朝はおつとめ

723 朝はおつとめ sage 2009/09/15(火) 19:55:54 ID:l4ymdmLF
奴良家の厨房。
製作途中の食材から立ち昇る香りがそこかしこに混ざり合い、揺らいでいた。
ただし、熱気による対流ではなく小気味よさげな鼻歌によって。
慣れた者には熱気の苦手な雪女が料理の下ごしらえをしていると直感的に分かる状況だ。
生まれたときから屋敷で暮らしてきたリクオにとっては無論、
みなの行動パターンから今つららが一人でいることまで把握していた。
だからぬき足さし足、純白の後ろ姿に忍び寄ると素早く腕をまわした。
「ひゃっ!」
「だーれだ?」
「わ、若あ!?あ、の、手の、位置が・・・・・・」

リクオの両手は正確につららの双丘をとらえていたー。にぎにぎ

「どうせ、声でバレるんだから目隠しする意味なんてないよ。
 それより雪女の身体ひんやりしてて気持ちいい…」
新婚夫婦のようにふざけたことを抜かしながら、つららの背中に体重を預けていく。
雪女は身体を硬直させながらも「ダメです……こんなところで」とか細い声音を漏らした。
真後ろから抱きついているにもかかわらず、相手の表情が手に取るように読めることに
深い満足感を覚えつつ、少年は言い募る。語調には意地の悪い色が濃い。

「じゃあ、こんなところでなければいいの?」

言葉を追って左手が堂々と右胸を支え、右腕は腰に絡みつく。
リクオは着物越しに伝わる乳房の柔らかさと恥骨の硬さをしばし愉しんだ。
「ぅ―――、、、」
みじろぎもできない少女がうつむき加減に唇を噛み、答えに窮する様が目に浮かぶよう。
顔は綺麗に紅潮している――これはうなじをみれば分かった。
「ね?」
力も込めずに優しく振動を加える。それだけでつららの骨が砕け、
軟体動物と化してしまったかのように力が抜けていく。
「…はぃ」
小さく小さく肯定する言葉が耳朶に響いた。若は口調をことさら明るく改めて
「明日の明け方に僕の部屋で待ってるよ」と言い残す。



場を離れる時も霞のごとく。
変なところでぬらりひょんの血が発現しているのかもしれない。
「はぁ〜〜」
つららは思わず膝をついてしまう。
リクオの手が触れていた部分が毒の熱をもって脈動しているかのようだ、
いちばん熱いのは甘い言葉を吹き込まれた耳の奥、頭の中だったけれども。
(私また、若に抱かれてしまうんだ・・・)
ずいぶん呆然としていたので気付くのが遅れた、一部の食材がごっそりなくなっていることに。

つまいぐい――再燃したリクオの悪戯の中では可愛い部類に入る。

「もーっ!わかーーーッ!!!」
つららの叫びが屋敷を揺らし、どこか天井板の裏に潜んだ何かがごそごそと身じろぎする。
急速に奴良家の日常が戻ってくる。




朝早く。空が白々としはじめるころ。奴良家は深いしじまに包まれる。
風習に反して昼行性に鞍替えした連中はまだ休んでいるし、夜に騒いでいた者どもは疲れきって明日への英気を養っている。
だが、夜を徹して冷え続けた大地が太陽によって暖められる直前、つまり最も寒い時間帯であるがため、雪女にはこころよい。
そんな彼女の心を朝露に濡れる窓ガラスのように曇らせているのは若に呼び寄せられた目的だった。
(これは夜伽といえるのかしら・・・)
現実逃避にとりとめのないことを考えていても、月ならぬリクオの部屋は一定の距離を保って逃げてはくれない。
(昨日の約束なんか忘れて寝てしまっていたりして…)
希望もむなしく障子のむこうには起きた人の気配がした。
活動している人間はより多くの代謝熱を放つ。熱に敏感なつららには微かな温度の差異が読み取れたのだ。
これから入る部屋は少年の体温で心なしか温められた彼の結界だ。
「つらら、参りました――」
不思議と声はふるえず明瞭に朝の冷気を切り裂いた。なるほど、言葉自体は何度も口にしてきた内容だ。
「はいって〜」
部屋の主は拍子抜けするほど簡潔に応じた。
「失礼します」
リクオのことを気遣って、すばやく開けまた閉める。
だが、ほぼ人間である今のリクオには室内と室外の温度差など無きに等しく、冷気は肩を沁み抜いているはずだ。
そんな状況で雪女を抱こうというのだから、まったく勇敢というよりほかない。
「いつもより薄着なんだね」
布団に坐した勇者は後光射すあやかしに微笑んだ。
「それは・・・」
「もっとこっちに」
窮する返答を待たずにリクオは招く。つららはためらいながらも歩を進めて枕もとに膝をそろえた。


