まったり2期
プロフィール
ライトノベル、ミステリが主です。SFや純文学も読みますが。遅読なので頻繁に更新できるかわかりませんが、頑張ります。
読書状況
1.悪魔のミカタ�� 魔法カメラ/うえお久光（電撃文庫）作者もあとがきで書いてますが、最初はミステリなのに途中から方向性を変えたのがはっきりと判る。結果としてはいい方向に働いたかな。
エロゲみたく主人公がフラグを立てまくり。どれだけ増えるのやら。
これは主観ですが、戯言シリーズと同じ匂いがしました。
2.悪魔のミカタ�� インヴィシブルエア/うえお久光（電撃文庫）
舞原姉のキャラが作者の中で全然固定されていないことがわかる2巻。真嶋先輩もだけど。
1巻と似たように、途中まではミステリなのに気付けば脱線。けどトリックとしては1巻よりミステリらしかった。
相変わらず主人公はフラグを立てる。エロゲ？
3.雑学おもしろ百科��/小松左京（角川文庫）
雑学ブームに乗せられたわけじゃないです。QMA対策の一環です。
「○○は××だった」という事実よりも、その理由や歴史を読むことが面白い。
しかし初めて読んだ小松左京本がこれとは…。
4.わたしのグランパ/筒井康隆（文春文庫）
筒井はSFよりもこういうジュブナイルの方が好き。綺麗だから。
しかし百合ブームが始まる前から既に百合という概念をジュブナイルに取り入れていた筒井先生には脱帽。
5.言語姦覚/筒井康隆（中公文庫）
現代人が普段何気なく使ってる言葉を取り上げて分析している。その説明と、極端なまでの例え話が的を射ていると思えるところは流石。
何気ない言葉でも世俗、人種を表現しているものです。
6.レキシントンの幽霊/村上春樹（文春文庫）
短編だと顕著に表現される、春樹独特の比喩。この比喩を想像してみる時が春樹作品の魅力でしょうか。
「めくらやなぎと、眠る女」は何かに似てると思ったらノルウェイの森だった。あとがきにも書いてあるし。
7.さらば愛しき女よ/レイモンド・チャンドラー（ハヤカワ・ミステリ文庫）
こういうハードボイルドに出てくる女性、今作ではリリアンのようなキャラに惹かれやすい。
シリーズでは一番好き。
8.高い窓/レイモンド・チャンドラー（ハヤカワ・ミステリ文庫）
マーロウシリーズでは一番地味だけど一番完成度が高い感じ。情報を収集して行動する探偵という職業を最も忠実に表してる。
9.長いお別れ/レイモンド・チャンドラー（ハヤカワ・ミステリ文庫）
タイトルの文字通り長い作品。シリーズで一番厚い本じゃないかしらん。
有名な名言がある作品。作品としては重厚な分、少し読むのに疲れて時間がかかった。探偵モノはスマートなくらいがいいな。
さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ。
10.家族八景/筒井康隆（新潮文庫）
文章そのものが淡々としているので軽快かつコミカルなお話に見えるけど、人々の心の奥を盗み読んだ時の各々の本音が想像以上の複雑なコンプレックス（ある意味重複）である種の恐怖を覚える作品。
続編は大分様変わりするとかしないとか。
11.くるぐる使い/大槻ケンヂ（角川文庫）
大槻ケンヂの電波的な小説は、一切揶揄するような要素がないところに目を瞠る。
これは短編集だが、中にはしんみり終わる話、後味の悪い話、綺麗にまとまる話、愉快痛快話がありどれも面白い。
「のの子の復讐ジグジグ」は見事に僕の共感という的を射ました。
12.風の聖痕/山門敬弘（富士見ファンタジア文庫）
アニメを見て原作が気になったので読んでみた。
アニメでは原作から省かれたシーンが多々あり、そこを指摘して原作クラッシャーアニメとされてるのでしょうね。確かに削るべきでないシーンがないのは痛い。
相変わらずヒロインはうざいキャラでした
13.風の聖痕2/山門敬弘（富士見ファンタジア文庫）
アニメを見ｔ（ｒｙ
ここもアニメでは大分削ったシーンがあるお話。設定も少しいじってある。
厨二設定なんて揶揄されてますが、それがいいんじゃないか。ラノベだし。
相変わらずヒロインはうｚ（ｒｙ
14.汝自らを笑え/土屋賢二（文春文庫）
