クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

オレンジ色の柔らかなガラスランプが室内を淡く照らし
本とインクの微かな匂い 父のコレクションが収められた本棚が浮かび上がる
部屋の中央に位置するベッドで,ノエルは重い瞼を閉じ身体を休めていた

「…本当に一時はどうなるかと思ったわ」
小さく白い手が,額にそっと触れる その感触に閉じていた目を開けば
心配そうに揺れる緑の瞳と目が合う
エミリア・モーガン 義父のジェフリー・モーガンの一人娘であり僕の妹
母親似の美しい顔に暗い影が過り 安心させたくて,その頬にそっと手を伸ばす

「大丈夫…傷もあとは抜糸が済めば終わるから」
だから心配しないでと,微笑むも彼女の表情は暗いままだ…
連絡を受け慌てて列車に飛び乗り,ロンドンに戻ってきたことを聞き心が痛む

「そういう問題じゃないわ…ねえノエル 貴方,最近ちゃんと眠れている？」
きゅっと寄せられた形の良い眉に,思わず返答に詰まる
事件以来 眠れずにいたことを,お節介で優しい家族か友人が話したのだろう

「正直に話すと眠れていない…でも,コツを掴んだから大丈夫」
眠れば悪夢に苛まされる 精神が摩耗し正常さを保てなくなるため極力眠らず
体力の限界を迎え意識が途切れる時まで起きていた そうすれば悪夢を見ないで済むからだ
そのことを詳しく話すつもりなはいが

「顔色が悪いわ…それに酷く痩せて,まるでミイラみたいよ」
頬に触れた僕の手に自身の手を重ねエミリアは,冗談っぽく笑う
鏡は見ていないから分からないが,相当に酷い顔をしているんだろうなと微笑み返した

「そうだウィルおじ様に,お薬を貰っていたの 今持ってくるから待っていて」
萎れた花が,陽を浴び花開くようにエミリアの表情が晴れ 腰掛けていたベッドから
勢い良く部屋を飛び出して行く
多分 睡眠薬のことだろう…あとで,ウィルにも礼を言わなくてはいけない

エミリアがいなくなり,再び静かになった部屋 開いた窓からは,暗いロンドンの景色が見える
今夜も霧で覆われた星空 ガスライトの灯りがぼんやりと通りを照らす
時折聞こえる石畳を歩く人の足音 馬車の車輪 酔っぱらいの声
秋に入り少し肌寒い風が,心地よく頬を撫でる

「…………」
眠ってはいけない 微睡みに身を委ねれば,悪夢が待っている
そう頭では分かっているのに,疲れきった身体は泥のように沈み
闇へと落ちていった

………………………
…………………
……………
…………
……
…
目を開くと懐かしい『光景』が広がっていた
金と紺碧の複雑な模様が描かれた絨毯 壁際の本棚 飴色の重厚な書斎机
緑のカバーがついたランプ 羽ペンとインク壺
仕事の書類やらが丁寧に分けられ,ファイルに収められている
大きな窓にはレースのカーテン 今は閉められており,灯りも消された室内は薄暗い
そんな静けさの中で,カサリ…と微かに頁を捲る音

視線をやれば,座り心地の良い父のお気に入りの椅子に少年が深く腰掛け本を読んでいた
眠そうな瞳を擦り 窓から差し込む灯りを頼りに文字を追う
両親が観劇に出向く夜 良い子に留守番をするようにと,命じられた幼い自分はこうして
2人が戻ってくるまで父の書斎で暇を潰すのが日課だった
結局は睡魔には勝てず眠りこけ 帰ってきた父と母が呆れながらも,ベッドに運んでくれる
暖かな腕の中で微睡むその瞬間が好きで 約束を破っては,両親を困らせていた

懐かしい過去の思い出も,突然開かれたドアの音により現実に引き戻される
そちらに視線をやれば,使用人のドロシー夫人が青褪めた様子で幼い自分を起こす
目を擦る子供に彼女が告げると,少年は大きな目を見開き部屋を飛び出した

その光景を見送り振り返れば寝室にシーンが切り替わる
大きな天蓋付きのベッドに横たわる両親の顔は紙のように白く閉じられた瞳は二度と開くことはない
その周りを大勢の使用人が沈痛な面持ちで項垂れ目元を拭い
呆然と立ち尽くす少年を抱いていた

景色は映写機のフィルムが高速回転するように巡る
人がいなくなった屋敷 両親が冷たい土の中に埋葬される光景 悍ましく優しい声
怒鳴と哀れみ 迷惑そうな視線 書類と判事 何かの手続きをする弁護士と親族達
差し伸べられた手

全てをグチャグチャに混ぜ合わせた怪物の体内を思わせる光景に
目を閉じ耳を塞ぎその場に座り込む それが自分なのか,幼い自分なのか分からない

笑う嗤う嘲笑う哂う
声が自身を嘲笑う

塞いだ耳から洪水のように流れこみ
閉じた瞼をこじ開けるように見せつける

「やめてっ…」少年が悲痛な声を上げる
「やめろ…っ」青年の声が吠える
「お願いだからもうやめてっ！」涙を流し泣き叫ぶ
「もう終わったことだろう!?」誰かに対して叩きつけ
「僕は…」
「私は…」
「「　　　」」

そう どちらかが あるいは両方が 何事か告げ
ぴたりと音の濁流と流れ続ける映像が止まった
再び訪れる静寂と闇の中

頬を伝う涙を誰かが,そっと拭う
顔を上げれば,誰かが微笑んでいた

「……」少年 あるいは青年が見上げれば
「もう大丈夫だよ」誰かが優しく頬を撫で慰める

「君の悪夢は一旦 預かっておくよ」
「いつか僕が必要になった時にまたおいで」
「君の悪夢を終わらせてあげるから」
「だから今は,ゆっくりとお休み…」

誰かが,そっと抱きしめ優しく髪を撫でる
「…………」赤く腫れた瞼をそっと閉じ
少年と青年は眠りにつく

「お休み可哀想な子…いつか君を迎えにきてあげるから」
安らかなその寝顔を目にし誰かは微笑んだ

………………………
…………………
……………
…………
……
…
「ノエル待たせてごめ…」
エミリアが,紙袋を手に部屋に戻ってくると
兄であるノエルは,微かな寝息をたて眠っていた

