2021春試合結果
第一日(3月19日)
第一試合 神戸国際大付(兵庫) 3x−2 北海(北海道) (延長10回)
第二試合 明徳義塾(高知) 0−1 仙台育英(宮城)
第三試合 健大高崎(群馬) 6−2 下関国際(山口)
第二日(3月20日)
第一試合 宮崎商(宮崎) 1−7 天理(奈良)
第二試合 三島南(静岡) 2−6 鳥取城北(鳥取)
第三試合 東海大相模(神奈川) 3−1 東海大甲府(山梨) (延長11回)
第三日(3月22日)
第一試合 具志川商(沖縄) 8−3 八戸西(青森)
第二試合 福岡大大濠(福岡) 2−1 大崎(長崎)
第三試合 明豊(大分) 10x−9 東播磨(兵庫) (延長11回)
第四日(3月23日)
第一試合 市和歌山(和歌山) 1x−0 県岐阜商(岐阜)
第二試合 智弁学園(奈良) 8−6 大阪桐蔭(大阪)
第三試合 広島新庄(広島) 1x−0 上田西(長野) (延長12回)
第五日(3月24日)
第一試合 東海大菅生(東京) 4−3 聖カタリナ(愛媛)
第二試合 柴田(宮城) 4−5 京都国際(京都) (延長10回)
第三試合 常総学院(茨城) 9−5 敦賀気比(福井) (延長13回)
第六日(3月25日)
第一試合 中京大中京(愛知) 2−0 専大松戸(千葉)
第二試合 神戸国際大付(兵庫) 5−13 仙台育英(宮城)
第三試合 健大高崎(群馬) 0−4 天理(奈良)
第七日(3月26日)
第一試合 鳥取城北(鳥取) 0−1 東海大相模(神奈川)
第二試合 具志川商(沖縄) 4−8 福岡大大濠(福岡) (延長11回)
第三試合 明豊(大分) 2−1 市和歌山(和歌山)
第八日(3月27日)
第一試合 智弁学園(奈良) 5−2 広島新庄(広島)
第二試合 東海大菅生(東京) 5x−4 京都国際(京都)
第三試合 常総学院(茨城) 5−15 中京大中京(愛知)
第九日(3月29日)
第一試合 仙台育英(宮城) 3−10 天理(奈良)
第二試合 東海大相模(神奈川) 8−0 福岡大大濠(福岡)
第三試合 明豊(大分) 6−4 智弁学園(奈良)
第四試合 東海大菅生(東京) 0−6 中京大中京(愛知)
第十日(3月31日)
第一試合 東海大相模(神奈川) 2−0 天理(奈良)
第二試合 明豊(大分) 5−4 中京大中京(愛知)
第十一日(4月1日)
決 勝 東海大相模(神奈川) 3x−2 明豊(大分)
第一日(3月19日)
第一試合 神戸国際大付(兵庫) 3x−2 北海(北海道) (延長10回)
北海・木村と神戸国際大付・阪上はどちらも秋の大会の防御率0点台と両エースの投げ合いが期待された開幕戦。
実際、初回は両者とも全てのアウトを三振で奪う評判通りの立ち上がりを披露した。
だが、阪上は肘の状態が思わしくないらしく2回に満塁のピンチを作って早々に降板。
代わった楠本が即よんたま中出しと不安視されたがその後は粘りのピッチングを披露。9回まで北海打線を2点に抑える。
だが、対する木村はそれを上回る投球にサード・尾崎らの好守でバックアップ。
6回に不運な内野安打に加えて、お見合いポテンヒットによるタイムリーが出て1点こそ許したものの、
再三のピンチを封じて1点をリードしたまま9回の守り、1アウト一、三塁のピンチ。
ここで神戸・武本がスク水の構え、とっさに外した木村だったがキャッチャーがボールをこぼす間に三塁ランナーがそのまま生還。
記録上ホームスチールとなるプレーで追いつくと、2アウト二塁から9番・山里はレフト前ヒット。
しかし突っ込んできた二塁ランナーを今度は本塁で封殺、開幕戦からいきなり延長戦へ突入。
ロースコアの接戦にここまで鈍い動きだったスレがこの9回裏だけで一気に加速する。
サヨナラこそ逃したものの流れを掴んだ神戸国際大付は10回裏に満塁のチャンスを作ると代走から途中出場の関がサヨナラタイムリー。
この回もメイデンを二塁封殺するなど最後まで守った北海だったが中盤以降の追加点が無いのが響いて初戦で涙を呑んだ。
第二試合 明徳義塾(高知) 0−1 仙台育英(宮城)
常連同士なのに甲子園では初対戦となった一戦。開幕戦に続いてこの試合もロースコアの展開に。
2回に仙台育英が内野安打に送球エラーを絡めて作ったチャンスから遠藤のタイムリーで先制すると試合が膠着状態に。
守りから試合を作る、というフラグを立てた明徳義塾だったが、内野安打からの無理な送球エラー以外は好守備を連発。
内外野が際どい打球を再三ダイビングキャッチでピンチを救い、エース・代木は10安打を浴びながら2回の1点だけで凌ぐ。
だが、仙台育英は先発の古川が4回途中まで好投、自らもピッチャーライナーをダイレクトキャッチする守りを見せると、
2番手に登場したエース・伊藤の球が明徳打線にはまるで見えなかったのか、なかなかランナーを出すことができない。
明徳は9回に1アウトからよんたまのランナーを出して同点のチャンスを掴みかけたものの、
後続が角度詐欺のセンターフライとセカンドライナーに倒れてゲームセット。
結局伊藤からはノーヒット、試合通じて1安打では交流試合の再現もままならず。仙台育英が初戦明徳を乗り越えた。
第三試合 健大高崎(群馬) 6−2 下関国際(山口)
今年も校歌でスレを加速させた健大高崎は2回に長打2本を含む3安打で2点を先制。
機動破壊をバージョンアップさせたスペクタクルベースボールが今度こそ発揮されるかとスレの期待も高まる。
だが、その後は下関国際の先発・松尾とリリーフのエース・古賀が粘りの投球で7回までは0を並べ続ける。
逆に下関国際は初回の攻撃で健大高崎のお株を奪う盗塁を早々に披露。
坂原監督が足を使った攻めが狙いと語る中、下関国際がどんな攻めを見せるかが注目された。
そんな下関国際に待ったをかけたのが健大高崎のエース・高松。
普段はリリーフだった男が、徐々に球威が落ちながらも下関国際打線をきりきり舞いさせていく。
気がつけば3回にヒットが出て以降4回から8回まで下関国際の攻撃は全て三者凡退。ランナーが出なければ足も使えない。
そうこうしている間に8回、ついに下関国際・古賀が捕まる。健大高崎がようやくこの試合初盗塁を決めてスレを盛り上げると
直後に4番・小沢のミルクティーで大きな追加点。この後、下関国際のやらかしにもつけ込んで一挙4点、決定的な点差が付く。
下関国際は9回に先頭の思い出代打・染川がチームとして久々となるヒットを放って出塁すると、1番・片桐の長打で反撃。
キャッチャーファウルフライに対して三塁へのタッチアップを決めるなど持ち味の片鱗は見せたが反撃は2点止まり。
例の校歌を今回も甲子園とスレに響かせたトゥギャ崎が2回戦へコマを進めた。
第二日(3月20日)
第一試合 宮崎商(宮崎) 1−7 天理(奈良)
2回に天理が2点を先制したもの、中盤までは宮崎商・日高の力投。
天理のプロ注エース・達に負けじと緩急を生かして三振を重ねていく。
天理は学校自慢がまさかの強制終了に遭ったりと流れに乗りきれないまま前半を終了。
だが、序盤は制球の怪しかった達が徐々に中盤以降ギアを上げていくと打線もこれに呼応。
7回にはスレでも待望のワッショイが録音で流れると、待ってましたとばかりに相手のやらかしに付け込む。
まごころこと政所のタイムリーなどで決定的な4点を加えると、8回にも1点を加えて7点差とする。
なんとかしたい宮崎商は8回に1点を返したものの反撃はここまで。
7・8回のやらかしが重くのしかかってエース・日高とリリーフ・長友の力投に報いることはできなかった。
勝ち上がった天理は過去2回敗れているトゥギャ崎とのリベンジマッチへ。3度目の正直なるか。
第二試合 三島南(静岡) 2−6 鳥取城北(鳥取)
今年の21世紀枠の先陣を切るのは、学園の合言葉が自覚という三島南。
1・2回のピンチをエース・植松がしのぐと歴史上初校歌が流れた直後の攻撃で自覚ある最低限で見事先制。
一方で鳥取城北は牽制悪送球や、せっかく出塁した先頭打者が牽制で誘い出されてアウトになるなど、自覚が足りないとスレからも苦言が。
だが、5回に三島南は突如やらかしを連発。自覚ではなく自爆に付け込む形で鳥取城北が一気に3点を挙げて逆転に成功。
このまま鳥取城北が押し切るかに思われたが、三島南は6回に3番・前田のミルクティーでチャンスを作り、4番・小堂がタイムリーで追撃。
1点差に迫るとさらに続く5番・山田のサードゴロがやらかしを誘ってチャンスを拡大。
だが、このチャンスを三島南の後続が活かせず、逆転のチャンスという自覚が足りずに1点止まりで攻撃を終えてしまう。
三島南は7回にも得点圏にランナーを進めるが、鳥取城北の先発・廣田がここはエースの自覚を見せて無失点で踏ん張る。
逆に鳥取城北は9回にマウンドに上った三島南・前田を攻めると、よんたま、メイデンから松田の三塁打、さらに中木村も三塁打で続く。
最後はキャプテン・未来翔の最低限で3点。最終回の攻撃が大事であるという自覚があったか、これが完全にトドメになった。
その裏、廣田が自覚の足りないやらかしとすないぽでピンチを迎えるも最後はサードライナーゲッツーで締め。
ライナーのキャッチが微妙だったこともあってスレでは試合終了を自覚できなかったという声もチラホラ。
終盤まで食らいついた三島南だったが及ばず。鳥取城北はセンバツ初勝利、自覚を持って2回戦へコマを進めた。さて、自覚と何回言った？
第三試合 東海大相模(神奈川) 3−1 東海大甲府(山梨) (延長11回)
センバツでは初となる東海大対決。さらにチーム紹介ではともにアグレッシブを掲げるなどますます見分けのつかない一戦に。
どちらもランナーが出れば強攻に出るものの、お互いに堅い守りで隙を見せない。
相模の主将・大塚、甲府の中澤の両ショートを筆頭に、甲府・若山も好フィールディングで投ゴロゲッツーを2つも取るなど、
堅い守りによる3939進行で試合開始からたった50分であっという間に5回まで終了、スコアボードに0が並び続ける。
だが、後半に入って甲府・若山が乱れ始める。6回、先頭にヒットを許すと牽制がボークを取られてスレに潜むボークマニアを歓喜させると、
続く投球はバッターの背後にすっぽ抜けるARAKAKIとなりノーアウト三塁。相模が絶好の先制機を迎える。
それでもこの回はモンマの次男・功を三振に切って取るなど、後続を断ってピンチを凌いだものの、続く7回。
またも三塁にランナーを背負ったところで抜け気味の球をパスボール。まさかのバッテリーエラーで相模がついに先制する。
8回、甲府の先頭・猪ノ口がセンター前ヒット。センターの背後にハトの大群がいた事でスレが笑いに包まれるがこれが吉兆であった。
続くメイデンが内野安打、内野ゴロの間にランナー進むと4番・久井のタイムリーでついに相模・石川を捉えて同点に追いつく。
だが、続いて突入した逆転のランナーはやや暴走気味だったとはいえ門馬功の好返球で阻止。この回は同点止まりに。
9回、相模は先頭がすないぽで出るも、ダメイデンに加えて残ったランナーが牽制で誘い出されて挟殺。
モンマのアグレッシブベースボールが不発に終わると、その裏の守りでついにエース・石田をモンマがマウンドへ送る。
攻撃は当たらなかったもののこの継投はピタリ。甲府打線を3人で片付けて開幕戦以来となる今大会2試合目の延長戦に突入。
延長に入ってもダメイデン、エンドラン不発でランナー憤死など、試合が進むにつれて加速度的に空回るモンマ采配。
すると11回表、親父の不始末は息子が処理するとばかりに、門馬功が2ベースでチャンスメイク。
親父が動く余地を奪うと、続く主将・大塚がライト前に弾き返して門馬功が生還、4番・柴田にもタイムリーが出て大きな2点のリードを奪う。
その裏をエース・石田がアウトを全部三振で取ってゲームセット。石田は9回から登板して3イニングで三振を7個奪うピッチングであった。
秋の関東の雪辱を果たした東海大相模が、おなじみの眠くなる校歌を引き連れて2回戦へコマを進めた。
第三日(3月22日)
第一試合 具志川商(沖縄) 8−3 八戸西(青森)
センバツ史上3回目となる21世紀枠同士の対戦。どちらが勝っても歴史上初勝利となるカードとなった。
先手を取ったのは具志川商。2回の守りで八戸西の先制点をバックホームで阻止するとその裏にエンドランも絡めつつ4連打。
合間には八戸西のやらかしが挟まったこともあって一気に4点を奪うと、4回にはスク水を成功させてさらにリードを広げる。
守備の乱れが攻撃にも繋がったか、なかなかチャンスを作れないまま6点差を付けられてしまった八戸西。
7回、満塁のチャンスを作って2番・桐山のタイムリーで2点を返すも、後続は倒れて追いつかない程度の反撃に。
するとすかさず具志川商がその裏に追撃。振り逃げやディレードスチールを絡めてすぐに点差を6点に戻す。
具志川商は8回からリリーフとして主将・アグニを投入するなど経験値稼ぎモードに突入しつつ楽々逃げ切りに成功。
マモノが現れる余地すらなく、年度末の平日とはいえ1スレ目のうちに試合が終わるというまったりムードの中の試合に。
シュビノサから流れを掴めなかった八戸西は反撃も遅く完敗。歴史上初勝利は具志川商にもたらされた。
第二試合 福岡大大濠(福岡) 2−1 大崎(長崎)
秋の九州大会決勝の再戦、両チームともその時は温存されていたエースを先発のマウンドに送り込んだ。
初出場の大崎エース・坂本に対してまずは福岡大大濠打線が襲いかかる。2回に8番・松尾の2点タイムリーで先制。
なおも追加点のチャンスに1番・古川がセンターへの大飛球。これを大崎のセンター・池田がランニングキャッチ。
このプレーで賞賛の「池田ァ！」をスレに溢れかえらせ、これ以上の失点を防ぐ。
これで攻撃にも流れを……というところに立ちはだかったのが福岡大大濠エース・毛利。5回までわずか1安打ピッチングを披露する。
その後も大濠が再三チャンスを作るものの、大崎がしぶとく守って2点差をキープしたまま前半を終了。
後半に入っても6回は大崎がゲッツーでしのぎ、大濠・毛利は3者連続三振で片付けるなどと流れが変わらないかに思われた。
だが、大崎は7回に久々のヒット、さらに初の連打でチャンスを作ると、エース・坂本がジエンゴとなるタイムリーで1点差に。
なおもチャンスを迎えるものの、ここは二塁ランナーがキャッチャーからの牽制球で刺され、今度は大濠が凌ぐ形に。
9回、大濠は満塁のチャンスを作るものの大崎・坂本がZGSでしのいでその裏に流れを作りたいところだったが、
大濠のエース・毛利は最後まで隙を見せず。最後は今日2安打だった大崎の4番・調を打ち取って試合終了。
秋の九州での雪辱を果たした福岡大大濠が2回戦進出、次も秋の九州で戦った相手が待ち受けるが次は立場を変えて返り討ちを狙う側に。
両校合わせて3エラーという数字とは思えないほど締まった守り合いで、一番やらかしていたのはNHKの実況だったというレスも。
第三試合 明豊(大分) 10x−9 東播磨(兵庫) (延長11回)
お誕生日が出ないまま突入した1回戦後半戦。その最初に登場したのが21世紀枠のトリ・東播磨。
機動力野球を掲げる東播磨を警戒したか、明豊の先発・京本は立ち上がりから制球が定まらない。
よんたま2つで満塁のピンチを背負うと、東播磨のエース・鈴木のジエンゴなどで一挙3点と鮮やかな先制攻撃を決める。
早々に21世紀枠に認定されかかった明豊だが、常連校の意地を見せて1回裏にすかさず3点を取り返してあっという間に同点に。
お誕生日もそうだが、打撃戦・馬鹿試合にも飢えていたスレもざわめき始める。
3回には東播磨がすないぽに盗塁を絡めて作ったチャンスから勝ち越すと、明豊はその裏にポテンヒット3発
(ただしうち1発は次の塁で封殺されたランナーがいたので記録上はセンターゴロ)などで逆転とスコアが目まぐるしく動く。
6回には明豊2番手・太田が突如としておよりはじめてこの回だけでよんたま4つで中出し、東播磨が5−5の同点に追いつく。
だが、それが東播磨2番手・若杉にも伝染し、その裏にこちらもよんたま連発、満塁のピンチを迎えると明豊の3番・黒木が走者一掃。
さらに最低限でこの試合最大の4点差が付く。点の取られ方が悪かったこともあって、スレにも終戦ムードが漂いかける。
だが、7回からマウンドに上った明豊3番手・財原にまでよんたま病が伝染。三塁打・すないぽ・よんたまでノーアウト満塁。
最低限中出し、ボテボテの内野ゴロで1点ずつ取って1点差に。gdgdになりかけた試合に大谷が文字通り水を差して、雨中の終盤戦に。
ここから両チームともチャンスは作るものの、明豊はキャッチャー・蓑原が東播磨の盗塁を阻止、
東播磨はこの日すないぽを2つ食らったマグネット島津が左中間への大飛球をランニングキャッチと守備では好プレーが頻発。
9−8と明豊1点リードのまま9回の攻防へ。すると東播磨は先頭の3番・高山が2ベースで出塁、そして4番の砂川になんと代打策。
メイデン要員として起用の上野があわやダメイデンだったものの送りバントを何とか決めて同点のランナーが三塁に。
そして途中からマウンドに戻っていた鈴木の内野ゴロの間に高山が生還、9−9の同点に追いつく。
9回裏からは照明が全面点灯、外野線審も登場と各種マニアを歓喜させつつ試合は進み、9回裏の明豊は三者凡退、今大会3試合目の延長戦に。
延長に入ってからは一時のよんたま・すないぽ合戦が嘘だったかのように3939な展開に。
