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作者:Y.A
イラスト:藤ちょこ
掲載サイト:小説家になろう
出版社:KADOKAWA MFブックス

あらすじ

二流商社に勤める 一宮信吾はある朝目覚めると、そこは異世界の貧乏貴族の家で、自分がその家の八男「ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター」と言う5歳児の男の子になってしまう。下級貴族とはいえ実家の困窮ぶりに「今から行動しなければ人生早々に詰む」と考えたヴェンデリン(愛称は「ヴェル」)。書斎に置かれていた魔法球で自分に魔法の才能があることを発見した彼は、同じく書斎にあった教本を参考に自己流の修業を始める。当の家族からも半ば放置されている環境だったが、ある日 採取に入った森で「語り死人」となった魔法使いアルフレッド・レインフォード(アル)と出会う。アルが語り死人になったのは30年という短い生涯の中で身に着けた魔法と己の資産を託せる弟子を求めていたからだった。その日から2週間かけてアルから魔法の要訣を学んだヴェルは最終日に教えられた聖魔法でアルを浄化する。長男であるクルトの結婚と共に次男以下の兄4人は陪臣の家に婿入りするか領地を出て自活することとなり、五男のエーリッヒ含めた3人は家を出ていくがまだ幼いヴェルは放任されつつも実家に残ることとなる。それから約6年の間にヴェルは領内の未開地を駆けまわり、大雑把ながら地図を描いたり海や鉱山などで塩や貴金属を魔法で精製するなど実益を兼ねた修行を続け、12歳になったヴェルは冒険者になるために実家を出て隣のブライヒレーダー辺境伯領の領都・ブライヒブルクにある冒険者予備校に特待生として入学し、ある事件を解決した功績により、貴族として身を立てることとなる。だがそれは、貴族社会のしがらみに振り回される人生の始まりに過ぎなかった・・・。

登場人物

ヴェルの嫁・ヒロイン
古代骨竜の討伐からはじまったヴェンデリンの活躍に伴い、成立していった正室・側室・愛人。それぞれがヴェルとの間に子を儲けるが、前述の通り生まれた子は全員魔法の素養を持つため、王族から有力貴族、果ては帝国からも「将来的に年齢の釣り合う身内」との結婚相手として引っ張りだことなり(妻7人が最初に産んだ子供は、0歳時のうちに王家や大貴族との婚約が決まり、同時期に産まれたテレーゼの子にも帝国からの多数の縁談が舞い込んだ。また、「彼女たちが妊娠した時点、子供たちが生まれた時点」で結婚を申し込んて来た20歳過ぎのバカ貴族もいたが、こちらは単純に利権目当てと思われる。当然非常識に過ぎるため非殺傷系の魔法で吹き飛ばされる。当主だった男爵は絶縁を周知させたほか、貴族家の当主ではなく跡取り候補だった者は廃嫡された)、分家を作る分も含めてより多くの子を望まれている。

エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
ホーエンハイム枢機卿の孫娘。ついでにアームストロング導師の姪御でもある。ヴェルと同年。書籍2巻(WEB版第35話)で婚約、書籍8巻(WEB版第75話)で結婚。治癒術を中心とした「聖」属性魔法の使い手で、修道院で修行中。聖女としても名高い。将来有望な注目株となったヴェルと引き会わされ、婚約する。「聖」魔法のみならず、料理・裁縫とそつなくこなす完璧超人。とは言え祖父の後ろ盾も含めた自身の評価にはギャップを感じており、その事に同意してくれたヴェルには好感をもった。ヴェンデリンの家族内では貴族としての決まり事には疎いヴェンデリンをフォローすることが多い。12巻では魔導四輪を運転した際に普段のストレスからかスピード狂の気が出ていた。非常に豊かな胸の持ち主であり、13歳時でFカップ、15歳時にはゆうにGカップとなっている。

ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
ブライヒレーダー辺境伯家の拳法師範を務める陪臣家の側室の子で三女。ヴェルと同年。青い髪をショートカットにしている。年齢からすると小柄で体型もお子様。茶目っ気と若干のオヤジ成分があるボクっ娘。ブライヒブルクの冒険者予備校に特待生として入学。幼馴染のイーナとコンビを組むが、ミスって狼に囲まれたところをヴェルたちに救われ、以後パーティを組む(実際のところは無断でパーティ結成の届け出を出しており、事後承諾だった)。ヴェルが叙爵した事で建前上バウマイスター家に従士兼婚約者として就職した形となる。魔力を用いた身体強化で戦う格闘術「魔闘流」の使い手。才能は一級だが、他者に指導する能力はない。元々中級クラスの魔力をもっていたが、魔法は使えなかった。ヴェルとの「器合わせ」や、導師との特訓を経て上級並みの魔力量を獲得。身体強化以外にも「高速飛翔」や「魔導機動甲冑(急所のみを覆う機動力重視)」「瞑想(自身の魔力を練る事で自己回復を早める)」などを習得する。結婚式以降、さらに魔力容量が上昇したが、使える魔法の種類は増えなかった。なお、多少は背も伸びたが出産後も全体的なボディラインに変化なしで、初対面の人間には未だに未成年に見られることも多い。

イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
ブライヒレーダー辺境伯家の槍術師範を務める陪臣家の三女。ヴェルと同年。赤い髪をポニーテールにまとめており、少々眼付きの鋭い印象を持つ。一見スレンダーな体型だが、実際は標準。ブライヒブルクの冒険者予備校に特待生として入学。幼なじみのルイーゼとコンビを組むが、狩りの初日からミスって狼に囲まれたところをヴェルたちに救われ、以後パーティを組む。ヴェルが叙爵した事で建前上バウマイスター家に従士兼婚約者として就職した形となる。基本的には真面目な性格の「普通の子」で、読書家でもありヴェンデリンの家族内では作中世界の一般常識を語る役になることが多い。元々、常人より多少はある魔力で身体強化を行っていたが、結婚式以降に魔力容量が上昇した結果、槍に属性魔法を纏わせる「火炎槍」「風斬槍」を使えるようになる。

ヴィルマ・エトル・フォン・アスガハン
準男爵家の三女で、エドガー軍務卿(侯爵)の姪(後に養女)。13歳(ヴェル15歳時)。桃色の髪を団子に纏めている。背丈はルイーゼと変わらないが胸はイーナと同じくらいはあるというトランジスタグラマー。小動物のようで保護欲をそそる外見だが「英雄症候群(全身の筋肉組織に魔力が纏わりついている天然の魔力強化)」と呼ばれる体質で、巨大な戦斧や鉄弓(とある武器屋に宣伝用の看板として飾られていた物。店主も使える人間がいるとは思わなかったらしい。矢も総鉄製だが、高価なのですぐに撃ち尽くしてしまう)を軽々と扱う膂力の持ち主。だが、その分カロリー消費は激しく「お腹減った」が口癖の欠食児童(意図的に魔力を流すことによって行われる身体強化よりは遥かに燃費は良く継戦能力も高いが、パウルの家で合流した際に渡された食費は「銀板1枚(およそ10万円)」で、これがなければパウル家の当月の家計は詰んでいたほど食べる)。幼い内から自分の食い扶持を賄う為に(魔物の領域ではない普通の森に)狩りに出ていた。物言いは端的だが、辛辣な発言が多い。ヴェルの実家問題の際に護衛役として派遣されてきたがその実ヴェンデリンとの縁繫がりを企むエドガー軍務卿から送り込まれた側室候補で、伯爵へと陞爵した際に新たな婚約者となる。前述の通り、周囲からは可愛がられているが、とある仕事で魔法具を使い大人に変装した際には、逆に子供に変装したヴェンデリンの世話を焼いていた。結婚式以降に魔力容量が上昇した結果、さらに「身体能力強化」と「武器付与」が使えるようになった(本人は攻撃魔法が使えるようになりたかったらしい)。

カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
元貴族ヴァイゲル家の娘。16歳(ヴェル15歳時)。リンガイア大陸で「暴風」の二つ名を轟かせている、絶賛売り出し中の冒険者。二つ名に纏わる風魔法のみならず、他の属性魔法にも精通してる一流の魔法使い。腰くらいまで伸ばした紫色の髪を、(ヴェルから見て)昔の少女漫画のお嬢様キャラみたいに縦ロール状のヘアスタイルに(実は凄いくせっ毛で毎朝魔法も使ってセット)している。まだ10代だが、大人びているので20代くらいに見える。基本的に見栄っ張りでスタイルを気にしてよくダイエットをしている(魔法使いは魔力を使うとカロリー消費が大きくなる傾向があり、見た目の割に沢山食べるが基本的に太っている人は少ない)。改易の際、死去した祖父及びなれない労働で物故した両親に代わり子供の頃から実家の再興を目指して頑張っていたが、その分人付き合いの経験値が低く、男性に対しての免疫も低い。上級クラスの魔法使いではあるが、女性故に貴族にはなれないヘルムート王国の状況から良く似た立場のヴェルに狩り勝負を挑んできた。だが、導師の乱入などで毒気を抜かれてから共に行動するようになる。祖父の代に寄親であるルックナー(財務卿)侯爵家とリリエンタール伯爵家による門閥争いのとばっちりと王国直轄地の整理で改易された家を復興させると言う願いもあるが、なんだかんだとヴェルが気に入ったようで婚約者の一人として加わり、繋ぎとして一代限りの名誉準男爵に。ヴェルとの間に将来生まれる嫡男が、正式にヴァイゲル家を復興させることになる。実家であるヴァイゲル家はそれなりに真っ当な家だったらしく、かつての陪臣などが現在でもヴァイゲル家復興を願い帰農して残っており、ヴェルの婚約者となって生まれた子が新たな準男爵家当主となる段取りが進むと、ほとんどの元陪臣や領民(他所に移っていた家族も呼んで総勢1200名)がバウルブルク郊外の新領地に引っ越してきた。旧ヴァイゲル領は王都近くの街道沿いにある立地だったが、住民のほぼ全てが移住してしまい、現在は閑古鳥が鳴いている。結婚式以降に魔力容量が上昇したが、使える魔法の種類は増えなかった。

カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク
オイレンベルク騎士爵家の長女。19歳(ヴェル17歳時)。初出は書籍12巻(WEB版第116話)。身長は155センチほど、黒に近い茶髪をツインテールにして膝下まで伸ばしている。かなりの美少女ではあるのだが、男勝りの口調でファッションにも興味がないなど、女らしさには欠けるきらいがある。王都の冒険者予備校を中々優秀な成績で卒業。中級程度の魔力ながら、加速魔法とサーベルを使った速攻で「神速」の異名を持つ。15歳から4年ほどの活動で自己資産は1000万セントを超えている。ヴェルたちが冒険者稼業でリーグ大山脈の飛竜狩りに参加した際に知り合う。バウマイスター伯爵領から大リーグ山脈を貫く古代遺跡トンネルが発見され、南側から内部の点検を行い、辿り着いた北側出入り口にあったのがオイレンベルク騎士爵領だった。だが、当のオイレンベルク家はマロイモという作物の栽培で細々と暮らしている牧歌的な領地だった。トンネルの出入り口発見と共にトンネルの管理問題が発生するが、当主のジギ・フランク・フォン・オイレンベルク卿も次期当主のファイトもそんな大事業は分不相応と及び腰になってしまう。結果として代替地を用意して、そこに移ってもらおうと話が纏まり掛けたところで待ったをかけたのがカチヤである(Web版ではここでいきなり登場しているため唐突感が大きいが書籍版でそのくだりは調整されている)。実家の躍進のきっかけになるトンネルの管理権を自身が婿を取って引き受けると言いだし、王都にて大々的な入り婿の募集をかける。しかし、その条件が「自身と勝負して勝てる貴族男性(独身)」だった。王都の闘技場を借り切ってのトーナメントを開催するも予選を突破した8人は全員敗退、国王からの勅命によって勝負することになったヴェルに完敗、6人目の妻となった。結果、オイレンベルク騎士爵もバウマイスター伯爵の分家及び未開発地域へ領地替えとなり旧オイレンベルク騎士爵領はバウマイスター伯爵家とブライヒレーダー辺境伯家で領地を分け合うこととなり、トンネルはバウマイスター伯爵家が一括管理・旧オイレンベルク騎士爵領側の周辺開発はブライヒレーダー辺境伯家が担当・トンネル警備は王国政府とバウマイスター伯爵家が共同担当することになった。

リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラー
「ブリザード」の異名を持つ凄腕冒険者の女性。29歳(ヴェル17歳時)。キツイ化粧と大胆な服装でイケイケな感じだが、実際には化粧も服装も相手に対する防御壁としての物。スッピン(かなり童顔で実年齢よりも4-5歳下に見える)状態だと会話どころか、他人と目を合わせる事も出来ない引っ込み思案。大酒呑みだが、これも「そうすれば舐められない」という理由で演技していただけであり、あまり好きではない。同様の理由で「甘いものが大好き」ということも隠していた。酒を呑んでもまったく酔わない体質で、導師と呑み比べして勝っている。冒険者として駆け出しの頃のカチヤを指導したことから「姉御」と呼ばれており、結婚後に様子を見に訪れた。カチヤの魔力が大幅に向上していることに疑問を持つが、テレーゼの誤魔化しついでの挑発に乗って勝負することになる。一か月の間をおいての勝負となるが、いかんせん経験不足のテレーゼは全力の一撃を相殺されたことで降参。リサの追及もうやむやにしようとしたが、そうも行かず仕方なくヴェルが対戦した際にヴェルが使った「空気を液化冷却した魔法」の影響で装備していた衣装が砕けて素っ裸になってしまう。その際にヴェルに全裸姿をある特徴ごと見られたせいで泣き出してしまい、直後ヴェル宅で入浴したため化粧も落ち、前述の対人スキルゼロの状態になった。その後責任を取る形でヴェンデリンの妻となったが、それまでにも「内助の功」とばかりにバウマイスター領の開墾に協力していた。化粧を落とした当初はアマーリエやカタリーナが通訳しなければ会話も成り立たない程だったが、徐々に改善した。

テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ
アーカート神聖帝国の選帝侯七公爵家のひとつ、フィリップ公爵家の当主。21歳(ヴェル17歳時)。金髪と褐色の肌をもつ肉感的な美女。10年ほど前に行われた親善訪問で導師やブランタークとは知り合い。皇帝選挙を前に「帝国初の女帝」という快挙を求められている。そのため、結婚相手(というか、子供の父親)も余計な干渉を受けずに済む外部者という事でヴェンデリンに目を付けた。ニュルンベルク公爵が起こした反乱で諸侯軍の取りまとめなどを行うが、囚われていた皇帝の復権を認めたことで北部貴族から失望される。最終的にはペーターとヴェンデリンによって当主を退かせられることになり、バウマイスター領に引っ越す事となる。表向きは客分、実質的にはアマーリエと同じく、愛人の立場となる。エリーゼと同じく、貴族的な常識に疎いヴェンデリンをフォローする知恵袋的な立ち位置となる。トンネル問題でも解決策を提示するも、ヴェンデリンが及び腰だった為にその策は行使されなかったが、結果的にはテレーゼが提案した通りの結果となった。ヴェルと関係を結んだことで魔力が向上、魔法を習得し、後に子を儲ける。魔力量も上級の下となり、ブランタークの指導を受けて鋭意訓練中。