「おはよう」
「は、はい・・・おは――」
応じきる前に唇をふさがれた。吃驚しているうちに顔が離れる。
「今のは挨拶だから」
瞼を伏せ口付けてきた二度目はつまり、挨拶ではない。
彼女がそれを解するころには彼の舌は侵入を果たし、口内を蹂躙しはじめていた。
「む〜〜〜!」
つららは声にならない声をあげるが、慄きに退くも突き放すもままならず、リクオのなすがまま。
ただ肩に置かれただけの手が、鉄枷のごとく圧し掛かり新雪のやわはだに喰い込むよう。
彼女を貪る触手はついには相方を求め、きつく絡みついてきた。

にゅのり

戦慄するほど生々しい感触におもわず圧力を返すと、それは喜ばしげに震え、いっそう激しく襲い掛かってくる。
すくいあげるように、円を描くように、押し潰すようにように――変化に富む刺激に
雪女の舌は動揺を禁じえず、生じた隙が次なる攻勢のきっかけを作ってしまう。
気が付けば苦し紛れに自分の方から舌を絡めていってしまっている気さえしてくる。
彼女はあまりに淫らな行為への嫌悪感にさいなまれながらしかし、
若の舌が与えてくる味や感触を覚えることに背徳的な悦びが芽生えるのを禁じえなかった・・・・・・。




長らく絶えていた息も荒く切なく、貪りあった互いの口が離れ、唾液の橋を渡す。
(もったいない・・・)
陶酔した頭があまりにも不埒な想いにとらわれたことを自覚し慄然とする側近に、
三代目は近距離から目と目を合わせて命じた。表情は病的なほど快活だ。
「裸をみせて、つらら」
爛々と輝く彼のひとみがその発言に「綺麗な」の修飾を冠していた。
おかげで雪女の気持ちは誇らしさと恥じらいの板挟み。
おどおどと視線を彷徨わせようにもリクオの目から目が離せず、その力強さに自らの無力を悟るのみ。
けっきょく何も言えずによろよろと立ち、感じえぬ凍えに襲われたかのごとき手つきで帯をほどいていく。
はらり、襦袢の前が開き、合わせの向こうから白い肌がわずかにのぞく。
そしてそれ以上、面積を広げなくなった。乙女の中で増幅されていた羞恥心が忠誠心に釣りあうまでに達したからだ。
つつましやかな割れ目が裾の間からチラチラ覗いていて、リクオにとってはある意味たいへん好ましい状態だったのだが、
従う動きも抗う動きも取れないまま固まってしまった雪女にはひたすら辛い時間になった。
「つらら」
意識がホワイトアウトした彼女はリクオが並んで立ったことに気付かなかった・・・・・・あわてて視線が声を追う。
「よくできました」
笑顔と共に挨拶のキス。連続して抱きすくめられる。
「ふぁっ!?」
驚き震えた身体から、体温の伝播にともなって緊張が抜け落ちていった。
「あとは僕に任せて」
ちいさく動かされたおとがいがリクオの肩を撫でた。



全裸に剥かれた雪女は、少年の与える責めをただ耐える覚悟で待った。
しかし、足元に回った影が股を割ってくるのは予想できても、指ではなく舌で愛撫を加えられるのはまったく読めていなかった。
「わ、若っ。そ、そこは・・・きたな・・・い、っ!です・・・・・・」
返ってくる言葉も想像の埒外。
「うん、そうだね。だから、綺麗にしてあげるよ。とことん」
喉の奥で小さな呻きを蒸発させて、つららはようやっと礼を口にした。
他にどうしろと言うのか?

