ」
勇者「ん?そろそろ王国かな?」
魔王♀「私が敵わないわけだ・・・」
勇者「いや、魔王ちゃん結構強かったよ?久しぶりにダメージくらったもん」
魔王♀「2だろ?2」
勇者「うん、でも少し驚いたかな」
魔王♀「そうか・・・」
勇者「いや〜話しながら旅すると本当に早いな、もう少しで目的地だ」
魔王♀「もうエンカウントの心配ないもんな」
勇者「時々、戦闘中道端を歩いてるおじちゃんも道ずれにしちゃうから心苦しいんだよね」
魔王♀「お前の攻撃魔法の範囲が異常なんだ!!!」
勇者「大丈夫大丈夫、ちゃんと死体が残ってた場合は蘇生呪文かけるよう心においてるから」
魔王♀「・・・・・・心に置いてるから?」
勇者「・・・・・・いつもミンチになってて魔物の肉とごっちゃになってるからした事ない」
魔王♀「・・・・・・お前勇者か?ホントに」
勇者「いや、考えてみてよ?生き返ってみれば体のあちこちが魔物の一部に入れ替わってるんだよ?そのまま死なす方がよほど良心的
じゃないか?」
魔王♀「まず、戦闘中に巻き添えをだすな。あとお前の言う戦闘は一方的な虐殺だ」
勇者「まぁ善処するよ・・・」
門番兵「あなたは・・・」
勇者「世界の救世主の顔も忘れたか?職務怠慢だぞウスノロ」
門番兵「こ、これは勇者様!!!戻られましたか!?」
勇者「あーうん」
門番兵「ささ、どうぞどうぞ!!お疲れでしょう、城まで馬車を手配し
勇者「んー別にいい、行くぞ?まーちゃん」
魔王♀「まーちゃん!?」
勇者「ここで本名明かすほど馬鹿じゃないだろう?」
魔王♀「・・・・・ぐぅ・・・・」
門番兵「その方はどちら様で?」
勇者「あぁ、気にスンナ。ほらさっさと警備しろ」
門番兵「は、はぁ・・・」
魔王♀「人間どもがうじゃうじゃいる・・・」
勇者「これだけいると真ん中で究極魔法唱えたくなるだろう?」
魔王♀「っ!?」
勇者「冗談だよ、仮にも勇者だからな?俺」
魔王♀「・・・・・・・・・」
勇者「そんな怖い顔するなって、さて・・・どこに行こう?とりあえず食事だな」
魔王♀「酒屋は嫌だぞ」
勇者「さすがに昼からは飲まないよ、そうだな・・・魚料理なんてどうだ?」
魔王♀「・・・・・・任せる」
勇者「ん、じゃあ行こうか」
勇者「ここの魚介類のムニエル旨いだろ?帰るといつもコレ食べるもん」もぐもぐ
魔王♀「・・・・・・ん、確かに・・・」もぐもぐ
勇者「港が近いから新鮮なものを扱ってるんだろうな」もぐもぐ
魔王♀「貿易港としても発達してるようだが?」もぐもぐ
勇者「あ、分かる?貿易産業は俺みたいな時代遅れにも恩恵があってね、色々なアイテムや武器を扱ってくれてるんだよ」
魔王♀「時代遅れって・・・」
勇者「この都市を見てみてよ、魔族と人間が睨みあってるにもかかわらないこの賑わいを」
魔王♀「・・・」
勇者「俺はこの都市を見るといつも思うんだよ、あぁ・・・俺が魔物と戦ってることなんてどれだけ些細な事なのかとね?」
魔王♀「・・・・・・・・」
勇者「確かに、この都市だけで判断するにはおかしいが実際そういうことだろ?勇者一人なんてどれだけなもんだよって」
魔王♀「・・・・・・・」
勇者「勇者は人を導く存在なんてご立派な存在じゃないんだよ・・・・・まぁ対魔物の兵器くらいなもんかな」
魔王♀「そう考えてるのか?」
勇者「初めはそうじゃなかったけど、最近すごく思うよ」
勇者「勇者がいなくても人の世は回る、世界の中心人物は俺じゃないんだなって」
魔王♀「・・・・・そうか」
勇者「初めは使命に燃えてたんだけどな、世界は俺が救うぞ!!ってな?ホント、ピエロだよ」