ある種の人たちを揶揄することを書いても恨み言を買わないのは、普段から自らを卑下する文章を自然と書いているからなんでしょうね。
僕が最も読むエッセイストは土屋先生です。
15.風の聖痕 Ignition1 綾乃ちゃんの災難/山門敬弘（富士見ファンタジア文庫）
アニメをｍ（ｒｙ
短編集。本編よりも面白いという富士見特有の現象。同じ現象はオーフェンやフルメタに見られます。
富士見の嫌いなところは、一目しただけでシリーズの何作目に当たるのかが判らないという不便なところ。フルメタは判りやすいんですけどね。タイトルに数字が入ってるので。
しかしもう少しセンスのあるタイトルに出来たと思うんですが…。
16.風の聖痕 Ignition2 僕だけのマドンナ/山門敬弘（富士見ファンタジア文庫）
アニメｗ（ｒｙ
短編集第2弾。本編ではサブキャラを全く有効できていないのを実感してるんでしょうか、短編では本編に出てこないサブキャラを作ってまで盛り上げています。
本来なら本編3巻以降を読んでから読むべき巻ですが、アニメで補完してるので気にせず読みました。ボチボチ。
しかしタイトルのセンスが…。
17.風の聖痕 Ignition3 煉君の受難/山門敬弘（富士見ファンタジア文庫）
アニｍ（ｒｙ
短編集第3弾。皆大好きショタっ子煉君に焦点を当てた短編集。
内容は1、2と変わらず本編から脇道反れた番外編。本編よりもこちらで新キャラがどんどん増えてくる。
このシリーズを読んでまず思う感想が、イラストレータの納都花丸氏の画筆向上ではないか。1、2巻の頃は酷かったけど今はかなり上手くなってます。
18.生協の白石さん/白石昌則,東京農工大学の学生の皆さん（講談社）
今更感が否めませんが、105円で売ってたので買ってみた。
こういうユーモアのある返答を出来る大人はいいですね。明らかふざけた質問・要望にも紳士かつ真摯に対応し、そして何より「物を売る・サービス業」の精神を絶えず心に留めているのは立派。うちの大学にもいればねぇ。
19.我が名は青春のエッセイドラゴン！/大槻ケンヂ（角川文庫）
小説においては不条理を散りばめた暗澹世界において、元来通用しない表現でもって拡大解釈を与える大槻ケンヂですが、エッセイにおいては思春期特有の酸いも甘い果実のような感傷と、ロック歌手としての衝動的な感情を軽快な文章で表現していきます。
これもひとえに大槻ケンヂが今もなお、童心を常人以上に持っているからでしょうか。
20.陰からマモル!/阿智太郎（電撃文庫）
21.陰からマモル!��/阿智太郎（電撃文庫）
たまには緩いラノベを読みたいと思って選んだのがこれ。内容うんぬん以前に文章の書き方にひたすら抵抗が。昔は読めたのにね。
デビューして10年近くになるのにこんな文章か…。
22.のほほん人間革命/大槻ケンヂ（角川文庫）
23.のほほん雑記帳/大槻ケンヂ（角川文庫）
オーケンのエッセイ。歌手としてよりもタレント、作家としての方が知名度高いよね。
テーマを決めて書いたエッセイを色々まとめたもので、ロックバンドのボーカリストは俗世離れしたイメージがある（偏見）ですが、これを読むと印象変わります。
24.リンウッド・テラスの心霊フィルム/大槻ケンヂ（角川文庫）
詩集。筋肉少女帯の曲の歌詞も含んでますが、この本書いてた頃の詩は抽象的なものが多く、近年の詩は直接的なものが多く感じられる。どっちも好きです。
25.農協月へ行く/筒井康隆（角川文庫）
韓国や中国の方が『日本沈没』を見て狂喜乱舞する中、『日本以外全部沈没』を読むと日本の方は少なからず気持ちがスカッとします。結局全員沈むけど。
面白かったのが『経理課長の放送』。口語体を極致まで求めるとこういう文章になるんだろうなぁ。
26.本格推理委員会/日向まさみち（角川文庫）
ラノベとミステリの融合という意味では面白かった。けど「勘がいい」キャラだけは認められない。
27.弟切草/長坂秀佳（角川ホラー文庫）
ゲーム版とは全く違う展開。作中で弟切草のゲームが出てくる構成はメタ視点かと思ったけど案外そうでもなかったり。
視覚、聴覚の演出効果があるゲーム版に比べるとやはり臨場感は劣る。主人公が妙にスケベなのは鬱陶しかった。