だが、11回裏に先頭がよんたまを選んだことでサヨナラへのトリガーが引かれる。
明豊4番・米田がエンドランを決めてチャンスを拡大すると5番・山本がピッチャー強襲の当たりが送球エラーを誘ってノーアウト満塁。
ここで代打・田中への初球がARAKAKI、エラーはラストの1個だけなのに締まった印象が無いこの試合を象徴するような決着の瞬間にスレも脱力。
両チーム合わせて20桁安打、四死球21個という大荒れの試合を明豊がなんとか制した。
第四日(3月23日)
第一試合 市和歌山(和歌山) 1x−0 県岐阜商(岐阜)
市和歌山のプロ注・小園に注目が集まる一戦だが、その小園は少々焦げ臭い立ち上がり。
1回から3回まで毎回先頭打者を塁に出すと、3回には1アウト二、三塁のピンチ。だがここでギアを上げた小園、2者連続三振でピンチを脱する。
対する県岐阜商の先発・野崎も上々の立ち上がり。140キロカルテットというフラグを立てつつ序盤はスコアボードに0が並ぶ。
学校自慢ではかたや株式会社設立の県岐阜商、かたや年1回デパート開催の市和歌山と似たような自慢となり、一部からは商魂対決とも称された。
後半に入っても投手戦が続く中、先に動いたのが県岐商・鍛冶舎監督。7回に2アウト二塁のチャンスに好投の野崎の打順で代打・広部を送る。
だが、ここは小園がしっかりギアを上げて広部を打ち取ってこのピンチを凌ぐ。8回には好フィールディングでダメイデンを誘ってピンチの芽を摘む。
直後によんたまや盗塁、さらに鍛冶舎監督の乱数調整(カウント途中での代打策)でまたまたピンチを背負うと今度は三振でピンチ脱出。
一方、県岐阜商は2番手・松野が8回に満塁のピンチ。ここで市和歌山の4番・松川を打ち取ってZGS。点が入りそうで入らないまま試合は9回へ。
9回表、小園がよんたま2つを出しながら無失点に抑えると、その裏の市和歌山は1アウトからヒットとよんたまでチャンスメイク。
ここで7番・亀井の当たりはセンター前へ。二塁ランナーが突っ込むところへのバックホームがわずかに高くサヨナラのホームイン。
県岐阜商は140キロカルテットのうち2枚を抱え落ちし、カルテットが東海大相模だけの死亡フラグでないことを知らしめてしまうことに。
��GIFUSHOはここで甲子園から撤退、市高デパートが以後の販売を一手に担うこととなった。
第二試合 智弁学園(奈良) 8−6 大阪桐蔭(大阪)
1回戦屈指の好カードは昨年秋の近畿決勝の再現。試合は初回からいきなり動く。
大阪桐蔭先発・松浦を智弁打線が攻め、4番・山下の最低限で先制するとなおも満塁で6番・植垣が走者一掃の2ベース。
大阪桐蔭がいきなり4点のビハインドを背負う展開に、スレも思わずざわめく。
4点の援護をもらった智弁エース・西村オーガ。3回目となる甲子園で躍動し、大阪桐蔭の一巡目をパーフェクトに抑える。
5回に内野安打で大阪桐蔭に初Hを許すが、前半を1安打に封じる見事なピッチング。ただ、大阪桐蔭もこのままでは終わらない。
6回に2アウトから連打とよんたまで満塁のチャンス。ここでプレッシャーに屈したか、智弁のショート・岡島が痛恨のやらかし。
2点を返してなおも一、三塁のチャンスと攻めるがここはオーガが踏ん張ってこれ以上の失点を許さない。
2点差に迫られた智弁学園はここを勝負どころと見たか、6回裏の攻撃で録音本家偽魔曲を発動。そしてその効果は絶大だった。
よんたまにヒットでチャンスを作ると、7番・森田がバントシフトをあざ笑うかのような鮮やかなバスターを決める。
大阪桐蔭の返球が乱れる間に一気に二者生還、再びリードを4点に戻すと、5回からマウンドの2番手・関戸がこの日4つ目のARAKAKIを発動させてさらにもう1点。
あの大阪桐蔭らしからぬ点の失い方も魔曲効果か。7−2と智弁が一気にリードを広げる。
7回に大阪桐蔭が2アウトからの連打で1点を返すも、その裏にゲッツー崩れの間にまたも5点差に戻されるなど、後半は毎回得点が入る展開。
大阪桐蔭は8回、疲れの見える智弁・西村オーガを攻めて2点を返すと、代打・小谷も続いて2点差に。王者がジリジリと詰め寄るが、ここで1番・野間が痛恨の一塁ライナーゲッツー、チャンスの目が摘み取られてしまう。その裏に再度発動した録音本家偽魔曲を前に大阪桐蔭5番手・別所がピンチを迎えるも3・4番を打ち取って無失点。
9回、智弁は141球を投げたオーガに代えて小畠を送って逃げ切りを図るも、先頭をよんたまで出してしまう。
だが、続く3番・宮下の打球はまたもや一塁塁上へのライナー、ランナー戻りきれず大阪桐蔭にはあまりにも不運なゲッツーもあってそのまま試合終了。
序盤のリードを守りきった智弁学園が、秋の雪辱を期した大阪桐蔭を返り討ちに。
大阪桐蔭の甲子園初戦敗退は2002年夏以来、マモノ甲子園史上では初となり、西谷監督の連勝は11でストップした(交流試合を含めれば12)。
第三試合 広島新庄(広島) 1x−0 上田西(長野) (延長12回)
チーム打率4割超の上田西打線に対し、広島新庄としては珍しい右のエース・花田が真っ直ぐを軸に抑えると、
上田西エース左腕の山口もキレのあるスライダーを効果的に使い、左を多く並べた広島新庄打線を手玉に取る投手戦に。
点の取り合いになった第2試合の反動からか、スレもお疲れモードでゆっくり進行、試合もゼロ進行で前半が進む。
チーム打率は飾りではなかった上田西が中盤以降徐々に花田を捉え始めるも、決定打を許さずに耐え抜くと、
広島新庄も数少ないランナーを活かしたい場面でピッチャーライナーダブルプレーや、ルンバでチャンスを作れない。
第1試合のように0が並び続け、スレもダレかけていた中迎えた8回表、突如として事件が起きる。
この回先頭の上田西・山口はボテボテのピッチャーゴロ。このまま無難に1アウト……と思いきや、ゴロを処理した花田が一塁へ投げない。
なんとこの回から一塁の守備についていた伊永がよそ見をしていて捕球体制に入っておらず、まさかの内野安打に。これにはスレも騒然。
メイデンを挟んでランナーを得点圏に進めたところで広島新庄は左腕の秋山へスイッチ、花田がファーストに回り、伊永は哀れ半ば懲罰交代の形に。
これで均衡が破れれば伊永の立つ瀬が無いところであったが、ここは秋山が後続を断って仲間の失敗をカバーした。
9回も上田西が得点圏に進めるも還せず、広島新庄は先頭打者が出るもダメイデン連発で無得点と今大会4試合目の延長戦。毎日1試合ずつ延長戦がある形に。
延長戦に入ってもなかなかスコアが動かず。上田西はレフト・大藪のダイビングキャッチにベルト交換を加えてスレを盛り上げるが攻撃にはつながらない。
タイブレークマニアがそわそわし始めた延長12回、広島新庄が2アウトから3番・瀬尾がヒットで出塁。
打席に4番・花田を迎えたところで外野は前進守備。解説がフラグを立てたその瞬間、花田の打球はライトの頭上を越え、一塁から瀬尾が一気にサヨナラのホームを踏んだ。
上田西・山口は161球の熱投も報われず泣き崩れ、寸前までタイブレークを期待した一部のマニアを粉砕した広島新庄が守り勝った。
第五日(3月24日)
第一試合 東海大菅生(東京) 4−3 聖カタリナ(愛媛)
実況の「何もかもが初体験」という言葉でスレを色めき立たせた初出場・聖カタリナ。5年前まで女子校だった学校である。
歴史上初Hなどの話題で序盤ひとしきり盛り上がった後で、ついにスレに待望の瞬間が訪れる。
2回裏、東海大菅生はスタメン抜擢の2年生・鈴木悠平がレフトポール際にホームラン。今大会13試合目にしてついに初お誕生日である。
直前の眠い校歌でもたらされた眠気を吹き飛ばす一撃に思わずスレもヒートアップ。初体験のカタリナ相手にまずは東海大菅生が一発をお見舞いすると、
続く3回には3番・千田にもお誕生日。ちなみに千田のお誕生日はセンバツ通算800号というメモリアルな一発。東海大菅生がじわじわリードを広げる。
追撃したい聖カタリナは6回に菅生先発・鈴木泰成を攻めてマウンドから引きずり下ろし、なおも満塁のチャンスを作る。
が、ここは菅生2番手・松永がピシャリと締めてZGS。歴史上初得点をなかなか挙げることができない。
それでも7回に再びランナーを三塁まで進めるとここで菅生がパスボール。ついにカタリナが歴史上初得点を刻む。
しかしここは地力の差か、8回にやらかしも絡んで作ったチャンスで菅生は最低限でトドメの1点を追加。
最後は勝ちパターンとして千田を投入。ところがこの千田がとんだ劇場型、満塁のピンチにARAKAKIでカタリナが追撃。
さらにすないぽで再度満塁にしてしまうと、1番・堀越の最低限でついに1点差となり、続く田代によんたまでまたまた満塁。
逆転を期待してスレが急加速する中、4番・川口をフルカウントからサードゴロ。冷や汗モノの逃げ切り劇となった。
菅生はチーム紹介で「エース・本田が中心」とカタリナがら、その本田を(抱え落ちしかけたが)使わずにセンバツ初勝利を挙げた。
カタリナは最後までタイムリーで挙げた得点が無いなど、もう一押しが足らずにほろ苦い初体験となった。
第二試合 柴田(宮城) 4−5 京都国際(京都) (延長10回)
ハングル校歌で大会前から話題の京都国際とあってチラホラお客さんの存在が見られる中始まった初出場対決。
先手を取ったのはモリシ風ユニフォーム(というか日本代表風ユニフォーム)の柴田。
初回のピンチを凌ぐと、その裏にARAKAKIにタイムリーを絡めて鮮やかに2点を先取。校歌の前にまずは見せ場を作る。
京都国際は校歌でひと盛り上がりを見せるが、野球の方は初回・2回とチャンスを生かせず。
3回もノーアウト一、二塁から無得点と、柴田・谷木の不安定な立ち上がりを捉えきれない。
徐々にクールダウンしたスレは暇つぶしに縦読みの仕込みに精を出す程で、試合は2−0のまま動かずに前半終了。
ようやくチャンスが来たのは7回表の京都国際。よんたまから野選などが絡んでノーアウト満塁という絶好機。
1アウトになった後1番・武田の打球はセンターへ。センターがダイビングを試みるも後ろに逸らして走者全員生還。一挙に逆転する。
ひっくり返された柴田だが後続をエース・谷木が打ち取るとその裏の先頭バッターでヒットを放って出塁すると、
2アウト一、三塁となって4番・菅野のタイムリーですかさず同点に。直前のプレーで本塁突入を自重した谷木が無事に還ってくる。
徐々にスレも速度を戻し始めると終盤は柴田が押せ押せムードになるが点は入らず、5日連続5試合目の延長戦へと突入。
中盤にすでに継投を済ませていた京都国際に対し、柴田はエースの谷木が投げ続ける。スレでも懸念の声が上がる中、延長10回だった。
よんたま、メイデンで京都国際がチャンスを作ると3番・中川が勝ち越しタイムリー、さらに5番・辻井もエンドランを決める。
大きな2点が入ると、その裏を京都国際の2番手・平野が柴田の代打攻勢の前に1点を失いさらに一打サヨナラのピンチを迎えるも辛くも凌ぐ。
終わってみれば6安打で5点の京都国際と、倍以上の14安打で4点の柴田との得点効率の差が出た形に。
初出場対決は京都国際に軍配が上がり、生徒もあまり歌えないハングル校歌が甲子園に響いた。
第三試合 常総学院(茨城) 9−5 敦賀気比(福井) (延長13回)
NHKで解説の大矢さんが故・木内監督の思い出話に花を咲かせる間にチャンスを作ったのが2回の常総学院。
長打によんたま2つが絡んで満塁のチャンスを作ると、敦賀気比がやらかしでホームゲッツーを取り損ねる間に二塁ランナーが還って先制。
この後ARAKAKIに加えてなおも満塁から2番・伊藤の2点タイムリーであっという間に4点が入る。
劣勢に立たされた敦賀気比は4回の守りで先発の竹松を諦める。ここでマウンドに送られたのはサードにいた本田。
この本田、地区大会でも登板の実績が無く大矢さんの友達ネットワークにすら情報が引っかからないという投手。
第1試合でボヤ騒ぎを起こした東海大菅生・千田を引き合いにするレスも相次ぐ中、本田は4回のピンチを凌ぐと、5回は三者凡退という満点救援。
流れを掴みたい敦賀気比は7回、先頭がすないぽされ、ヒットで繋いだところで好リリーフの本田がメイデンに出る。
これを処理した秋本が一塁への送球をやらかし。敦賀気比がようやく1点を返すと、この後内野ゴロの間にさらにもう1点返し、
なおも1アウト三塁でアズマ監督の甥・東がライトへ最低限。この回で一気に1点差に詰め寄る。
追撃ムードに入った敦賀気比だが、直後の8回に好リリーフの本田から上加世田にスイッチすると、この上加世田がピリッとしない。
いきなりすないぽを出すと、常総は確実にメイデンを決め、5番・秋本が半ば独り相撲だった前の回の投球を取り返すタイムリー。
2点差に広げ直して勝負あり、かと思われたが敦賀気比は諦めない。8回裏、常総の2番手・大川慈英に襲いかかる。
やらかしで先頭バッターがでるとARAKAKIなどでランナー二、三塁から最低限で1点差に迫ると、本田のタイムリーで同点に。
9回裏は依然として制球定まらない大川から敦賀気比がチャンスを作る。ARAKAKIが出たところで常総・島田監督が申告敬遠で満塁策に。
申告敬遠マニアを喜ばせつつサヨナラのチャンスにスレも加速するが、ここで開き直った大川がまっすぐゴリ押しでこのピンチを切り抜ける。
2試合連続、今大会6試合目の延長戦に突入するとマウンドに戻った敦賀気比・本田と常総・大川が好投を見せて一転して締まった展開に。
12回裏、敦賀気比はランナーを三塁まで進めるも、ここも大川が自慢の真っ直ぐでレフトへの大飛球に打ち取って無失点。
今大会6試合目の延長戦にしてついにタイブレークマニア待望のタイブレークに突入。センバツ史上初のタイブレークとなった。
しかし、ここまで2度マウンドに登って7イニング以上を投げてきた敦賀気比・本田はここが限界だった。
先頭の秋本に鮮やかにバスターでタイムリーを打たれると、1アウトからは前進守備の内野をあざ笑うようなところに打球が飛び続けて4失点。
さすがに4点あれば十分だった。その裏をボークを1つ出しつつも大川がフライアウト3つで0点に抑えて死闘に終止符。
常総学院が木内監督亡き後初の甲子園でのゲームで勝利を飾った。
第六日(3月25日)
第一試合 中京大中京(愛知) 2−0 専大松戸(千葉)
1回戦のトリに登場したのは今大会屈指のプロ注右腕、中京大中京・畔柳(くろやなぎ)。弱い大谷が襲来する中先発のマウンドに上がる。
立ち上がりこそランナーを背負い、2回にはセンターオーバーの長打を浴びたもののこのピンチを切り抜けると、徐々にエンジンがかかり始める。
徐々に大谷が強まる中で畔柳の球威も徐々に増し、専大松戸打線はメイデンを試みるのも難儀するほど。ランナーは出ても決定打を許さない。
しかし、それに触発されたのが専大松戸の先発・深沢。甲子園のマウンドで秋の時点の球速を大幅に更新するなどひと冬の鍛錬の成果を発揮。
畔柳を援護したい中京大中京打線を相手に6回までわずか2安打に抑える快投を見せ、今大会何度も見たゼロ行進のまま試合は終盤へ。
試合が動いたのは7回。深沢がこの日初のすないぽで先頭を出してしまう。メイデンで得点圏に進めた後2アウトになり打席には守備から途中出場の櫛田。
櫛田の当たりはレフトへのライナー性の当たり。畔柳相手では1点でも致命傷と考えたか、専大松戸のレフト・吉岡が懸命にダイブするも及ばず。
後ろに逸れたボールがフェンスに転々とする間に二塁ランナーだけでなく打った櫛田まで還ってくるランニングお誕生日に。中京大中京が大きな2点を奪う。
畔柳にはこの2点で十分だった。専大松戸は「どうしようもない時の引き出し」を開けてバスターを狙うバッターも出るがギアを上げた畔柳の前には不発。
強まる大谷の中9回に入っても140キロ台を連発する畔柳相手に9回2アウトから代打・横山が意地のヒットを放つも最後までホームは遠かった。
12奪三振で6安打完封、畔柳がプロ注たる所以を発揮して初戦突破を果たし、ベスト16最後の椅子を手にした。
第二試合 神戸国際大付(兵庫) 5−13 仙台育英(宮城)
大谷が引き続き居残る中、センバツは2回戦に突入。仙台育英は初戦で投げなかった松田を先発に送ると三者凡退と上々の立ち上がり。
一方の神戸国際、初戦では2回途中でマウンドを降りたエース・阪上が中5日で先発。が、初回にヒットを2本打たれていきなりのピンチ。
2アウト二、三塁で5番・秋山は二遊間深いところへの内野安打。これで二塁ランナーまで一気に還るという内野への2点タイムリーというレア物が発動。
仙台育英は2回にも島貫監督のエンドランでチャンスを作り、ゴロゴーとスク水という小技でさらに2点を追加、初戦の10安打1得点という非効率さをしっかり修正。
早々に阪上がKOされてしまった神戸国際は3回に反撃の糸口を掴む。先頭の栗原がチーム初Hとなる2ベースで出塁、仙台育英・松田にプレッシャーを掛ける。
だが、後続が続かずランナー二塁釘付けのまま。松田は序盤3回までで6つの三振を奪う投球で試合の流れを渡さない。
直後の攻撃では初戦で好投した神戸国際の2番手・楠本も早々に捉えて追加点。一方的な展開にスレも完全にクールダウンしてしまう。
後半に入るとスレだけでなく試合の方まで緩み始めたか、仙台育英はセンターフライを落球、神戸国際もセンター前ヒットを後逸などやらかしも出始める。
仙台育英は経験値稼ぎモードに、神戸国際も思い出モードに入り控え選手の大量起用という様相を呈してくる。