アマーリエ
クルトの妻→ヴェンデリンの愛人。マインバッハ騎士爵家の次女。18歳(ヴェル6歳時)。ヴェルや出て行った兄弟以外では家族の中で数少ない漢字も読める人。クルトの自滅で二人の子 オスカーとカールと共に取り残されるが、「バウマイスター騎士爵家簒奪計画」に「関わった連中に協力を取り付け、子供たちの行く末はなんとかする」というヴェンデリンの提案を受け入れ、義父・義母等とともにパウルの領地へ転居する。クルトの関係もありバウマイスターとしてではなく、実家のマインバッハの名で未開発地域の一部割譲の上で新たな騎士爵家を立てることが約束されている。ヴェルと仲が良かったのもあるが、上記約束は将来的に確実なものではなかく、それを確約させるため男性との経験があり、未婚(未亡人)の後腐れがない女性を探していたアルトゥルの提案を母親としての打算もあり受け入れヴェルの「あてがい女(結婚前の貴族男子に「女」を教える役目)」となる。本人はあくまでヴェルが結婚するまでの一時の関係と考えていたが、ヴェルからはごく普通に甘えられる相手として気に入られて愛人となる。ヴェルが帝国内乱からの帰還した後は2人の息子たちが将来の陪臣や領民との顔合わせのために実家に移ることになり、バウマイスター家のメイド長という建前だが、後にヴェルとの間に子供もできたことでバウマイスター家内では妻扱い。ヴェルと関係を結んだ女性の中では冒険にでるだけの実力を持たず、今のところ「魔法使い」といえるレベルまで魔力がアップしなかった人。

フィリーネ
アマデウス・ブライヒレーダー辺境伯の隠し子。10歳(ヴェル17歳時)(年齢の割に発育はよく、当初は歳が合わないと思われた。エルはルイーゼより育っていると評してルイーゼに殴られていた)。正確にはアーカート神聖帝国を親善訪問した際に就けられた侍女とお付き合いしていたという物で妊娠が発覚したのは帰国した後のことだった。母親が亡くなる際にフィリーネには申し送りをしていたため、内乱騒動の最中に近所を訪れたヴェンデリンに話が来た。内乱後は辺境伯家で「すわ、修羅場か!」と思われたが、辺境伯家は男子ばかりだった為単純に可愛いというのもあるのに加え、(ヴェンデリンに縁付けるためにと)渇望していた「政略結婚に使える女子」であるため(厳密に言えばいない訳ではなかったが、分家筋にいたのは(この時点でも)フィリーネより年下か、辺境伯の叔母にあたる(ヴェルの母親と年の変わらない)大年増だけだった)、奥様方からも好意的に受け止められた成人したらバウマイスター家へ嫁ぐ予定であり、奥方はそのままバウルブルクに滞在させようとしたが、親バカの発動したブライヒレーダー辺境伯によって成人までブライヒブルクで過ごすことになる。

アグネス、シンディ、ベッティ
ヴェンデリンが17歳時に都の冒険者予備校に臨時講師として就いた際に教え子となった3人。ヴェルとしては生徒を選り好みした気はないのだが、最も優秀だった3名が女子だったことで、家族も含めて周囲から「そういう関係」と判断されてしまう。

アグネス
14歳。ヴェルから見て委員長タイプの眼鏡っ子で、実家も眼鏡屋(この世界では眼鏡は高級品で、都市部のそこそこ裕福な文系の人間しか使わない。眼鏡屋も製作工房と共同で営業し、外に技術を出していない)。ヴェルの発案で遮光効果を持つ「サングラス」を売り出す。

シンディ
12歳。花屋の娘。黒髪をボブカットにして幼い印象だが、ルイーゼより背は高い。実家は大店で商売っ気も高いほか、探し物を引き当てる幸運に恵まれている。

ベッティ
13歳。実家はレストランで、店は現在兄が引き継いでいる。兄は修行中に父親が倒れ、父親からも「まだ早い」と言われていたのに修行先から戻って来てしまった。腕は悪くないが個性と言える部分に欠け、たちまち客足が落ちてしまったが、ヴェルのテコ入れで「立ち呑みありの一膳飯屋」として再出発した。予備校修了後は、バウマイスター領で冒険者(シンディとベッティは成人まで見習い)をしながらバウマイスター家の仕事も請け負い、貢献著しいとローデリヒにせっつかれたこともあり、158話でヴェルと結婚。領内にはそれぞれの実家から支店が出店している。

ルル
大陸南方海域に存在する小島にある村の村長を務める幼女。5歳(ヴェル19歳時)。魔族=ゾヌターク共和国との接触から大陸四方の海域探索が開始され、バウマイスター家が担当した南方海域に存在した小島にある村で暮らしていた。島の住民は古代魔法文明崩壊時に海に脱出した物の、辿り着いた島は海竜の棲み処や縄張りに囲まれており、上陸後は逆に閉じ込められていた。更に島の土地9割が魔物の領域と化してしまい、開墾出来る土地も限られていた。そんな土地であることから代々の村長職は戦闘力の高い魔力持ちが就き、実務は副村長以下の人間が行っていた。ヴェル率いる探索隊と接触に伴い大陸に近い島への移住が決定。現在より遥かに安全が保障されたことから村長としての任はお役御免となる。両親は既に亡くなっており、現時点で中級レベルの魔力を持つこともあってバウマイスター家で養育される立場となるが、本人は「ヴェルさまのお嫁さん」を目指している。

涼子
リンガイア大陸南方にある「アキツシマ島」の住人で世襲名として「秋津洲高臣」とも名乗る。本来、島を纏めてきた家系だが、現在は没落して島の北部に小領主として存続している。中級クラスの魔法使いだが、治癒魔法に特化している。


涼子らと同じく、リンガイア大陸南方にある「アキツシマ島」の住人で世襲名として「細川藤孝」とも名乗り、秋津洲家の家宰を務める。

藤子
島北部の中では大きな家である伊達家の次期当主で世襲名として「伊達政宗」を名乗り、その実態は弱冠5歳ながら「中二病」を患った幼女である。父親の病気が王国で作られている薬とエリーゼの治癒魔法で回復可能であることが判明し、回復後には新しい弟ができるだろうということで次期当主の件は棚上げとなり、本人はヴェルの嫁になるつもりでいる。