28.氷菓/米澤穂信（角川スニーカー文庫）
幾つかの小話が連綿と連なって一つの事件となる。ミステリというよりも青春モノという感じだけど、あまり泥臭い青臭い話でもなく、いい意味で地味に淡々としてる。落ち着いた文章には好感。
29.春期限定いちごタルト事件/米澤穂信（創元推理文庫）
形式は『氷菓』と同じで、幾つかの小話とそれらの繋がり。米澤氏の特徴的なところ。
色々な面で『氷菓』を始めとする『古典部シリーズ』と被るのが少し飽きを誘う。登場人物の堂島健吾が好きになれない。人には物事を強引に頼むくせに頼まれたら理由を語らないと受けないとか何様だこいつは。嫌なキャラとして描かれていないからこそムカつく。
30.幼年期の終り/アーサー・C・クラーク（ハヤカワ文庫）
SF古典名作の１冊。タイトルの通り、人類が幼年期を終えて新たなフェイズに向かうお話。世界の盛衰とその終末観は一読の価値あり。
31.アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎（創元推理文庫）
本屋を襲うといったことの始まりにおける軽快さは相変わらず抜群なんだけど、その後の展開がいまひとつ乗り切れない。最初から最後まで描かれる話が全て他人事のような軽々しさしか感じられなかった。
32.虚人たち/筒井康隆（中公文庫）
非常に読みづらい。文章が全てにおいて堅苦しい上に改行も読点が全く使われておらず、ひたすら読むのに疲れた。
自ら小説の主人公であると自覚した上での行動をとるというメタ的構成を見せるものの、何処に向かうのかもよくわからない迷走。自分の読解力のなさが恨めしい。
33.星降り山荘の殺人/倉知淳（講談社ノベルス）
久しぶりに騙された小説。事前知識なしで望んだから警戒もしておらず、最後に泡を食った。これも全て「本格」ミステリと銘打ったのを真に受けたからなのか。
34.シャーロック・ホームズの冒険/コナン・ドイル（新潮文庫）
推理小説の古典といえばやはりこのシリーズ。初読でございます。
ワトスン君は伝聞で聞いたところから想像していたのはしがない探偵助手だと思っていたんですが、実はかなり真っ当な人物なんですね、医者だし。
短編の中では赤毛連合がよかった。次は長編を読むか。
35.アクロイド殺害事件/アガサ･クリスティ（創元推理文庫）
「犯人がどういうトリックを用いたか」じゃなくて「作者がどういうトリックを用いたか」の古典的名作。これ以降に出た二番煎じじみたものを読んでなければひたすら驚嘆できたんだろうなぁ。とはいえやはり面白い。
36.赤ずきんちゃん気をつけて/庄司薫（中公文庫）
今日日のエロゲの文章体の原型はライ麦畑でつかまえてよりも庄司薫の軽薄な文章だと思う、などという益体もないことを言ってる自分が恥ずかしい。
37.快楽主義の哲学/澁澤龍彦（文春文庫）
快楽主義に則って生きる方法を記しているけど、この本を書いたことによって澁澤氏自身がその生き方から逸脱してるのではないだろうか。
内容は哲学うんぬんというより快楽主義の人物録みたいなものでしょうか。
38.壁/安部公房（新潮文庫）
題が示す通り、壁がテーマの作品集。「S・カルマ氏の犯罪」の唐突かつ魅力的な展開にとても引き込まれた。
「繭」は中学か高校の教科書で読んだなぁ。辺り六方を囲まれた壁を居心地よく感じるかばつが悪く感じるか。
39.潮騒/三島由紀夫（新潮文庫）
三島由紀夫ってもっとどんよりした話を書く人だと思ってたけど、この作品は普通の恋愛物で拍子抜け。いや、ま、面白かったですよ。
40.さよなら怪傑黒頭巾/庄司薫（中公文庫）
共闘世代という不安定な学生層の真っ只中にいる青年の、子供から大人になる決意とその顕れが目に見える形になって書かれてます。口頭文ってしばしば己の思考で堂々巡りするから、展開は遅々としてるなぁ。
村上春樹がエロゲみたいなら庄司薫はギャルゲみたいだ。
41.坊っちゃん/夏目漱石（新潮文庫）
坊っちゃんが社会にそぐわないのか、社会が坊っちゃんに優しくないのか。
快活な生き方とは坊っちゃんのような生活を言うのだろうなぁ。
42.文章読本/三島由紀夫（中公文庫）