終わってみれば仙台育英はエース・伊藤が完全に見えないまま＝完全休養させてベスト8進出を決め、東北勢初の頂点にまた一歩近づいた。
第三試合 健大高崎(群馬) 0−4 天理(奈良)
センバツだけで3回目の対戦となるこのカード、過去2連敗の天理がいきなり先手を取る。
健大高崎の先発・野中を攻めて1番・内山から強攻3連打で1点を先制、この回は追加点を奪えずも、
2回には足を絡めてトゥギャ崎のやらかしも誘いながら2点目を奪い、早々に野中をKOする。
自らもヒットを放って気を良くしたか、天理のエース・達は序盤から真っ直ぐがよく走りトゥギャ崎のバットを押し込む。
フライアウトと三振を重ねる投球にスレにも戦慄が走る中、3回裏にトゥギャ崎は2アウトから連続よんたまでチャンスを迎えるも
ここは達が牽制で二塁ランナーを刺してピンチ脱出。機動自壊でトゥギャ崎の攻撃は噛み合わず、序盤は天理ペースのまま終了。
中盤は健大高崎の2番手・今仲も好投、ランナーは背負いながらも決定打は許さずに2点差のままで耐え抜くが、
攻める方は4回に天理のキャッチャー・政所に盗塁を阻止され、機動破壊を機能させることができない。
アルプスのふしぎなおどり効果？でよんたまのランナーは再三出るもののヒットが出ずに点差を詰められない。
次の1点がどちらに入るかが焦点になるところで、健大高崎は7回から初戦で先発の高松を投入する。
が、天理はその代わり端を見逃さなかった。ヒット2本でチャンスを作ると、4番・�鵑�低めの球を巧みにすくって左中間を真っ二つ。
天理にとっても健大高崎にとってもあまりに大きな2点が入って4点差に。これで天理エース・達は楽になった。
8回には久々のヒットが出るなどランナー2人を置いたところで、今日ヒット1本の吉里の強烈な当たりはショート正面に飛んでゲッツー。
最後は運にも見放された健大高崎は天理・達の前にわずか2安打。フライアウト13個では何も起こせず。
三度目の正直で先輩の無念を晴らした天理が13年ぶりにベスト8にコマを進めた。
第七日(3月26日)
第一試合 鳥取城北(鳥取) 0−1 東海大相模(神奈川)
センバツも残り1週間。1週間500球という球数制限も見据えたか、東海大相模は求、鳥取城北は山内と背番号10桁の投手を先発に送り込む。
先手を取ったのは2回の東海大相模。やらかしで出したランナーを盗塁で進めてから6番・佐藤のタイムリー。
今日はモンマのアグレッシブベースボールが当たってまずは前評判通りに東海大相模がリードを奪う。
だが、ここから鳥取城北・山内が堂々としたピッチングを披露。要所でフォークがいいところに落ち、東海大相模打線に決定打を許さない。
打つ方でも3回に先頭打者をヒットで出すなどチャンスを時折作る。が、序盤は東海大相模・求も踏ん張って同点を許さない。
相模は5回からエース・石田を投入。5・6回を順調に抑えていくが、鳥取城北打線も石田対策は怠っていなかったらしい。
7回には1アウトからの連打、8回には先頭の中木村がヒットで出てチャンスを作るなど再三攻め立てる。
が、最後は石田が立ちはだかる。7回はメイデンを阻止、8回は絶妙なコースに真っ直ぐを放ってのずばさんで切り抜ける。
突き放したい東海大相模は9回にランナーを三塁に進めるも、ここはリリーフで登場の鳥取城北のエース・廣田が2者連続三振。1−0のまま9回へ。
追いすがる鳥取城北は9回、先頭の岸野がこの試合初の長打でノーアウト二塁。今度はメイデンをしっかり決めてランナーを三塁に進める。
スレの緊張感も頂点に達したが、廣田、そして1番の松田を連続三振。石田がエースの意地を見せつけて最後までホームを踏ませなかった。
今日は27個目のアウトで勝利を手にした東海大相模、苦しみながらもベスト8にコマを進めた。
鳥取城北は学校初の2勝、鳥取勢40年ぶりのセンバツ2勝に惜しくも届かず。緊張から解き放たれたスレは相模の校歌で眠りについたのだった。
第二試合 具志川商(沖縄) 4−8 福岡大大濠(福岡) (延長11回)
秋の九州・準々決勝の再戦となったカード。福岡大大濠に続いては初戦に続いて秋に対戦した学校との試合となった。
この時とは違って先発にアグニを送り込んだ具志川商だが、初回に2アウトから連打。盗塁も絡めた攻めでもあり、福岡大大濠に先制を許す。
だが、その裏。盗塁失敗でチャンスが潰れたところに3番・新川が左中間スタンドへお誕生日、すかさず追いついて秋との違いを見せる。
2回に福岡大大濠はすかさず勝ち越してこの回限りでアグニをマウンドから引きずり下ろすが、具志川商はひるまない。
3回裏に大城勢武太(せんた)がセンターの横を破るタイムリー2ベースで追いつくと、続く島袋のタイムリーで生還して逆転。
シーソーゲームの雰囲気が漂いだし、まったりムードが漂っていたスレが徐々に加速し始める。
4回には1アウト一塁から福岡大大濠の9番・吉田が粘りに粘って10球目を左中間に。エンドランがかかっており一塁からランナーが一気に還って同点に。
6回には大濠が代打・福澤の最低限で勝ち越せば、その裏に具志川商が2アウトから満塁のチャンスを作りよんたま中出しで同点。
点を取り合いながら相手に決定的な流れは渡さずに試合は終盤に入り、スレでも「この試合面白い」と評価はうなぎ上り。
8回に大濠は1アウト二、三塁のチャンスを迎えるが、土山のスク水を具志川商の新川・比嘉バッテリーが見事に外してこれを阻止、土山も三振で点が入らず。
その裏に具志川商はランナーを出すも盗塁失敗、直後の長打もランナー還せず、終盤は一転して守り合いに。
9回は両チーム三者凡退に終わり、7試合目の延長戦に突入。2回戦もまだ半分だというのにセンバツ史上最多タイ記録になる。
10回は具志川商がアグニの好守備でピンチを凌げば、大濠はキャッチャー・川上が盗塁阻止。川上は今日だけで3回盗塁を刺す活躍。
動きそうで動かない試合は突如として動いた。11回表、大濠8番・松尾の当たりは風にのってレフトスタンドへ、勝ち越しお誕生日である。
これでついに集中力が切れたか、新川はよんたま、メイデン、ARAKAKIでピンチを背負うと、今日内野ゴロ5つの大濠・友納にタイムリーを浴びてしまう。
ここで具志川商は3番手・田崎にスイッチするも流れは止まらない。やらかしの後でタイムリーが2本続いてこの回一挙4点。
これでスレも完全に終戦ムード。その裏を10回途中からマウンドに上った大濠のトルネード・馬場がヒット2本を許すも0点に抑えて試合終了。
走塁死が目立つなどチグハグな攻撃になってしまった具志川商はここで力尽き、大濠が九州勢2校の屍を越えてベスト8進出を決めた。
第三試合 明豊(大分) 2−1 市和歌山(和歌山)
市和歌山のプロ注・小園はベンチスタートで2年生の米田が先発となった一戦、米田は序盤に毎回のようにランナーを背負うも後続を断つ。
ランナーが出たらギアを上げた初戦の小園を引き合いに出し、小園システムのバックアップが取れたとスレでは話題に。
ならばランナーを出さずに点を取る、というのが明豊の出した答え。4回表、3番・米田が右中間スタンドへお誕生日、明豊が均衡を破る。
ビハインドを背負った市和歌山は3回までノーヒット。4回に3番・松川の2ベースが出るも後続倒れて松川は二塁に釘付けと攻撃はピリッとしない。
これ以上離されては致命傷と判断したか、市和歌山は5回からエース・小園をマウンドへ。NHKの時空も歪ませる真っ直ぐで明豊打線から早速2つの三振を奪う。
対する明豊は初戦で3 2/3回で5四球と乱れた太田が上々のピッチング。5回まで被安打1、よんたまも2個だけと別人のような内容にスレも困惑。
それでもエースの登場で発奮したい市和歌山打線は6回裏にランナーを二塁に進めてポイントゲッターの3番・松川がセンターへタイムリー。同点に追いつく。
ところが同点に追いついた直後の7回に明豊はランナーを三塁に進めて代打・竹下がレフト前にタイムリーで勝ち越し。ついに小園システムを打ち破る。
再び追う展開になった市和歌山はその裏に疲れの見える明豊・太田からよんたまとヒットでチャンスメイク。ここで明豊は2番手・財原にスイッチ。
こちらも初戦で4四死球を出していたがしっかり修正したか、小園のジエンゴを阻止するなどしてこのピンチを切り抜ける。
8回の明豊は2番・幸の当たりが風に乗ってレフトフェンス直撃の2ベースでチャンスを迎えるが、小園システムが再起動。
お誕生日を放った3番・米田に続く4番・山本を連続三振に切って1点差を守って味方の反撃を待つ。
だが、当たっている3番・松川は半ば勝負を避けられる形で歩かされて8回は無得点。9回も先頭がすないぽで出るが盗塁失敗でランナー消滅。
2試合でヒット10本と最後まで投手陣を援護できないまま、市和歌山は敗退。14イニング1失点と圧巻の内容を残した小園が甲子園を去った。
初戦の四死球祭を修正した明豊が2試合連続で1点差ゲームを制し近畿勢を2連破。一昨年のベスト4が調子を上げてきた。
第八日(3月27日)
第一試合 智弁学園(奈良) 5−2 広島新庄(広島)
初戦で懲罰交代を食らった広島新庄・伊永のスタメン起用にざわめく中始まった試合。智弁は背番号10、初戦リリーフの小畠が先発。
先手が欲しい広島新庄は2回に2アウト二塁のチャンスから7番・平田のタイムリーで先制。智弁はビハインドを背負う展開に。
するとその裏、録音本家偽魔曲を発動。だが、この回は不発。かつて魔曲が不発に終わった反動が出たこともあり、危惧するスレもチラホラ。
だが、その次の3回に智弁は持ち前の強攻策でチャンスを活かす。2番・垪和(はが)の内野安打が広島新庄のやらかしも誘って同点に追いつくと、
3番・前川、4番・山下も続いてあっという間に逆転。録音本家偽魔曲は遅効性なのかという噂も立ち始める。
4回には最低限で追加点。ロースコアの展開に持ち込みたかった広島新庄だが、先発・花田に続いて2番手・秋山も失点する誤算の展開に。
味方の援護に気を良くした小畠は広島新庄打線から内野ゴロの山を築く。5回から7回にかけてはアウトの全てが内野ゴロという内容。
6回に追加点を許して4点差を追う広島新庄は8回に3番・瀬尾のタイムリーで1点を返したものの反撃はこの1点止まり。
結局今日は智弁・小畠が完投、それも奪三振は最後のバッターの1つだけ。打たせて取る投球が光り、エース・西村を完全休養させることに成功した。
今日はハトではなくカラスが見守る中、5年前の王者が快勝。その時以来となるベスト8へコマを進めた。
第二試合 東海大菅生(東京) 5x−4 京都国際(京都)
エース・本田が肩に違和感を訴えているという東海大菅生は初戦に続いて鈴木泰成を先発のマウンドへ。
その鈴木泰成が序盤の京都国際打線を抑える中、援護したい打線は2回・3回とチャンスを作ると内野ゴロの間にコツコツ1点ずつ重ねる。
スレの一部が「ハングルであそぼ」状態になる中、まずは東海大菅生が主導権を握ったかに見えた。
だが、京都国際は5回に満塁のチャンスを作って3番・中川がレフト横へ走者一掃のタイムリー2ベース。
たった一振りで試合をひっくり返すと4番・森下にもタイムリーが出て京都国際が逆に2点のリードを奪う。
自らのジエンゴにも気を良くしたか、京都国際の先発・森下は5・6回と東海大菅生打線を三者凡退に抑える。
専ブラがお亡くなりになったのと合わせるかのように重苦しい流れとなった東海大菅生。
7回には先頭が2ベースで出るも、キャッチャーがボールをこぼした隙を突いて三塁を狙うもあえなくタッチアウトと流れを変えられない。
何とか流れを変えるべく9回には肩の不安を抱えながらエース・本田を投入する。本田はランナーを三塁まで進められるも辛くも無失点にしのぐ。
するとその裏に主将の榮、チダちゃんの連打でチャンスを作り、1アウト二・三塁となってから内野ゴロの間に1点を返して1点差に詰め寄る。
さらによんたま・すないぽで2アウト満塁、東海大菅生がサヨナラの大チャンスを迎える。ここで代打・多井がライト線への鋭い当たり。
京都国際のライト・平野の横を破った当たりで一気に二者生還で逆転サヨナラ。秋の大会で打席0の男がやってのけた大仕事は若林監督のギャンブル大成功とスレでも絶賛。
京都国際は好投していた森下が最後の最後で捕まり惜敗。8回まで素晴らしい投球だっただけに代え時を見失ってしまったか。
土壇場で粘り腰を見せた東海大菅生がセンバツ初勝利から一段飛ばしにステップアップ、ベスト8に名前を連ねた。
第三試合 常総学院(茨城) 5−15 中京大中京(愛知)
初戦で延長13回タイブレークを戦った常総学院と、唯一中1日で試合を行う中京大中京。疲れは否めないか、やや焦げ臭い立ち上がりに。
常総の先発・秋本は振り逃げで出したランナーをARAKAKIもあって三塁に進められるが後続を辛うじて断ち切ると、
初戦でよんたま2つだけだった中京大中京・畔柳は初回だけで2四死球とピンチを背負うもこちらもしのぐという具合。
どこか緩んだ感じは守備にも伝染。2回表、三遊間へのボテボテのゴロを常総三遊間がともに駆け寄りながら鮮やかにスルーして二塁打にしてしまうと、
初戦でランニングお誕生日の中京大中京・櫛田がレフト線へ弾き返してタイムリー。中京大中京が先手を取る。
これで流れを掴んだ中京大中京は3回に6番・加藤のタイムリーなどで2点、続く4回はランナーを貯めてからの長打攻勢で一挙5点。
4回で早くも8−0とスレには終戦ムードが漂い始める。
5回から常総は2番手の大川にスイッチ、今日も大量の川平慈英をスレに呼び込むと、実際にこの大川の立ち上がりがいいんです！
中京の攻撃をこの試合初めての三者凡退に打ち取って裏の攻撃に流れを作ると、ヒット2本などで満塁のチャンスを作る。
ここで畔柳が耐えきれずよんたま中出し、今大会初失点を喫する。ただ、後続は畔柳が断って1点止まり。
これで再び流れは中京へ。6回に1点を追加、8回には常総3番手・伊藤から一挙に3点を奪って11−1と10点差をつける。
畔柳はここでようやくお役御免。8回のマウンドには松田が上がるが、連打を浴び、一人打ち取った後よんたま・中出しすないぽと乱れる。
後を受けた中京3番手・柴田は松田の出したランナーを全員還してしまい11−5に。遅ればせながら常総も反撃に出る。
……が、ここで常総はどこぞの帝京のように本職がピッチャーの選手を全員使い果たしてしまう事態に。
9回表のマウンドには代走から登場した塙が上がるも、連打にメイデンを塙自身が野選してしまうなどあっという間にノーアウト満塁。
1アウトは取ったもののARAKAKIにタイムリー2本、トドメに最低限。常総が総力戦で取り返した4点を中京がすぐに奪い返して再び10点差。
前の回で総力戦に出てしまった常総に最早跳ね返す力は残っておらず、今大会初の10桁得点差の試合に。
小技も絡めて堅実に攻め続けた中京大中京が走攻守に上回り、控え投手以外に不安を感じさせないままベスト8進出を決めた。
第九日(3月29日)
第一試合 仙台育英(宮城) 3−10 天理(奈良)
今日もエース・達が先発する天理と、今日もエース・伊藤はベンチスタートの仙台育英による準々決勝第1試合。
初回、いきなり天理打線が達を援護する。1アウトからよんたまでランナーを出すと3番・内藤、4番・�鵑力�続タイムリー。
仙台育英の先発・古川の立ち上がりを捉えて2回には早々にエース・伊藤を引きずり出す。
だが、天理・達の立ち上がりも妙に焦げ臭い。打者一巡で四死球5つと乱れるがヒットは許さずに1・2回を何とか無失点に抑える。
すると3回、仙台育英の3番・八巻がニュース間お誕生日。久々の出来事にスレをざわつかせるとこの回は達の球を仙台育英打線が捉える。
ヒットと2ベースでチャンスを作ると島貫監督の最低限、伊藤の登板に合わせるかのように仙台育英が同点に追いつく。
このまま押せ押せといきたい仙台育英だったが、落とし穴が待っていた。4回の守りである。
1アウトからショートゴロがわずかにイレギュラーし、記録はショート・渡辺のやらかしになって天理がランナーを出す。
ヒットを挟んでまたもショートに打球が飛ぶが、今度はランナーと重なる形で処理できず、またも渡辺にエラーが付く。
このピンチをしのぎたい伊藤だったが2アウトから天理の9番・まごころこと政所に2点タイムリーを浴びて勝ち越しを許してしまう。
さらに1番・内山にもタイムリー。二人目の生還を阻止しようとした渡辺のバックホームはランナーとキャッチャーが交錯した結果捕れず。
渡辺にとっては少々気の毒な形でこの回だけで3やらかしが記録されたが、もっと気の毒なのは自責点0で4点取られた伊藤の方である。
これで流れは完全に天理に。5回に2点を追加すると、6回にもチャンスを作って伊藤を降板に追い込み、物理的に見えなくさせる。
とどめを刺すかのように4番・�鵑�2点タイムリーでとうとう10桁得点に到達。メガネ君・�鵑梁破世縫好譴眄鑿砲垢襦�
そして球数がかさみながら天理・達は大量リードでも降板せずに続投。控えの層の薄さが明かされるとスレがまた戦慄した。
結局、四死球を8出して164球を投げながらも達が8回までマウンドを守り、7点リードの9回は左腕・仲川をこの春初めてマウンドに送り込む。
仲川はいきなり反則投球を犯し、一部のマニアを歓喜させつつも仙台育英に反撃を許さず。天理が24年ぶりのベスト4進出を決めた。