アキツシマ島中央にある水源・琵琶湖を抑える領主・三好家の家臣「松永久秀」の娘。アキツシマ島出身のメンバー内では雪と並んで事務・政務能力が高い。

バウマイスター家
ヨハンナ
アルトゥルの正妻。ヴェンデリンの母。44歳。夫同様に凡庸なタイプだが、外から嫁いできたため、読み書き・計算はできる。それゆえに才能のある子は余計な揉め事の種にならない様に「あえて放置して」外に出る事を願っていた。夫・アルトゥルの隠居後はパウルの仕事を手伝いながら、夫や孫たちに漢字や計算を教えているが、夫ともども今更ながらに外部の貴族と付き合いが発生して苦労しいる。

マルレーネ
ヘルマンの妻。従士長を務める分家の長女で続柄としては又従姉妹。クルトについては本人にも「ケツの穴が小さい男」と貶すほど嫌っている。早くに父や祖父を始めとした男手を失ったためか分家の女性陣は非常に逞しく、ヘルマン含めて亭主たちを尻に敷いているが、ヘルマンたち旦那衆によると2人きりの時には甘えてくるなど可愛いところもあるとのこと。

レイラ
アルトゥルの妾。31歳。クラウスの娘。アルトゥルに囲われたのは後継ぎだった兄と婚約者を亡くし、村落内で起こりうる名主の跡目争いを防ぐ意味もあったが、鄙には稀な美人でもある。

アグネス、コローナ
長女と次女。レイラの娘。ヴェルの開発によって開かれた商店の運営を任される予定だったが、騎士爵領を出ることになった兄たちに代わって予定されていた名主の職を彼女らの亭主(ノルベルト、ライナー)と共に引き継ぐ形となる。

バウマイスター伯爵(辺境伯)家の家臣・領民
ヴェルの伯爵位(さらに辺境伯)への陞爵によって急遽編成された家臣と、開発の好景気に引かれて移住してきた住民たち。家臣団の多くは元々貴族の三男以下や庶子、浪人だった者が多く、結婚などしたくても出来なかったため独身比率が高い。バウマイスター家主催の「大お見合い会」などで嫁をゲットした(ヴェル本人は当然として、エルやローデリヒにも見合い話が押し寄せ、「他の若い者でもいいですか?」と問い合わせたところ開催が決定した。女性側も20歳前から20代と、この世界では嫁き遅れ一歩手前の人が多く、出席した時点で嫁入りの準備完了済みという背水の陣だった)。

ドミニク
バウマイスター伯爵家のメイド。エリーゼの実家時代からのお付きのメイド兼・幼馴染で、エリーゼの嫁入りに際して付いてきた。ホーエンハイム家のメイド長の娘。バウマイスター家に移る際に以前から交際していた青年・カスパル(庭師の次男)と結婚している。

ハルカ・フジバヤ
シエルの正妻。ミズホ公国の陪臣・フジバヤシ家の娘。小身ながら精鋭部隊「抜刀隊」に所属する魔刀使い。帝国の内乱中に知り合ったエルと恋仲となり婚約。王国への帰還に同行し、のちに結婚した。エリーゼ同様に普段は控えめに行動している反動からか、12巻では魔導四輪を運転した際にスピード狂の気が出ていた。

アンナ
エルの実家時代の幼馴染。アルニム騎士爵領唯一の商店経営者の三女。故郷で名主の次男と結婚する予定だったが、後継ぎである長男が流行り病で急死。次男が跡を継ぐことになったら格が釣り合わないと姉が嫁ぐことになった。それだけならまだ良かったが、同じ病で妻を亡くした名主(還暦間近の爺。エルの父親の異母兄で庶子)の後添いにと言われ、エルを頼ってバウルブルクまで訪ねてきた。エルが珍しく頭を使い「主家に迷惑をかける訳にはいかない」と帰ることを勧めるが、女性陣からは大ブーイングを喰らい、エルの実家とバウマイスター家では実力が違いすぎて文句も来ない(+平民のアンナをわざわざ連れ戻しに来る余裕もない)との意見もあって同時期に縁組が決まっていたレーアと共にエルの側室となる。

レーア
ドミニクの従姉妹。ドミニクの推薦でメイドとして伯爵家に就職した。仕事の手際は悪くないのだが、一言多くてドミニクからは度々鉄拳制裁を受けている。カルラに失恋したばかりだったエルと縁付けられて時折デートしていたが、周囲の女性陣によってエルからも言質をとり側室となる。

魔族/ゾヌターク共和国
エリー
かつて魔族を支配した「魔王」の血を引く少女(魔族基準で小学生)。魔王と言っても現在は完全な名誉職で実権は無い。のちにヴェンデリンと「器合わせ」をした影響で魔族には珍しい「瞬間移動魔法」を使えるようになる。ヴェンデリンとの男女の関係については直接的な描写は無かったが、Web版本編最終話で語られる遥か未来の世界には「(バウマイスター辺境伯家の)初代様は、何と魔族の王も妻にしたそうだ」という逸話が残されている。