「……無理するなって私には言うくせに」
苦笑を浮かべつつ 持ってきたグラスと紙袋をベッド脇のテーブルへ置く際
床に落ちた何かが目に留まる

「名刺…？仕事の関係かしら」
何気なく拾い確認するとロンドンのある骨董商の名前が印字されていた
裏面には,店を閉めているため連絡がある場合はこちらへと手書きのメッセージ
エミリアは特に気にすることなくテーブルへ
また兄が目覚めた際に教えてあげればいいのだから

＊

さあゲームを始めよう
駒は揃いつつある
後は,盤上を整え 少しのきっかけを与えるだけ

「次は僕と遊ぼうね?」

知らない誰かは,楽しげに微笑んだ

皆様＆KPのまほろさん濃厚な4日間をありがとうございました！
ノエルで探索をするのは,今回で3回目でそれぞれKPがまほろさんとユイスさんでした…ｗ
今回はまた違った形で,お会いする方や元から知っている方と全員知っているという珍しい卓で
色々とやらかし怯えさせて申し訳ありませんでした(土下座)
KP・PL・PC・ダイスの女神と毎度弄られ気味なノエルですが今回が最上級で弄られましたねｗ
ログ読み返して我が子ながら不憫すぎて爆笑しました()特にジョンさんに暴言吐きまくってごめんなさい(

後日談は卓中の狂気にかけて,暗い感じになりました 何処かでシナリオとして陽の目を浴びれたら
よろしくお願いしますm(_ _)m

ルクさんへ PLとしては,お初でしたね ガイさんとはまた違うタイプのコレットさん
優しくてほんわりと癒やされましたv クインさんとのやり取りでニヨニヨさせて頂きつつ
操られているんじゃ;;;と戦々恐々したり,勝手にハラハラしてました(笑)
鬼のように走ってジョンさんビビらせたり,クインさんにドキドキしたりと見ていてとても楽しかったですv
またKPあるいはPLとしてお会い出来ましたらよろしくお願いします^^

暴食えるさんへ ルクさんと同じくPLとしては,今回が初めてでしたね
噂のレイチェルさんとご一緒出来て,とても楽しかったですv アダムさんが兄貴なら
やはりレイチェルさんは,姐御ですね…ｗ だんだん素になっていき みんなを守る姿が格好良くて好きです
騎士というよりハリウッド映画のヒーローのようなｗ 狂気RPも,なるほどこうすればいいのか…と参考に
なりました！APP20とえらいことになりましたが,またお会い出来たらよろしくお願いします！

いよみさんへ お久しぶりでございました PLとしてご一緒するのは,ドールハウス以来ですねｗ
あの時 初めてノエルとしてウルさんと探索したので,大変に思い出深いです…立ち絵も変わられて
可愛いお嬢さんだー！とPLが一人で喜んでいました(中身も大変に男前になられて…)
松明アタックは見学席で見ていたのですが,新たにショットガンで殴るが爆誕したりとずっと笑っていました…ｗ
セスさんとジョンさんの仲裁に入ったり,クインさんに立ち向かうウルさんの強さ ルスランに怒る姿がとっても可愛かったですv
また卓に参加希望を出させて頂きましたので受かった際は,よろしくお願いします！

ユイスさんへ いつもお世話になっております() クトゥルフでPLとしてご一緒するのは久しぶりですかね…？忘却
いつも以上に暴言吐くはで,すみませんでした…ジョンさん最初 ゴマすりと聞いていたので警戒していたのですが(
食いしん坊キャラに変貌されていて,また卓中でも言いましたが人間臭さが,とても好きですv ハムに何度吹いたか…
最終決戦でまさか あんなノエルをPLも見れると思ってなかったので,びっくりしましたｗ あの時は死にそうでしたが
ログ見て一人でゲラゲラ笑ってましたｗ ウィルがあの写真やら貰ってるのをマリアが見つけたら「私にも下さい！」って
言う姿が脳裏を…パソコン新調されたら,ユイスさんの卓に参加希望出させて頂きますねv また懲りずに遊んでやって下さい(

まほろさんへ　いつもお世話になっております(２回目) まほろさん卓は現代版合わせてこれが３度目ですね
全部に参加させて頂いており感謝感謝です！(日程も合わせて頂いて;)
毎度のことながら,シナリオの濃さと魅力的なNPCに舌を巻くばかりです iaiaスタイルでゴリゴリ削られて
ああ 人間追い詰められると笑うんだと…狂気含めて,とても楽しかったですｗ RPで一人走ってる感があり
本能のまま感情を叩きつけて,気分を害されたならごめんなさい；錬金術士の気持ちは分かりつつも全部をやっぱり理解出来ず
きつい言葉を言ってしまったなと…ジョンさんのRPで救われました…
美しく混沌とした物語 知っていたキャラクターの裏の設定や新たな一面を見れて,本当に面白かったです^^
またPLとしてシナリオを回される際は参加させて下さい！たくさんの感謝を込めて

今日も無事に仕事が終わった。
空は茜色に染まり、それをふんわりと覆うような薄い雲が、夜の訪れを告げている。

「今日は私が夕食当番だったわね…。少し遅くなってしまったし、早く帰らないと」

ルームメイト二人の好物を考えながら足早に歩く。
…ふと、数日前の彼女らとのやり取りが頭をよぎった。

………………………
…………………
……………
…………
……
…

「コレット、あなた最近どうしたの？　ずっと残業と早出ばかりじゃない」
「もうワーカホリックよね。顔色も悪いし、そろそろ倒れそうよ？」

「…大丈夫よ。
　今はただそうしたいだけ…。ありがとう、身体には気を付けるわ」
顔に乾いた笑みを貼り付けながら呟く。

…働いて頭をいっぱいにしていないと、動けなくなってしまうから。
…自由な時間があると、思い出してしまうから。


流れるような銀色の髪を。
魅惑的に輝く、あのオッドアイを。
クインと名乗った、あの美しい青年を。


黙り込んだコレットに、二人は顔を見合わせて頷き合う。

「さては、職場で好きな人でもできた…？」
「それならお祝いしなきゃ！　この子ったらそういう話、全然しないんだから」
「明日、帰りにお菓子とワインでも買ってきましょうか」
「いいわね。こうなったら、その人のことを夜通し聞きたいもの」