仙台育英は全ての回でランナーを出したものの、初回のZGSを皮切りに15残塁の拙攻も響いて白河の関を今年も越えられず。
第二試合 東海大相模(神奈川) 8−0 福岡大大濠(福岡)
東海大相模はキャプテンで守備の要でもある大塚が胃腸炎を患いベンチを外れるという緊急事態。
キャプテン不在というピンチに、ここまでの2試合で4得点と冷えていた打線が初回から目を覚ます。
福岡大大濠の先発トルネード・馬場に襲いかかり長打攻勢も交えていきなり2点を先取。
2回には大塚の代役で出場の深谷が2ベースで出ると、1番に戻って代役キャプテンを務める門馬が2ランお誕生日。2回途中で早くも2試合分の得点を挙げる。
大濠はたまらずここで初戦で受けた自打球の影響が懸念されるエース・毛利をマウンドへ送る。
だが、火のついた相模打線は止まらない。毛利の代わり端を捉えてさらに2点を追加。序盤での大量リードにスレも軽く引く始末。
3回にも1点を失ったものの、以後毛利は立ち直ってスコアボードに0を並べていくが、大濠打線が相模の先発・石田を捕まえられない。
途中には5者連続三振を奪われるなど、初回以降はなかなかチャンスらしいチャンスさえ作ることもできないまま試合は後半へ。
後半も石田の投球はキレッキレ。初戦・2回戦とリリーフでの登場だったがこの日は最初から最後までマウンドに立ち続けた。
終わってみれば石田は14奪三振。打線は門馬がサイクルヒット未遂の大活躍と投打に隙無く福岡大大濠を圧倒した。
福岡大大濠はまたもベスト8の壁を越えられず。九州勢以外との初対戦だったが、不完全燃焼に終わってしまった。
第三試合 明豊(大分) 6−4 智弁学園(奈良)
明豊1番・幸が打ち上げたファウルフライを智弁ファースト・三垣が落球するという笑撃の幕開けも束の間、
命拾いした幸がレフトスタンドへ先頭打者お誕生日。笑撃から一転して衝撃が走る形になって明豊が1点を先行する。
3回には先頭のピッチャー・京本がヒットで出ると幸が今度はナイメイ。大技だけでなく小技でチャンスを作ると、
2番・阿南のタイムリーなどで2点追加。休養十分だったはずの智弁エース・西村オーガから小刻みに得点を奪ってリードを広げる。
追い上げたい智弁打線だが、明豊の先発・京本の荒れ球に苦しむ。3回まで毎回すないぽと初戦・東播磨戦を思い出させる投球ながら、
3回にはZGSを成立させるなど、背負ったランナーは誰一人として返させないまま京本が序盤を無失点で切り抜ける。
すると4回からはこの京本をスパッと代える采配に出る明豊・川崎監督。2番手には市和歌山戦でも好投した太田を送り込む。
智弁は偶数回のチャンスに録音本家偽魔曲を繰り出すも、智弁和歌山OBの川崎監督には通じないのか、チャンスをなかなか活かせない。
5回に明豊が4番・黒木の2打席連続となるタイムリーで2点を追加すると、智弁はその裏にようやく魔曲が効いてきたか、5番・三垣のタイムリーでようやく1点。
反撃の1点を機にさらに流れを引き寄せたい智弁は6回からオーガに代えて2回戦で完投した小畠を投入。最初の守りを三者凡退に切って取る。
するとその裏、太田も東播磨戦の時の投球に戻ってしまったか、よんたま2つなどで満塁のピンチを招く。
この試合3回目の録音本家偽魔曲が流れる中、2番・垪和(はが)がよんたま中出し、さらに3番・前川のゲッツー崩れで2点を返して2点差に迫る。
第1試合・第2試合と一方的な試合になったため接戦に飢えていたスレは久々に加速し始める。ここで打席には4番・山下。
山下の打球はレフトの頭上を襲う当たりだったが、これを明豊レフト・阿南が壁ドンしながら見事にキャッチ。
抜けていれば同点のピンチを救うビッグプレーにアルプスとスレは喝采に包まれた。
このまま逃げ切りを図りたい明豊は7回から3番手・財原をマウンドへ送るが、1アウトから連打でピンチを迎える。
だが打順の回りが良かったか、8番・9番を打ち取ってこのピンチを脱するとその直後の8回表に2アウトから5番・山本がヒット。
代打・筒井は当たり損ねが幸いした内野安打でチャンスを広げると、今大会11打席でノーヒットだった8番・蓑原がタイムリーで貴重な追加点。
追いすがる智弁もその裏に連打から作ったチャンスで4番・山下がショート強襲の内野安打で1点を返し、その後も満塁のチャンスを作る。
だが、ここは財原が踏ん張り、7番・森田を三振に打ち取ってZGS。智弁は2点差から先にどうしても詰めることができない。
9回には1アウトから智弁の代打・三好が執念の内野安打で塁に出て打順を上位に戻すなど最後の抵抗を見せる。
が、後続を財原が断って逃げ切り成功。東播磨、市和歌山に次いで近畿勢3連破の明豊が2大会連続となるベスト4進出を決めた。
最大5点ビハインドから粘った智弁だったがもう一本が出ず、奈良勢のWベスト4、あるいは決勝での奈良対決の野望は露と消えた。
第四試合 東海大菅生(東京) 0−6 中京大中京(愛知)
3試合目にして東海大菅生のエース・本田が初めて先発のマウンドに登った……のだが、その立ち上がりは不安定。
連続よんたまの後のメイデンを本田自らがやらかして悪送球。一塁ランナー・杉浦が一気に生還するなど、マリア様戦法で中京が2点を先取すると、
今大会ラッキーボーイの7番・櫛田もタイムリーを放ってあっという間に3点を先取。3つのアウトを全て三振で取るも失ったものは大きすぎた。
中京は2回にも三塁打で出塁の中京1番・細江が完璧なゴロゴーを決めて1点を追加。ソツのない攻撃で先発のエース・畔柳に強力な援護を送る。
4点の援護をもらった畔柳はスイスイとした投球。序盤はよんたまのランナーを1人出したがルンバもあって打者9人ノーヒットで片付ける。
さらに4・5回も三者凡退。5回にはレフト・杉浦のダイビングキャッチもあってバックも畔柳のノーヒットノーランを盛り立てる
打線も5回に相手のやらかしを足がかりに作ったチャンスに6番・加藤の2点タイムリーでさらに突き放すなど相手のミスを見逃さない。
前半5回を終わって6−0と中京大量リードの試合展開に、今大会唯一の4試合日でお疲れモードのスレの興味は半ば畔柳のノーノーのみになりかける。
だが、今大会は実況が何かに触れるとそれがフラグになる。実況がノーヒットに触れた途端、菅生は6回先頭の7番・橋本がセンター前にポテンヒット。
ついに初Hを、それも先頭打者が出るという願ってもない形になると続く8番・岩田がよんたまを選び、初めて二塁にランナーを進める。
しかしここはギアを上げた畔柳が立ちはだかり、自ら処理したダメイデンと投ゴロゲッツーで追撃の芽をあっさりと摘み取る。
何とかしたい東海大菅生はリリーフの松永が粘ってこれ以上の失点こそ避けるものの、チャンスを作ることができない。
8回には先頭の小池がヒットを放つも一塁に釘付けで二塁にも進めることができず。
9回は先頭の代打・沼沢が粘ってよんたまを選んで塁に出ると、その後あとアウト1つから力みの出た畔柳がさらにもう2つよんたまを出して満塁にするが、
最後は今日ヒット1本の小池が力ないセンターフライに倒れ、逆転サヨナラを演じた2回戦の再現はならず。
ベスト4最後の椅子を手にした中京大中京は、高橋監督の現役時代以来となる24年ぶりのベスト4進出となった。
第十日(3月31日)
第一試合 東海大相模(神奈川) 2−0 天理(奈良)
天理のエース・達が脇腹に違和感を覚えたために準決勝の先発を回避。
対する東海大相模も準々決勝に引き続きキャプテン・大塚を胃腸炎のためベンチからも欠くという手負いの両校。
先手を取ったのは東海大相模。初回にランナーを二塁に置いて4番・柴田が先制タイムリー。天理の先発・仲川を攻める。
その後も相模は3回、5回と得点圏にランナーを進めるが、ここは仲川が意地を見せてこれ以上の失点を許さない。
だが、それ以上の投球を見せたのが相模のエース・石田。1・2回こそヒットを許したもののそのランナーを返さないと、
3回からは奪三振ショー。6者連続三振もあり、5回の時点で早くも10桁奪三振に到達。
スレでも三振カウントが捗り、いつぞやの今治西が引き合いに出される展開のまま、1−0で5回を終える。
どうにかしたい天理は6回、先頭のまごころ政所がセンターオーバーの二塁打と出てビッグチャンスを迎える。
1アウトの後ARAKAKIで三塁まで進むが、石田が内野フライと三球三振で同点のピンチを切り抜ける。
すると相模は直後の7回に天理のやらかしとよんたまでランナーを2人出すが、天理・仲川が当たっている門馬、綛田を打ち取る。
相模は8回にもチャンス。4番・柴田がミルクティー(ガッツポーズ付)で出るもここも仲川がしのぐ。
天理は9回のマウンドに2人目の南澤を送るが、ヒット、メイデン、結果メイデンでランナーを三塁に置いたところで致命的なARAKAKI。
決定的な2点目が入ると最後は相模・石田が代打・長野を三振に切ってゲームセット。後半はペースが落ちたとはいえ15奪三振の快投。
仲川の粘投で食い下がった天理だったが、石田の前にわずか3安打。4番・�鵑魎泙爛�リーンアップは6三振音無しと完璧に封じられてしまった。
第二試合 明豊(大分) 5−4 中京大中京(愛知)
今日は121球までしか投げられないエース・畔柳をベンチスタートにした中京大中京。
常総戦でリリーフした柴田が先発となり、リードして畔柳を出す展開を狙う。
その柴田は序盤3回を無難にまとめて援護を待つが、明豊の先発・太田がこちらも無難なピッチング。
中京は初回こそランナー2人を出すが、4番・5番が倒れて無得点に終わると、2回・3回はいずれも三者凡退で援護できない。
NHKで解説の大矢さんが明豊・川崎監督のコンビニ店長の経歴を唐突に引っ張り出してスレを沸かせた後の攻撃だった。
4回表、ヒットとよんたま、すないぽで柴田が満塁のピンチを招くと、今大会ノーヒットの明豊・塘原がヒットはならずも最低限で1点選手。
均衡を破るとここで柴田がこらえきれない。ピッチャー・太田にジエンゴを許すと、蓑原・阿南もタイムリーで続く。
たまらずにここで畔柳を投入して後続は断ったものの、明豊にとっては大きな大きな5点が入る。
中京もその裏によんたまとすないぽをもらってチャンスを作るが、明豊・太田を打ち崩せずに追撃ならず。
ただ、畔柳が5回も明豊の打線を三者凡退に打ち取ると、エースの力投にようやく打線が応え始める。
よんたまのランナーを盗塁で二塁に進めると、2番・杉浦のタイムリーで反撃開始。
6回は畔柳が三者三振に抑えると、その裏にランナーを貯めて5番・加藤が2点タイムリー。ついに太田をマウンドから引きずり下ろす。
だが、ここで畔柳に何らかのアクシデントがあったか、代打が出された結果ここでマウンドを降りることに。スレも騒然とする。
様々な推測が錯綜し落ち着かなくなるスレとは対照的に、明豊は2番手・京本が、中京も緊急登板で甲子園初見参の大江が7・8回を抑え、試合が一気に落ち着く。
そんな中一番落ち着いていないのは、モノマネバッティングピッチャーをする川崎監督、明豊にかつて起きたカードゲーム事件、
さらに現・大垣日大の阪口監督の東邦高監督時代といった様々なエピソードトークをぶっ込んでくる解説の大矢さんであった。
最後の反撃に出たい中京は9回裏、タイムリーを打った加藤がライト線に落として出塁。ダイブした明豊ライト・山本は及ばず、ユニフォームが破けてしまう。
山本はすでに交代で退いた竹下のユニフォームを借りて試合に復帰し、スレに潜む各種マニアを歓喜させると、櫛田がヒットで続く。
だが、1アウト一・三塁となって一塁ランナーの代走・富田が牽制で刺されて挟殺されてしまう。
この間に三塁ランナーは還って1点差となるが、同点のランナーがいなくなってしまい試合の大勢はこれで決まってしまった。
中京は1点差まで追撃したものの、畔柳のアクシデントなど最後まで歯車がわずかに噛み合わないまま惜敗。
明豊が春夏通じて初、大分勢としてはセンバツ54年ぶりの決勝進出。南こうせつの校歌 VS 眠い校歌という決勝となった。
第十一日(4月1日)
決 勝 東海大相模(神奈川) 3x−2 明豊(大分)
今大会26イニング無失点の石田を後ろに控えさせ、右腕・石川の先発を選択した東海大相模・モンマ監督。
となれば石田が出る前に1点でもほしい明豊は初回から積極的に仕掛ける。1アウトから2番・アナンがヒットで出ると、
エンドランを仕掛けて3番・竹下がライト線に運ぶ。一塁からアナンが果敢にホームを狙うが、守りの固い相模が確実な中継プレーを決めて失点を防ぐ。
だが、一度の失敗ではへこたれない明豊はARAKAKIでランナーを三塁に進めると4番・黒木がレフト前にタイムリー。
明豊が先手を取る展開に、スレではさっそくエース温存の選択をしたモンマ采配に疑問を投げかける声もチラホラ。
だが東海大相模は慌てない。その裏に1番・門馬がヒットで出るとARAKAKIにメイデンを交え三塁まで進む。
ここでモンマ監督はスク水敢行。3番・小島がキッチリ決めて早々に試合を振り出しに戻す。
2回は明豊が2アウト満塁のチャンスを迎えるが、ここは石川がずばさんでZGSに封じてどうにか踏ん張ると、
3回にもランナーを2人背負うものの、急性胃腸炎で今日もベンチ外の主将・大塚の代役・深谷の好守もあってゲッツーに仕留める。
逆に明豊の先発・太田は2・3回と相模打線をピシャリと封じる。ここまでノーエラーの明豊、打撃妨害の1エラーだけの相模らしい守り合いの展開に。
4回も明豊が相模・石川を攻め立てて1アウト満塁。ここでモンマ監督は石川を諦めて2番手に求を投入。
求はアナンに最低限を打たれて勝ち越しを許したものの、後続の走者の進塁は見逃さずにアウトに仕留めて出血を最小限に留める。
マウンドに求が上がったところからついに石田が投球練習を開始。これにプレッシャーを感じたか、明豊・太田はその裏の先頭にすないぽ。
また相模がすぐに追いつくかに思われたが、続く3番・小島のライト前への当たりを昨日ユニフォームを破いた山本が地面スレスレでキャッチ。
飛び出した一塁ランナーを怪しい送球がありながらも刺してピンチ脱出。持ち前の守りは今日も崩れない。
5回、相模は1アウトから7番・小平がライトオーバーの2ベース。2アウトになって打席にはピッチャーの求。モンマ監督はここでは動かず。
石田待望論も聞かれるスレの一部からは不満の声も上がるが、求は結果で黙らせる。レフトオーバーのタイムリー2ベース、ジエンゴで相模が再度追いつく。
ここで明豊・川崎監督が申告敬遠を選択して当たっている門馬を歩かせる。これにはスレの深刻故意四球マニアを大いに満足。
続く綛田(かせだ)を太田が故意じゃないよんたまで歩かせて満塁としてしまうが、小島のピッチャー返しを倒れながら掴んでZGS。ギリギリで踏みとどまる。
6回、相模・求は2アウトながらランナーを2人背負うピンチ。ここでモンマ監督がついにエース・石田を投入。
石田の登場で一気にスレが加速すると石田はモンマ監督とスレの期待に応え、3番・竹下を打ち取って明豊に勝ち越しを許さない。
逆に投手起用ではここまで動きのない明豊・川崎監督。6回も太田に任せるとこの回を三者凡退に片付け、2−2の同点のまま試合は終盤へ。
7回、石田が明豊打線を3人で片付けたその裏だった。力投を続けてきた明豊・太田のスパイクの紐が切れてしまうというアクシデント。
ユニフォームが破れる、ベルトが切れるといったアクシデントは起こってきたが、ここに来てあまりに不吉すぎる出来事にスレがざわめくと、
直後に相模7番・小平がヒット、8番・深谷のメイデンをフィルダースチョイスでノーアウト一、二塁。明豊が大ピンチを迎え、靴紐の呪いだとスレでは悲鳴があがる。
石田をダメイデン、門馬をライトフライに打ち取るが、綛田は9球目まで粘ってよんたま。またも満塁で島を迎える。
だが、小島は初球を打ち上げてしまいレフトフライ。今大会自己最長イニングに突入した太田が不吉な予感をねじ伏せる。
直後の8回表、石田は打撃絶好調の太田にヒットを許すと、1番・幸にはストレートのよんたま。昨日までの26イニングで与四球は1だけということもあり、実況もスレも驚きが隠せない。
ここで何かと持っている2番・アナンはセンター返し。抜けそうな当たりを相模・セカンド綛田がグラブに当てて止めるとそのまま這いながら執念でベース上で抑えてフォースアウト。
明豊はその裏から2番手・京本を送り込むが、京本のカーブに相模打線が狙いを定め、1アウトから連打でチャンスを作る。
ここで今日2安打の7番・小平も京本のカーブを捉える……が、強烈なライナーは二遊間よりに守るショート・幸のグラブに収まりショートライナーゲッツー。
守り合いのままとうとう試合は9回の攻防へ。9回表、相模・石田が得点圏にランナーを背負ったものの後続を断つとその裏だった。
先頭の深谷が完璧なセーフティバントで出塁。石田がメイデン、門馬は2回目の申告敬遠、綛田がよんたまを選ぶ。
三度満塁で打席が回ってきた3番・小島。追い込まれてから強振した当たりは前進守備の明豊のショート・幸のグラブを弾いてセンター前に。
三塁ランナーの深谷がガッツポーズしながらサヨナラのホームを踏んだ。東海大相模が10年ぶりに春の頂点に立った瞬間である。
明豊は大会通じてノーエラー、守りは最後まで崩れなかったが、難攻不落の相模・石田をもう一歩で打ち崩すことができず。
その石田は29回 1/3を投げて無失点。無傷のまま春を終えてベンチを外れた主将・大塚に捧げる優勝となった。