「ふっ、うぐっ……つっ!――あ!、んっ」

ほとんど音も立てず、繰り返される湿りと摩擦の波に少女の身体は翻弄された。
声を必死に押し殺そうともリクオが舐める箇所の変化と、刺激するリズムの緩急に唇が緩んでしまう。
名分上は洗浄行為なのにもかかわらず性的な刺激を受けていることに落ち着かない思いもあった。
しかし、それは結局、背徳感からくる恍惚しかもたらさず・・・・・・

やがて、刺激を意識しまいと意識してしまっているつららは、入念にまさしく舐めるように自分の股ぐらを這いまわるリクオの舌が
最初からまったく触れていない部分があることに勘付いた。
もちろん、それをリクオに指摘するような破廉恥な真似はできないが
いつ終わるともしれない責め苦のなかで空白地帯と化したそこに意識が集中するのはいかんともしがたい。
「っらら――」
そんな状態では大事な人が呼びかける声も遠くに聞こえる。
「つらら」
「は、はいっ」
再度の呼びかけにあわてて返答し、頭の中でいっぱいになっていた部分のことを指摘されるのではと半ば恐怖、半ば期待した彼女を彼は裏切った。
「つららのココ、奥から濡れてきた気がするけど……まさか感じているってことはないよね?」
僕が綺麗にしてあげているのに――
言外に込められたものに戦慄しつつも、雪女は始めてそれを意識させられ、激しく動揺してしまう。
「ち、違います!感じてなんかいませんっ!!」
「ふうん、そうなんだ。じゃあ…」
面白くなさそうにリクオは呟き、続いてしみ出した分泌液を深く啜った!
「ひぅんっ!」
「じゃあ・・・もう濡れたりしないね?」
断定的な言葉のあとに彼がどこを「清掃」してくれるのか、つららは知っていた。
「ひ、待っ・・・」



ちゅくぅ

「っ、あああああーーッ!!」
最初の接触、口に含まれきつくと舐め上げられた瞬間に雪女の身体は跳ね上がり、深部から大量の愛液がほとばしった。
しかし、リクオは動作をまったく緩めない。
今まで他の部分に施してきた刺激をただ一か所に集める勢いで攻め立て続ける。
「だめぇ!わひゃぁ、駄目れす!!待って!待ってくだひゃっ!!リクオさ……あぁああああッ!!!」
寄せても返す暇はなく打ち寄せるあまりに強烈な刺激の連続につららの精神は宙をさまよう。
秘所からは言い訳のきかない量の液体がこんこんと吹き出し、ぐっしょりと彼女の股を、そして少年の顔を濡らしていった。

リクオは布で濡れた部分を簡単に拭うとゆっくりと圧し掛かり、息を荒げるつららに顔を近づける。
「はぁ、ああ・・・リクオ様っ、すみ――」
最後までいわせずに口をふさがれる。罪悪感にさいなまれている少女は間接的に自らを味わうを甘受した。
変に責められるより率直な欲望の対象にされる方が安心してしまう、自分の心理に怯えながら。
しかし、名残惜しくも唇は離され、リクオの言葉を聞かなければならない時はあっという間に訪れる。



 にっこり
 満面に咲いた少年の相貌が、いっしゅんで月が欠けるように表情を失う。
「嘘つきな雪女にはお仕置きが必要だね」
「あ、ああ、、っ」
つららの瞳は快楽への恐怖に染まり、ガクガク震えるこうべでいやいやをした。
まるでそれが目に入らないかのように、こともなげに彼は言い募る。
「正直にいえばご褒美をあげたのに、つららはバカだなぁ・・・」
バカなのにお仕置きとご褒美がまったく同じ行為だと分かってしまうのはどうしてだろう?
その答えは賢い若が教えてくれる。
「それとも――つららは、お仕置きでもご褒美みたいに感じちゃう淫乱なのかな?」