ライラ
先祖代々「魔王」の宰相を務める家系の女性。魔王の養育費を捻出すべく複数のバイトを掛け持ちしていたが、魔王様発案の過疎地を再開発する事業が軌道に乗り、そこを管理する社長に納まった。更に、ヘルムート王国政府やバウマイスター伯爵家に「型落ちの魔道具及び中型・小型の魔導飛行船」を密貿易で売却、莫大な収入となり、これが再開発事業の元手となっている。魔族からすれば廃棄処分予定の産物であり、元手がかかっておらず、十分に旨味のある事業だった。

用語

リンガイア
大陸作中の舞台となる大陸。中央部にある大峡谷「ギガントの断裂」で南北に分断されており、南側が「ヘルムート王国」。北側が「アーカート神聖帝国」と呼ばれる国家の支配地域となっている。地名・人名はドイツ風だが、使用されている文字は日本語とローマ字。ただし識字率は低く、読書や書類仕事をしない者は貴族でも「ひらがな」や「カタカナ」しか書けないし、読めない。結婚については、それなりの資産や身分のある男性は2人以上は妻を娶ったり愛人を囲うのも不文律となっていたりする。女性の嫁入りに関しては、平民ならともかく貴族の場合「家格が釣り合うかどうか」が重要視され、下から上に嫁ぐ場合は正妻となる可能性はなく、上からだと精々「二つ下の家まで」が条件となる。そのため、王族や大貴族になるとタイミングが悪くて嫁ぎそびれた娘が結構いる。成人と認められる年齢が「15歳」であるためか、女性は20歳を過ぎて未婚だとすでに崖っぷちである。1万年ほど前に存在した「古代魔法文明」で行われた魔法実験の失敗で大規模な崩壊を経験しており二つの国家による支配体制が成立した現在でも再開発・復興の最中である。農業・漁業などはともかく、畜産は小規模かつ未発達で逆に高価になっている。食肉に関しては人里以外の森や山、平原にも獲物となる動物がいるほか、魔物の領域などで魔物を狩って来た方が育てるより手っ取り早いという理由もある。古代魔法文明時代には現代日本と大差ないレベルの社会だったためか、君主・貴族制度が布かれていながら意外と細かい法律が整備されている面がある。

ギガントの断裂
リンガイア大陸中央部にある大峡谷で、大陸を南北に分断している。大規模な橋は掛けられておらず、かつて王国と帝国が戦争をしていた頃は峡谷の対岸を占領しても橋を落とされることで奪い返されるの繰り返しだった。ほぼ物理的に隔てられているため、大陸を統一するより分割して統治していた方が効率が良いという一面がある(落とされるリスクを考えれば「頑丈で大きな橋を架ける」のは予算の無駄。魔導飛行船は数が限られており、飛翔の魔法や瞬間移動を使える魔法使いはさらに少ない上に運べる人数も多寡が知れている)。

ヘルムート王国
ヴェルの住む国。リンガイア大陸の南側を支配する大国。首都は『スタットブルク』。王政国家と言っても王族が国の資産を好きに使えるわけではなく、職務上の予算以外は毎年支払われる年金でやりくりしている。大臣級の閣僚はそれぞれの門閥貴族の当主が5年の任期ごとに持ち回りで就いている。貴族は「剣を以て王家に仕える」という建前上、貴族家の当主及びその跡取りは王都で主宰される武芸大会の(例え、他にもっと得意な武器があっても)「剣の部」に最低一回は出場することが不文律とされている。

バウマイスター騎士爵領→伯爵領→辺境伯領
およそ100年ほど前に王都バウマイスター騎士爵家の次男が大陸南部の未開地を開拓して成立した領地。リンガイア大陸の最南端に位置し、広さだけなら伯爵‐辺境伯領クラスだが、無計画かつ非効率的な開発で物語開幕時点で未だに村が三つ、人口も800人程度の僻地。また、初代当主は実家からかなりの援助を受けていたが自活可能になった時点で連絡を絶っており、援助金(厳密には借金ではないが、出してもらった分は返済するのが礼儀)の返済を踏み倒していた。北は飛竜や危険な野生動物などが棲む「リーグ大山脈」がそびえており一番近いブライヒレーダー辺境伯領との行き来も月単位で日数がかかる状態だった。海側も東西の海岸は断崖絶壁や大渦に隔てられているため、水上船では大陸南端まで回りこまねばならかった。未開拓の地域がバウマイスター“伯爵領”となった事で、大々的な開発事業が始まり、領都となった『バウルブルク』とは魔導飛行船による定期便も行き来するようになり、大山脈を貫く古代文明遺跡トンネルも開通した。未開地が広すぎることもあって元からあったバウマイスター騎士爵領(ヘルマン)のほかにもバウマイスター準男爵領(パウル)・ヴァイゲル領・マインバッハ領・オイレンベルク領など、複数の分家貴族領が作られている。当主であるヴェンデリンを始めとして優秀な魔法使いが揃っているため、初期開発に関する費用は非常に安く上がっている。古代魔法文明時代には「アキツシマ共和国」と言う高い魔導技術を誇る民主国家だった。

魔の森
バウマイスター領にある魔物の領域。大陸中にある魔物の領域だが、ここは発生以来、1万年に渡って手付かずの状態だったためか、かなり異質な進化を遂げている。未確認の魔物やバナナ・コーヒー・カカオなどの植物が巨大化して繁茂している。開発が始まって以降はこの森から採れる素材や採集物がバウマイスター伯爵家の大きな資金源ともなっている。

