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帰宅部

プロフィール

 小学生の頃に星新一から入って筒井康隆に流れたクチです(その割りに筒井をいっぱい読んでるのは今年ですけど)。

読書状況

1. 哲学 / 島田 紳助・松本 人志 (幻冬舎文庫)
 裏表紙の説明書きによると「二人の異才の全思考」だそうです。前半は互いを交互にベタ褒めし合い、後半は色々なことについての二人の「人生哲学」が語られています。

 謙遜ゼロですね。松ちゃんの「自分は凡人どもとは違う」的な発言はいっそ痛快なくらいですが、紳助のそれはただひたすらイラつきます。これは完全にテレビによって形成された先入観が影響してますけど。まあ、興味深い本ではありました。

2. ごたごた気流 / 星 新一 (角川文庫)
 幾つかちょっと説明過多な掌編が目に付いたけど、おおむねよかったですよ。「品種改良」が特に好みです。あとは、巻末についてる星新一へのインタビューが結構興味深かったですね。

3. 串刺し教授 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 17編の掌編。実験的な、っていうんでしょうか、読みづらいのが多いですね。それが面白さに転化しているのもあれば、「読みづれーな」っていうのもあります。

4. 薬菜飯店 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 短編集。視覚的な、「絵」が浮かんでくるのが多いですね。薬菜飯店超行きてー。

5. 織田信長(上) / 南條 範夫 (徳間文庫)
 南條範夫っていう名前は「シグルイ」で知りました。
 上巻の信長はひたすらカッコイイですね。下巻に入るとだんだん理不尽な怒り方になってきますけど、このあたりは身内には寛大で。叡山焼き討ちの裏に濃姫の死があったっていうのは、いいエピソードだと思いました。

6. 織田信長(下) / 南條 範夫 (徳間文庫)
 話が進むごとにどんどん血なまぐさくなっていきます。
 梟雄・松永久秀がいいですね。ピカレスクヒーローみたいで。

7. 御手洗潔の挨拶 / 島田 荘司 (講談社文庫)
 短編集。最近短編集ばっかり読んでる気がします。
 手がかりはちゃんと出ているようで、推理しようと思えばできるかもしれませんが、「やられた!」って感じはあまりありません。「腑に落ちねーなー」ってのが率直な感想です。僕の頭が悪いせいかも知れませんけど。

 まあ小説の部分はおいといて、すごいのがあとがきにあたる「御手洗潔の志」です。御手洗潔は一般的日本人へのアンチテーゼだという論調で、「一般的日本人」をこきおろすんですが、なんだかなぁって感じ。一言で言うと噴飯もんです。

8. 迷路館の殺人 / 綾辻 行人 (講談社文庫)
 館の見取り図が面白いなあ。普通の迷路。十角館とかはまだ実際にないでもなさそうだけどこれは完全になさそう。

 推理小説なんで、トリックとかについては詳しく触れませんが、面白かったですよ。

9. 豊かさのかげに―「会社国家」ニッポン / 佐高 信 (岩波ジュニア新書)
 日本は物質的には豊かになったけど、そのかげにある犠牲や変な構造を見ると、日本人がほんとうに豊かになったとはいえないんじゃないか、っていう本。特定の企業を挙げてこの会社は駄目だこの会社はエライってやってるのが多少気になったけど、興味深く読めました。

10. 笑点の謎 / 笑点探偵団 (河出書房新社)
 学校の先輩に貰った、いわゆる謎本。
 ちょっとしたクスグリがいちいち鼻につくんですが、内容はなかなか調べてあって面白かったです。一番「おおっ」って思ったのは、地方収録でのこん平の最初の挨拶は二本撮りの一本目が「ここで生まれて越後で育った」で二本目が「まだ若干余裕がございます」だっていうのですね。

11. 大阪学 / 大谷 晃一 (新潮文庫)
 大学の講義をまとめた本。いいですよ。
 途中、キタ、ミナミの地下街の話でクリスタ長堀の話が全然出てこなくて、あれ、おかしいなと思っていたけど、一昔くらい前の本だから当然でした。