盛り上がる彼女らからそっと離れ、コレットは自室に閉じこもった―――――

…
……
…………
……………
…………………
………………………

アパートへ続く狭い路地を歩きながら、小さな溜息をつく。
小型車とすれ違い、起こった風で小脇に抱えていた上着が少しはためいた。

「お嬢さん」

不意に呼び止められ、びくりと身体を震わせる。

『さあさ、お嬢さん…』

頭の中で突然あの声が響き、知らず知らずのうちに身体が硬くなる。

「ちょっと、お嬢さん」

（…違う、空耳よ。あの人じゃ、ない…）
ゆっくり振り向くと、中年の紳士が彼女に何かを差し出していた。

「落としましたよ」

紳士が差し出すものは、ハンカチと折れた桜草。
恐らく、あの風で落ちたのだろう。
微かに震える手で受け取り、会釈する。

「ありがとう、ございます…」
「どういたしまして。早く水に入れた方がいいと思いますよ」

紳士は、ゆったりとした動作で立ち去っていった。
その姿を見送った後、コレットは手元に視線を落とす。

掌の上のそれは、折れてもなお瑞々しいままの可憐な花。
あれから数週間もが過ぎたというのに、全く変わらぬ姿の桜草…。
これこそが、あの出来事が夢などではないと証明するモノだった。



あれ以来、変わったことはいくつかあった。

何故か好物になった蛸。
ルームメイトには気味悪がられたが、食べたい気持ちをどうしても抑えられない。

そして。
コレットの心をいとも容易く掴み取り、気紛れな言動で揺さぶり続けた、あの美しい人への憧憬。


『私は…そうだね、いうなれば…此処の神だよ』
冗談めかして言っていたあの言葉も、今なら真実だったと理解できる。

魅了された自分は、彼の思うがままに操られ、共に行動してきた仲間をも傷つけた。
どのような事情があろうとも、それは決して許されることではない。

…そして正気に返った時。
自分はただのコマだったのだと、痛いほどに思い知らされた。
激しい後悔と自己嫌悪が、いまだナイフのように胸を抉り続ける。

（これは弱かった私への罰。どんなに辛くとも、忘れてはいけない）
心の中でそう呟くと、コレットは再び歩き出した。



アパートの灯りが見えてくる。
二人とも、既に帰っているだろう。
既に辺りは暗闇で覆われ、切れかけた街灯の灯りが足元にぼんやりとした光を投げ掛けている。

足を速めようとしたその瞬間ー

「ふふふっ…」

背後から囁きのような笑い声が響いた。
コレットは思わず立ち止まり、目を見開く。

「こっちをお向きよ。私の可愛い小鳥…」

脳を直接撫でるような、あの美しい声。

「どうしたんだい？　まさか、私を忘れたのかい？」

…忘れたかった声。
そして、忘れられるはずの無い声。

訳の分からない感情でがくがくと身体を震わせ、彼女は瞳から涙をこぼす。
今にも身を翻して声の元へ駆け出してしまいそうな脚を、わずかに残っている理性で必死に抑えつける。

「向かないなら、行ってしまうよ？　ふふっ…」

振り向かずに歩けば、二度と悩まされることは無いのだろうか。
それとも、振り向かなかったことを永遠に後悔するのだろうか。



そして、彼女は――――――――――――――――

PLの皆様、KP様、素敵な4日間本当にありがとうございました！
コレットは大人しめのしっかり者という設定で作っていたのですが、いざ蓋を開けてみるとクイン様に魅了されて仲間を攻撃したり
アーネストさんを食べようとしたりと、トンデモなお嬢さんになっていたなぁと思いますｗ
…アーネストさん、あのコレットにはさぞかし恐怖していたのではないかと…（反省
ほんと、齧る前にノエルさんが気絶させてくれて良かったです…ｗ

ハルキさん
ノエルさんと再会できて嬉しかったです！　NPCとして出会ったキャラの、PCとしての姿を見られたのが感動でした！
ガ、ガイは今回お留守番で良かったのかもと思います…（冷や汗
もし彼が来てたら、ノエルさんのあの変貌ぶりにセルフSANチェック1d20くらいは入っていたかもしれません（
想像以上のとても頼りになるジェントルマンな警官さんで、彼のいる安心感は半端なかったです！
もしまたご一緒出来る時が来ましたら、どうぞよろしくお願い致します！

暴食えるさん
レイチェルさんの男前（？）な淑女ぶりに、格好いいなあ…と画面の前で感嘆しておりました！
それにクリスペとか低成功率で成功が出た時は、大抵がレイチェルさんだったような…色々高性能過ぎる淑女ですｗ
そ、そして、撃ってごめんなさいーーーーー！（平身低頭
銃撃後のレイチェルさんの反応に、中のPLはぶるぶる怯えておりました…ｗ
もしまたご一緒出来る時が来ましたら、どうぞよろしくお願い致します！

いよみさん
人間味溢れる素敵な淑女っぷりに、キャーウルさーん状態でした！
ショットガンは淑女のたしなみと教えてくれた彼女に、コレットは色々教えてもらいに行きそうです（
そして、混ざりモノから二人を庇って気を失ったウルさんが素敵過ぎて…！
これはもう姐さんについていくしかないッ、て感じでしたｗ
もしまたご一緒出来る時が来ましたら、どうぞよろしくお願い致します！

ユイスさん
ジョンさんからは、ハムさえあれば大抵のことは乗り切れるということを教えて頂きました…何という万能アイテムｗ
コレット的に癒されたそんな彼が、錬金術師に対して語った言葉は本当に格好良かったです。心が動かない人などいないだろうと思える程に…！
そ、そして、ジョンさんも撃ってごめんなさいーーーーー！（平身低頭
撃ち返されてもおかしくない状況なのに、身を挺して向かって来てくれてイケメン過ぎましたｗ
もしまたご一緒出来る時が来ましたら、どうぞよろしくお願い致します！

まほろさん
素敵な卓に参加させて下さって、本当にありがとうございました！
神話生物に心理学を大成功させると恐ろしいことになるんだな、と学びました（
クインさんにはほんと色々お世話（？）になって、PLとしてはハラハラしつつもこういう展開も楽しいなぁとこっそりウハウハしておりましたｗ
最後の大狂乱がもう素晴らしくカオス過ぎて…まだまだ初心者ゆえああいう状況になったのは初めてだったのですが、凄く面白かったです！
あっ！　あと後日談で、声だけとはいえ彼を勝手に出してしまってすみません。
不都合等ありましたら、呼ばれたのは白昼夢だったってことにさせて頂こうと思います…ｗ
もしまたご一緒出来る時が来ましたら、どうぞよろしくお願い致します！