そんな淫乱だと自覚させられることが本当のお仕置きなのだ・・・・・・。

乙女が気付いたころを見計らって、少年はその股を割り開き肉棒の狙いを定める。
「やっっ!待って、待ってください、リクオ様!!ヤダヤぁああ〜〜ッッ!!!」
狂乱するつららの中にリクオが突入し、肺腑の冷気をすべて吐き出させた。
とても良く濡れていたためにすんなり奥まで入ったものの、開発途上の身体は流石にいきなり快感を覚えたりはしない。
しかし、お仕置きを受ける側としては挿入の刺激がいつ快感に化けるのか気が気ではなく、
自然、雪女の神経は膣に集中し、その集中が余計に彼女を敏感にした。
それを見切った若はゆっくりと焦らすように、内部を満遍なく圧迫してくる。

「・・・うう。ふっぐぅ・・・・・・」
心を揺らすきっかけを作るまいと声を押し殺す少女に絶対者の言葉が降りかかる。
「んっ、つらら、僕たちが繋がっているところ、見てごらん」
明るい声音につららがおもわず視線を下に向ける。
すると、下半身を軽くもちあげられ体内に出入りするおぞましき肉槍が誇示されてしまう。
「ほら、出たり入ったりしているのが良く分かるでしょ?」
周期的な前後運動のリズムと、視覚情報、そして膣に集中した触覚がリンクして
つららは自分がされていることを初めて本当に理解した。いや、自分たちがしていることを、か。
(うう――わかってしまってる――リクオ様のがお腹のどこまで来ているのかまで、ぜんぶわかってしまってる・・・)



ずにゅう、ずにゅにゅぬう、ずにゅずにゅ

固定された彼女の視線に推進されたかのようにあくなき往復運動が繰り返される。
だが、つららは気付いてしまっていた。
意図的に単調な動きのなかで徐々にリクオ自身が熱を帯び、摩擦熱をむさぼる力が増していることに!

「ああぁ・・・・・・」
予感に思わず漏れた悲鳴を追って、宣告がくだされる。
「くぅ!出すよ!つらら、出るっ!!」
「だめぇえ!!中は・・・わか、なかはああ――っ!!!」
次なる刺激を恐れる懇願がなされている最中に、無慈悲な白濁流が最深部めがけて決壊した!
「あついいいいぃぃ!!ドロドロで熱いのが奥にぃいいいっ!やあああああッ!!」
リクオ自身は最後の一滴まで注ぎ込もうとさらに奥深く食い込んできた。
奔騰する精液が膣内を洗って、つららには精子一体一体がせわしなく鞭毛を動かす刺激までもが感じ取れてしまった。
強烈すぎる知覚にもはや声にならない声をあげる雪女。再度彼女を抱きしめて若はうそぶく。
「やっぱり、つららの中に出すのが最高だよ・・・」


かろうじて意識が現実にかえってきたつららは一息一息哀願する。
「リクオ様、もう、許して・・・ください・・・」
だが若はこともなげに返す。
「こんなの序の口だよ」
身じろぎでおとろえぬままのペニスを意識させられ、実際に行為自体は穏やかだったことも思いださせられる。
つららの瞳に涙がにじんだ。
「そんなぁ・・・」
「まさか、つららはあの程度で死ぬほど感じてしまったの?」
ん?と透明な表情でたずねられてしまう。またもや二者択一、つららは下唇を噛んだ。
「感じてなんか・・・いませんっ」
期待通りの反応にクスッとする若の小悪魔的な顔がみたくて、そんな回答をしてしまったのかもしれない。