12. 新編 悪魔の辞典 / ビアス著、西川 正身編訳 (岩波文庫)
 これは借りて読んだ本だけど、座右の書にしたいと思いました。
 小学生の頃に読んだ阿刀田高の本で、この辞典から幾つか引用されていて、その中の「友情」の定義が「天気のよい時には二人乗りだが、天気の悪い時には一人しか乗れない、そんな程度の大きさの船」(西川正身訳とは訳し方がちょっと違っていた気がする)とあって、その時は「船」っていうのは単なるたとえだと受け取っていたけど、今読むと "friendship" だから船かァ〜ってすごく腑に落ちましたね。

13. ホンキイ・トンク / 筒井 康隆 (角川文庫)
 なんか筒井康隆らしからぬ作品が多かった印象。ここでいう「筒井康隆らしい」っていうのは、例えばこの本だと『断末魔酔狂地獄』みたいな、くらいの意味です。
 面白くなかったわけじゃありませんよ。普通に面白かったです。

14. 日本語 新版(上)/ 金田一 春彦 (岩波新書)
 いろいろなトピックについて、外国語との比較を交えて日本語の特徴が挙げられています。個人的にこういうジャンルが大好きなのもあって楽しく読めました。

15. 着想の技術 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 エッセイの類をまとめた本。前半と後半でかなり性格が変わっています。前半のほうが「着想の技術」の解説を真っ向からしていて、後半はちょっとくだけた感じ。前半は興味深いことが書いてあったけれど僕には難しかったので、僕は後半が好きです。

16. 眠れぬ夜に読む本 / 遠藤 周作 (光文社文庫)
 随筆。最近こういうのばっかり読んでる気がします。
 なんか偏屈爺さんっぽさがそこここににじみ出てる気はするけど、なかなか面白かったです。

17. 短編小説講義 / 筒井 康隆 (岩波新書)
 普通のハウツー本ではなかったですね。短編を書こうって奴にはちょっとした肩透かしかもしれませんが、読み物としては面白いですよ。どんじりのスラップスティックの講義は短編小説を書く「姿勢」について書いてきたそれまでとは打って変わって技法の説明に終始していて、いかにも「やっつけ」た感じにニヤリとしました。

18. ジョークなしでは生きられない / 阿刀田 高 (新潮文庫)
 いかにも阿刀田高らしい感じ。面白かったですけど、おシモなネタに異様に偏っていたり、本人の他の著作で見たようなジョークや面白フレーズの類がちょこちょこ出てくるのがちょっと、って感じですね。

19. 大往生 / 永 六輔 (岩波新書)
 こういうのはやっぱり年いった人がやると説得力がありますね。1994 年の作ということで、この本に出てる人もすでに何人か亡くなってることにちょっとしんみり。

20. ことばの博物館 / 阿刀田 高 (文春文庫)
 毎回同じようなこと書いてるなって印象。半分以上あんたの本で読んだよって感じです。鉄板ネタってことなんでしょうかね。

21. 歴史人物 意外なウラ話 / 高野 澄 (PHP文庫)
 一行知識(トリビア)的な面白みには欠きます。

22. 大学教授になる方法 / 鷲田 小彌太 (PHP文庫)
 内容は題通り。これは面白い。確かに教授にもアホなのいますからねえ。
 ただ、偏差値50前後の人なら誰でも大学教授になれると言っておいて本人が阪大(とその院)出てますからちょっと「えー?」っていう思いはあります。

23. 第四 折々のうた / 大岡 信 (岩波新書)
 俳句、短歌をはじめとする短い詩歌を日にひとつ選んで解説をつけるという朝日新聞の連載を本にまとめたもの。特に俳句は解説がないと全然意味がわからないようなのって結構ありますから、なかなか面白かったです。

24. 特集・本の雑誌 3 活字の愉しみ編 / 本の雑誌編集部 編 (角川文庫)
 いかにも雑誌的な面白さっていうのか、軽く読めるのがいいですね。紹介されてる本に興味が沸きます。

25. 日本の方言 / 柴田 武 (岩波新書)
 福井弁への言及がきわめて少ないことに憤慨。たとえば「あっぱ」って単語が出てきても東北地方で「母」と「おし」(言葉を喋れない人)の意味があるとしか説明されず、福井弁の「大便」の意味は完全無視。まあそれは論旨があやふやになるから仕方ないと言われればそれまでだけど、無アクセントの話で福井弁を出せ!