あの事件以来、不思議な夢を見るようになった
いや、夢といえば嘘になるだろう。だが現実と言っても嘘だ。
とはいえ不思議な夢のような現実を見る。ここではないどこか
服も、武器も、義手も、何もかも持っている別世界。
少し歩くと街が見えた、見慣れた町並みのロンドンによく似ているが違う
猫の耳と尻尾を持つ住人が居る。もうその程度じゃ驚かない…。
近くの喫茶店に入った。コーヒーのとてもいい香りが鼻腔をくすぐる

「マスター、珈琲を一杯」
カンターに座り注文をする。どうやらマスターだけは人間のようだった
店内を見渡すと私以外にも4人の人の姿があった。そのうちの一人に見覚えがあった
金色の髪に花の髪飾り。間違いない…姉さんだ。

「あ…姉さん……」
感情を押さえきれずに私は立ち上がり歩き始めていた。
彼女の肩に手が触れようかという瞬間…ふっと意識がなくなり
気がついたら昼寝をしていた木陰の下だった。なんて悪夢だ…そう思うような夢を見る

「しかし…本当悪夢だよ。っっ…」
彼女は病院から目覚めたあと荷物を回収し、そのまま姉探しへと出かけた
おそらく体にまだ銃弾は埋まってるだろう。激しく動くと脇腹の傷も開くだろう
だが彼女には傷が治る時間すらももったいない

「西か東か…はたまた北か。世界中どこ探しても見つけないとな」
彼女はまた歩き出した。覚束無い足取りで西へ向かうことにした。
取り敢えずロンドンに向かおう。ノエルにお礼を言わなければ……
行く前にアーカムによってジョンに食料でも買ってやろうか……
コレットに背中の傷を治して貰うのもいいな……
ウルとお茶をするのも楽しいだろう……

「やっべ…意識が………」
倒れた。背中と脇腹から大量に出血し連日の無理もあって彼女の命は燃え尽きそうだった
薄れゆく意識の中彼女は後悔はしなかった。ただ、楽しかったの一言に尽きる、そう思った
重い瞼を閉じると体が軽くなった。とてもいい気分だ…このまま寝続けよう

………………………
…………………
……………
…………
……
…
だが彼女は死ななかった。いや、死ねなかったの方が正しいかも知れない
無意識に不老不死の法を読んだのか…はたまた治療されたのかはわからない
だが意識を取り戻し、さっき倒れていた道で目を覚ました
何を考えるより異変に気づいた。髪の毛が鮮血のように真っ赤で左目が見えない
そしてどこからか少女の声が聞こえる。

「白は嫌いだから、赤に変えてあげたわ。
それと、左目はもらっていくわね、さようなら♪」

左目を盗まれた。不老不死になった彼女にとってはどうでもよかった
だが、しかし……後にこれが悲劇を起こす事になろうとは誰も知らない

PLの皆様。そしてKP様。とても楽しい4日をありがとうございました
おかしいなー、レイチェルはまだ4回しかシナリオクリアしてないのに不老不死に(
そんなことはどうだっていい、重要なことじゃない！今は後日談を書くんだ！
後日談という名のよくわからないなにかですが…

ハルキさんへ　
前にPLとして卓に参加してた時にNPCであるノエルさんが来て少し嬉しかったです
素が出たのはすみませんwどうしても自分よりみんなを守りたい派なので
あと、どうやら私のPCは撃たれる宿命にあることもわかりましたw(死んだ目
いつの間にか不憫なキャラになってましたが、RPなどは正義感にあふれてて
とても勉強になりました。ノエルさんとレイチェルはいずれイギリスで出会うでしょう(キチスマ
そしてノエルさんの純粋無垢な笑顔が見れて笑いましたw
また機会がありましたらご一緒しましょう！ありがとうございました！

ルクさんへ
まさか背後から撃たれるとは思いませんでしたよ(
そしてルクさんで味方PCorNPCに射撃されたのは2人目ですw(ノエルさんを見ながらw
とても可愛らしく、まさしく「お嬢様！」ってキャラをしてたので守りたくなりました
でもクインはダメです。あんな男(？)は絶対ダメです。洗脳されないでください！
コレットさんも、もしかしたらレイチェルと出会うかもしれませんね(キチスマ
またの機会がありましたらご一緒しましょう！ありがとうございました！

いよみさんへ
同じ淑女()に出会うとは正直驚きましたよ。やっぱりお嬢様にはショットガンですよね！
私みたいな中途半端なクリティカラーとはやはり実力の差がありました…。(ひれ伏し
ウルさんも、レイチェルがイギリスに帰ったら出会うかもしれませんね(キチスマ
そして自分を犠牲にしてレイチェル＆ジョンさんを助けていただき誠に感謝します！
おそらくあれがなければ最悪窒息してでも地面腐らせて生き延びてましたね…。
ウルさんの勇姿をこれからも楽しみにしてます！
またの機会がありましたらご一緒しましょう！ありがとうございました！

ユイスさんへ
ごますりと聞いて「どんなのかな？」と思ったらまさかの食いしん坊キャラ！
とても面白いキャラだったので終始爆笑してましたww
しかしそのキャラとは裏腹に錬金術師相手のRP…非常にかっこよかったです(*´ω｀*)
とても勉強になりました。(そっとハムとパンを渡して
ジョンさんも、必ずと言っていいほどレイチェルと出会う可能性ありますね(キチスマ
今後共、ジョンさんの勇姿を影から期待してます！
またの機会がありましたらご一緒しましょう！ありがとうございました！

まほろさんへ
とても楽しい4日間を誠にありがとうございました。とても楽しかったです
人外化……確かに人外になりましたね……ww
終始ハラハラできるシナリオだったので、とても好みでした。またこう言うシナリオをやりたいですねｗ
そしてまさかここまで皆さんのSANを削るほどiaiaしてるとは想像してませんでしたよ(
クリティカル、スペシャル率が何故か高くまほろさんの胃にダイレクトアタックをしてすみませんでした(
あまり目立ったRPが出来ずに、キャラが薄かったかもしれませんがどうぞご贔屓に(ぇ
また、まほろさんの卓がございましたら参加希望させていただきます！
機会がございましたらまたご一緒しましょう！ありがとございました！