第一試合 神戸国際大付(兵庫) 3x−2 北海(北海道) (延長10回)
第二試合 明徳義塾(高知) 0−1 仙台育英(宮城)
第三試合 健大高崎(群馬) 6−2 下関国際(山口)
第二日(3月20日)
第一試合 宮崎商(宮崎) 1−7 天理(奈良)
第二試合 三島南(静岡) 2−6 鳥取城北(鳥取)
第三試合 東海大相模(神奈川) 3−1 東海大甲府(山梨) (延長11回)
第三日(3月22日)
第一試合 具志川商(沖縄) 8−3 八戸西(青森)
第二試合 福岡大大濠(福岡) 2−1 大崎(長崎)
第三試合 明豊(大分) 10x−9 東播磨(兵庫) (延長11回)
第四日(3月23日)
第一試合 市和歌山(和歌山) 1x−0 県岐阜商(岐阜)
第二試合 智弁学園(奈良) 8−6 大阪桐蔭(大阪)
第三試合 広島新庄(広島) 1x−0 上田西(長野) (延長12回)
第五日(3月24日)
第一試合 東海大菅生(東京) 4−3 聖カタリナ(愛媛)
第二試合 柴田(宮城) 4−5 京都国際(京都) (延長10回)
第三試合 常総学院(茨城) 9−5 敦賀気比(福井) (延長13回)
第六日(3月25日)
第一試合 中京大中京(愛知) 2−0 専大松戸(千葉)
第二試合 神戸国際大付(兵庫) 5−13 仙台育英(宮城)
第三試合 健大高崎(群馬) 0−4 天理(奈良)
第七日(3月26日)
第一試合 鳥取城北(鳥取) 0−1 東海大相模(神奈川)
第二試合 具志川商(沖縄) 4−8 福岡大大濠(福岡) (延長11回)
第三試合 明豊(大分) 2−1 市和歌山(和歌山)
第八日(3月27日)
第一試合 智弁学園(奈良) 5−2 広島新庄(広島)
第二試合 東海大菅生(東京) 5x−4 京都国際(京都)
第三試合 常総学院(茨城) 5−15 中京大中京(愛知)
第九日(3月29日)
第一試合 仙台育英(宮城) 3−10 天理(奈良)
第二試合 東海大相模(神奈川) 8−0 福岡大大濠(福岡)
第三試合 明豊(大分) 6−4 智弁学園(奈良)
第四試合 東海大菅生(東京) 0−6 中京大中京(愛知)
第十日(3月31日)
第一試合 東海大相模(神奈川) 2−0 天理(奈良)
第二試合 明豊(大分) 5−4 中京大中京(愛知)
第十一日(4月1日)
決 勝 東海大相模(神奈川) 3x−2 明豊(大分)
第一日(3月19日)
第一試合 神戸国際大付(兵庫) 3x−2 北海(北海道) (延長10回)
北海・木村と神戸国際大付・阪上はどちらも秋の大会の防御率0点台と両エースの投げ合いが期待された開幕戦。
実際、初回は両者とも全てのアウトを三振で奪う評判通りの立ち上がりを披露した。
だが、阪上は肘の状態が思わしくないらしく2回に満塁のピンチを作って早々に降板。
代わった楠本が即よんたま中出しと不安視されたがその後は粘りのピッチングを披露。9回まで北海打線を2点に抑える。
だが、対する木村はそれを上回る投球にサード・尾崎らの好守でバックアップ。
6回に不運な内野安打に加えて、お見合いポテンヒットによるタイムリーが出て1点こそ許したものの、
再三のピンチを封じて1点をリードしたまま9回の守り、1アウト一、三塁のピンチ。
ここで神戸・武本がスク水の構え、とっさに外した木村だったがキャッチャーがボールをこぼす間に三塁ランナーがそのまま生還。
記録上ホームスチールとなるプレーで追いつくと、2アウト二塁から9番・山里はレフト前ヒット。
しかし突っ込んできた二塁ランナーを今度は本塁で封殺、開幕戦からいきなり延長戦へ突入。
ロースコアの接戦にここまで鈍い動きだったスレがこの9回裏だけで一気に加速する。
サヨナラこそ逃したものの流れを掴んだ神戸国際大付は10回裏に満塁のチャンスを作ると代走から途中出場の関がサヨナラタイムリー。
この回もメイデンを二塁封殺するなど最後まで守った北海だったが中盤以降の追加点が無いのが響いて初戦で涙を呑んだ。
第二試合 明徳義塾(高知) 0−1 仙台育英(宮城)
常連同士なのに甲子園では初対戦となった一戦。開幕戦に続いてこの試合もロースコアの展開に。
2回に仙台育英が内野安打に送球エラーを絡めて作ったチャンスから遠藤のタイムリーで先制すると試合が膠着状態に。
守りから試合を作る、というフラグを立てた明徳義塾だったが、内野安打からの無理な送球エラー以外は好守備を連発。
内外野が際どい打球を再三ダイビングキャッチでピンチを救い、エース・代木は10安打を浴びながら2回の1点だけで凌ぐ。
だが、仙台育英は先発の古川が4回途中まで好投、自らもピッチャーライナーをダイレクトキャッチする守りを見せると、
2番手に登場したエース・伊藤の球が明徳打線にはまるで見えなかったのか、なかなかランナーを出すことができない。
明徳は9回に1アウトからよんたまのランナーを出して同点のチャンスを掴みかけたものの、
後続が角度詐欺のセンターフライとセカンドライナーに倒れてゲームセット。
結局伊藤からはノーヒット、試合通じて1安打では交流試合の再現もままならず。仙台育英が初戦明徳を乗り越えた。
第三試合 健大高崎(群馬) 6−2 下関国際(山口)
今年も校歌でスレを加速させた健大高崎は2回に長打2本を含む3安打で2点を先制。
機動破壊をバージョンアップさせたスペクタクルベースボールが今度こそ発揮されるかとスレの期待も高まる。
だが、その後は下関国際の先発・松尾とリリーフのエース・古賀が粘りの投球で7回までは0を並べ続ける。
逆に下関国際は初回の攻撃で健大高崎のお株を奪う盗塁を早々に披露。
坂原監督が足を使った攻めが狙いと語る中、下関国際がどんな攻めを見せるかが注目された。
そんな下関国際に待ったをかけたのが健大高崎のエース・高松。
普段はリリーフだった男が、徐々に球威が落ちながらも下関国際打線をきりきり舞いさせていく。
気がつけば3回にヒットが出て以降4回から8回まで下関国際の攻撃は全て三者凡退。ランナーが出なければ足も使えない。
そうこうしている間に8回、ついに下関国際・古賀が捕まる。健大高崎がようやくこの試合初盗塁を決めてスレを盛り上げると
直後に4番・小沢のミルクティーで大きな追加点。この後、下関国際のやらかしにもつけ込んで一挙4点、決定的な点差が付く。
下関国際は9回に先頭の思い出代打・染川がチームとして久々となるヒットを放って出塁すると、1番・片桐の長打で反撃。
キャッチャーファウルフライに対して三塁へのタッチアップを決めるなど持ち味の片鱗は見せたが反撃は2点止まり。
例の校歌を今回も甲子園とスレに響かせたトゥギャ崎が2回戦へコマを進めた。
第二日(3月20日)
第一試合 宮崎商(宮崎) 1−7 天理(奈良)
2回に天理が2点を先制したもの、中盤までは宮崎商・日高の力投。
天理のプロ注エース・達に負けじと緩急を生かして三振を重ねていく。
天理は学校自慢がまさかの強制終了に遭ったりと流れに乗りきれないまま前半を終了。
だが、序盤は制球の怪しかった達が徐々に中盤以降ギアを上げていくと打線もこれに呼応。
7回にはスレでも待望のワッショイが録音で流れると、待ってましたとばかりに相手のやらかしに付け込む。
まごころこと政所のタイムリーなどで決定的な4点を加えると、8回にも1点を加えて7点差とする。
なんとかしたい宮崎商は8回に1点を返したものの反撃はここまで。
7・8回のやらかしが重くのしかかってエース・日高とリリーフ・長友の力投に報いることはできなかった。
勝ち上がった天理は過去2回敗れているトゥギャ崎とのリベンジマッチへ。3度目の正直なるか。
第二試合 三島南(静岡) 2−6 鳥取城北(鳥取)
今年の21世紀枠の先陣を切るのは、学園の合言葉が自覚という三島南。
1・2回のピンチをエース・植松がしのぐと歴史上初校歌が流れた直後の攻撃で自覚ある最低限で見事先制。
一方で鳥取城北は牽制悪送球や、せっかく出塁した先頭打者が牽制で誘い出されてアウトになるなど、自覚が足りないとスレからも苦言が。
だが、5回に三島南は突如やらかしを連発。自覚ではなく自爆に付け込む形で鳥取城北が一気に3点を挙げて逆転に成功。
このまま鳥取城北が押し切るかに思われたが、三島南は6回に3番・前田のミルクティーでチャンスを作り、4番・小堂がタイムリーで追撃。
1点差に迫るとさらに続く5番・山田のサードゴロがやらかしを誘ってチャンスを拡大。
だが、このチャンスを三島南の後続が活かせず、逆転のチャンスという自覚が足りずに1点止まりで攻撃を終えてしまう。
三島南は7回にも得点圏にランナーを進めるが、鳥取城北の先発・廣田がここはエースの自覚を見せて無失点で踏ん張る。
逆に鳥取城北は9回にマウンドに上った三島南・前田を攻めると、よんたま、メイデンから松田の三塁打、さらに中木村も三塁打で続く。
最後はキャプテン・未来翔の最低限で3点。最終回の攻撃が大事であるという自覚があったか、これが完全にトドメになった。
その裏、廣田が自覚の足りないやらかしとすないぽでピンチを迎えるも最後はサードライナーゲッツーで締め。
ライナーのキャッチが微妙だったこともあってスレでは試合終了を自覚できなかったという声もチラホラ。
終盤まで食らいついた三島南だったが及ばず。鳥取城北はセンバツ初勝利、自覚を持って2回戦へコマを進めた。さて、自覚と何回言った？
第三試合 東海大相模(神奈川) 3−1 東海大甲府(山梨) (延長11回)
センバツでは初となる東海大対決。さらにチーム紹介ではともにアグレッシブを掲げるなどますます見分けのつかない一戦に。
どちらもランナーが出れば強攻に出るものの、お互いに堅い守りで隙を見せない。
相模の主将・大塚、甲府の中澤の両ショートを筆頭に、甲府・若山も好フィールディングで投ゴロゲッツーを2つも取るなど、
堅い守りによる3939進行で試合開始からたった50分であっという間に5回まで終了、スコアボードに0が並び続ける。
だが、後半に入って甲府・若山が乱れ始める。6回、先頭にヒットを許すと牽制がボークを取られてスレに潜むボークマニアを歓喜させると、
続く投球はバッターの背後にすっぽ抜けるARAKAKIとなりノーアウト三塁。相模が絶好の先制機を迎える。
それでもこの回はモンマの次男・功を三振に切って取るなど、後続を断ってピンチを凌いだものの、続く7回。
またも三塁にランナーを背負ったところで抜け気味の球をパスボール。まさかのバッテリーエラーで相模がついに先制する。
8回、甲府の先頭・猪ノ口がセンター前ヒット。センターの背後にハトの大群がいた事でスレが笑いに包まれるがこれが吉兆であった。
続くメイデンが内野安打、内野ゴロの間にランナー進むと4番・久井のタイムリーでついに相模・石川を捉えて同点に追いつく。
だが、続いて突入した逆転のランナーはやや暴走気味だったとはいえ門馬功の好返球で阻止。この回は同点止まりに。
9回、相模は先頭がすないぽで出るも、ダメイデンに加えて残ったランナーが牽制で誘い出されて挟殺。
モンマのアグレッシブベースボールが不発に終わると、その裏の守りでついにエース・石田をモンマがマウンドへ送る。
攻撃は当たらなかったもののこの継投はピタリ。甲府打線を3人で片付けて開幕戦以来となる今大会2試合目の延長戦に突入。
延長に入ってもダメイデン、エンドラン不発でランナー憤死など、試合が進むにつれて加速度的に空回るモンマ采配。
すると11回表、親父の不始末は息子が処理するとばかりに、門馬功が2ベースでチャンスメイク。
親父が動く余地を奪うと、続く主将・大塚がライト前に弾き返して門馬功が生還、4番・柴田にもタイムリーが出て大きな2点のリードを奪う。
その裏をエース・石田がアウトを全部三振で取ってゲームセット。石田は9回から登板して3イニングで三振を7個奪うピッチングであった。
秋の関東の雪辱を果たした東海大相模が、おなじみの眠くなる校歌を引き連れて2回戦へコマを進めた。
第三日(3月22日)
第一試合 具志川商(沖縄) 8−3 八戸西(青森)
センバツ史上3回目となる21世紀枠同士の対戦。どちらが勝っても歴史上初勝利となるカードとなった。
先手を取ったのは具志川商。2回の守りで八戸西の先制点をバックホームで阻止するとその裏にエンドランも絡めつつ4連打。
合間には八戸西のやらかしが挟まったこともあって一気に4点を奪うと、4回にはスク水を成功させてさらにリードを広げる。
守備の乱れが攻撃にも繋がったか、なかなかチャンスを作れないまま6点差を付けられてしまった八戸西。
7回、満塁のチャンスを作って2番・桐山のタイムリーで2点を返すも、後続は倒れて追いつかない程度の反撃に。
するとすかさず具志川商がその裏に追撃。振り逃げやディレードスチールを絡めてすぐに点差を6点に戻す。
具志川商は8回からリリーフとして主将・アグニを投入するなど経験値稼ぎモードに突入しつつ楽々逃げ切りに成功。
マモノが現れる余地すらなく、年度末の平日とはいえ1スレ目のうちに試合が終わるというまったりムードの中の試合に。
シュビノサから流れを掴めなかった八戸西は反撃も遅く完敗。歴史上初勝利は具志川商にもたらされた。
第二試合 福岡大大濠(福岡) 2−1 大崎(長崎)
秋の九州大会決勝の再戦、両チームともその時は温存されていたエースを先発のマウンドに送り込んだ。
初出場の大崎エース・坂本に対してまずは福岡大大濠打線が襲いかかる。2回に8番・松尾の2点タイムリーで先制。
なおも追加点のチャンスに1番・古川がセンターへの大飛球。これを大崎のセンター・池田がランニングキャッチ。
このプレーで賞賛の「池田ァ！」をスレに溢れかえらせ、これ以上の失点を防ぐ。
これで攻撃にも流れを……というところに立ちはだかったのが福岡大大濠エース・毛利。5回までわずか1安打ピッチングを披露する。
その後も大濠が再三チャンスを作るものの、大崎がしぶとく守って2点差をキープしたまま前半を終了。
後半に入っても6回は大崎がゲッツーでしのぎ、大濠・毛利は3者連続三振で片付けるなどと流れが変わらないかに思われた。
だが、大崎は7回に久々のヒット、さらに初の連打でチャンスを作ると、エース・坂本がジエンゴとなるタイムリーで1点差に。
なおもチャンスを迎えるものの、ここは二塁ランナーがキャッチャーからの牽制球で刺され、今度は大濠が凌ぐ形に。
9回、大濠は満塁のチャンスを作るものの大崎・坂本がZGSでしのいでその裏に流れを作りたいところだったが、
大濠のエース・毛利は最後まで隙を見せず。最後は今日2安打だった大崎の4番・調を打ち取って試合終了。
秋の九州での雪辱を果たした福岡大大濠が2回戦進出、次も秋の九州で戦った相手が待ち受けるが次は立場を変えて返り討ちを狙う側に。
両校合わせて3エラーという数字とは思えないほど締まった守り合いで、一番やらかしていたのはNHKの実況だったというレスも。
第三試合 明豊(大分) 10x−9 東播磨(兵庫) (延長11回)
お誕生日が出ないまま突入した1回戦後半戦。その最初に登場したのが21世紀枠のトリ・東播磨。
機動力野球を掲げる東播磨を警戒したか、明豊の先発・京本は立ち上がりから制球が定まらない。
よんたま2つで満塁のピンチを背負うと、東播磨のエース・鈴木のジエンゴなどで一挙3点と鮮やかな先制攻撃を決める。
早々に21世紀枠に認定されかかった明豊だが、常連校の意地を見せて1回裏にすかさず3点を取り返してあっという間に同点に。
お誕生日もそうだが、打撃戦・馬鹿試合にも飢えていたスレもざわめき始める。
3回には東播磨がすないぽに盗塁を絡めて作ったチャンスから勝ち越すと、明豊はその裏にポテンヒット3発
(ただしうち1発は次の塁で封殺されたランナーがいたので記録上はセンターゴロ)などで逆転とスコアが目まぐるしく動く。
6回には明豊2番手・太田が突如としておよりはじめてこの回だけでよんたま4つで中出し、東播磨が5−5の同点に追いつく。
だが、それが東播磨2番手・若杉にも伝染し、その裏にこちらもよんたま連発、満塁のピンチを迎えると明豊の3番・黒木が走者一掃。
さらに最低限でこの試合最大の4点差が付く。点の取られ方が悪かったこともあって、スレにも終戦ムードが漂いかける。
だが、7回からマウンドに上った明豊3番手・財原にまでよんたま病が伝染。三塁打・すないぽ・よんたまでノーアウト満塁。
最低限中出し、ボテボテの内野ゴロで1点ずつ取って1点差に。gdgdになりかけた試合に大谷が文字通り水を差して、雨中の終盤戦に。
ここから両チームともチャンスは作るものの、明豊はキャッチャー・蓑原が東播磨の盗塁を阻止、
東播磨はこの日すないぽを2つ食らったマグネット島津が左中間への大飛球をランニングキャッチと守備では好プレーが頻発。
9−8と明豊1点リードのまま9回の攻防へ。すると東播磨は先頭の3番・高山が2ベースで出塁、そして4番の砂川になんと代打策。
メイデン要員として起用の上野があわやダメイデンだったものの送りバントを何とか決めて同点のランナーが三塁に。
そして途中からマウンドに戻っていた鈴木の内野ゴロの間に高山が生還、9−9の同点に追いつく。
9回裏からは照明が全面点灯、外野線審も登場と各種マニアを歓喜させつつ試合は進み、9回裏の明豊は三者凡退、今大会3試合目の延長戦に。
延長に入ってからは一時のよんたま・すないぽ合戦が嘘だったかのように3939な展開に。