26. 日本探偵小説全集 8 久生十蘭集 (創元推理文庫)
 久生十蘭は初めて読みました。昔の雰囲気がいいですね。顎十郎とかは「わかるかよ!」みたいなのが結構あるけど、思いのほかきっちり推理小説してます。

27. 死語読本 / 塩田 丸男 (文春文庫)
 そもそも「読本」ってのが死語じゃないんですか。

28. 詭弁の話術 即応する頭の回転 / 阿刀田 高 (角川文庫)
 いかにも阿刀田高らしい感じ。面白かったです。特に前半がいいですね。

29. ポケット・ジョーク1 禁断のユーモア / 植松 黎 編訳 (角川文庫)
 異様に艶笑ジョークが多いと思ったら、少なからずそういう意図があったんですね。ジョークって広がるのが早いから、こういう類の本ってもう既に知ってる話がかなり入ってきたりするんですが、これはかなり新鮮味があってよかったです。

30. あいまいな日本の私 / 大江 健三郎 (岩波新書)
 講演を文字に起こしてまとめたもの。
 ガッチリ一貫した考え方が見て取れて興味深かったです。
 (笑) の部分でいまいち笑えないのが玉に瑕。

31. ハサミ男 / 殊能 将之 (講談社ノベルス)
 数年前に読んだのの再読。
 最初読んだ時は気付かなかった部分に気付いたりして、また違った面白さを発見しました。

 これは傑作なので未読の人は読むように。

32. 文学部唯野教授 / 筒井 康隆 (岩波書店、同時代ライブラリー97)
 すげえ労作。そしてそれを感じさせない軽さがあります。
 最初はなんだか、筒井康隆らしからぬ印象をちょっと受けたけど、たとえば唯野教授の饒舌とか、教員達の気持ち悪さとかは筒井ならではですね。後期の講義が気になる〜。

33. 大学受験ポケットシリーズ 浪人しないで何が人生だ! / 牧野 剛 (学研)
 予備校教師特有の、と言っていいかわからないけど、ひどく鼻につく感じ。説明しづらいんですけど、言葉をオブラートに包むようなことをせずに断定的なことを言うと、それが一般常識と離れているほどイライラするってことでしょう。あと、誤字が多い。

34. ブラスト公論 〜誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない / 宇多丸(ライムスター)前原 猛 高橋 芳朗 古川 耕 郷原 紀幸 (SHINKO MUSIC)
 HIPHOP 雑誌 "BLAST" に連載されていた座談会。HIPHOP 雑誌に載っていましたが HIPHOP がらみの話題はほぼありません。一回目二回目は普通に HIPHOP の話をしていたそうですが、没になっています。
 やはりこの本のスタンスとしては副題の「誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない」っていうのが象徴的ですね。いわゆる斜めからの視線、イルな目線でもって世の中のいろいろな物を俎上にあげています。会話を文字に起こしているとはにわかに信じがたいくらい整然とした熱弁と、一言でガーンと決めるパンチラインの秀逸さが兼ね備わっていてとても面白いですよ。

35. 私説博物誌 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 いろいろな動植物、珍しいもの、よく知られていないものを中心に架空のものまでをとりあげ、その生態を人間社会にスライドさせて論じるっていう感じのエッセイ。
 内容もさることながら、とりあげられている動植物そのものがすごく興味深いですね。動物学者の父親の監修が入っているだけあって確かさが感じられます。

36. やつあたり文化論 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 世の中の不合理に怒ったり他作家について論じたりしてるエッセイ集。昭和54年発行ということで、時事的な話題にふれるエッセイとしては避けられないことなんですけど今の文脈だと読み取るのが難しい部分がちょっとありますね。今読んでも十分面白いですけど、30年前に学生だったらもっとガッチリきてたと思います。

37. 動詞の考察 / 佐野 洋 (講談社文庫)
 いろいろな動詞(「合う」とか「切る」とか)を題にし、その題名ありきでストーリーが作られた、ミステリーの連作短編。
 佐野洋っていうのがまた、締め切りぎりぎりにならないとアイデアが浮かばない作家だそうで、題名だけでも渡せと編集者にせっつかれているうちに思いついた窮余の一策というのがこの方法だそうです。