魔王♀「・・・・・・」
勇者「おっと、料理が冷めちまうからさっさと食べようか」
魔王♀「・・・・・・ん」
勇者「悪いな、つまらんこと話して」
魔王♀「いや、気にしないでくれ」
魔王♀「お前の考えが聞けて良かったよ」
勇者「?そうか」
魔王♀「聞けば聞くほどお前は勇者とは不釣り合いな人間なんだと思った」
勇者「馬鹿にしてる?」
魔王♀「いや・・・なんだろうな、もっと勇者とは人の正義の塊かと思っていた」
勇者「あぁ〜」
魔王♀「人の為に、人の世の為に尽くすっていうのかな・・・」
勇者「うんうん、なるほどね・・・」
魔王♀「お前を見てると違うようだな」
勇者「人の世は人が動かす・・・べつにそれは勇者じゃないってこと」
魔王♀「そう、それだ」
勇者「魔王ちゃんはどう思う?」
魔王♀「私か?」
勇者「魔族の頂点にして長、全てを束ねる絶対者」
魔王♀「よしてくれ」
勇者「そんな魔王がなにを思うか?俺は気になるね」
魔王♀「私は・・・」
勇者「うんうん」
魔王♀「・・・・・・」
勇者「どう思う?」
魔王♀「・・・・・・分からん」
勇者「えぇ〜・・・」
魔王♀「ただ強く自由に生きてきただけなんだ、深く理由を考えたことなんかない」
勇者「ほぉ」
魔王♀「他の魔王は世界征服や滅亡を目論む輩もいたのは確かだ、でも結局は志半ばで頓挫するか阻止されるかで終わっている」
勇者「まぁ、じゃなかったら世界は終わってるものな」
魔王♀「ん、つまり魔王の力も所詮はその程度なものなんだよ。この星の表面を少し焦がすくらいしか出来ない、些細なものさ」
勇者「ふむ・・・・」
魔王♀「私とお前の考えは似ているのかもな?」
勇者「そうだな」
魔王♀「・・・・・・・ふふ」
勇者「どうした?」
魔王♀「なに・・・宿敵同士がこうやって魚を突いて物事を語り合うのもいいものだなと思ってな」
勇者「本当だな、物事は違った視線から見るとまた別の面白い部分が見えるってことだ」
魔王♀「どういう意味だそれ?」
勇者「ん、かっこつけて言っただけで深い意味はない」
魔王♀「ふふ、だろうと思ったよ」ごくごく
勇者「お、ビール飲めるのか?」
魔王♀「馬鹿にするな、これくらい飲める」
勇者「金は糞みたいにあるからな、どんどん頼もう」
魔王♀「・・・・・・・いいものだ」
勇者「なにが?」
魔王♀「・・・お前とこうやって飲み交わしているとこれも悪くないとすら思えてくる」
勇者「だろ?俺に負けて良かったろ?」
魔王♀「それは・・・・・・・・・にゃい」
勇者「にゃい?」
魔王♀「っ・・・いやにゃんでも・・・・」
勇者「・・・・・もう酔ったのか?」
魔王♀「・・・・・・かも」
勇者「おいおい、しっかりしてくれよ相棒」
魔王♀「背中をなでるな・・・・吐きそうだ・・・」うぷっ・・・
・
・
・
勇者「お〜い?」
魔王♀「」
勇者「完全に寝てるな」
魔王♀「」
勇者「まさか魔王とあろう者が下戸だとは・・・」
魔王♀「・・・ん」
勇者「気がついたか?」
魔王♀「」
勇者「はぁ・・・どうすっかなぁ・・・」
勇者「よいしょっと・・・こいつめちゃくちゃ軽いなぁ」
魔王♀「んっ・・・」
勇者「とりあえず、どこか泊まれる所でも見つけるか」
魔王♀「」
勇者「ん〜、あそこでいっか」
魔王♀「・・・・ん〜?」
勇者「今、横になれる所においてやるかなもう少し待ってろ」
魔王♀「ん・・・・」
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