だが、11回裏に先頭がよんたまを選んだことでサヨナラへのトリガーが引かれる。
明豊4番・米田がエンドランを決めてチャンスを拡大すると5番・山本がピッチャー強襲の当たりが送球エラーを誘ってノーアウト満塁。
ここで代打・田中への初球がARAKAKI、エラーはラストの1個だけなのに締まった印象が無いこの試合を象徴するような決着の瞬間にスレも脱力。
両チーム合わせて20
第四日(3月23日)
第一試合 市和歌山(和歌山) 1x−0 県岐阜商(岐阜)
市和歌山のプロ注・小園に注目が集まる一戦だが、その小園は少々焦げ臭い立ち上がり。
1回から3回まで毎回先頭打者を塁に出すと、3回には1アウト二、三塁のピンチ。だがここでギアを上げた小園、2者連続三振でピンチを脱する。
対する県岐阜商の先発・野崎も上々の立ち上がり。140キロカルテットというフラグを立てつつ序盤はスコアボードに0が並ぶ。
学校自慢ではかたや株式会社設立の県岐阜商、かたや年1回デパート開催の市和歌山と似たような自慢となり、一部からは商魂対決とも称された。
後半に入っても投手戦が続く中、先に動いたのが県岐商・鍛冶舎監督。7回に2アウト二塁のチャンスに好投の野崎の打順で代打・広部を送る。
だが、ここは小園がしっかりギアを上げて広部を打ち取ってこのピンチを凌ぐ。8回には好フィールディングでダメイデンを誘ってピンチの芽を摘む。
直後によんたまや盗塁、さらに鍛冶舎監督の乱数調整(カウント途中での代打策)でまたまたピンチを背負うと今度は三振でピンチ脱出。
一方、県岐阜商は2番手・松野が8回に満塁のピンチ。ここで市和歌山の4番・松川を打ち取ってZGS。点が入りそうで入らないまま試合は9回へ。
9回表、小園がよんたま2つを出しながら無失点に抑えると、その裏の市和歌山は1アウトからヒットとよんたまでチャンスメイク。
ここで7番・亀井の当たりはセンター前へ。二塁ランナーが突っ込むところへのバックホームがわずかに高くサヨナラのホームイン。
県岐阜商は140キロカルテットのうち2枚を抱え落ちし、カルテットが東海大相模だけの死亡フラグでないことを知らしめてしまうことに。
��GIFUSHOはここで甲子園から撤退、市高デパートが以後の販売を一手に担うこととなった。
第二試合 智弁学園(奈良) 8−6 大阪桐蔭(大阪)
1回戦屈指の好カードは昨年秋の近畿決勝の再現。試合は初回からいきなり動く。
大阪桐蔭先発・松浦を智弁打線が攻め、4番・山下の最低限で先制するとなおも満塁で6番・植垣が走者一掃の2ベース。
大阪桐蔭がいきなり4点のビハインドを背負う展開に、スレも思わずざわめく。
4点の援護をもらった智弁エース・西村オーガ。3回目となる甲子園で躍動し、大阪桐蔭の一巡目をパーフェクトに抑える。
5回に内野安打で大阪桐蔭に初Hを許すが、前半を1安打に封じる見事なピッチング。ただ、大阪桐蔭もこのままでは終わらない。
6回に2アウトから連打とよんたまで満塁のチャンス。ここでプレッシャーに屈したか、智弁のショート・岡島が痛恨のやらかし。
2点を返してなおも一、三塁のチャンスと攻めるがここはオーガが踏ん張ってこれ以上の失点を許さない。
2点差に迫られた智弁学園はここを勝負どころと見たか、6回裏の攻撃で録音本家偽魔曲を発動。そしてその効果は絶大だった。
よんたまにヒットでチャンスを作ると、7番・森田がバントシフトをあざ笑うかのような鮮やかなバスターを決める。
大阪桐蔭の返球が乱れる間に一気に二者生還、再びリードを4点に戻すと、5回からマウンドの2番手・関戸がこの日4つ目のARAKAKIを発動させてさらにもう1点。
あの大阪桐蔭らしからぬ点の失い方も魔曲効果か。7−2と智弁が一気にリードを広げる。
7回に大阪桐蔭が2アウトからの連打で1点を返すも、その裏にゲッツー崩れの間にまたも5点差に戻されるなど、後半は毎回得点が入る展開。
大阪桐蔭は8回、疲れの見える智弁・西村オーガを攻めて2点を返すと、代打・小谷も続いて2点差に。王者がジリジリと詰め寄るが、ここで1番・野間が痛恨の一塁ライナーゲッツー、チャンスの目が摘み取られてしまう。その裏に再度発動した録音本家偽魔曲を前に大阪桐蔭5番手・別所がピンチを迎えるも3・4番を打ち取って無失点。
9回、智弁は141球を投げたオーガに代えて小畠を送って逃げ切りを図るも、先頭をよんたまで出してしまう。
だが、続く3番・宮下の打球はまたもや一塁塁上へのライナー、ランナー戻りきれず大阪桐蔭にはあまりにも不運なゲッツーもあってそのまま試合終了。
序盤のリードを守りきった智弁学園が、秋の雪辱を期した大阪桐蔭を返り討ちに。
大阪桐蔭の甲子園初戦敗退は2002年夏以来、マモノ甲子園史上では初となり、西谷監督の連勝は11でストップした(交流試合を含めれば12)。
第三試合 広島新庄(広島) 1x−0 上田西(長野) (延長12回)
チーム打率4割超の上田西打線に対し、広島新庄としては珍しい右のエース・花田が真っ直ぐを軸に抑えると、
上田西エース左腕の山口もキレのあるスライダーを効果的に使い、左を多く並べた広島新庄打線を手玉に取る投手戦に。
点の取り合いになった第2試合の反動からか、スレもお疲れモードでゆっくり進行、試合もゼロ進行で前半が進む。
チーム打率は飾りではなかった上田西が中盤以降徐々に花田を捉え始めるも、決定打を許さずに耐え抜くと、
広島新庄も数少ないランナーを活かしたい場面でピッチャーライナーダブルプレーや、ルンバでチャンスを作れない。
第1試合のように0が並び続け、スレもダレかけていた中迎えた8回表、突如として事件が起きる。
この回先頭の上田西・山口はボテボテのピッチャーゴロ。このまま無難に1アウト……と思いきや、ゴロを処理した花田が一塁へ投げない。
なんとこの回から一塁の守備についていた伊永がよそ見をしていて捕球体制に入っておらず、まさかの内野安打に。これにはスレも騒然。
メイデンを挟んでランナーを得点圏に進めたところで広島新庄は左腕の秋山へスイッチ、花田がファーストに回り、伊永は哀れ半ば懲罰交代の形に。
これで均衡が破れれば伊永の立つ瀬が無いところであったが、ここは秋山が後続を断って仲間の失敗をカバーした。
9回も上田西が得点圏に進めるも還せず、広島新庄は先頭打者が出るもダメイデン連発で無得点と今大会4試合目の延長戦。毎日1試合ずつ延長戦がある形に。
延長戦に入ってもなかなかスコアが動かず。上田西はレフト・大藪のダイビングキャッチにベルト交換を加えてスレを盛り上げるが攻撃にはつながらない。
タイブレークマニアがそわそわし始めた延長12回、広島新庄が2アウトから3番・瀬尾がヒットで出塁。
打席に4番・花田を迎えたところで外野は前進守備。解説がフラグを立てたその瞬間、花田の打球はライトの頭上を越え、一塁から瀬尾が一気にサヨナラのホームを踏んだ。
上田西・山口は161球の熱投も報われず泣き崩れ、寸前までタイブレークを期待した一部のマニアを粉砕した広島新庄が守り勝った。
第五日(3月24日)
第一試合 東海大菅生(東京) 4−3 聖カタリナ(愛媛)
実況の「何もかもが初体験」という言葉でスレを色めき立たせた初出場・聖カタリナ。5年前まで女子校だった学校である。
歴史上初Hなどの話題で序盤ひとしきり盛り上がった後で、ついにスレに待望の瞬間が訪れる。
2回裏、東海大菅生はスタメン抜擢の2年生・鈴木悠平がレフトポール際にホームラン。今大会13試合目にしてついに初お誕生日である。
直前の眠い校歌でもたらされた眠気を吹き飛ばす一撃に思わずスレもヒートアップ。初体験のカタリナ相手にまずは東海大菅生が一発をお見舞いすると、
続く3回には3番・千田にもお誕生日。ちなみに千田のお誕生日はセンバツ通算800号というメモリアルな一発。東海大菅生がじわじわリードを広げる。
追撃したい聖カタリナは6回に菅生先発・鈴木泰成を攻めてマウンドから引きずり下ろし、なおも満塁のチャンスを作る。
が、ここは菅生2番手・松永がピシャリと締めてZGS。歴史上初得点をなかなか挙げることができない。
それでも7回に再びランナーを三塁まで進めるとここで菅生がパスボール。ついにカタリナが歴史上初得点を刻む。
しかしここは地力の差か、8回にやらかしも絡んで作ったチャンスで菅生は最低限でトドメの1点を追加。
最後は勝ちパターンとして千田を投入。ところがこの千田がとんだ劇場型、満塁のピンチにARAKAKIでカタリナが追撃。
さらにすないぽで再度満塁にしてしまうと、1番・堀越の最低限でついに1点差となり、続く田代によんたまでまたまた満塁。
逆転を期待してスレが急加速する中、4番・川口をフルカウントからサードゴロ。冷や汗モノの逃げ切り劇となった。
菅生はチーム紹介で「エース・本田が中心」とカタリナがら、その本田を(抱え落ちしかけたが)使わずにセンバツ初勝利を挙げた。
カタリナは最後までタイムリーで挙げた得点が無いなど、もう一押しが足らずにほろ苦い初体験となった。
第二試合 柴田(宮城) 4−5 京都国際(京都) (延長10回)
ハングル校歌で大会前から話題の京都国際とあってチラホラお客さんの存在が見られる中始まった初出場対決。
先手を取ったのはモリシ風ユニフォーム(というか日本代表風ユニフォーム)の柴田。
初回のピンチを凌ぐと、その裏にARAKAKIにタイムリーを絡めて鮮やかに2点を先取。校歌の前にまずは見せ場を作る。
京都国際は校歌でひと盛り上がりを見せるが、野球の方は初回・2回とチャンスを生かせず。
3回もノーアウト一、二塁から無得点と、柴田・谷木の不安定な立ち上がりを捉えきれない。
徐々にクールダウンしたスレは暇つぶしに縦読みの仕込みに精を出す程で、試合は2−0のまま動かずに前半終了。
ようやくチャンスが来たのは7回表の京都国際。よんたまから野選などが絡んでノーアウト満塁という絶好機。
1アウトになった後1番・武田の打球はセンターへ。センターがダイビングを試みるも後ろに逸らして走者全員生還。一挙に逆転する。
ひっくり返された柴田だが後続をエース・谷木が打ち取るとその裏の先頭バッターでヒットを放って出塁すると、
2アウト一、三塁となって4番・菅野のタイムリーですかさず同点に。直前のプレーで本塁突入を自重した谷木が無事に還ってくる。
徐々にスレも速度を戻し始めると終盤は柴田が押せ押せムードになるが点は入らず、5日連続5試合目の延長戦へと突入。
中盤にすでに継投を済ませていた京都国際に対し、柴田はエースの谷木が投げ続ける。スレでも懸念の声が上がる中、延長10回だった。
よんたま、メイデンで京都国際がチャンスを作ると3番・中川が勝ち越しタイムリー、さらに5番・辻井もエンドランを決める。
大きな2点が入ると、その裏を京都国際の2番手・平野が柴田の代打攻勢の前に1点を失いさらに一打サヨナラのピンチを迎えるも辛くも凌ぐ。
終わってみれば6安打で5点の京都国際と、倍以上の14安打で4点の柴田との得点効率の差が出た形に。
初出場対決は京都国際に軍配が上がり、生徒もあまり歌えないハングル校歌が甲子園に響いた。
第三試合 常総学院(茨城) 9−5 敦賀気比(福井) (延長13回)
NHKで解説の大矢さんが故・木内監督の思い出話に花を咲かせる間にチャンスを作ったのが2回の常総学院。
長打によんたま2つが絡んで満塁のチャンスを作ると、敦賀気比がやらかしでホームゲッツーを取り損ねる間に二塁ランナーが還って先制。
この後ARAKAKIに加えてなおも満塁から2番・伊藤の2点タイムリーであっという間に4点が入る。
劣勢に立たされた敦賀気比は4回の守りで先発の竹松を諦める。ここでマウンドに送られたのはサードにいた本田。
この本田、地区大会でも登板の実績が無く大矢さんの友達ネットワークにすら情報が引っかからないという投手。
第1試合でボヤ騒ぎを起こした東海大菅生・千田を引き合いにするレスも相次ぐ中、本田は4回のピンチを凌ぐと、5回は三者凡退という満点救援。
流れを掴みたい敦賀気比は7回、先頭がすないぽされ、ヒットで繋いだところで好リリーフの本田がメイデンに出る。
これを処理した秋本が一塁への送球をやらかし。敦賀気比がようやく1点を返すと、この後内野ゴロの間にさらにもう1点返し、
なおも1アウト三塁でアズマ監督の甥・東がライトへ最低限。この回で一気に1点差に詰め寄る。
追撃ムードに入った敦賀気比だが、直後の8回に好リリーフの本田から上加世田にスイッチすると、この上加世田がピリッとしない。
いきなりすないぽを出すと、常総は確実にメイデンを決め、5番・秋本が半ば独り相撲だった前の回の投球を取り返すタイムリー。
2点差に広げ直して勝負あり、かと思われたが敦賀気比は諦めない。8回裏、常総の2番手・大川慈英に襲いかかる。
やらかしで先頭バッターがでるとARAKAKIなどでランナー二、三塁から最低限で1点差に迫ると、本田のタイムリーで同点に。
9回裏は依然として制球定まらない大川から敦賀気比がチャンスを作る。ARAKAKIが出たところで常総・島田監督が申告敬遠で満塁策に。
申告敬遠マニアを喜ばせつつサヨナラのチャンスにスレも加速するが、ここで開き直った大川がまっすぐゴリ押しでこのピンチを切り抜ける。
2試合連続、今大会6試合目の延長戦に突入するとマウンドに戻った敦賀気比・本田と常総・大川が好投を見せて一転して締まった展開に。
12回裏、敦賀気比はランナーを三塁まで進めるも、ここも大川が自慢の真っ直ぐでレフトへの大飛球に打ち取って無失点。
今大会6試合目の延長戦にしてついにタイブレークマニア待望のタイブレークに突入。センバツ史上初のタイブレークとなった。
しかし、ここまで2度マウンドに登って7イニング以上を投げてきた敦賀気比・本田はここが限界だった。
先頭の秋本に鮮やかにバスターでタイムリーを打たれると、1アウトからは前進守備の内野をあざ笑うようなところに打球が飛び続けて4失点。
さすがに4点あれば十分だった。その裏をボークを1つ出しつつも大川がフライアウト3つで0点に抑えて死闘に終止符。
常総学院が木内監督亡き後初の甲子園でのゲームで勝利を飾った。
第六日(3月25日)
第一試合 中京大中京(愛知) 2−0 専大松戸(千葉)
1回戦のトリに登場したのは今大会屈指のプロ注右腕、中京大中京・畔柳(くろやなぎ)。弱い大谷が襲来する中先発のマウンドに上がる。
立ち上がりこそランナーを背負い、2回にはセンターオーバーの長打を浴びたもののこのピンチを切り抜けると、徐々にエンジンがかかり始める。
徐々に大谷が強まる中で畔柳の球威も徐々に増し、専大松戸打線はメイデンを試みるのも難儀するほど。ランナーは出ても決定打を許さない。
しかし、それに触発されたのが専大松戸の先発・深沢。甲子園のマウンドで秋の時点の球速を大幅に更新するなどひと冬の鍛錬の成果を発揮。
畔柳を援護したい中京大中京打線を相手に6回までわずか2安打に抑える快投を見せ、今大会何度も見たゼロ行進のまま試合は終盤へ。
試合が動いたのは7回。深沢がこの日初のすないぽで先頭を出してしまう。メイデンで得点圏に進めた後2アウトになり打席には守備から途中出場の櫛田。
櫛田の当たりはレフトへのライナー性の当たり。畔柳相手では1点でも致命傷と考えたか、専大松戸のレフト・吉岡が懸命にダイブするも及ばず。
後ろに逸れたボールがフェンスに転々とする間に二塁ランナーだけでなく打った櫛田まで還ってくるランニングお誕生日に。中京大中京が大きな2点を奪う。
畔柳にはこの2点で十分だった。専大松戸は「どうしようもない時の引き出し」を開けてバスターを狙うバッターも出るがギアを上げた畔柳の前には不発。
強まる大谷の中9回に入っても140キロ台を連発する畔柳相手に9回2アウトから代打・横山が意地のヒットを放つも最後までホームは遠かった。
12奪三振で6安打完封、畔柳がプロ注たる所以を発揮して初戦突破を果たし、ベスト16最後の椅子を手にした。
第二試合 神戸国際大付(兵庫) 5−13 仙台育英(宮城)
大谷が引き続き居残る中、センバツは2回戦に突入。仙台育英は初戦で投げなかった松田を先発に送ると三者凡退と上々の立ち上がり。
一方の神戸国際、初戦では2回途中でマウンドを降りたエース・阪上が中5日で先発。が、初回にヒットを2本打たれていきなりのピンチ。
2アウト二、三塁で5番・秋山は二遊間深いところへの内野安打。これで二塁ランナーまで一気に還るという内野への2点タイムリーというレア物が発動。
仙台育英は2回にも島貫監督のエンドランでチャンスを作り、ゴロゴーとスク水という小技でさらに2点を追加、初戦の10安打1得点という非効率さをしっかり修正。
早々に阪上がKOされてしまった神戸国際は3回に反撃の糸口を掴む。先頭の栗原がチーム初Hとなる2ベースで出塁、仙台育英・松田にプレッシャーを掛ける。
だが、後続が続かずランナー二塁釘付けのまま。松田は序盤3回までで6つの三振を奪う投球で試合の流れを渡さない。
直後の攻撃では初戦で好投した神戸国際の2番手・楠本も早々に捉えて追加点。一方的な展開にスレも完全にクールダウンしてしまう。
後半に入るとスレだけでなく試合の方まで緩み始めたか、仙台育英はセンターフライを落球、神戸国際もセンター前ヒットを後逸などやらかしも出始める。
仙台育英は経験値稼ぎモードに、神戸国際も思い出モードに入り控え選手の大量起用という様相を呈してくる。