 内容については、よくまとまっていると思えるけど、そつがなさすぎるきらいがありますね。

38. メタモルフォセス群島 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 短編集。『走る取的』がぶっちぎりだと思います。以前傑作選みたいな本で一度読んでるんですけど、やっぱりこれ怖いですよ。詳しいことはこの本の解説で集中的に論じられているので割愛しますけど。
 あと、『喪失の日』はギャグ漫画より笑えます。その二作が特に印象に残った感じですね。

39. 死に方・辞め方・別れ方 / 邱 永漢 (PHP文庫)
 僕の感覚にはそぐわないです。

40. 水晶のピラミッド / 島田 荘司 (講談社文庫)
 延々と無駄な話を読まされていると思ったら、だんだん一つのストーリーに収斂していくのが気持ちいいですね。御手洗登場前後のシーケンスはテンションが上がります。

41. 俗物図鑑 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 筒井的悪趣味の金字塔みたいな感じ。

42. 時をかける少女 <新装版> / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 三篇入ってたけどやっぱり一番は表題作ですよ。致死量の甘酸っぱさ。

43. DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 / 西尾維新 (集英社)但、立ち読み
 これ、単にデスノートのノベライズとして読む人は結構戸惑うでしょうし、納得がいかなかったりするでしょうね。維新は漫画的っちゃ漫画的な文章を書く人ですけど、デスノートの世界観からはちょっとずれてるようで、違和感は消せません。とはいえ、西尾維新の作品として読むとすごくいいし、ノベライズとしても良作だと思います。

44. 変身 / カフカ (新潮文庫)
 思ったより普通に面白いです。寓意を読み取るとか、大学の文学部的な読み方をしなくても読めちゃいます。もちろん深く読めば深く読めるんでしょう。

45. 異邦人 / カミュ (新潮文庫)
 『変身』と続けて読んだけど、これは文学部志向がやや強いかな。「太陽がまぶしかったから」って言葉があまりに有名で、ただただ主人公ムルソーの行動原理が狂っていると思われがち(かは知らないけど僕はそう思っていました)ですけど、読んでみると結構、ムルソーの感覚の方が彼のまわりの「社会通念」より共感できることも多いんですよ。それでも最後までムルソーに感情移入し続けることはできませんけど。テーマとしては「社会通念と、そこからはみ出して折り合いをつけられない『異端者』との対立」みたいな理解のしかたでいいのかな。

46. 怪しい人びと / 眉村 卓 (新潮文庫)
 ショートショート。星新一に慣れ親しんできた僕としては、この宙ぶら感が新鮮でもあり、気味悪くもありって感じですね。

47. われ笑う、ゆえにわれあり / 土屋 賢二 (文春文庫)
 いかにも名物教授って感じですね。爆笑はしませんけど、たとえば最後の哲学についての話とか、ちょっとクスグリを入れていきながら真面目な話をかみくだいて説明するあたりは「この人いい先生なんだろうな」と思いました。

48. 言語学とは何か / 田中 克彦 (岩波新書)
 著者が言語学の人だからなのか、あるいは言語学って学問の特性なのかは知りませんけど、こういう類の本にしてはかなり読みやすいです。内容も面白かったです。

49. if の迷宮 / 柄刀 一 (光文社文庫)
 新本格だなあ。謎解きに専門的な知識が必要だっていうのはどうかと思わないでもないですけど、それだけにラストの衝撃はでかいですね。最先端医療のウンチク本としても読めますし、考えさせられる部分もあります。

50. 小僧の神様・城の崎にて / 志賀直哉 (新潮文庫)
 味わい深くていい作品が多いですけど、一番有無を言わさず名作なのは「小僧の神様」でしょうね。

51. 羅生門・鼻 / 芥川龍之介 (新潮文庫)
 なんかかてえなーって印象。純文学的なとっつきづらさはもともとそんなにないと思うんですが、古典を下敷きにしているのがそのとっつきづらさを増幅させてる感じがしますね。

52. 似ッ非イ教室 / 清水義範 (講談社文庫)
 エッセイに見せかけた短編集。どこまで本当でどこからホラかが曖昧な感じがいいですね。

53. ジャンケン入門 / 清水義範 (角川文庫)
 短編集。バラエティに富んでるなあって印象。よくも悪くもスッと読めるものばかり。

54. 猫丸先輩の推測 / 倉知 淳 (講談社ノベルス)
 人は死なないけどまぎれもない本格推理。これは面白いですよお。

55. 汝みずからを笑え / 土屋 賢二 (文春文庫)
 ナンセンスなユーモアエッセイにちょっと深いめのテーマをちょこちょこ紛れ込ませているのがにくいですね。だいたい口元で笑う程度におさまる面白さですけど、時々爆笑のパンチラインが飛び出します。