「姉さん、昨夜は眠れた？」
自分に良く似た弟に問われ、ウラニボルグは首を横に振って否定した。
心配そうに顔を歪める弟にウルはやつれた顔で苦笑を返す。
「大丈夫。少しは落ち着いてきたから」
だが、アレクシスの表情は晴れない。

ウラニボルグが突然倒れてしまった例の事件から数か月もの月日が経っていたが、事件の爪痕は深く彼女の心身を蝕んでいた。
右腕は何か凄まじく重い物を支えたかのようにズタズタになっており、身体中の筋肉にひどいダメージを負っていた。
だが、何より酷かったのは精神的なダメージであった。
意識を取り戻したばかりのウラニボルグは狂乱し、周囲にひどく当たり散らした。
幻聴と幻覚に苛まされ、不眠症のため眠ることもできず、ようやく眠れた時には酷い悪夢に魘され、飛び起きる。
そんな日々を送る内に彼女はやつれ、諦観を覚えていた。
一々悲鳴を上げて怯えるのが馬鹿らしくなったのだ。
何をしようとも、あの醜悪な笑い声や銃撃の音、そして少女の悲鳴が耳から離れることはないのだし、暗がりからこちらをじっと見つめてくるメイド姿の少女が消えることはないのだから。

「……姉さんに、見舞い客だよ」
ぼんやりと生気を無くした目をした姉にそう告げて、少年はウルの寝室に一人の客人を招き入れる。
その客人は優雅な一礼を彼女に送り、その姿を見てウラニボルグは激しくうろたえた。
何故なら、その人物は彼女が今現在最も会いたくない人物であり、見舞いを全て断ってきた人物であったからだ。
「アーサー……どうして……」
「久し振り。マイ・レディ。弟君に無理を言ったんだよ」
にっこりと微笑む婚約者の言葉に、キッ、とアレクを睨むが、少年は「おお怖い」と嘯いて、「ごゆっくり」とさっさと退室してしまった。

しん、と部屋に静寂が満ちる。何を話せばよいのかも分からず、恋人には見られたくなかったやつれた姿を少しでも隠すように、ウルは俯いてシーツを握りしめる。
青年がすぐ傍に立つ気配と、彼のコロンの香りが漂う。ベッドサイドの小さな机に、見舞いの花束がそっと置かれる音がする。
そして、頬にそっと青年の手が触れる感覚がした。
「……随分、痩せてしまったね」
何も返せず、ただただ貴族令嬢は俯いていた。
青年が跪き、覗きこんでくる。
「私にも、何があったのか話してもらえないのかい？」
今回の事件のことを、ウルは家族にも話していなかった。
理解できるはずもないし、普通に考えて信じてもらえるはずもない突拍子もない出来事だったからだ。
「……すみません」
哀しそうな顔をする青年の様子に胸が抉られるが、この出来事を話すつもりはなかった。
自分の大切な人が、あんな恐ろしい、名状しがたい出来事に巻き込まれるのは、二度とごめんだ。
結局行方不明のまま、会えない古物商の友人を思い返して、そう強く思う。
そして、今回出会った"彼"の豹変。

（きっと、ノエルさんは何か知っている）

身体が動くようになれば、会いに行かなければ。そして、一体彼らの間に何があったのかを聞かなければならない。

顔を上げれば、大丈夫かい、と尋ねてくる優しい人。
彼に対して、不誠実な行動をしてしまう。
そのことに、どうしようもない罪悪感を感じながらも。
「大丈夫です。……アーサー、会いに来てくれて、ありがとうございます」
彼女は再び、狂気の世界へ足を踏み入れるのだ。

ＰＬの皆さま、そしてＫＰ様。お疲れ様＆ありがとうございました！
予想以上にＳＡＮ値・ＨＰを抉られながらもギリギリ生還できたのはひとえに皆様のお陰です。本当にありがとうございました！
引き籠りでビビリな更生中のお嬢様でしたが、蓋を開ければおかんになって手刀を乱発するわ、クインさんにビンタするわ、ショットガン撃つどころか殴りかかるわと、とんでもない御貴族様（笑）状態になっていました。
前回の探索で覚えた呪文を使えて、盾として活躍できたのでＰＬとしては満足の一言です！
一番ざくーっとＳＡＮが削れましたが、まだ使えると思うのでお嬢様は使用続行していきますね！（キチスマ

ハルキ様
御久し振りでした。ドールハウスでご一緒したノエルさんとまた一緒に探索できて嬉しかったです！
今回は本当に…本当に女神に弄ばれ、ＰＬとＫＰに弄ばれていましたね…。
爆笑しすぎてちょっと腹筋割れそうな気がしました。うん。
ルスラン君をボコる時は是非呼んでください。喜んでお嬢様も御供するでしょう…。
変わらずジェントルマンでリーダーシップをとる安定したＲＰは見ていてとても安心できました。
次回はＫＰとしてよろしくお願いしますね（震え声）

ルク様
弟子入りありがとうございますｗｗ
可憐で控えめな、これぞ淑女！というＲＰで、どうして自分はこう野性味溢れてしまうのかと恥じ入りました。
ほんと淑女（笑）ですいません（土下座）
ヒーラーとして全員の癒しキャラになりつつも女神の悪戯でクインさんに操られた姿はラスボスの風格がありました…。
ほんと素晴らしかったです。
またご一緒する機会がありましたらよろしくお願いします！

暴食える様
同じ淑女（）キャラでしたが格が違いましたね！
容赦なくミ＝ゴや混ざりモノを正確に撃ち落とす姿はカッコいい、の一言でした！
クイン相手の啖呵や発狂ＲＰも惚れ惚れするほどカッコよかったです。
人外の美貌ととんでもな神話技能、そして不老不死を手に入れたレイチェルさんがどうなっていくのか……。
また会えることを楽しみにしております。