平安時代から昭和までの時代考証と、日本と外国文学の異なる点を独自の見解で照らしていく作品。
解説に書いてあるように、三島由紀夫の書き方を読み解く作品としての一面も持ってます。
43.四つの署名/コナン・ドイル（新潮文庫）
ホームズシリーズは推理小説というよりも探偵小説ですね。ハードボイルドとまではいかないけど。
実は長編第2作目。1作目がブックオフになかったんです……。
44.笑う月/安部公房（新潮文庫）
クリエイティブな仕事をする人は夢を題材にする人が多いと聞いたことがありますが、安部公房の夢模様を書いたもの。夢の中だと普段は怖くないものに何かしらの恐れを抱きますね……。
45.金閣寺/三島由紀夫（新潮文庫）
美しいから壊したい、綺麗だから傷つけたい。そんな加虐性とは真逆の、自虐心からくる金閣寺放火。
破壊衝動は何処から来るのか、予測は難しい。
46.箱男/安部公房（新潮文庫）
安部公房は閉塞な空間をよく題材にしますね。こちらはあまり面白くなかった。
47.恋文/連城三紀彦（新潮文庫）
表題作を始め、恋愛モノや家族モノの短編集。連城三紀彦はミステリ作家としての一面しか知らなかったので新鮮でした。ｲｲﾊﾅｼﾀﾞﾅｰ
48.緋色の研究/コナン・ドイル（新潮文庫）
ホームズシリーズ初の長編。ワトスン君はこの頃、肩を負傷していました。次の作品からは何故か足にすげ替わってました。なんでだろう。
犯人を曝け出した後、いきなり場面が回想録に変わって時は何がなにやらわからなかった。しかしホームズとワトスン君は最高のコンビだな。
49.湖中の女/レイモンド・チャンドラー（ハヤカワ文庫）
2時間ドラマとして制作するなら、チャンドラーの作品で最も適した作品じゃないかしらん。
50.ようこそ女たちの王国へ/ウェン・スペンサー（ハヤカワ文庫）
外国の作品でもこんなエロゲというかラノベみたいな設定の作品もあるもんだね。出版社もそれを察して絵をつけてるんでしょう、エナミカツミさんを。
登場人物が序盤から多すぎて入り込みづらかったのが残念。
51.少女地獄/夢野久作（角川文庫）
ドグラ・マグラといい表題作といい、徐々に何が真実で何が虚構なのか境界線が解けてくる。あわわ。
表題作以外はあまり面白くなかった。
52.ダンス・ダンス・ダンス（上巻）/村上春樹（講談社文庫）
53.ダンス・ダンス・ダンス（下巻）/村上春樹（講談社文庫）
巷では実験作との扱いで評価はまちまちですが、相当面白かった。
シリーズ内では一線を画し、名前という具体性を持たされたことが逆に背景をぼやかすことになって、不透明性が増した印象です。
54.青き犠牲/連城三紀彦（文春文庫）
よく言えばまとまってる、悪く言えば縮こまっている。
ミステリとしては退屈な作品。作者の三人称による心情描写が巧いので何とか読めた。この頃からミステリ作家というよりは恋愛作家の趣が強くなったのかしらん。
55.ダックスフントのワープ/藤原伊織（文春文庫）
ハードボイルドの力強さが初期作品から滲み出ている。落とし方が冷徹です。
絶望することはないけど希望を持つことも何もない。
56.少女には向かない職業/桜庭一樹（創元推理文庫）
直木賞を獲ったお陰で、雲一群隔てた高い位置に行ったような気もしたけど、ラノベ書いてた頃とさほど変わってない印象を受けました。センシティブそのまま洗練されたような。
個人的には、ミステリの指す方角が一番最後の台詞だった。
57.リロ・グラ・シスタ/詠坂雄二（カッパノベルス）
うわ、かなり好きこの作品。雰囲気とか話とかキャラの造形とか。
ただ、伏線の張り方が下手というか露骨というか。あまり多く張らなくてもいいんだけどね、頁数も厚くないんだし。
58.となり町戦争/三崎亜記（集英社文庫）
タイトルを見たときの印象は、軽い感じのユーモア溢れる話だと思ったんですが、ひたすら真面目な内容に肩透かし。
しかし戦争をテーマにした作品として訴えかけるもの以上に、エンターテインメントとして楽しめた。
「喪失」と「獲得」か…。
59.ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件（上巻）/橋本治（徳間文庫）