56. A 先生の名推理 / 津島 誠司 (講談社ノベルス)
 短編集。冒頭の荒唐無稽な事件とか文体とかが乱歩の少年探偵団を彷彿とさせます。奇想天外な出来事に現実的な説明をつけていくわけですが、この直前に「猫丸先輩の推測」を読んでいるのでそれに比べると少し落ちます。「ニュータウンの出来事」がバカパクとシブ知を兼ね備えていて好きです。

57. 歪んだ創世記 / 積木 鏡介 (講談社ノベルス)
 いいメタミステリですね。詳述は避けます。

58. 喰寝呑泄(くうねるのむだす) / 椎名 誠 (集英社文庫)
 対談集。「発作的座談会」みたいなヨタ話を期待していたんですが、それとは別の面白さ。なんていうか、ある種の凄みみたいなものがあります。

59. 雪密室 / 法月 綸太郎 (講談社文庫)
 新本格黎明期の息吹を感じます。法月綸太郎シリーズのはじめということですが、後味がよくない終わり方。それとはまた違うんだけど、三毛猫ホームズの一作目が暗い終わり方だったのを連想しました。

60. 記憶の果て / 浦賀 和宏 (講談社ノベルス)
 暗さと重さと不安定感。提示された「謎」が幾つか宙ぶらのまま終わっててしっくりこないと思ったら、もろもろの謎は続刊で明らかになってくらしいですね。あと、痛みの描写が生々しくて生理的にイヤです。

61. 星降り山荘の殺人 / 倉知 淳 (講談社文庫)
 ガチガチの本格ミステリ。本格慣れしてる人はアッサリわかっちゃうだろっていう派手なミスリードの印象が強いですが、伏線の張りかたとか解決の際の論理展開とかが結構渋くていいです。ただ、提示される「謎」にぜんぜん魅力がないのが難点か。

62. 日本傑作推理12選 第2集 / エラリー・クイーン 編 (光文社文庫)
 古きよき時代の推理小説。今の本格に比べたら単純ですわな。といっても面白くないわけじゃないですよ。

63. 倒錯の死角(アングル) 201号室の女 / 折原 一 (講談社文庫)
 細かい違和感は結構多いんですけど、まあすごいどんでん返しです。このすべての謎を回収する最後の「予後」の章が怖いですね。みんな狂ってる。

64. われ大いに笑う、ゆえにわれ笑う / 土屋 賢二 (文春文庫)
 一定の面白さはあります。けど慣れたかな。

65. 黒い雨 / 井伏 鱒二 (新潮文庫)
 感想が書きづらいなあ。原爆の悲惨さを真っ向から描いているんだけど、グロさを感じるような書きぶりではなく、読みやすかったです。

66. やっとかめ探偵団 / 清水 義範 (光文社文庫)
 推理小説として読むといまいち。推理小説の皮を被った単純娯楽小説として読んだほうがよさそうです。

67. パスティーシュと透明人間 / 清水義範 (新潮文庫)
 エッセイ集。「エッセイは苦手だ」と冒頭で宣言するわりに典型的なエッセイ集です。

68. 小松左京ショートショート全集(1) (ケイブンシャ文庫)
 昔懐かしい正調SFショートショート。いいです。

69. みだれ撃ち瀆書ノート / 筒井 康隆 (集英社文庫)
 この wiki をずっと面白くした感じ、なんて比べるのも失礼ですね。読んでる本のジャンルの広さがすごいです。僕はほんとに偏った読書をしてるから、もっといろんな本を読まなあかんな、と再認識しました。

70. 普通人名語録 / 永 六輔 (講談社文庫)
 思わず共感がわく台詞もあれば、「こういう見方もあるか」っていう台詞もあり、面白いです。発言の傾向で大まかに分けると、年長者が若者に文句を言う系統のが特に面白いです。

71. 化人幻戯 / 江戸川 乱歩 (角川ホラー文庫)
 角川ホラー文庫て。まあ表題作はホラーって言っても通るかな……? 基本的には古きよき探偵小説なんですけど。