しかし、その代償はあまりにも大きかった。

リクオは角度を付けて激しく肉棒をふるう。
彼女の薄い腹肉が彼のままに変形して、愚かなるあやかしは抉る衝撃と突き破られる恐怖に翻弄されてしまう。
そんな心情おかまいなしに、ピストンよりも鐘つきに近い動作が下腹部をたわませ、激しく波打たせる。
「っ、はっ・・・あ・・・」
つららはほとんど絶句して、ただ両の手に布団を握る。霞む視界をリクオの荒い吐息がさらに霞ませていく。
もはや意識を保つのに精いっぱいの彼女には、意識を保たなければいけない理由もよくわからない。
だが、遠い知覚のむこうから光点が急速に接近しつつあることだけは薄く認識できていた。
その光は少年が与える刺激と連動して明滅を繰り返しながら、徐々に点灯時間を伸ばしている。
「あっ・・・んんっ・・・はぁっ」
同時につららの声には甘いものが多く混じりはじめた。
リクオは容赦なく亀頭を内壁にめりこませながら、雪女の反応を観察しその肉体が悦ぶ部位を探っていたのだ。
遠くから太陽に突っ込んできた彗星がだんだんと離心率を小さくしていくように、
若の動きは少しずつ正確さを増して「その部分」により長く圧力を加える形に変化していった。
運動の大きさは力強さに変換されて、苛烈に急所を突きあげている。
つららがこれを理解したのは意識が太陽に突っ込む寸前。
その時には、あられもなく髪を乱し、よだれにくちのはをとろかしてしまっていた。



「はわぁああぁっ――わ、わかぁっ・・・」
側近がようやっと意味のある言葉を口にしたことに気付いたリクオは攻め手をやや緩め、
しかし、ぎちぎちと肉を軋ませながら微笑みかけた。
「やあつらら。僕、もうそろそろイけそうだよ・・・つららが大好きな部分に押しつけて、たっぷり出してあげるからね・・・」
どこかうっとりした口調の伝えるところを理解して、少女は再び混迷した。
このままではリクオの熱い欲望に肉壁を溶かされて、その奥にある快楽が直接うがたれてしまう。
白濁に心まで絡め取られ狂ってしまう。
そんな、破滅願望をくすぐる予感が背筋を走り抜ける。
「やっ、だめぇ、だめ、です・・・リクオさまぁ。そんなことされたら・・・わたし。わたし、おかしくなっちゃいますぅうう・・・ああっ」
思わず口をついて出た叫びを受けて、片手サイズの胸をふにふにと揉みながら主は意地悪げに首を傾げてみせた。
「そんなこと言われても、僕も暴発する寸前だから・・・どうして欲しいか言ってごらん。一回だけチャンスをあげるよ」
本当に限界なのだろう。ゆっくりと喋る間にもリクオの先端が焦熱で膨れあがりはじめていた。
つららは恐怖に追われながらも刺激を胸に分散されて、多少は回転するようになった頭で必死に答えを探す。
彼女が本当に望むのは彼が肉棒を引き抜いてくれることだったが、だからこそそれが叶わないことも承知していた。
ならば急所への射精を回避するために許される望みは――
考えを取りまとめながら、つららは上目遣いでおずおずと懇願をした。
「ああ・・・リクオさま、どうか・・・どうか、つららの奥に、いちばん奥に・・・ください」
最後は消え入りそうな声で、獰猛な羞恥に苛まれながらやっと述べた「お願い」は、なんとか少年の欲求にそうものだったらしい。
まんざらでもない「しょうがないなぁ」の言葉と共に両胸を弄んでいた腕がつららの脚をがっしと抱える。そして、

 ずんっ!

