リクオ×淡島

|リクオと淡島 遠野での出来事|続き

584 : ◆HbpyZQvaMk :2010/03/13(土) 21:23:46 ID:9X6ULtcl

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横たえた淡島に覆いかぶさり、にやりと笑う。そこで初めてリクオは声を発した。
「俺がおめぇを押し倒せるようになったら、何だって?」
「…………『喜んで相手してやるぜ?』」
あの日の約束を思い出したらしい淡島が、リクオと同じくにやりと笑って彼に口づけた……

 *


「―――いまいちぎこちねぇな」
下手とまでは言わねぇが。そう付け足して淡島が苦笑する。
あまりに明け透けな言い方にムッとはしたが、上手いという自覚もないので下手に反論せず開き直る。
「うっせ、どうせは……「初めて!?お前童貞か!!」
「そんなとこに食いつくなよ…………悪ぃか」
「いーやいやっ俺は嫌いじゃないぜ?そもそも初めての奴とヤル機会なんてめったにねえし
 むしろ運がいい……ってあれ?じゃヤバくね?」
「何が」
「いやだっておめぇ仮にもお家のしっかりしたぼっちゃんだろ?こういうのもなんか色々決まってて
 家の方で用意してんじゃねぇの、初めてのお相手っつーか閨での指導役みてぇなの」
「…………げ、」
今までちらとも気にかけていなかったことを指摘され、思わず固まる。
確かに至れり尽くせりの実家での状況を考えれば、言い換えれば周りの自分に対する過保護ぶりをみれば
淡島の言う通りそういうことまで決まってそうな嫌な予感がする。
「いやでも、関係ねぇ」
「へぇ?」
「ここでは生死すらてめえの責任って言われて来たんだ。こんなことまで口出させるかよ」
「いいねぇその意気」
そうして再びそっと押し倒すと、淡島の方も笑って首に腕を絡めてきた。
リクオもそれに応えるように顔を近づけ、彼女の着物の褄に手をかけたところで唐突に淡島が叫んだ。
「ぉおっと待った!も一つ確認しとくぜぇ?!」
「……今度は何だよ。つか萎えるからやめろよそういうの……」

ふいにあの日のことが頭に浮かんで離れなくなり、偶々命じられた雑用を早く終わらせたこともあって
勢いで、(むしろ勢いだけでと言ってもいい) 押し倒すまでいったはいいものの、
こう何度も中断されると次にどうもっていけばいいのかわからなくなる。
リクオは本来子供も子供、齢十五にも満たない少年なのだ。



585 : ◆HbpyZQvaMk :2010/03/13(土) 21:24:36 ID:9X6ULtcl

「リクオ、おめぇどういうつもりで俺とヤろうとしてんだ?」
「どういうって」
「俺をモノにしたいとか、そういう意味で抱こうとしてんのかって聞いてんだよ」
問われて、はてと考える。 

淡島は、良い奴だと思う。傍に居てて気が楽だ。しかしだからといって
彼女を自分の女(モノ)にしたいなどという恋愛感情があるかと言われれば首を捻らざるをえない。
そもそもそのような激しい恋情というもの自体まだ理解できないでいるのが現状だ。
それに淡島に対する気安さは、遠野の他の者たちにも抱いているものだ。
では何故今まで欠片も興味のなかった夜伽に及ぼうという気になったかといえば、
それはあの夜まんまと不意打ちを食らったこと、そしてその後残された言葉が悔しかったからである。
 
「―――いや、そういうのではねーな。どっちかってーと俺はお前のこと男だと思ってるし。
 そりゃおめぇが堂々と裸見せるから、イイ身体してんなとか思わなかったかといわれれば嘘になるけどよ。
 今日来たのはぶっちゃけ単にあん時のおめえの言葉に乗せられただけっつーか……」
気がつけば、考えをまとめるどころかどういうことを言っているかということを深く考えないまま言葉を紡いでしまっていた。
ふと我に返り、いくらなんでも怒らせたかと内心冷や汗をかく。
「……ぁ、ワリ」
「ぶっ!!ははははは……!!!」
「は?」
突如盛大に笑いだした淡島に唖然とする。
淡島は何がツボに入ったのか、腹を抱えて蹲っている。
「リクオっ……お前って奴ぁ……!!なんつーか、正直すぎんだろっ」
ひーひーととうとう引き笑いまで起こした彼女はしばらく悶え、ようよう静かになったかと思うと
がばりと身を起していつかのように勢いよくリクオの双肩を掴んだ。
「気に入ったぜぇ!!いやむしろさっすが俺の気に入った男だ!一回ヤったくれえで
 俺を女扱いしてくるような奴はお断りだからな。むしろそんな馬鹿は昼間に抱いてやらぁ」
「そういうお前はこういう場だってのにちとうるせぇよ。というかさらりと恐ろしいこと言うんじゃねぇ」
「……でも、緊張はなくなったろ?」
「ふん、まぁな」
するりと淡島の着物を肌蹴ながら、リクオはようやくそのうるさい口を塞いだ。
先の口づけよりは、上手く、自然に舌を絡ませられた気がした。