72. 11枚のとらんぷ / 泡坂 妻夫 (創元推理文庫)
 文句なしに面白い。

73. 真説 謎解き日本史 / 明石 散人 (講談社文庫)
 検証によって日本史の常識を覆す本。面白いっちゃ面白いけど、「私」(つまり作者)断定的に語る場面でしばしばひっかかりを覚えます。本筋と関係ないところでは、どんどん「私」が粗暴になっていくところが面白かったです。

74. 獄門島 / 横溝 正史 (角川文庫)
 傑作ですね。猟奇趣味とトリックの両輪ががっちりかみ合っています。ただ、犯人当てっていう観点からいくと当てるのはほとんど不可能ですよ。

75. 鳥玄坊 根源の謎 / 明石 散人 (講談社文庫)
 歴史ミステリと銘打たれていますが、ほぼ SF です。いろいろと資料を使い、リアリティはないんですけど説得力はあります。漫画化したら面白そうな作品。

76. 悪魔の手毬唄 / 横溝 正史 (角川文庫)
 獄門島と比べるとやや落ちますね。金田一耕助譚では往々にして被害者が出揃わないと真相は看破できないものですが、今回は特に捜査陣がボンクラに見えます。

77. ポケット・ジョーク 2 男と女 / 植松 黎 編・訳 (角川文庫)
 ジョークの一類型としてポピュラーな「男女関係」にまつわるジョークが集められています。まあ25年ほど前の本なので、伝播するのが早いというジョークの特性上、半分近くはもう聞いたことがありました。

78. 犬神家の一族 / 横溝 正史 (角川文庫)
 このドロドロ感、たまりませんね。有名な水面から足だけ突き出した死体はビジュアルしか知らなかったけど、その詳しいところを知れて「なるほど」と思いました。

79. 麦酒の家の冒険 / 西澤 保彦 (講談社文庫)
 論理の純度が極めて高いんですけど、それだけにどことなく丸め込まれた印象。

80. 原始人 / 筒井 康隆 (文春文庫)
 ほんとに、筒井康隆っていろいろな系統の小説を書きますね。『読者罵倒』は思い当たるところもあってどきりとしました。

81. まじめ半分 / 阿刀田 高 (角川文庫)
 やや高年齢向けっぽい感じ。高尚さとかそういう意味ではなく「目線」みたいなものがリーマンを対象にしているっぽいです。

82. 彼女が死んだ夜 / 西澤 保彦 (角川文庫)
 最後のくだりが蛇足じゃないかと思わないでもないけど、すごくいいです。

83. ギリシア神話を知っていますか / 阿刀田 高 (新潮文庫)
 ギリシア神話の面白いとこを抽出した解説本。わかりやすくて面白かったですよ。

84. 日本探偵小説全集1 黒岩 涙香 小酒井 不木 甲賀三郎 集
  (創元推理文庫)
 かなり読みでがあります。分量じたいが普通の二冊分くらいあるし、戦前だけに文章がやたら難しいんですよ。先日漢字検定の一級を受けたとき(結果はまだ来ていないけど多分落ちてます)はこんな単語日本人が使うのか? と思ったものですけど、使ってるんですねえ。
 内容は、戦前の探偵小説なんてどうせお粗末なトリックだろうと思ったらなかなかどうして感心しました。時代性からくるものかどうか知りませんが怪奇趣味みたいなものが漂っているのもよかったです。

85. 孤島の鬼 / 江戸川 乱歩 (創元推理文庫)
 この悪趣味さがたまらないですね。

86. 十角館の殺人 / 綾辻 行人 (講談社文庫)
 渾名で呼び合っているあたり金田一少年のノベライズのなんかの本を思い出しました。もちろんあっちがインスパイアですけど。

87. 文鳥・夢十夜 / 夏目 漱石 (新潮文庫)
 へー、夏目漱石ってこういうのも書くんだー、って感じですね。ショートショートみたいな短いのが寄せ集まってるんですけど、やっぱりひとつひとつが文学作品然としています。

88. トップランド2001 天使エピソード1 / 清涼院 流水 (幻冬舎文庫)
 清涼院にしては普通。現実のニュースを年表式に羅列するのに閉口。前作トップランのラッパー少年狼(人名)の兄として青年狼(人名)がレゲエDJで出てくるのはほんとに無駄な設定だと言わざるを得ませんな。