怒張を容赦なく押し進めた。



「か、あっっ!?」
想像外の衝撃につららの目前で星が舞う。
我慢の限界に達していたリクオの射精は突き入れる途上で始まっていた。
その肉棒は飛び出す精液を追い越す勢いで最深部に到達し、子宮口に大打撃を加えた。
「っあーーーーーーッ!!!」
雪女の頭がおおきくのけぞり、彼女は視界一杯に星の大爆発をみる。
それでも快感は上限を打たず、熱く絡みつく精液が怒涛となって、つららの膣奥に何度も何度も打ち寄せた。
そのたびに少女の意識は粉雪よりも細かく粉砕され、爆発的な蒸発をくりかえしていく。
(死んじゃう!死んじゃうっ!!)

めくるめく天国の地獄に気絶寸前までいった娘の正気を、原因である少年が固く抱きしめ人工呼吸的な口付けによって救う。
イキ止まらなくなっていたあやかしは無心で空気をむさぼりむさぼり、生を得てたまらなく死にたい気持ちになった。
「うぅ・・・っく、ひっく・・・」
息を殺して泣く彼女をリクオはあやすように抱き寄せ、ひんやりした頬に唇をおしあてた。
嗚咽がおさまるのをじっと待つ間も肉棒は挿入されたままで、嗜虐心をそそるつららの泣き顔に再び張りつめてしまっている。



少し間を置き、リクオは黒髪を手で梳きながらささやいた。
「つらら、こうしているとちょうど僕のおちんちんが一番奥に当たっているのが分かる?」
「・・・・・・!」
凍りついたように。雪女は震えを止めて、荒んだ神経網に事実確認をしてしまう。
彼はぐりぐりと子宮口を押し上げながら言いつのる。反射的に彼女の膣は締めつけを返す。
「僕とつららって、本当にぴったりだね」
細い肩がびくんと震える。少年は委細構わず、少女に体内の自分を意識させ淫猥な言葉をつむぎ続けた。
「もしかしたら――最初にしたときに、つららのおまんこが溶けて僕の形になっちゃったのかなあ?」
もう真っ赤。熱で崩れそうな美貌を白樺の木立を思わせる指たちで囲って小さく懇願する。
「・・・っ!・・・リクオさまぁ。変なこと・・・言わないでください・・・」
しかし、若はフッと小さな笑いを返して、じわじわと拡張するような動きを繰り返す。
「変なことじゃないよ・・・だって僕、こんなに気持ちが良いんだからっ。
 ・・・・・・つららは気持ち良くないの?」
声音には快楽に焦れる色が混じっていた。そこに男の本心を読みとった雪女は思わず本心で応えてしまう。
「気持ち、いいです・・・」




ぐっにぐっに、ぐっちゅぐっちゅ――

二人は素直な喘ぎを漏らしながら、少しでも肌の重なる部分を増すように密着して交わった。
互いに相手の興奮がどんどん膨れあがっていくのを自覚のように感じていた。
「ひゃあんっ・・・あ、あ、あ、ぁあんっ!」
「くっ・・・んん!あぁ・・・きっと、きっと、つららは僕専用なんだね」
また変なことを言い出すリクオに、つららは小さく頬を膨らます。
すぐに濡れた声がこぼれてしまうので、いっかな空気が貯まらないのだ。
そんな余裕が出てきたところに、動きがピタリと止まると不満さえ覚えてしまうもの。
吸い込まれるような少年の瞳を、つららはただ見上げた。彼の言葉が続く。
「それとも・・・僕がつらら専用なのかな?」
「!?」
主の意外すぎる発言に側近の思考が停止してしまう。
その仮定はあまりにも甘くて暖かくて、火の出るような恥ずかしさにも決して溶けなかった
つららの肢体が春の雪と溶けてしまいそうだった。
(え?そんな、そんな・・・・・・リクオ様が私の・・・私だけの・・・・・・?)
混乱の醒めやらない彼女に、笑いを含んだ彼の声。
「つらら、こんなに締めつけて――僕の言葉に同意してくれるんだね」
そして「で?」と疑問符を置く。

その問いを理解したとき、つららは落とし穴に落ちた自身に気付いた。
とてつもなく大それた妄想に意識をゆだねてしまった。許されざることだった。
しかし、彼は問いかけて逃げ道を与えてくれている。「どちらが相手の専用なのか?」と。