ユイス様
犯罪者ということでヒャッハーなキャラだろうか…と思っていましたら斜め上な方向でヒャッハーなキャラで良い意味で度肝を抜かれましたｗｗ
食いしん坊大戦では非常に和ませていただきましたし、悪ふざけする度に何度腹筋が崩壊したか数えきれません…。
しかし錬金術師相手の説得ではジョンさんの魅力全開のＲＰに心震えました。
ユイスさんのキャラの説得ＲＰは熱い展開で心に語りかけてくるものがあって本当に素晴らしいです！
さすが師匠！！
ＰＣ新調されましたら卓に遊びに行かせてくださいね！逆もどんとこいですよ！

まほろ様
前回は一番削れませんでしたが、今回は目論見通り一番削れましたのでＰＬとしては大変満足です！（削れ過ぎて肝を冷やしたのは内緒です…）
流石のiaia卓でした。
そして濃いＮＰＣたちと乱舞する女神の悪戯（という名のスペクリファン）とＰＣたちの暴走を制御しきった手腕は御見事の一言です。
気に入っていたＮＰＣのミュリエルの本体に御目にかかれたり、カルラともまた触れ合えたりととても楽しかったです。
カルラを助けられなかったのは悔しいですが、それ以外のＮＰＣ＋ＰＣ全員生還できたことにほっとしております。
混ざりモノのダメを見間違えており、救済が入らなかったら完全に死んでいましたので、本当にありがとうございます……！
クインさんやルスラン君もとても魅力的なキャラでしたし、またいつか会いたいところです。
また卓に参加するかもしれませんが、その時はよろしくお願いいたします。

本当に皆さま、４日間ありがとうございました。
またご一緒する機会がありましたらよろしくお願いいたします！

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静まり返った店内に、濡らしたモップをかけていく。
左腕しかなかった以前は重労働だった掃除も、今は難なくこなせる。
にまにまと何度目になるかわからない笑みを浮かべながら、本来無くなっているはずの右腕を見た。
そこには肌とは違う鈍い光沢を帯びた銀色の腕があり、モップをしっかりと掴んでいた。
自分の意思と連動して動く右腕を見て、俺は益々笑みを深めていく。
武器商人ルベラから与えられた新しい職と腕は、どちらも最高のものだった。
上機嫌のまま残りの掃除を手早く済ませ、ホールの奥の部屋へ顔を覗かせる。
奥の部屋では厳つい顔をした店の主人が、眉間に皺を寄せて帳簿をつけている最中だった。
初対面の人が見たら回れ右したくなるような面構えだが、もはや見慣れた俺は気にもせずに声をかける。
「ホールの掃除完了っす」
「おう、お疲れさん。義手の調子はどうだ？ちゃんと馴染んでるか？」
「生身の左よりも調子が良いくらいですよ。もういっそ両腕落とされてりゃよかったかなって思えるくらいに」
「頼めば斬りおとす所からやってもらえるぞ。今度頼んでおいてやろうか？」
「･･･めっちゃ痛いんで遠慮しときまーす」
真顔で恐ろしい提案をしてくる店主に、腕を切り落とされた時の事を思い出して身震いする。
そんな俺を見た店主は声をあげて笑いながら、今日の分の給金を手渡してくれた。
軽く頭を下げて礼を言って受け取った後、店主に「また明日」と声をかけて店を出る。

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店を出てすぐ、扉の脇に目を向ける。そこにはつまらなさそうな顔をした青年が立っていた。
俺は顔を顰めて青年に視線を送る。すると、そいつは一転してにこやかな表情を浮かべ、手を振ってきた。
「おっせーんだよ、暇で暇で死ぬ寸前だったぜホント！
　うるせえ、毎日同じ事ばっか言いやがって。おつかれの一言も言えねえのかお前は？
　はいはいおつかれおつかれ。じゃあ早速帰ろうぜ。昨日の読みかけの本の続きがすげえ気になっててよ」
そんな事を言いつつ、散歩の催促をする犬のようにぐいぐいと右手で左手を引っ張ってきた。前につんのめりながらも歩き出す。
子供みたいに目を輝かせている。おそらく、先日路上でタダ同然で買い上げた分厚い本の事に思いを馳せているんだろう。
その様子に、顰めっ面を濃くして首を傾げる。
「わかんねえなぁ、あんな薄気味悪い本なんで読みたがるんだよ。前の持ち主すら気味悪がってほとんどタダで渡してくるような曰く付きのやつだぞ？
　だから面白いんじゃねーか。そんな本なら、なんかすげー秘密が隠されてるかもしれねーだろ？
　･･････まぁお前が見る分にはいいけどな。俺は絶対に見ねえぞ。気色悪いのはもうこりごりだ。
　お好きにどーぞー。俺は勝手に読ませてもらうよ」
げらげら笑う友人から、溜息を吐いて目を逸らす。この様子だと、今日も寝不足になりそうだ。

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向かいの建物の窓から外を眺める子供が言う。
「ねぇママ、あのお兄さん何してるの？」
なかなか寝付かない子供の頭を撫で、母親が言う。
「きっと働き過ぎで疲れているのよ。あなたも疲れてるでしょう？早く寝なさい」
少年は「はーい」と笑顔で返事をしてから、不思議そうな表情で呟いた。
「自分で自分の腕を引っ張って歩くなんて、変な人ー」

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引っ張った挙句短くてゴメンナサイッ。これ以上書こうとすると止まらなくなったんデスッ。
状況の説明なんかが曖昧なせいで、？になる方いらっしゃったらすいません。つまり、彼が見ている青年は実在しておらず、ただの幻覚です。
ただし幻覚の行動は全て自分自身が起こす事になので、腕を引っ張ったり喋ったりも全て自分でしています。見ず知らずの人から受け取った不気味な本の読書も。
彼が今後どうなるのか、とても愉しみですね。

ハルキ様
ごめんなさい。まず真っ先にこの言葉が出てきます。（隠しきれない笑みと共に）
今回もノエル君はかっこいい紳士でした。ウィルの背を見て育ったからこそですね（蹴り
開幕で発狂した時に腕を引いてもらったり、銃を投げ渡された時は、やっぱり一番安心して背中を預けられるのはハルキさんだなぁとしみじみ思いましたｗ
何度も懲りずにイジってるせいでいつか向けた背中を撃たれそうですが、いつでも撃ってくれていいですからね！だからいなくならないでくださいぃぃぃ（縋りつき）
今回もお世話になりました。いつか真面目なＰＣとＲＰさせてあげたいところなんですが、中の人がアレなので･･････どうか気長にお待ちください。
ＫＰとしてかＰＬとしてかはわかりませんが、次回もよろしくお願いしますｗ

