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前十字靱帯損傷

【概念】

前十字靭帯(ACL)損傷は、内側側副靭帯損傷とともに膝関節靭帯損傷の中でも頻発しやすい。膝の安定性機構に重要な役割を果たしているために、損傷を放置すると、半月板や関節軟骨、内側側副靱帯などの靭帯以外の他の重要な関節構成体に二次的損傷を生じる可能性が高い。
受傷機転は、膝関節への外反ストレスに下腿の回旋が加わり、脛骨の前方移動が起きて損傷するケースが多い。外反ストレスが加わった際に内側側副靭帯の損傷も同時に起こる。
急激な前後左右への切り替えしやジャンプ動作を繰り返し行うスポーツ(バスケットボール,サッカー,ハンドボール,バレーボールなど)に多く受傷頻度が高い。

【症状】

強い疼痛と関節可動域制限を呈し、多くの場合は関節内血腫が生じる。受傷時に膝がずれるような感じがあり、同時に断裂音(ポップ音)を聞くこともある。中には、疼痛も軽く関節血腫もない症例を目にする。軽い運動などを行う事が可能で、関節の不安定性を訴えMRIなどの画像診断を行い、初めて前十字靭帯の損傷に気づく場合もある。
日常生活レベルで不安定感を訴える事は少ないが、運動レベルが高くなるとgiving wayや膝関節屈曲位での脱力感などの症状が出現する。前十字靭帯は脛骨の前方かつ外旋を制限するため、断裂した場合は過剰な前方移動と外旋が起きる。そのため、大腿脛骨関節間で摩擦が生じ半月板に微細な傷が生じることもある。さらに、悪化すると関節軟骨にまで損傷は及び、関節水腫血腫が生じる。

【診断】

受傷直後は疼痛のため筋制御(筋緊張を高めて関節の動きを制限する)ために、徒手による不安定性を評価することが難しくなる。

Lachmanテスト

関節軽度屈曲位で一側の手で大腿を固定する。もう一方の手で、脛骨を後面から保持し前方に引き出すようにストレスを加える。Lachmanテストは、受傷直後でも検査が容易でACL損傷時は初期テストとして採用されることが多い。

ADT(Anterior drawer test)

膝関節90°屈曲位にて行う。両手で下腿部(下腿三頭筋の最大周囲付近)を保持して前方へ引き出すようにストレスを加える。

上記のテストは膝関節屈曲で行う。屈曲位ではハムストリングが弛緩するため脛骨の前方制動は前十字靭帯にかかってくる。疼痛が強い症例は大腿四頭筋やハムストリングなどを過剰に緊張させて固めているために、脛骨の動きを確認することが難しくなる。屈曲位は過緊張を避けるのには最適である。また、屈曲角度を変えて前方引き出しを行う理由として、前十字靭帯は前外側繊維と後内側繊維により構成されており、屈曲角度が深くなれば前外側繊維、浅ければ後内側繊維と繊維を分けて判別することができる。

【治療】

手術療法

急性期では炎症症状が強く出現しているために、炎症症状が落ち着いてからACL再腱手術を行う。スポーツ愛好家で受傷後のスポーツ活動レベルを考慮して、手術適応か判断する。活動レベルが低いと想定される症例で保存療法を適応したが、疼痛が強くなり結果的に手術適応になる症例も目にする。また、成長期でX線上において骨端線の閉鎖が認められない場合は、骨端線の閉鎖を待って手術となる。

手術法
骨付き膝蓋腱使用法
自分の膝蓋腱の一部を骨ごと切除して利用する。日本ではあまり主流ではないが、強固に固定することが出来る。しかし、膝蓋腱は強力な大腿四頭筋の牽引力を受ける為か、術後の疼痛の訴えはある。

半腱様筋腱使用法
半腱様筋を利用して行う術式は日本を中心に行われている。半腱様筋は膝関節屈曲筋であるが、膝関節屈曲筋は半腱様筋の他に半膜様筋、大腿二頭筋があるために、さほど支障がない。

保存療法

スポーツを行わない活動レベルの低い高齢者には保存療法を適応させる。保存療法には膝関節サポーターの装着や筋力強化エクササイズなどがある。特に、大腿四頭筋と半腱様筋・半膜様筋の同時収縮が重要となる。大腿四頭筋の過収縮は脛骨の前方移動を助長する為に、注意を要する。また、立ち上がり動作や階段昇降動作など日常生活動作の確認をする必要がある。

術後のリハビリ

初受傷の場合は6〜9ヶ月で競技復帰を目指すが、再受傷の場合は12〜18ヶ月で競技復帰を目指す。さらに、プロレベルでのパフォーマンス復帰を考えれば、さらに復帰までの期間の延長はあり得る。
術後のリハビリでは、まず

1. 関節可動域の拡大

2. 膝関節周囲筋の筋力向上

が重要である。関節可動域拡大ではCPMを利用して行う場合と、徒手により行われる場合とがあるが、基本的にはどちらでも構わない。術後3週間以内に100°以上の屈曲は獲得しておきたい。90°以上の可動域が獲得できればエアロバイクを利用してハートレートトレーニングが開始できる。また、膝関節周囲筋の筋力トレーニングでは等尺性収縮から等張性トレーニングへと移行していく。Quad SettingやSLRは古くから術後のトレーニングとして様々な本で記載されているが、実際にリハビリの入りとして効果的である。

術後から1ヶ月が経過する頃には120°以上の可動域を獲得しておきたい。膝関節屈曲のみならず、伸展制限をきたすことも多々あるために、定期的に可動域を確認していく必要がある。術創に疼痛を感じ、筋緊張が高まり拘縮につながったり、術創周囲の組織の癒着で拘縮をきたす場合があるので注意する。
術後3ヶ月後からはバランストレーニングや積極的な筋力トレーニングを導入していく。

3.バランスエクササイズ
前十字靱帯のみならず軟部組織には固有受容器が存在する。これらの固有受容器は廃用性の特徴がある。
バランスボードやバランスボールを使用して膝関節周囲の固有受容器を賦活させる必要がある。

4.心肺機能向上トレーニング
競技者の術後の問題点で一番の難関であると考える心肺機能の向上。心肺機能は3日で低下すると言われている。前十字靱帯受傷者の競技技術の低下はさほど問題ではなく、復帰後すぐに回復すると言っても過言ではない。
心肺機能の向上には、最初は上肢サイクルマシーンやエアロバイクを使用し10〜20分の範囲で最大心拍数の40〜50%の範囲内で十分である。心拍数の安定性がみられたら、徐々に負荷を上げていき、HR-Maxの80%まで上げ20分のトレーニングを行う。また、持久力のみならず瞬発的な動きが必要になる競技では、8秒間の100%でパフォーマンスを行い30秒間のインターバルをおく事を繰り返していく。

5.パフォーマンス
競技復帰にあたり、再受傷の危険性は理解しておく必要がある。再受傷時は復帰までの期間が必ず延長される。また、非接触時の受傷も非常に多いために、コンタクトプレーでない所でもパフォーマンスのチェックを行う。例えばジャンプ着時や左右の切り替えし時動作は膝がKnee-inしやすい。また、重心が後方に偏位した状態からの前方重心移動は大腿四頭筋の過収縮を促すために脛骨の前方移動を引き起こしかねない。
2007年10月21日(日) 23:44:27 Modified by mediwiki_sikkan




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