586 : ◆HbpyZQvaMk :2010/03/13(土) 21:25:24 ID:9X6ULtcl

 *


時に唇を食み、時に舌を絡ませ、手は互いの服を少しずつ脱がすその合間あいまに、
淡島は囁くように語った。

「俺にとってのこれはよ、ある意味ケンカと同じなんだよな」
「ケンカ?」
「そ、拳を交えなきゃわかんねぇこともあるように、寝てみねぇとわかんねえこともある」
「ああ、それならなんとなくわかる」

互いに気を使ってばかりで、なぁなぁで済ませていては肝心な心の内はわからない。
ふいに、牛鬼のことを思い出した。
ケンカとはまた違うが、あの時も牛鬼が謀反を起こすという互いに命がけの荒業に出たからこそ
リクオは奴良組の危険な現状、牛鬼の奴良組への想いの強さ、
他の者のことを考えず無責任に3代目を継がぬと言い張っていた自分の愚かさに気づいたのだ。

「―――つか、」
淡島の腕を着物から引き抜くと、豊満な乳房がまろびでた。
何気に初めて(己の意思で)間近で見る生のそれに思わず気を取られる。
「でけえな。やっぱり」
見るのと、実際に触るのはまるで違う。
掌を押しあてれば、それを跳ね返してくるようなはたまた吸いついてくるような、不思議な感触がする。
衣服越しに顔を挟まれたことは、あるにはあったが。布一枚隔てるだけでこうも感触が違うものなのだろうか。
「脂肪の塊だからな。男にはねえ気持ちよさだよなぁ」
感心したような表情で己の胸を触り続けているリクオを見て、淡島がわかるぜぇ、と笑う。
淡島の語りは続く。
「互いに得物も放っぽって、裸になってよぉ……全部曝け出すんだ。
 ケンカは拳だけだがコレは身体全部だからな、ケンカの時の比じゃねぇよ。
 生身の身体と身体をぶつけあう、これ以上互いのことがわかるこたねぇ。しかも単純に気持ち良いときてる。
 ……だから、好きなんだよなぁ、ヤルのは」
「ぁぁ…………」
淡島の豊かな胸に顔を埋めた。得も言われぬ良い香が鼻から喉の奥へと入ってくる。
普段は「男」である淡島なのに、今の彼女の声や仕草は、どうしてこうも包まれるような感覚を
呼び起こすのだろうかと頭の隅でぼんやりと考えた。



587 : ◆HbpyZQvaMk :2010/03/13(土) 21:27:11 ID:9X6ULtcl

いつの間にか立ちあがっていた胸の先端を吸うと、淡島が「ぁ、」と小さく鳴いた。
「へぇ、気持ち良いのか?」
「う、ん。そうだな……そんな強いもんではないんだけどよ……うん、気持ち良い」
それを受けて、リクオはもう一方の先端にも口づける。
そうしながら右手を下へと滑らせた。肉付きのいい太腿に触れ、徐々に足の付け根へと手を進める。
初めて触れるそこは、予想外に熱かった。
ぬるりとした感触とともに、指が熱い肉に包まれる。
「ん……」
「見てもいいか?」
問いかけつつ、答えの返ってくる前に淡島の胸から顔を離し、彼女の脚を割り開く。
「いいけどよ、慣れないうちはぶっちゃけ引くぜ?」
「そりゃ男のこれと同じことだろ」
初めて勃ちあがったそれを見て、己のものでありながら引いてしまったという経験は
男であれば誰でも覚えのあるものだろう。
「っと…………」
暗いので色ははっきりとはわからないが、確かに女のそこも男のものと同じくなかなかにグロテスクだ。
しかし閉じられたそこを指で押し広げると、夜目にもわかる鮮やかな赤色が覗いた。
濡れて部屋の僅かな明かりにてらてらと光り、時折ひくつくそこにいやらしいと感じながらも
妙に興奮してしまい、目が離せない。
「あのよぉ……いいとは言ったが、そこまでまじまじと見られると俺でもさすがに……」
淡島が珍しく歯切れ悪く切り出した。悪い悪いと言いながら一旦彼女の顔を見やる。
「まぁ気持ちはわかるけどよ。俺のここ見て興奮したろ、この前の続き、してやろうかぁ?
 今回はきちんと飲んでやるぜ?」
「あ、いや、いい」
思わず首肯しそうになったが今はそれより気になるものがあった。
今一度顔を下に向け、そこを広げた時に奥から出てきた突起にそっと触れると
目に見えて淡島の身体が揺れた。
「あっ……!」
「お、すげ……」
「ん……!は、ぁあ……。リクオ、そんな触んなって……」
リクオがその突起に触れる度にそこと淡島の身体がびくびくと動く。
頭に伸びてきた手を捕えて逆にさらに強い刺激を与えるべく顔を埋めた。
「あ!ゃっ……!!リ、リクオぉ!ちょっ、待てってば……!」
口をすぼめて胸にしたように強く吸いつくと、面白いほどの反応が返ってきた。
先日の仕返しもこめて舌先でしつこいくらいに嬲ってやる。
「も、やめろって!俺、あんまり……っ!ここ、されんの好きじゃねぇんだよぉ……」
「そうなのか?めちゃめちゃ感じてるじゃねーか」
「ぅっ……やめろっつってんのに!」
淡島が強引にリクオを押しやり、今度は彼女が上をとる。
リクオが起き上がる間もなく勃ちあがったそこを掴まれ、やわやわと揉みしだかれた。
巧みな手つきに、それだけで興奮しきっていた身体からは快感のあまり力が抜けてしまう。
「うっ……!」
「あんま調子に乗ってんじゃねぇぞー?え?俺のが経験は豊富だってこと忘れてねえかおぼっちゃんよ」
「ちょ、待、」
「待たねぇぞ。このまま手だけでイカせてやる」
「いやそれは……!!」
いくらなんでも屈辱である。慌てて淡島を引き離すと今度こそしっかりと床に縫いとめた。
「つーかいれさせろ。今日はその為に来たんだよ」
「ふん、初めからそう言え馬鹿」
あえてえらそうに言ってみせたのが淡島の気に入ったらしく、口調とは裏腹に彼女の目は優しかった。