終わってみれば仙台育英はエース・伊藤が完全に見えないまま＝完全休養させてベスト8進出を決め、東北勢初の頂点にまた一歩近づいた。
第三試合 健大高崎(群馬) 0−4 天理(奈良)
センバツだけで3回目の対戦となるこのカード、過去2連敗の天理がいきなり先手を取る。
健大高崎の先発・野中を攻めて1番・内山から強攻3連打で1点を先制、この回は追加点を奪えずも、
2回には足を絡めてトゥギャ崎のやらかしも誘いながら2点目を奪い、早々に野中をKOする。
自らもヒットを放って気を良くしたか、天理のエース・達は序盤から真っ直ぐがよく走りトゥギャ崎のバットを押し込む。
フライアウトと三振を重ねる投球にスレにも戦慄が走る中、3回裏にトゥギャ崎は2アウトから連続よんたまでチャンスを迎えるも
ここは達が牽制で二塁ランナーを刺してピンチ脱出。機動自壊でトゥギャ崎の攻撃は噛み合わず、序盤は天理ペースのまま終了。
中盤は健大高崎の2番手・今仲も好投、ランナーは背負いながらも決定打は許さずに2点差のままで耐え抜くが、
攻める方は4回に天理のキャッチャー・政所に盗塁を阻止され、機動破壊を機能させることができない。
アルプスのふしぎなおどり効果？でよんたまのランナーは再三出るもののヒットが出ずに点差を詰められない。
次の1点がどちらに入るかが焦点になるところで、健大高崎は7回から初戦で先発の高松を投入する。
が、天理はその代わり端を見逃さなかった。ヒット2本でチャンスを作ると、4番・�鵑�低めの球を巧みにすくって左中間を真っ二つ。
天理にとっても健大高崎にとってもあまりに大きな2点が入って4点差に。これで天理エース・達は楽になった。
8回には久々のヒットが出るなどランナー2人を置いたところで、今日ヒット1本の吉里の強烈な当たりはショート正面に飛んでゲッツー。
最後は運にも見放された健大高崎は天理・達の前にわずか2安打。フライアウト13個では何も起こせず。
三度目の正直で先輩の無念を晴らした天理が13年ぶりにベスト8にコマを進めた。
第七日(3月26日)
第一試合 鳥取城北(鳥取) 0−1 東海大相模(神奈川)
センバツも残り1週間。1週間500球という球数制限も見据えたか、東海大相模は求、鳥取城北は山内と背番号10桁の投手を先発に送り込む。
先手を取ったのは2回の東海大相模。やらかしで出したランナーを盗塁で進めてから6番・佐藤のタイムリー。
今日はモンマのアグレッシブベースボールが当たってまずは前評判通りに東海大相模がリードを奪う。
だが、ここから鳥取城北・山内が堂々としたピッチングを披露。要所でフォークがいいところに落ち、東海大相模打線に決定打を許さない。
打つ方でも3回に先頭打者をヒットで出すなどチャンスを時折作る。が、序盤は東海大相模・求も踏ん張って同点を許さない。
相模は5回からエース・石田を投入。5・6回を順調に抑えていくが、鳥取城北打線も石田対策は怠っていなかったらしい。
7回には1アウトからの連打、8回には先頭の中木村がヒットで出てチャンスを作るなど再三攻め立てる。
が、最後は石田が立ちはだかる。7回はメイデンを阻止、8回は絶妙なコースに真っ直ぐを放ってのずばさんで切り抜ける。
突き放したい東海大相模は9回にランナーを三塁に進めるも、ここはリリーフで登場の鳥取城北のエース・廣田が2者連続三振。1−0のまま9回へ。
追いすがる鳥取城北は9回、先頭の岸野がこの試合初の長打でノーアウト二塁。今度はメイデンをしっかり決めてランナーを三塁に進める。
スレの緊張感も頂点に達したが、廣田、そして1番の松田を連続三振。石田がエースの意地を見せつけて最後までホームを踏ませなかった。
今日は27個目のアウトで勝利を手にした東海大相模、苦しみながらもベスト8にコマを進めた。
鳥取城北は学校初の2勝、鳥取勢40年ぶりのセンバツ2勝に惜しくも届かず。緊張から解き放たれたスレは相模の校歌で眠りについたのだった。
第二試合 具志川商(沖縄) 4−8 福岡大大濠(福岡) (延長11回)
秋の九州・準々決勝の再戦となったカード。福岡大大濠に続いては初戦に続いて秋に対戦した学校との試合となった。
この時とは違って先発にアグニを送り込んだ具志川商だが、初回に2アウトから連打。盗塁も絡めた攻めでもあり、福岡大大濠に先制を許す。
だが、その裏。盗塁失敗でチャンスが潰れたところに3番・新川が左中間スタンドへお誕生日、すかさず追いついて秋との違いを見せる。
2回に福岡大大濠はすかさず勝ち越してこの回限りでアグニをマウンドから引きずり下ろすが、具志川商はひるまない。
3回裏に大城勢武太(せんた)がセンターの横を破るタイムリー2ベースで追いつくと、続く島袋のタイムリーで生還して逆転。
シーソーゲームの雰囲気が漂いだし、まったりムードが漂っていたスレが徐々に加速し始める。
4回には1アウト一塁から福岡大大濠の9番・吉田が粘りに粘って10球目を左中間に。エンドランがかかっており一塁からランナーが一気に還って同点に。
6回には大濠が代打・福澤の最低限で勝ち越せば、その裏に具志川商が2アウトから満塁のチャンスを作りよんたま中出しで同点。
点を取り合いながら相手に決定的な流れは渡さずに試合は終盤に入り、スレでも「この試合面白い」と評価はうなぎ上り。
8回に大濠は1アウト二、三塁のチャンスを迎えるが、土山のスク水を具志川商の新川・比嘉バッテリーが見事に外してこれを阻止、土山も三振で点が入らず。
その裏に具志川商はランナーを出すも盗塁失敗、直後の長打もランナー還せず、終盤は一転して守り合いに。
9回は両チーム三者凡退に終わり、7試合目の延長戦に突入。2回戦もまだ半分だというのにセンバツ史上最多タイ記録になる。
10回は具志川商がアグニの好守備でピンチを凌げば、大濠はキャッチャー・川上が盗塁阻止。川上は今日だけで3回盗塁を刺す活躍。
動きそうで動かない試合は突如として動いた。11回表、大濠8番・松尾の当たりは風にのってレフトスタンドへ、勝ち越しお誕生日である。
これでついに集中力が切れたか、新川はよんたま、メイデン、ARAKAKIでピンチを背負うと、今日内野ゴロ5つの大濠・友納にタイムリーを浴びてしまう。
ここで具志川商は3番手・田崎にスイッチするも流れは止まらない。やらかしの後でタイムリーが2本続いてこの回一挙4点。
これでスレも完全に終戦ムード。その裏を10回途中からマウンドに上った大濠のトルネード・馬場がヒット2本を許すも0点に抑えて試合終了。
走塁死が目立つなどチグハグな攻撃になってしまった具志川商はここで力尽き、大濠が九州勢2校の屍を越えてベスト8進出を決めた。
第三試合 明豊(大分) 2−1 市和歌山(和歌山)
市和歌山のプロ注・小園はベンチスタートで2年生の米田が先発となった一戦、米田は序盤に毎回のようにランナーを背負うも後続を断つ。
ランナーが出たらギアを上げた初戦の小園を引き合いに出し、小園システムのバックアップが取れたとスレでは話題に。
ならばランナーを出さずに点を取る、というのが明豊の出した答え。4回表、3番・米田が右中間スタンドへお誕生日、明豊が均衡を破る。
ビハインドを背負った市和歌山は3回までノーヒット。4回に3番・松川の2ベースが出るも後続倒れて松川は二塁に釘付けと攻撃はピリッとしない。
これ以上離されては致命傷と判断したか、市和歌山は5回からエース・小園をマウンドへ。NHKの時空も歪ませる真っ直ぐで明豊打線から早速2つの三振を奪う。
対する明豊は初戦で3 2/3回で5四球と乱れた太田が上々のピッチング。5回まで被安打1、よんたまも2個だけと別人のような内容にスレも困惑。
それでもエースの登場で発奮したい市和歌山打線は6回裏にランナーを二塁に進めてポイントゲッターの3番・松川がセンターへタイムリー。同点に追いつく。
ところが同点に追いついた直後の7回に明豊はランナーを三塁に進めて代打・竹下がレフト前にタイムリーで勝ち越し。ついに小園システムを打ち破る。
再び追う展開になった市和歌山はその裏に疲れの見える明豊・太田からよんたまとヒットでチャンスメイク。ここで明豊は2番手・財原にスイッチ。
こちらも初戦で4四死球を出していたがしっかり修正したか、小園のジエンゴを阻止するなどしてこのピンチを切り抜ける。
8回の明豊は2番・幸の当たりが風に乗ってレフトフェンス直撃の2ベースでチャンスを迎えるが、小園システムが再起動。
お誕生日を放った3番・米田に続く4番・山本を連続三振に切って1点差を守って味方の反撃を待つ。
だが、当たっている3番・松川は半ば勝負を避けられる形で歩かされて8回は無得点。9回も先頭がすないぽで出るが盗塁失敗でランナー消滅。
2試合でヒット10本と最後まで投手陣を援護できないまま、市和歌山は敗退。14イニング1失点と圧巻の内容を残した小園が甲子園を去った。
初戦の四死球祭を修正した明豊が2試合連続で1点差ゲームを制し近畿勢を2連破。一昨年のベスト4が調子を上げてきた。
第八日(3月27日)
第一試合 智弁学園(奈良) 5−2 広島新庄(広島)
初戦で懲罰交代を食らった広島新庄・伊永のスタメン起用にざわめく中始まった試合。智弁は背番号10、初戦リリーフの小畠が先発。
先手が欲しい広島新庄は2回に2アウト二塁のチャンスから7番・平田のタイムリーで先制。智弁はビハインドを背負う展開に。
するとその裏、録音本家偽魔曲を発動。だが、この回は不発。かつて魔曲が不発に終わった反動が出たこともあり、危惧するスレもチラホラ。
だが、その次の3回に智弁は持ち前の強攻策でチャンスを活かす。2番・垪和(はが)の内野安打が広島新庄のやらかしも誘って同点に追いつくと、
3番・前川、4番・山下も続いてあっという間に逆転。録音本家偽魔曲は遅効性なのかという噂も立ち始める。
4回には最低限で追加点。ロースコアの展開に持ち込みたかった広島新庄だが、先発・花田に続いて2番手・秋山も失点する誤算の展開に。
味方の援護に気を良くした小畠は広島新庄打線から内野ゴロの山を築く。5回から7回にかけてはアウトの全てが内野ゴロという内容。
6回に追加点を許して4点差を追う広島新庄は8回に3番・瀬尾のタイムリーで1点を返したものの反撃はこの1点止まり。
結局今日は智弁・小畠が完投、それも奪三振は最後のバッターの1つだけ。打たせて取る投球が光り、エース・西村を完全休養させることに成功した。
今日はハトではなくカラスが見守る中、5年前の王者が快勝。その時以来となるベスト8へコマを進めた。
第二試合 東海大菅生(東京) 5x−4 京都国際(京都)
エース・本田が肩に違和感を訴えているという東海大菅生は初戦に続いて鈴木泰成を先発のマウンドへ。
その鈴木泰成が序盤の京都国際打線を抑える中、援護したい打線は2回・3回とチャンスを作ると内野ゴロの間にコツコツ1点ずつ重ねる。
スレの一部が「ハングルであそぼ」状態になる中、まずは東海大菅生が主導権を握ったかに見えた。
だが、京都国際は5回に満塁のチャンスを作って3番・中川がレフト横へ走者一掃のタイムリー2ベース。
たった一振りで試合をひっくり返すと4番・森下にもタイムリーが出て京都国際が逆に2点のリードを奪う。
自らのジエンゴにも気を良くしたか、京都国際の先発・森下は5・6回と東海大菅生打線を三者凡退に抑える。
専ブラがお亡くなりになったのと合わせるかのように重苦しい流れとなった東海大菅生。
7回には先頭が2ベースで出るも、キャッチャーがボールをこぼした隙を突いて三塁を狙うもあえなくタッチアウトと流れを変えられない。
何とか流れを変えるべく9回には肩の不安を抱えながらエース・本田を投入する。本田はランナーを三塁まで進められるも辛くも無失点にしのぐ。
するとその裏に主将の榮、チダちゃんの連打でチャンスを作り、1アウト二・三塁となってから内野ゴロの間に1点を返して1点差に詰め寄る。
さらによんたま・すないぽで2アウト満塁、東海大菅生がサヨナラの大チャンスを迎える。ここで代打・多井がライト線への鋭い当たり。
京都国際のライト・平野の横を破った当たりで一気に二者生還で逆転サヨナラ。秋の大会で打席0の男がやってのけた大仕事は若林監督のギャンブル大成功とスレでも絶賛。
京都国際は好投していた森下が最後の最後で捕まり惜敗。8回まで素晴らしい投球だっただけに代え時を見失ってしまったか。
土壇場で粘り腰を見せた東海大菅生がセンバツ初勝利から一段飛ばしにステップアップ、ベスト8に名前を連ねた。
第三試合 常総学院(茨城) 5−15 中京大中京(愛知)
初戦で延長13回タイブレークを戦った常総学院と、唯一中1日で試合を行う中京大中京。疲れは否めないか、やや焦げ臭い立ち上がりに。
常総の先発・秋本は振り逃げで出したランナーをARAKAKIもあって三塁に進められるが後続を辛うじて断ち切ると、
初戦でよんたま2つだけだった中京大中京・畔柳は初回だけで2四死球とピンチを背負うもこちらもしのぐという具合。
どこか緩んだ感じは守備にも伝染。2回表、三遊間へのボテボテのゴロを常総三遊間がともに駆け寄りながら鮮やかにスルーして二塁打にしてしまうと、
初戦でランニングお誕生日の中京大中京・櫛田がレフト線へ弾き返してタイムリー。中京大中京が先手を取る。
これで流れを掴んだ中京大中京は3回に6番・加藤のタイムリーなどで2点、続く4回はランナーを貯めてからの長打攻勢で一挙5点。
4回で早くも8−0とスレには終戦ムードが漂い始める。
5回から常総は2番手の大川にスイッチ、今日も大量の川平慈英をスレに呼び込むと、実際にこの大川の立ち上がりがいいんです！
中京の攻撃をこの試合初めての三者凡退に打ち取って裏の攻撃に流れを作ると、ヒット2本などで満塁のチャンスを作る。
ここで畔柳が耐えきれずよんたま中出し、今大会初失点を喫する。ただ、後続は畔柳が断って1点止まり。
これで再び流れは中京へ。6回に1点を追加、8回には常総3番手・伊藤から一挙に3点を奪って11−1と10点差をつける。
畔柳はここでようやくお役御免。8回のマウンドには松田が上がるが、連打を浴び、一人打ち取った後よんたま・中出しすないぽと乱れる。
後を受けた中京3番手・柴田は松田の出したランナーを全員還してしまい11−5に。遅ればせながら常総も反撃に出る。
……が、ここで常総はどこぞの帝京のように本職がピッチャーの選手を全員使い果たしてしまう事態に。
9回表のマウンドには代走から登場した塙が上がるも、連打にメイデンを塙自身が野選してしまうなどあっという間にノーアウト満塁。
1アウトは取ったもののARAKAKIにタイムリー2本、トドメに最低限。常総が総力戦で取り返した4点を中京がすぐに奪い返して再び10点差。
前の回で総力戦に出てしまった常総に最早跳ね返す力は残っておらず、今大会初の10桁得点差の試合に。
小技も絡めて堅実に攻め続けた中京大中京が走攻守に上回り、控え投手以外に不安を感じさせないままベスト8進出を決めた。
第九日(3月29日)
第一試合 仙台育英(宮城) 3−10 天理(奈良)
今日もエース・達が先発する天理と、今日もエース・伊藤はベンチスタートの仙台育英による準々決勝第1試合。
初回、いきなり天理打線が達を援護する。1アウトからよんたまでランナーを出すと3番・内藤、4番・�鵑力�続タイムリー。
仙台育英の先発・古川の立ち上がりを捉えて2回には早々にエース・伊藤を引きずり出す。
だが、天理・達の立ち上がりも妙に焦げ臭い。打者一巡で四死球5つと乱れるがヒットは許さずに1・2回を何とか無失点に抑える。
すると3回、仙台育英の3番・八巻がニュース間お誕生日。久々の出来事にスレをざわつかせるとこの回は達の球を仙台育英打線が捉える。
ヒットと2ベースでチャンスを作ると島貫監督の最低限、伊藤の登板に合わせるかのように仙台育英が同点に追いつく。
このまま押せ押せといきたい仙台育英だったが、落とし穴が待っていた。4回の守りである。
1アウトからショートゴロがわずかにイレギュラーし、記録はショート・渡辺のやらかしになって天理がランナーを出す。
ヒットを挟んでまたもショートに打球が飛ぶが、今度はランナーと重なる形で処理できず、またも渡辺にエラーが付く。
このピンチをしのぎたい伊藤だったが2アウトから天理の9番・まごころこと政所に2点タイムリーを浴びて勝ち越しを許してしまう。
さらに1番・内山にもタイムリー。二人目の生還を阻止しようとした渡辺のバックホームはランナーとキャッチャーが交錯した結果捕れず。
渡辺にとっては少々気の毒な形でこの回だけで3やらかしが記録されたが、もっと気の毒なのは自責点0で4点取られた伊藤の方である。
これで流れは完全に天理に。5回に2点を追加すると、6回にもチャンスを作って伊藤を降板に追い込み、物理的に見えなくさせる。
とどめを刺すかのように4番・�鵑�2点タイムリーでとうとう10桁得点に到達。メガネ君・�鵑梁破世縫好譴眄鑿砲垢襦�
そして球数がかさみながら天理・達は大量リードでも降板せずに続投。控えの層の薄さが明かされるとスレがまた戦慄した。
結局、四死球を8出して164球を投げながらも達が8回までマウンドを守り、7点リードの9回は左腕・仲川をこの春初めてマウンドに送り込む。
仲川はいきなり反則投球を犯し、一部のマニアを歓喜させつつも仙台育英に反撃を許さず。天理が24年ぶりのベスト4進出を決めた。
仙台育英は全ての回でランナーを出したものの、初回のZGSを皮切りに15残塁の拙攻も響いて白河の関を今年も越えられず。