ルク様
ひぃぃいぃ（銃弾と鬼の形相をしたコレットさんから逃げる）
まさかの1d100を引き当てたり、ニャルに魅入られたり、銃を乱射したり、本当にお疲れ様でした。多分、コレットさんが今回の一番の犠牲者だと思いますｗ
自前の薬を使った応急手当だけじゃなく、淑女（ショットガン）ペアとはまた違った柔らかな物腰で、周りの心も癒してくれてました。
最後まで完璧なヒーラーで、安心して治療を受けられましたｗ　ありがとうございました！
次に卓を囲む時がいつになるかはわかりませんが、愉しみにしていますｗ

暴食える様
あなたはまだ人間ですか･･････？（小声）
思わずそう言いたくなる、鬼のような強さの淑女（ショットガン）でした。
ミゴ２体相手に一歩も下がらず、単身ショットガンで突撃していく様はまさに歴戦の探索者。ニャル相手の啖呵も風格が出ててカッコ良かったです。
神話知識への飽くなき探求心は、まるで狂信者が生まれる過程を傍で見ているようで終始ガタガタしてましたｗ
今度見える時ははたしてどちら側になっているのか･･････愉しみにしてますね？ｗ

いよみ様
お久しぶりです。お嬢様はすっかりと逞しくなられたようで、見ていてまるで娘の成長を喜ぶ親のような気分でした（え？
いよみさんも中の人気質が出てくるようで、食事の時の叱咤はまるで母親そのものでしたねｗ
という事はまさか淑女（ショットガン）も･･････これ以上考えると口に松明を突っ込まれそうなので自粛します（ガタガタ）
混ざりモノからの死んでもおかしくない一撃を耐えられたのはウルさんのおかげです。感謝してますｗ
精神療養を終えて探索者として復帰するのか、恋人と幸せな余生を過ごすのか。この先の彼女も気になりますが、どちらを選んでも平和でありますように。
それでは、またどこかの卓でお会いしましょう。もしかしたら、開かれている卓に突撃するかもしれませんｗ

ま＝ほろ様
よくぞ、ここまでＳＡＮ値を擦り減らしてくれましたね（感激）
ちょっと高過ぎるなぁと思ってＳＡＮをＰＯＷに変換しましたが、結果的には丁度良かったようで。あれ以上下げてたら間違いなく死んでましたが（ガタガタ）
就職先や義手まで頂いて、ルベラ君には感謝してもしきれません。ただ酒場のＶＩＰルームにだけは呼ばれない事を祈ってますね。
前回とはまた違った流れと結末を迎えましたが、どちらも個人的には大好きな展開でしたｗ
まさかミュリエル本体とああして出会えるとは思わず、内心飛び跳ねるくらい喜んでました。しかし立ち絵に劣らずチャラついていて、本でよかったと思ったりも･･････（目逸らし）
序盤〜終盤前にかけてのクリスペ大放出で、いつ命が断たれるかと思いましたが、最後まで立ち続けてくれて本当によかったです。
あそこまで大量のクリスペを捌けるとはさすがまほろさん！･･･半ばヤケになってたように見えるのは気のせいに違いありませんね？ｗ
次回の卓ではきっともっとたくさんのクリスペと出会える事でしょう。今のうちからお祈りしておきます。（こら

素敵なＫＰとＰＬに囲まれた数日でした。楽しい卓をありがとうございました！

20××年代　アメリカ　何処かの廃屋

　隙間風と虫の声が吹き込む仮住まい。響いた微かな呻き声に彼は手の内の液晶から顔を上げた。
　スリープ状態にさせた其れをパーカーのポケットに突っ込み、脇に立てかけておいた愛銃を肩に引っかけて、粗大ゴミも同然のベッドの上に寝かせたソレの元へと歩を進める。
　一度ぐちゃぐちゃに溶かされたソレの身体は、少しばかり回復はしたものの酷い有様だった。
　かなり強引に取り出した所為で、未だ身体の大半を覆う白い膿のような粘体から覗く皮膚は至る所が裂け醜く引き攣っているし、指、それに口や目蓋は溶けた粘液と皮膚が引っ付いてまともに開かない。
　ぶっちゃけた話、これを見て、元が人間の姿をしていたなんて言っても誰も信じないだろう。時折、苦しげに呻いて蠢く……芋虫型のクリーチャーというのが至極真っ当な評価だ。
　あのタイミングで救い出したことは後悔していない。正しい選択だった、と思う。人の小さな体では、混ざりモノが分裂した際に共に飛散してしまうから。
　ケントゥリアに宿る精神達――上位の極一部に限って――は消失することはないだろう。恐らく、霊薬の欠片の中に宿ったに違いない。そうなったら……あの場の全員の命を奪ってでも全てを回収することになっていただろうが。
　あのショットガンを携えたお嬢様連中とやりあえるなら、それも悪くなかったかもしれない、とぼんやり考えつつ、ソレの顔に手を伸ばす。
　どうやら被害は表皮だけのようで、内臓は恐らく無事だろう。内臓がどうとなった所で、死ぬわけではないのだが。
「……」
　どんな外見だろうと、ケントゥリアには変わりはしない。しかし、これ以上回復する気配がないのは由々しき事態だった。
　ケントゥリアは自分の生きる意味だ。自分を生かすだけの装置ではない。
　意を決したように、彼は愛しいソレの成れの果てを抱き上げた。

　過去への"門"を穿ち開く。またしばらくゲームはお預けらしい。　
　揺らめく時空間の境目を眺めながら、それでも彼は一抹の期待を抱いていた。

　新たな遊戯の始まりを。

　向こう側へと足を踏み出す。何時だって戻れるし、何時だって進める。その特権を得た者の余裕を携えて。


　0と1で構成された世界も嫌いじゃない。
　だが血と肉で構成された世界はもっと好きだ。手に、腕に、肩に、全身に伝わる振動は得も言われぬ快感で、何より満たされた瞬間。
　
　次はどんな舞台を用意してくれるだろう。
　助力を乞う相手、彼の黒き混沌は――