60.ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件（下巻）/橋本治（徳間文庫）
タイトルからはミステリの匂いを漂わせており、実際ミステリではあるんですけどそれ以上の違う側面が背後にそびえている。ミステリと言うジャンルに、青春ユーモアなる言葉が付随しているところに注目。
これはアンチミステリと捉えるべきなのか。個人的にはそんな括りではないと思いますが。口語体というくだけた語りがまたいじらしいね。
61.狼なんかこわくない/庄司薫（中公文庫）
寡作な作家でもある庄司薫の、処女作『喪失』から赤黒白青の四部作を書いた契機と道程を青春の構造と合わせて書かれた作品。『喪失』から10年間の沈黙についてなどが非常に興味深い内容。
そういえば白と青の感想書いてないな、読んだのに。
62.楢山節考/深沢七郎（新潮文庫）
姨捨山についての解釈としてこういうものもあるよなァと改めて考えさせられた作品。
63.六枚のとんかつ/蘇部健一（講談社文庫）
最初の1話目を読んだ時は壁に投げつけてやろうかと思ったけど、いくつかは唸らされた作品もあって面食らった。『占星術殺人事件』のパロディとしては表題作はなかなかに面白い。
64.シュルレアリスムとは何か/巌谷國士（ちくま学生文庫）
日本の風俗において使われる「シュール」と元来の「シュルレアリスム」を紐解いていきつつ、メルヘンとユートピアへと移行していく様はなかなか面白い。
64.ずっとお城で暮らしてる/シャーリィ・ジャクスン（創元推理文庫）
怖い。ひたすら怖かった。
幼年時代に童話を読んで怖くなったような恐怖感。人間心理の巨悪ってのはこうも恐ろしく表現できるものなんだなァ。
65.ステーシー 少女ゾンビ再殺談/大槻ケンヂ（角川ホラー文庫）
こちらはホラー文庫だけど怖いよりも切ない。一度死んだゾンビを殺すというとバイオハザードをプレイするように行為自体が娯楽としてのものばかり体験してきたけど、改めて生人から死者、そしてゾンビという過程を追って見つめれば心が悼むなァ。
66.ぼくと、ぼくらの夏/樋口有介（文春文庫）
20年近く前の作品と思えないほど色褪せない。読み終わった後に元号が昭和の作品だということに気付いた。爽やかだなァ。良作。
67.月の扉/石持浅海（光文社文庫）
読了した後に感じたことは、あらすじでまとめて読めば十分な作品だったかなと。素材は綺麗に並べたけど調理には手をあまりかけず味付けがなっていないというか。
登場人物が最初から最後までシルエットの影絵から出られなかった。師匠とか言われても想像もつかないし現実感もないふわふわした感じ。
68.ぼくが猫語を話せるわけ/庄司薫（中央公論社）
猫についてのエッセイだと思ってたけど中盤は猫とか関係なし話が多々あった。いや、いいんだけどさ。
猫と犬の差異についての言及が各々あって面白かった。猫はかわいい。
69.白鳥の歌なんか聞こえない/庄司薫（中央公論社）
70.ぼくの大好きな青髭/庄司薫（中央公論社）
71.風少女/樋口有介（文春文庫）
軽いハードボイルドを洗練させた作品。軽い、という特徴が作品自体を軽んじられてしまう面もありますが、そこは好みの問題。
ぼく夏が青春の真っ只中の真夏なら、風少女はまぶしかった日々も残暑も去っていった晩秋といったところか。
72.翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件/麻耶雄嵩（講談社文庫）
途中で燃やしてしまおうかと思えるほど大胆な、というか馬鹿げた推理が始まったのですが読了してみると唸る作品。アンチミステリの一種だろう。
73.銀の檻を溶かして/高里椎奈（講談社文庫）
第11回メフィスト賞受賞作品。全体を通して不自然な流れが引っかかって気持ちよくない。シンメトリーの美しさもアシンメトリーの不気味さもどちらも獲得しえていないこのもどかしさ。
妖怪とか悪魔とかファンタジー要素を取り入れたなら惜しみなく活用すればいいのに、ただの無用なガジェットと化している。文庫版では表紙にイラストがつけられており、そこから受ける印象の通りの作品。コバルト文庫か。