89. トップランド2002 戦士エピソード1 / 清涼院 流水 (幻冬舎文庫)
 打ち切り。大風呂敷を広げきる前に無理から終わらせた印象。やはり終わらせ方が不評だったのかこのあと「トップラン&ランド完」っていう総括みたいなのが出てます。
 年表がウザイ。

90. 宇宙衞生博覽會 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 グロいなあ。現実にはありえないシチュエーションでこのグロさをありありとイメージさせるのはさすがですね。

91. 私は作中の人物である / 清水 義範 (講談社文庫)
 実験的な短編集。『船が州を上へ行く』が好みです。

92. 亜愛一郎の狼狽 / 泡坂 妻夫 (創元推理文庫)
 連作短編。手品師だけにギミックが冴えてます。特に第一話は奇想天外。

93. 危険な童話 / 阿刀田 高 (新潮文庫)
 短編集。さすが危なげなく、綺麗にまとまっています。

94. 人間失格 / 太宰 治 (新潮文庫)
 主人公と周りの人間が遊離している感じが空恐ろしく思えました。こっちは主人公に感情移入して「俺にもこういうところがあるかもしれん」くらい思って読んでいるので、それが「世間」と相容れないようすを淡々と書かれると、やっぱり怖いですね。

95. 「三日で修得できる速読法」殺人事件 / 若桜木 虔 (光文社文庫)
 タイトルと最初の数ページで「これは奇想天外な仕掛けがありそうだ!」とワクワクして読んだら、すげえ普通でした。

96. キムラ弁護士が駈けてゆく / 木村 晋介 (角川文庫)
 椎名誠一派らしい軽妙な筆致で、内容も――僕が法学部だからというのもありますが――興味深いことがたくさん書かれていました。

97. ターゲット / 清水 義範 (新潮文庫)
 この作家らしくなくホラー短編集ということですが、そう怖くはないです。ホラーというかホラーのパロディですね。ただし「オカルト娘」はガチで怖いです。

98. 長い家の殺人 / 歌野 晶午 (講談社文庫)
 トリック自体はなんだかスカッとしない印象を覚えたけど、設定とか道具立てはよかったです。

99. 普及版 日本文学全集 第二集 / 清水 義範 (集英社文庫)
 日本文学の本歌取りをした短編集。題材になった文学作品の中では東海道中膝栗毛を途中まで読んだことがあるくらいだけど、楽しめました。

100. どくとるマンボウ航海記 / 北 杜夫 (新潮文庫)
 いかにも頭いい人が面白い文章を書いてる感じ。さらっと読めて面白いですよ。

101. 日本一短い「母」への手紙 一筆啓上 / 福井県丸岡町 (角川文庫)
 わが福井県の名物の一つ、一筆啓上ですけど、「紙面が足りずにいい作品を載せ切れなかった」みたいなことを言う割にはレイアウトがスカスカだな!

102. 普及版 世界文学全集 第II期 / 清水 義範 (集英社文庫)
 日本文学に輪をかけて世界文学の素養がないせいかもしれませんが、日本版のほうが面白いと思いました。

103. クスリ通 / 唐沢 俊一 (幻冬舎文庫)
 唐沢俊一はなかなか雑学の底を見せませんね。他の著作と重複する部分がわりと少ないです。

104. 刑法おもしろ事典 新版 / 和久 峻三 (中公文庫)
 ウケを狙いに行くとやや滑るけれども、実例を豊富に引いて、クイズ形式でかなりわかりやすく刑法が説明されています。

105. 素敵な活字中毒者 / 椎名 誠・選 日本ペンクラブ編 (集英社文庫)
 活字中毒者や書籍収集家、本盗人について書かれたいろいろな文章が集められていて、かなり読みでがあります。そんなに晦渋なものはないけど、戦前に書かれたような旧字旧カナの文章もあって結構読書体力は必要だと思います。

106. 女王蜂 / 横溝 正史 (角川文庫)
 トリックがたくさん詰め込まれていて、贅沢な仕上がりです。過去の事件と現在の事件のつながりとか、金田一が襲われるくだりとか、正統的金田一譚のかおりを感じました。