二択の答えは一つしかなかった。

「あの・・・その・・・」
「ん?」
人差し指同士をちょんちょんと合わせて口ごもるのに、興味深そうな顔で問い返される。
とても酷い人。とても怖い人。とても、大事な愛しい人。
つららは息を呑み込んだ。



「私が・・・私は、リクオ様専用です!!」

激白が部屋の天井を打ち、わんわんと頭の中を反響した。その音を聞きながら確信する。
そうなのだ。自分はリクオ様専用なのだ。リクオ様専用だから、そのお仕置きで感じてしまうのもしかたがないのだ。
リクオ様の喜びこそが自分の喜びなのだ。

つららの刹那の確信を追って、どこか晴れ晴れとした顔でリクオが動きを再開する。
それはもう、とことん激しく、自己を彼女に刻印するように――。
「やっ!急にぃっ!!?あああんっ!」
「つららっ!僕のっ、つららっ!!僕だけの!!!」
「っ、はいぃっっ!あなたのつらら、ですっ!あんっ!リクオ様専用の!
 おまんこも、おっぱいも、おしりもっ!おくちも、あしも、ても、おなかも、ーっ
 爪の先から吐く息まで私の全てが!全てがリクオ様のものですぅううううっ!!!!」
つららは極まった。いまの彼女にとって全世界がリクオだった。

つららは――奥を突かれてイった。壁を擦られてイった。抜ける寸前まで引かれてイった。
尻を握られてイった。乳首をつままれてイった。耳たぶを甘噛みされてイった。
脚を絡められてイった。口付けにイった。髪を撫でられてイった。体温に肌を犯されてイった。
降りかかる汗のしずくにイった。名を呼ぶ声にイった。手を重ねられてイった。唾液の味にイった。瞳の光にイった。
イった。イった。イき続けた。止まらなかった。それでも求めて止まなかった。



リクオも昇り詰めていた。かつてない快感に関節が砕けるほど震え、全てがつららの最深部に焦点を結んだ。
「っく。つらら!つららの中に出すよ!!」
「はいっ!ください!ん――っ!!リクオ様専用の子宮にリクオ様の精液いっぱい!いっぱいくださいーーッ!!!」
射精が始まった。
リクオが今まで生産した全ての精がこの一瞬に吹き出したかのごとき、
常軌を逸して膨大な量がそのあるべき場所を急速に満たしていく。
つららの身体に自己の到達しない箇所が存在することなど絶対に許さない。
そんな執念さえ感じさせる射精だった。

むろん受けるつららも絶頂に翻弄されていた。
リクオの存在そのものに死ぬほどイっていたのに、今や億を超えるリクオが体内に在るのだ。
それはもはや快楽の域に留まらず、意識を粉微塵に吹き飛ばす莫大な知覚の衝撃に近かった。
とことん気をやったつららは、うっとりとうわ言を口走る。
「はぁ・・・・・・リクオ様がお腹一杯に。きっと、リクオ様専用卵子で受精してます・・・」

      • ・・・さしものリクオも、少し圧倒された。


苦笑しながら朝日から庇うように布団をかけてやる。気がつけば日差しの力がずいぶんと増していた。
障子越しの光が目をつむった雪女の顔を照らす。諸々の始末を終えて、リクオは輝く顔をぼんやり眺める。
すると、つららの眉根が寄ってむずがりながら手をこちらに差し出してきた。
「リクオ、さ・・・」
少年は淀みなくその手を受け取って、ひややかな甲に唇を寄せた。
「僕も、つらら専用だよ・・・」
小さな小さな声が夢の世界にまで届いたのか、彼女の寝顔はほころんで、スヤスヤと寝息を立て始めた。
それを見て、リクオは優しく微笑むと立ち上がり、光に向かって身をひるがえす。さて、

「休んでなどいられない!すぐに登校だ!」



2011年05月26日(木) 23:46:37 Modified by ID:YQO7mb6raw




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