大リーグ山脈縦貫トンネル
古代魔法文明時代に建設されたトンネル。極限鋼の鉄筋を仕込んだ特殊コンクリートと「状態保存」の効果で1万年経過しても使用には問題はない。片側5車線の広さを持ち、緊急避難スペースや魔導装置による照明、換気装置も設置されている。運用コストがバカにならない魔導飛行船ではフォローしきれない流通の要衝となる。パウルの領地に隣接しているが、トンネルそのものはヴェルの伯爵家と王国から派遣された警備隊で管理している。通行量は銀貨1枚(100セント/1万円)。開通当初は馬車をそのまま通行させていたが、荷を積んだ馬車の速度では軽く数日かかる距離とトンネル内に馬糞の悪臭が篭り気味になることから、馬車は1車線に限定し荷物の運搬はトラック型の魔導四輪(運送業務は伯爵家が経営)による輸送に切り替える。

アキツシマ島
リンガイア大陸南方海域に存在する島嶼地域。ミズホ家と同じくアキツシマ共和国から脱出した一族の末裔が暮らしていた。元々は「秋津洲家」が統治していたが、現在は島内最大の水源「琵琶湖」を支配する三好家とそれに従う領主を中心にして東西南北に50家ほどのその時々の情勢で離合集散する小領主が散在している。火山島というより、海から突きだした火口の内側に住んでいる様な状況。島の面積と人口数に比較して水資源が貧弱。井戸を掘れば水は出るのだが、一定の深さに「黒硬石」という固い岩盤層があって上級クラスの魔法でも簡単には砕けず、1人だと数日かかる(導師、ルイーゼ、ヴェルの3人が全力で一撃ずつ入れて何とかなった)。「人工魔法使い」の実験による影響か、島の中の50ほどある領主家の家系は魔法使いが生まれやすい。しかし、1万年の間に血は薄れているのか、家の当主でも初級〜中級クラス。女性でも当主になれるが、当主は女性でも代々の世襲名を名乗る風習がある。長い間魔法使いが統治してきたことからか「強い魔法使い=偉い」という図式が出来上がっている。

アーカート神聖帝国
リンガイア大陸の北側を支配する国。首都は『バルデッシュ』。世襲ではなく、皇族と選帝侯から立候補した候補者を貴族議会の投票によって選出される皇帝が統治している。多くの民族が暮らす多民族国家で、地域差も大きく、地元民の血を引く者でなければ領主になれない土地も多い。かつての戦争が停戦し200年経過した現在でも仮想敵国なのは変わらないが、10年に一度の割合(時期は5年ずれている)で互いに親善訪問は行っており、王や皇帝が代替わりすると挨拶の外交団が派遣されている。

ミズホ伯国→ミズホ公爵領
帝国内で自治が認められているミズホ上級伯爵家によって支配されている地域。帝国の内乱を経て公爵家となり分国扱いら帝国領に組み込まれたが、それでも帝国政府との一定距離は保っており、皇帝選挙には出馬しないことを宣言している。なぜか日本的な文化・風習が根付いており、ヴェルにとっては非常に懐かしい土地柄である。ほぼ日本刀の「ミズホ刀」に、魔法効果を持つ「魔刀」。魔法版ライフルの「魔銃」など、独特の武器とそれを使いこなすサムライによる抜刀隊を組織している。ミズホ刀はともかく、魔刀や魔銃は専門の職人による定期的なメンテナンスが必須でミズホ伯国の独占技術となっている。自国の独立を守るためにも「不当な侵略には正当な報復を」がモットーで、過去ちょっかいを掛けた帝国軍や帝国貴族は散々な目に遭っている内陸部に住みながら海産物が好きなため、沿岸部に漁師として出稼ぎしたり領外へ商売に出ることも多い。そのためサムライではない商人でも自衛程度の武芸の心得がある者が多い。アーネストの言によると、現バウマイスター領である「アキツシマ共和国」の流れをくんでいる。

セント
リンガイア大陸で使用されている通貨。200年前の停戦時に商取引の円滑化も含めて規格が統一されており、王国・帝国ともに名称が違うだけで同じ形式の通貨を使用している。銅貨一枚で1セント(約100円)から、銅板一枚で10セント(約1000円)、銀貨一枚で100セント(約1万円)、銀板一枚で1000セント(約10万円)、金貨一枚で1万セント(約100万円)、金板一枚で10万セント(約1000万円)、白金貨一枚で100万セント(約1億円)となっている。ミズホ伯(公)国では領民向けとはいえ独自通貨を制定しており、1モン(1セント)、1シュ(100セント)、1リョウ(1万セント)となっている。10万セント以上の通貨(金板、白金貨)は貴族・王族やごく一部の商人・冒険者の取引しかないため、規定されていない。収入の一例:法衣準男爵の年金が「金貨30枚(30万セント=約3000万円)」だが、王都の警備隊に務める隊員(パウルやヘルムート)は年収が「金貨3〜4枚」と約1/10。