588 : ◆HbpyZQvaMk :2010/03/13(土) 21:27:54 ID:9X6ULtcl

「入れるぞ。てか入んのかこれ……」
先ほど見た時にはどう見ても指一本ほどの大きさしかなかった入口を思い出して躊躇う。
「案外入るもんだって。つか今更ビビるんじゃねぇよ」
「ビビってるわけじゃねぇ。ったく人が気ぃ使ってやってんのに」
先端を宛がい、ぬるりとした感触に誘われるようにして一息に押し進める。
ただでさえ敏感なそこが熱い肉に包まれる強烈な感覚に、一瞬息がとまった。
「っ……」
「は、あぁ……」
「確かに入ったは入ったが……大丈夫なのかほんとに?」
「ああ。むしろすげーイイ……俺ぁやっぱこっちが好きだな」
すぐに出してしまわないよう気を引き締め、ゆるゆると腰を動かしながら尋ねる。
「そうなのか?さっきのが感じてたように見えっけど」
「うるせー。…………なんつーか同じ気持ち良いでも違うんだよな。
 斬られんのと殴られんのっていったらわかりやすいか?」
「なるほど。今が殴られた方か」
淡島はまた、ケンカになぞらえて答えてみせた。わかりやすくて助かると言えば助かる。
要するに陰核の方は気持ち良いことには変わらないが、淡島にとっては刺激が強すぎて
楽しむという目的からは外れてしまう、ということなのだろう。
しかしそう言われれば悪戯を仕掛けたくなるのが妖怪の性である。
徐々に深く早く突きながら、親指の腹でぐりぐりと陰核を押しつぶす。
「あ!!ちょ、いきなり……!!やっ、あ!!」
「うぉ、キツっ……」
途端に締め付けが強くなり、リクオも思わず呻く。同時に感じすぎぬようにと気を張っていたのも忘れ
淡島の片足を脇に抱えると衝動のままに腰を揺さぶる。
「あっ……はぁ!……ぁっ。リクオぉ……」
「う……く、」
「出していいからっ……そのままっ。勢い、緩めんなよ……!」
淡島に言われるまでもなく、リクオの方ももう限界だった。
ここぞとばかりにより深く突きあげると、淡島もくっとそこを締め付けて応える。
淡島の腕に抱かれ、彼女の身体中から漂う女の匂いに酔いながら、リクオは絶頂へとのぼりつめた。


 *

翌朝。リクオは朝の気配にふと目覚めた。
部屋に差し込む日の光は、まだ早朝ということもあってやわらかい。
心地よい、深い眠りだった。夢と現の間の感覚を楽しみながらふと横に目をやる。


「〜〜〜〜〜〜ッ!!?」
かろうじて声を抑えた自分を、リクオは内心褒めたたえた。
『朝、気がついた時には男と裸で同じ布団に入っていた』
そのようなシチュエーションを経験してしまったことに衝撃を受けかけ、いやしかしと思いなおす。
「こいつは男で女だしなぁ」
また事情が違うかと気を取り直した。とはいえ今は男同士ということも事実なのでそそくさと背を向け着物を手に取る。
その背に何時から起きていたのか、淡島がぎゅうと抱きついた。
「リクオォ、お前本っ当良い男だなぁ!よくわかってんじゃねぇか、ますます気に入った」
「いやけど男の時に抱きつくのはやめろ!それとこれとはまた話が別だ!」

調子に乗ってわざと身体を押しつけてくる淡島と、本気で逃げるリクオとの攻防は
リクオ(と書いて朝の雑用係と読む)がいない、何か知らないかと他の者が部屋を訪ねてくるまで続いたのだった。


 *

以上です
2011年05月23日(月) 01:40:25 Modified by ID:99JzfgdaZg




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