　静まり返った室内。仄暗い照明と豪奢ながら悪趣味さは感じられない均整の取れた装飾や家具が配置された其処は、とある酒場の奥に位置する空間だった。
　酒瓶が並べられたバーカウンターにバーテンダーはおらず、給仕を行う人間もいない。
　この場にいるのは、ベルベットのソファに収まり、光沢のあるマホガニー材のテーブルに広げられた書類と向き合っていた彼のみ。
　宛ら、小学生が居間のテーブルで宿題と格闘しているかのようであったが、彼――ルベラが処理しているのは、真っ黒な金の流れを仕切る為のそれだった。
　ふとサインを書こうとペンを滑らせた彼の手元と紙に影が差す。見上げれば、この空間の主たる"蛇"が此方を見下ろしていた。
「帰ってきたのも昨日の今日やのに、精が出ますなぁ」
「カガチ兄さん」
　一般人が不意に見れば悲鳴を上げてしまうような顔に人当たりの良い笑みを浮かべている"蛇"。ルベラと視線が合うと、縫合痕も生々しいその口を開いて、癖だらけの言葉を紡ぎ出す。
　血は繋がっていないが、ルベラの兄にあたる人物であり、部下であった。
「御命令通り、名前と特徴伝えてアーカム辺りに人遣りました。ま、隻腕って分かりやすい特徴持ってはるお人さかい、明日までには見つかるやろ。装具士の手配も問題なく」
「有難う、仕事が速くて助かります」
　あの一件に一段落着いた後、巻き込まれた5人を此方の世界に戻してからがルベラにとっては本番だった。
　事前準備、事後処理こそが彼の本業であるのだから慣れたものなのだが……
「モネちゃん、意識戻らはったん?」
　近くに会った椅子に腰かけながら"蛇"は問うた。反射的に、ルベラは苦笑を浮かべることになる。
　母と慕う白い鳥は、此方に戻ってから鳥籠の中で眠り続けていた。
　不死性の象徴たる黒の鴻鵠から生まれた存在故に死ぬということはない。と、生み出した黒の鴻鵠自身が断言した分には安心できている。
　受けた傷が酷く、回復には暫く時間を要するとのことらしい。
「いえ……まだ」
「そら残念やなぁ……。モルちゃんも張り合いがのーてつまらん言うてますわ」
　荒い気性の持主の彼女を思い浮かべ――思い出したかのように彼女がいないか部屋に視線を巡らせつつ、ルベラはやはり苦笑した。
「そういえば、父様はあの黒い人どうしはるんやろ」
「ああ、彼は……流石にこの家名じゃ重いだろうってことで、紅のあの方が母になって別姓で。学校に捻じ込むとは言ってました。最近のことに関しては全くの無知のようでしたから」
「赤が好きな女の人って如何してああも恐ろしげなのしかおらへんのやろなぁ……。モルちゃん然り紅様然り」
「聞かれたら蹴り殺されますよ」
「おお怖。簡単に想像できる辺り、やっぱ恐ろしいわぁ。ま、お仕事の邪魔してもあきまへんし、アタシは此処で引っ込みますわ。ほな」
　軽口を叩きながら、ひらっと手を振って"蛇"は厨房の方へと引っ込んだ。
　再び静寂に包まれた空間。遠くにグラスがぶつかる音や人々が騒ぐ声が聞こえる。分厚い扉と通路、そしてまた扉を挟んだ向こうには人々が酒を酌み交わす賑やかな酒場があることを今更ながらに思い出す。
　何時も傍にいるそそっかしい従者も今は隣にいない。ああ、彼らにも手紙を書かないと、行方を掴んで、謝罪と感謝を伝えないと。
　やることは山積みなのに、急に寒くなった気がして、ルベラは座り心地のいいベルベットのソファに、その身体を横たえて丸めた。

「せや、ルベラはん。何か温いものでも……」
　ふと思い出してホールに出てくれば、ソファの上で気持ち良さそうに寝息を立てる少年が一人。
　ああ、掃除しようと思ったんやけどなぁ……独り言ちて"蛇"は溜息を吐き、テーブルの上の書類を纏めてケースに仕舞う。鍵を拝借してトランクに入れ、元に戻した。
――人事の方も少し考えなあきまへんなぁ……。
　酒浸りでサボってばかりの従業員辺りを解雇しよう、などと考えつつ、仮眠室あたりから毛布を取って来ようと"蛇"は再度、扉の奥へと引っ込んだ。

　何もない空っぽの城の中。
　いつも退屈そうに玉座に座っている、白と美を掻き集めて織り上げられたような青年が一人。
　彼の周りに転がるのは、千切れた首輪、へし折られた鉄格子。全てが全て、彼の所有物の痕跡であり、彼が持っていたモノの証だった。
　残ったのは綺麗な人形だけ。傍らに控えてじっと立っている彼女だけ。
　だが大層珍しく今日は客人がいた。しかし大層ふざけた客神だった。
「にゃー」
「ふざけないで」
　露骨に不快そうな顔をしてやれば、彼は無表情のまま首を傾げて見せる。
「猫嫌い……?」
「要件は何。何が嫌いって言うなら君が嫌いだよ」
「何となく」
「は?」
「要件はない!」
「キリッ、みたいな雰囲気で言わないでよ。馬鹿にしてるの?」
「じゃあ飼ってた鳥さんに全身突かれて逃げられた白くんを笑いに来たあはは」
「笑うなら笑うでもう少し感情込めて嗤いなよ。ホント何なの!」
「えー……、だって、本気で笑ったら白くん泣いちゃう」
「もう泣きたい気分なんだけど」
「泣いていいよ」
「帰れ」
　灰も大嫌いだったが、何の脈絡もないコイツも大嫌いだった。
　やはり顔色一つ変えずに、そいつ――黒色の混沌はその場から掻き消えた。
　盛大な溜息。だがここには苛々のやり場がなかった。彼女に当たり散らした所で、此の苛立ちが解消されるわけではないことは十分に理解していたからだ。
　さらり、と白色の髪の毛を揺らし、彼は立ち上がった。
　間髪入れずに、無機質な声が事務的な調子で掛けられる。
「お出掛けですか」
「……少しね」
「行ってらっしゃいませ」
　表情一つ動かさない人形は、機械じみた動きで深々と腰を折る。
　振り返りもせずに、彼はその場を後にした。

　逃げられたのなら、新しく捕まえればいい。
　目星はつけた。
　此の手に入れるには丁度いい可憐な小鳥――