『斜めにのびる建築』

かなり筆者の主張がはっきりしていて、議論に向いているのではないかと思って読書会で提案した。
パランの主張は現実性というか実現可能性が低いという点が議論のネックとなった。
当時はアーキグラムなどのドローイングによる活動もあり、その時代のモダニズム批判の時代潮流からあらわれた思想として位置づけることができる。
もしかすると、パランにとって実現可能性ということはあまり重要ではなく、垂直都市に対する批判と、オルタナティブを提示することが最も重要であったのではないだろうか。

コルビュジエが説いた五原則や「300万人の現代都市」などの計画案などの理論もかつては過激で批判もあっただろうが、現在では「300万人の現代都市」で提案した風景も多く見られる。
パランの描く斜めの建築は、建築物単体での実現可能性はある。現代の3DCADの発達などに伴ってそれは可能になってきた。
しかし、根本の思想である「交通と居住の関係の変革」は斜めの都市をつくらなければ達成できない。

冗談半分で、「月でやるしかないね」と言ったが、宇宙建築について今後考える必要が出てきた際に、斜めの都市の実践舞台として月があり得るかもしれない。
田中くんが指摘しているように、パランの議論はタブララサから始まっている。すなわち実現するには白紙状態の土地において実現可能となるのだろう(斜めの都市についての熱い賛同者がいればの話ではあるが)。
パランの原理も、実現できるわけないと言われていたものが、新たなテクノロジーによってその価値を見直されることがあるかもしれない。

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