第二試合 東海大相模(神奈川) 8−0 福岡大大濠(福岡)
東海大相模はキャプテンで守備の要でもある大塚が胃腸炎を患いベンチを外れるという緊急事態。
キャプテン不在というピンチに、ここまでの2試合で4得点と冷えていた打線が初回から目を覚ます。
福岡大大濠の先発トルネード・馬場に襲いかかり長打攻勢も交えていきなり2点を先取。
2回には大塚の代役で出場の深谷が2ベースで出ると、1番に戻って代役キャプテンを務める門馬が2ランお誕生日。2回途中で早くも2試合分の得点を挙げる。
大濠はたまらずここで初戦で受けた自打球の影響が懸念されるエース・毛利をマウンドへ送る。
だが、火のついた相模打線は止まらない。毛利の代わり端を捉えてさらに2点を追加。序盤での大量リードにスレも軽く引く始末。
3回にも1点を失ったものの、以後毛利は立ち直ってスコアボードに0を並べていくが、大濠打線が相模の先発・石田を捕まえられない。
途中には5者連続三振を奪われるなど、初回以降はなかなかチャンスらしいチャンスさえ作ることもできないまま試合は後半へ。
後半も石田の投球はキレッキレ。初戦・2回戦とリリーフでの登場だったがこの日は最初から最後までマウンドに立ち続けた。
終わってみれば石田は14奪三振。打線は門馬がサイクルヒット未遂の大活躍と投打に隙無く福岡大大濠を圧倒した。
福岡大大濠はまたもベスト8の壁を越えられず。九州勢以外との初対戦だったが、不完全燃焼に終わってしまった。
第三試合 明豊(大分) 6−4 智弁学園(奈良)
明豊1番・幸が打ち上げたファウルフライを智弁ファースト・三垣が落球するという笑撃の幕開けも束の間、
命拾いした幸がレフトスタンドへ先頭打者お誕生日。笑撃から一転して衝撃が走る形になって明豊が1点を先行する。
3回には先頭のピッチャー・京本がヒットで出ると幸が今度はナイメイ。大技だけでなく小技でチャンスを作ると、
2番・阿南のタイムリーなどで2点追加。休養十分だったはずの智弁エース・西村オーガから小刻みに得点を奪ってリードを広げる。
追い上げたい智弁打線だが、明豊の先発・京本の荒れ球に苦しむ。3回まで毎回すないぽと初戦・東播磨戦を思い出させる投球ながら、
3回にはZGSを成立させるなど、背負ったランナーは誰一人として返させないまま京本が序盤を無失点で切り抜ける。
すると4回からはこの京本をスパッと代える采配に出る明豊・川崎監督。2番手には市和歌山戦でも好投した太田を送り込む。
智弁は偶数回のチャンスに録音本家偽魔曲を繰り出すも、智弁和歌山OBの川崎監督には通じないのか、チャンスをなかなか活かせない。
5回に明豊が4番・黒木の2打席連続となるタイムリーで2点を追加すると、智弁はその裏にようやく魔曲が効いてきたか、5番・三垣のタイムリーでようやく1点。
反撃の1点を機にさらに流れを引き寄せたい智弁は6回からオーガに代えて2回戦で完投した小畠を投入。最初の守りを三者凡退に切って取る。
するとその裏、太田も東播磨戦の時の投球に戻ってしまったか、よんたま2つなどで満塁のピンチを招く。
この試合3回目の録音本家偽魔曲が流れる中、2番・垪和(はが)がよんたま中出し、さらに3番・前川のゲッツー崩れで2点を返して2点差に迫る。
第1試合・第2試合と一方的な試合になったため接戦に飢えていたスレは久々に加速し始める。ここで打席には4番・山下。
山下の打球はレフトの頭上を襲う当たりだったが、これを明豊レフト・阿南が壁ドンしながら見事にキャッチ。
抜けていれば同点のピンチを救うビッグプレーにアルプスとスレは喝采に包まれた。
このまま逃げ切りを図りたい明豊は7回から3番手・財原をマウンドへ送るが、1アウトから連打でピンチを迎える。
だが打順の回りが良かったか、8番・9番を打ち取ってこのピンチを脱するとその直後の8回表に2アウトから5番・山本がヒット。
代打・筒井は当たり損ねが幸いした内野安打でチャンスを広げると、今大会11打席でノーヒットだった8番・蓑原がタイムリーで貴重な追加点。
追いすがる智弁もその裏に連打から作ったチャンスで4番・山下がショート強襲の内野安打で1点を返し、その後も満塁のチャンスを作る。
だが、ここは財原が踏ん張り、7番・森田を三振に打ち取ってZGS。智弁は2点差から先にどうしても詰めることができない。
9回には1アウトから智弁の代打・三好が執念の内野安打で塁に出て打順を上位に戻すなど最後の抵抗を見せる。
が、後続を財原が断って逃げ切り成功。東播磨、市和歌山に次いで近畿勢3連破の明豊が2大会連続となるベスト4進出を決めた。
最大5点ビハインドから粘った智弁だったがもう一本が出ず、奈良勢のWベスト4、あるいは決勝での奈良対決の野望は露と消えた。
第四試合 東海大菅生(東京) 0−6 中京大中京(愛知)
3試合目にして東海大菅生のエース・本田が初めて先発のマウンドに登った……のだが、その立ち上がりは不安定。
連続よんたまの後のメイデンを本田自らがやらかして悪送球。一塁ランナー・杉浦が一気に生還するなど、マリア様戦法で中京が2点を先取すると、
今大会ラッキーボーイの7番・櫛田もタイムリーを放ってあっという間に3点を先取。3つのアウトを全て三振で取るも失ったものは大きすぎた。
中京は2回にも三塁打で出塁の中京1番・細江が完璧なゴロゴーを決めて1点を追加。ソツのない攻撃で先発のエース・畔柳に強力な援護を送る。
4点の援護をもらった畔柳はスイスイとした投球。序盤はよんたまのランナーを1人出したがルンバもあって打者9人ノーヒットで片付ける。
さらに4・5回も三者凡退。5回にはレフト・杉浦のダイビングキャッチもあってバックも畔柳のノーヒットノーランを盛り立てる
打線も5回に相手のやらかしを足がかりに作ったチャンスに6番・加藤の2点タイムリーでさらに突き放すなど相手のミスを見逃さない。
前半5回を終わって6−0と中京大量リードの試合展開に、今大会唯一の4試合日でお疲れモードのスレの興味は半ば畔柳のノーノーのみになりかける。
だが、今大会は実況が何かに触れるとそれがフラグになる。実況がノーヒットに触れた途端、菅生は6回先頭の7番・橋本がセンター前にポテンヒット。
ついに初Hを、それも先頭打者が出るという願ってもない形になると続く8番・岩田がよんたまを選び、初めて二塁にランナーを進める。
しかしここはギアを上げた畔柳が立ちはだかり、自ら処理したダメイデンと投ゴロゲッツーで追撃の芽をあっさりと摘み取る。
何とかしたい東海大菅生はリリーフの松永が粘ってこれ以上の失点こそ避けるものの、チャンスを作ることができない。
8回には先頭の小池がヒットを放つも一塁に釘付けで二塁にも進めることができず。
9回は先頭の代打・沼沢が粘ってよんたまを選んで塁に出ると、その後あとアウト1つから力みの出た畔柳がさらにもう2つよんたまを出して満塁にするが、
最後は今日ヒット1本の小池が力ないセンターフライに倒れ、逆転サヨナラを演じた2回戦の再現はならず。
ベスト4最後の椅子を手にした中京大中京は、高橋監督の現役時代以来となる24年ぶりのベスト4進出となった。
第十日(3月31日)
第一試合 東海大相模(神奈川) 2−0 天理(奈良)
天理のエース・達が脇腹に違和感を覚えたために準決勝の先発を回避。
対する東海大相模も準々決勝に引き続きキャプテン・大塚を胃腸炎のためベンチからも欠くという手負いの両校。
先手を取ったのは東海大相模。初回にランナーを二塁に置いて4番・柴田が先制タイムリー。天理の先発・仲川を攻める。
その後も相模は3回、5回と得点圏にランナーを進めるが、ここは仲川が意地を見せてこれ以上の失点を許さない。
だが、それ以上の投球を見せたのが相模のエース・石田。1・2回こそヒットを許したもののそのランナーを返さないと、
3回からは奪三振ショー。6者連続三振もあり、5回の時点で早くも10桁奪三振に到達。
スレでも三振カウントが捗り、いつぞやの今治西が引き合いに出される展開のまま、1−0で5回を終える。
どうにかしたい天理は6回、先頭のまごころ政所がセンターオーバーの二塁打と出てビッグチャンスを迎える。
1アウトの後ARAKAKIで三塁まで進むが、石田が内野フライと三球三振で同点のピンチを切り抜ける。
すると相模は直後の7回に天理のやらかしとよんたまでランナーを2人出すが、天理・仲川が当たっている門馬、綛田を打ち取る。
相模は8回にもチャンス。4番・柴田がミルクティー(ガッツポーズ付)で出るもここも仲川がしのぐ。
天理は9回のマウンドに2人目の南澤を送るが、ヒット、メイデン、結果メイデンでランナーを三塁に置いたところで致命的なARAKAKI。
決定的な2点目が入ると最後は相模・石田が代打・長野を三振に切ってゲームセット。後半はペースが落ちたとはいえ15奪三振の快投。
仲川の粘投で食い下がった天理だったが、石田の前にわずか3安打。4番・�鵑魎泙爛�リーンアップは6三振音無しと完璧に封じられてしまった。
第二試合 明豊(大分) 5−4 中京大中京(愛知)
今日は121球までしか投げられないエース・畔柳をベンチスタートにした中京大中京。
常総戦でリリーフした柴田が先発となり、リードして畔柳を出す展開を狙う。
その柴田は序盤3回を無難にまとめて援護を待つが、明豊の先発・太田がこちらも無難なピッチング。
中京は初回こそランナー2人を出すが、4番・5番が倒れて無得点に終わると、2回・3回はいずれも三者凡退で援護できない。
NHKで解説の大矢さんが明豊・川崎監督のコンビニ店長の経歴を唐突に引っ張り出してスレを沸かせた後の攻撃だった。
4回表、ヒットとよんたま、すないぽで柴田が満塁のピンチを招くと、今大会ノーヒットの明豊・塘原がヒットはならずも最低限で1点選手。
均衡を破るとここで柴田がこらえきれない。ピッチャー・太田にジエンゴを許すと、蓑原・阿南もタイムリーで続く。
たまらずにここで畔柳を投入して後続は断ったものの、明豊にとっては大きな大きな5点が入る。
中京もその裏によんたまとすないぽをもらってチャンスを作るが、明豊・太田を打ち崩せずに追撃ならず。
ただ、畔柳が5回も明豊の打線を三者凡退に打ち取ると、エースの力投にようやく打線が応え始める。
よんたまのランナーを盗塁で二塁に進めると、2番・杉浦のタイムリーで反撃開始。
6回は畔柳が三者三振に抑えると、その裏にランナーを貯めて5番・加藤が2点タイムリー。ついに太田をマウンドから引きずり下ろす。
だが、ここで畔柳に何らかのアクシデントがあったか、代打が出された結果ここでマウンドを降りることに。スレも騒然とする。
様々な推測が錯綜し落ち着かなくなるスレとは対照的に、明豊は2番手・京本が、中京も緊急登板で甲子園初見参の大江が7・8回を抑え、試合が一気に落ち着く。
そんな中一番落ち着いていないのは、モノマネバッティングピッチャーをする川崎監督、明豊にかつて起きたカードゲーム事件、
さらに現・大垣日大の阪口監督の東邦高監督時代といった様々なエピソードトークをぶっ込んでくる解説の大矢さんであった。
最後の反撃に出たい中京は9回裏、タイムリーを打った加藤がライト線に落として出塁。ダイブした明豊ライト・山本は及ばず、ユニフォームが破けてしまう。
山本はすでに交代で退いた竹下のユニフォームを借りて試合に復帰し、スレに潜む各種マニアを歓喜させると、櫛田がヒットで続く。
だが、1アウト一・三塁となって一塁ランナーの代走・富田が牽制で刺されて挟殺されてしまう。
この間に三塁ランナーは還って1点差となるが、同点のランナーがいなくなってしまい試合の大勢はこれで決まってしまった。
中京は1点差まで追撃したものの、畔柳のアクシデントなど最後まで歯車がわずかに噛み合わないまま惜敗。
明豊が春夏通じて初、大分勢としてはセンバツ54年ぶりの決勝進出。南こうせつの校歌 VS 眠い校歌という決勝となった。
第十一日(4月1日)
決 勝 東海大相模(神奈川) 3x−2 明豊(大分)
今大会26イニング無失点の石田を後ろに控えさせ、右腕・石川の先発を選択した東海大相模・モンマ監督。
となれば石田が出る前に1点でもほしい明豊は初回から積極的に仕掛ける。1アウトから2番・アナンがヒットで出ると、
エンドランを仕掛けて3番・竹下がライト線に運ぶ。一塁からアナンが果敢にホームを狙うが、守りの固い相模が確実な中継プレーを決めて失点を防ぐ。
だが、一度の失敗ではへこたれない明豊はARAKAKIでランナーを三塁に進めると4番・黒木がレフト前にタイムリー。
明豊が先手を取る展開に、スレではさっそくエース温存の選択をしたモンマ采配に疑問を投げかける声もチラホラ。
だが東海大相模は慌てない。その裏に1番・門馬がヒットで出るとARAKAKIにメイデンを交え三塁まで進む。
ここでモンマ監督はスク水敢行。3番・小島がキッチリ決めて早々に試合を振り出しに戻す。
2回は明豊が2アウト満塁のチャンスを迎えるが、ここは石川がずばさんでZGSに封じてどうにか踏ん張ると、
3回にもランナーを2人背負うものの、急性胃腸炎で今日もベンチ外の主将・大塚の代役・深谷の好守もあってゲッツーに仕留める。
逆に明豊の先発・太田は2・3回と相模打線をピシャリと封じる。ここまでノーエラーの明豊、打撃妨害の1エラーだけの相模らしい守り合いの展開に。
4回も明豊が相模・石川を攻め立てて1アウト満塁。ここでモンマ監督は石川を諦めて2番手に求を投入。
求はアナンに最低限を打たれて勝ち越しを許したものの、後続の走者の進塁は見逃さずにアウトに仕留めて出血を最小限に留める。
マウンドに求が上がったところからついに石田が投球練習を開始。これにプレッシャーを感じたか、明豊・太田はその裏の先頭にすないぽ。
また相模がすぐに追いつくかに思われたが、続く3番・小島のライト前への当たりを昨日ユニフォームを破いた山本が地面スレスレでキャッチ。
飛び出した一塁ランナーを怪しい送球がありながらも刺してピンチ脱出。持ち前の守りは今日も崩れない。
5回、相模は1アウトから7番・小平がライトオーバーの2ベース。2アウトになって打席にはピッチャーの求。モンマ監督はここでは動かず。
石田待望論も聞かれるスレの一部からは不満の声も上がるが、求は結果で黙らせる。レフトオーバーのタイムリー2ベース、ジエンゴで相模が再度追いつく。
ここで明豊・川崎監督が申告敬遠を選択して当たっている門馬を歩かせる。これにはスレの深刻故意四球マニアを大いに満足。
続く綛田(かせだ)を太田が故意じゃないよんたまで歩かせて満塁としてしまうが、小島のピッチャー返しを倒れながら掴んでZGS。ギリギリで踏みとどまる。
6回、相模・求は2アウトながらランナーを2人背負うピンチ。ここでモンマ監督がついにエース・石田を投入。
石田の登場で一気にスレが加速すると石田はモンマ監督とスレの期待に応え、3番・竹下を打ち取って明豊に勝ち越しを許さない。
逆に投手起用ではここまで動きのない明豊・川崎監督。6回も太田に任せるとこの回を三者凡退に片付け、2−2の同点のまま試合は終盤へ。
7回、石田が明豊打線を3人で片付けたその裏だった。力投を続けてきた明豊・太田のスパイクの紐が切れてしまうというアクシデント。
ユニフォームが破れる、ベルトが切れるといったアクシデントは起こってきたが、ここに来てあまりに不吉すぎる出来事にスレがざわめくと、
直後に相模7番・小平がヒット、8番・深谷のメイデンをフィルダースチョイスでノーアウト一、二塁。明豊が大ピンチを迎え、靴紐の呪いだとスレでは悲鳴があがる。
石田をダメイデン、門馬をライトフライに打ち取るが、綛田は9球目まで粘ってよんたま。またも満塁で島を迎える。
だが、小島は初球を打ち上げてしまいレフトフライ。今大会自己最長イニングに突入した太田が不吉な予感をねじ伏せる。
直後の8回表、石田は打撃絶好調の太田にヒットを許すと、1番・幸にはストレートのよんたま。昨日までの26イニングで与四球は1だけということもあり、実況もスレも驚きが隠せない。
ここで何かと持っている2番・アナンはセンター返し。抜けそうな当たりを相模・セカンド綛田がグラブに当てて止めるとそのまま這いながら執念でベース上で抑えてフォースアウト。
明豊はその裏から2番手・京本を送り込むが、京本のカーブに相模打線が狙いを定め、1アウトから連打でチャンスを作る。
ここで今日2安打の7番・小平も京本のカーブを捉える……が、強烈なライナーは二遊間よりに守るショート・幸のグラブに収まりショートライナーゲッツー。
守り合いのままとうとう試合は9回の攻防へ。9回表、相模・石田が得点圏にランナーを背負ったものの後続を断つとその裏だった。
先頭の深谷が完璧なセーフティバントで出塁。石田がメイデン、門馬は2回目の申告敬遠、綛田がよんたまを選ぶ。
三度満塁で打席が回ってきた3番・小島。追い込まれてから強振した当たりは前進守備の明豊のショート・幸のグラブを弾いてセンター前に。
三塁ランナーの深谷がガッツポーズしながらサヨナラのホームを踏んだ。東海大相模が10年ぶりに春の頂点に立った瞬間である。
明豊は大会通じてノーエラー、守りは最後まで崩れなかったが、難攻不落の相模・石田をもう一歩で打ち崩すことができず。
その石田は29回 1/3を投げて無失点。無傷のまま春を終えてベンチを外れた主将・大塚に捧げる優勝となった。
2021年04月01日(木) 16:16:30 Modified by hawks_oji