107. ばかおとっつあんにはなりたくない / 椎名 誠 (角川文庫)
 中身はすっと読めるエッセイ・雑記。やっぱり目を引くのはタイトルですね。

108. くねくね文字の行方 / 椎名 誠 (角川文庫)
 身の回りのことを書くエッセイとして仕方ないんでしょうけど、自分で撮った映画の話が多すぎてちょっと辟易。

109. あくびノオト / 北 杜夫 (新潮文庫)
 エッセイと小説が一緒に収められているちょっと珍しい構成。独特な話題だという印象を抱いたけど、よく見るとトピックじたいはそう物珍しいものではないんですね。でもなんか独特な感じがするんですよね。語り口のせいかなあ。

110. 三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿 / 笠井 潔 (講談社文庫)
 ハードボイルドなんだけど、どこか金田一耕助感があります。過去の因縁が現在の事件に絡んでくる中盤とか特にそうですね。調査を積み上げていく段階は面白かったんですけど、謎を解体していく流れはちょっと残念でした。

111. 密室殺人ゲーム王手飛車取り / 歌野 晶午 (講談社ノベルス)但、立ち読み
 ネット上で推理ゲームの出題をするために実際に殺人を犯す人達の話。持ち回り制でいろいろな謎が提示されるので連作短編のような趣もありつつ、一冊通しての大ネタもありって感じですね。新本格純度が全編通してかなり高いんですが、ラストはまあ賛否両論でしょうな。

112. 時の流れに<噺歌集III> / さだ まさし (文春文庫)
 さだまさしのステージトークの文字起こしシリーズ。この本はデビュー10周年記念の全国七日間ブッ通しコンサート。喋りうまいですね、この人。

113. 李陵・山月記 / 中島 敦 (新潮文庫)
 面白いです。中島敦を読むのはこの本が最初で、もっと読みたいんですが、早世した人で著作がそう多く残ってないのが残念です。

114. 死体は知っている / 上野 正彦 (角川文庫)
 いろいろと興味深いことが書いてありました。ベテラン監察医なりの道徳観みたいなものが面白かったです。

115. 玄笑地帯 / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 毎回原稿用紙七枚と五行及び十二字で改行なしの即興的なエッセイ。話題があっちこっち行ったりして行き当たりばったりな感じだけどその実緻密に計算されているのが見え隠れします。面白いですよ。

116. 暗黒世界のオデッセイ / 筒井 康隆 (新潮文庫)
 雑多に色々詰め込まれている本です。表題作における「近未来」2001年観は当時の最悪の想定に沿っていたのか、2001年が過去になった今から見ると大袈裟にすぎる感じがありますね。こういう「未来への警鐘」が鳴らされた結果いい方に修正されていったのかもしれませんけど。
 一番興味深いのは筒井康隆が書いた漫画ですね。興味深いけどやっぱり小説の方が読みやすいです。

117. 未完成 / 古処誠二 (講談社ノベルス)
 自衛隊の内情は興味深いものがあったけど、最後にテーマ、あるいは問題提起みたいなのを露骨に出してきすぎて閉口。それと、あとがきがある意味一番のどんでん返し。

118. 言語姦覚 / 筒井 康隆 (中央公論社)
 寄せ集め感が強いですね。まあ普通に面白い、って感じですかね。

119. 文人悪食 / 嵐山 光三郎 (新潮文庫)
 すごい労作。面白いしためになります。

120. 法月綸太郎の功績 / 法月綸太郎 (講談社ノベルス)
 すらっと読める短編集。新本格のよさをいい作品集とは思うんですけど、若干強引さが鼻につきます。最後の『縊心伝心』はかなり秀逸。

121. 濹東綺譚 / 永井 荷風 (新潮文庫)
 ちょこちょこ読んだから正直あんまりよく覚えてないなあ。雰囲気はよかったけどスッとは読めないです。

122. 仰天・平成元年の空手チョップ / 夢枕 獏 (集英社文庫)
 プロレスラーの実名をいっぱい出した小説。いやあ、馬鹿ですねえ。作中で著者が言うように、無節操に面白さを追求したお話です。

123. 竹馬男の犯罪 / 井上 雅彦 (講談社文庫)
 ミステリーとしてはちょっと強引な印象を受けました。

124. 奇想、天を動かす / 島田 荘司 (光文社文庫)
 すごい完成度。しかしまあ某探偵漫画はパクリ方が露骨ですね。
2007年03月31日(土) 18:59:07 Modified by dokusho3




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