74.火蛾/古泉迦十（講談社ノベルス）
第17回メフィスト賞受賞作品。初っ端から専門用語の羅列で読みづらく入り込みにくい。その割りに主人公が推理を展開する場面とかは一般的な語り口でなんとなく違和感。
宗教の題材から収斂するところが美しいとは感じられました。
75.QED 百人一首の呪/高田崇史（講談社文庫）
百人一首についての考察は面白かったけど、そこに殺人事件を無理やり挿入した感が否めない。肝心の事件の顛末についてはかなり唖然とさせられた。
続刊以降もこんな本質と事件の乖離作品な気がして怖いです。
76.禍家/三津田信三（光文社文庫）
ホラーミステリはあまり読んだことないのですが、なかなかよかった。ミステリとしては甘い点がたくさん見受けられましたが、ホラーとしては上手くできてるなと。特に最後の余韻の残し方が。
77.時の娘/ジョセフィン・テイ（ハヤカワ・ミステリ文庫）
ヨーロッパの歴史について多少知ってればかなり楽しく読めると思います。僕は世界史に疎いので入り込みづらかった。
しかし歴史ミステリの名作と謳われる作品だけあって実に緻密な構成の仕方。上手いな。
78.理由あって冬に出る/似鳥鶏（創元推理文庫）
タイトルセンスには目を瞠るものがあると思いましたが、内容は薄い。事件のトリックは悪くないと思いましたが、青春ミステリとして学園モノを書かれてるのにその群像の存在感が薄っぺらく感じられて不満。表紙に描かれてるキャラが、男は主人公だろうけど女が誰なのかさっぱりわからないし。キャラの容姿くらいちゃんと描写してくれ。
79.記憶の果て/浦賀和宏（講談社ノベルス）
本を読んでるときって漠然としたイメージの音楽が頭に浮かぶんです、僕は。名のある曲じゃなくて雰囲気だけが窺い知れる様な抽象的なものですけど。
この作品は、作中に音楽について多々触れられるところがあるのですが僕の頭の中は読了するまでひたすら静寂とした雰囲気が漂ってました。イメージが最後まで浮かばない。登場キャラの顔を思い浮かべようとしてものっぺらぼう。あまり受け付けない作品でした。
80.喪失/福田章二（中公文庫）
庄司薫のエッセイで作品テーマについて既知でしたから注意を向けて読むことが出来た。
81.僕は模造人間/島田雅彦（新潮文庫）
これはいい萌え小説。
82.ストリート・キッズ/ドン・ウィンズロウ（創元推理文庫）
アメリカらしいハードボイルドの中に少年の稚気がにじみ出る文体が魅力。終盤の展開はハラハラする焦燥感が読者にまで伝わる探偵小説でした。
83.ロボット(R.U.R)/チャペック（岩波文庫）
小説だと思ったら演劇だったんですね。文章も会話で占められており慣れないお陰で新鮮でした。
ロボットの、人工知能の、作られた命の行く末を予言している作品でした。これを読むと美少女メイドロボットを見る目も変わる。
84.夏の口紅/樋口有介（角川文庫）
樋口有介の作品をジャンルとして分類すれば、ライトハードボイルドという造語がかなり如実に表せていると思う。
85.ノムさんの目くばりのすすめ/野村克也（プレジデント社）
名捕手、名監督として名高いノムさんの実体験からくる目配りの極意を、会社という環境に置き換えて説明されています。
ノムさんが関わった人たちについての実話が非常に面白かった。今の野球界と違って当時はドラマが渦巻いてたんだな。
86.『クロック城』殺人事件/北山猛邦（講談社ノベルス）
物理トリックって聞いていたので正統派の作品だと思っていたのですが、設定の多くにファンタジーでファンシーなところがあって面食らった。世界が滅ぶとかゲシュタルトとか。十一人委員会なんて中二病かと思われる。
しかし物質の北山との誉れ高いだけあり、トリックのロジックはなかなか面白かった。ああ、物質だなと。
87.優しいサヨクのための嬉遊曲/島田雅彦(福武文庫）
ウブな作品過ぎて読んでるこっちが赤面してくる。
悩んだり苦しんだりしたくないなら考えなければいいのです。
2008年03月31日(月) 23:52:05 Modified by dokusho3