魔法使い
この世界の人間は誰しも多少の魔力を持っているが、大半はちょっとした火種をだしたり、コップ一杯程度の水をなんとかひねり出せる程度で、正しく“魔法”と言えるレベルの力を持つ者は少ない。魔力量は身体と共に成長するか上位者との「器合わせ」という行為で増大するが、身体的に成熟するに連れて成長は止まる。魔力量によって「初級・中級・上級」とクラス分けされ、火・水・風・土の四系統や「聖」「闇」の属性があるがそれぞれに適性があり、魔力量の多寡に関わらず、使える魔法、使えない魔法が存在する。イメージを魔力によって具現化する物なので、呪文や決まった使い方というものは存在しない。軍や政府機関では戦闘に役立つ魔法よりも「瞬間移動」や「遠距離通話」といった兵站や距離の概念を覆す魔法を使う人間を優先して押さえている(戦闘特化の魔法使いは戦時には自然と集まってくるからという部分もある)。「瞬間移動」持ちの魔法使いは移動可能な場所を増やすために国内を一通り巡回させられる。その素質はほぼ遺伝せず、地位や家系に関係なく現れる一種の「先祖返り」で、貴族を除いても実家は種々雑多な生業をもつため、魔法使いとして独り立ちするまでに副業としてやっていけるだけの技能・知識を身につけている者も多い。古代魔法文明時代に意図的に魔法の素養を持たせた人間(人工魔法使い)を生み出す計画も行われている。

器合わせ
自分より大きな魔力を持つ者と接触した状態で身体に魔力を通し合うことで起きる「魔力の小さい者が大きい方に引きずられる現象」を利用した魔力量増大法。行えば最低でも成長限界までは魔力量を上げることができる。魔力量の差が極端に違う者同士だと、低い方が「魔力酔い」を起こすが、その時点でまだ成長限界を迎えていない場合は魔力酔いを起こさない。互いの魔力を交感させる関係上、師弟や親子・兄弟姉妹ならともかく、通常の場合男女間では行われない。もっとも、基本的に兄弟姉妹どころか実の親子でも魔法使いになるのは珍しいので、この決まりごとに意味があるのかは不明。等級は大雑把な区分けに過ぎず、同じ級でも下と上ではかなりの差がある。その上、得意な系統に特化したタイプであったり、魔力の制御技術や実戦での戦い方も加味すれば、魔力が多ければ強いという訳ではない。

魔道具
文字通りの「魔法の道具」。大別して初級以上の魔力の持ち主だけが使える「専用具」と、それ以下の一般人でも使える「汎用具」がある。製作するには専用・汎用問わず魔晶石と呼ばれる魔力を蓄積する物質が触媒として必要となる。汎用具は機能を安定させるために専用具よりも大型の魔晶石が必要で製作工程も複雑化するため、非常に高額。ヴェルが師匠の遺産の中から見つけた汎用の袋は「家一軒分の収納量」だが、ローデリヒによると約300万セントの価値がある(ライター程度の火種の魔道具でも汎用だと1000セント)。「魔道具ギルド」という研究・開発と生産を行う組織も存在しているが、技術開発の進捗は芳しくない。古代魔法文明時代には、武器を除けば家電製品や自動車同様の扱いで、大規模な量販店もあった。

魔晶石
魔物の体内から得られる素材「魔石」を加工したもの。魔力を蓄積する性質があり、魔道具を作る際の重要な材料。魔法使いは予備の魔力媒体として所持しているが、通常は自分の魔力を込めたものしか使用できない。魔力質の共通化はかなり高度な魔法で使える者も少なく、同様の処理を施した魔晶石は宝飾品(指輪)として作られていたとはいえ500万セントの値が付いていた(利用可能な貴族が滅多にいないため、300万に値下げしていた)。

魔法の袋(マジックバッグorマジックポーチ)
上述の通り、見た目を上回る収納力を持ち、収納した物品は時間が停止した状態となるため、生鮮食料品でも傷んだりしない効果を持つ。倉庫に時間停止の術式のみを付加した「魔蔵庫」も存在する。

魔導飛行船
大型の魔晶石を動力とすることで飛行を可能とする乗り物。ヘルムート王国では王国直轄の大型旅客船や軍用船、商用に使われる小型船もある。作中の時代では大型の魔晶石はドラゴン等の大型魔物から手に入る「魔石」を加工するしかないため、大変貴重な乗り物。乗り物としては自動車にあたる「魔導四輪」や、水上船としての魔導動力船も存在する。

魔導通信機長
距離通信魔法を道具化した物。据え付け式の大型から携帯式の小型まであり、リンガイア大陸内なら問題なく使用できる。古代魔法文明では一流メーカー製の高級品から類似名メーカー製の安物まであった。またアーカート神聖帝国内の遺跡から通信や、飛翔・瞬間移動など長距離移動魔法を封じる魔法装置も発見されている(この遺跡からは、自爆機能をもつ戦闘用ゴーレムなども発見されており、古代文明時代の「軍事施設」だった可能性が高い)。

極限鋼
古代文明時代に開発された合金素材。大規模建造物や相当な負荷がかかる魔導兵器に使用されていたが詳しい配合レシピが失われており、ヴェンデリンが大まかな材料から配合率を突き止めた。作中ではヴェンデリンしか精製できない希少品となっている。

魔闘流
ルイーゼの実家が属する流派。作中世界では魔物の存在もあり、素手の格闘技術は然して重視されていない。「魔法を使えるほどではないが、普通人よりも魔力は多い」といった人材が身体強化を絡めて戦うために編み出した武術で、初級魔法使いより少ない魔力を効率的に運用する技術に優れる。例外的に魔法使い並みに魔力量の多い者向けの奥義も伝えられているが、それほどの魔力量の持ち主は普通は魔法使いになってしまう為、要訣の口伝と型が伝承されている。

魔物の領域
大陸中に点在する場所。山や森、平原・河川・湖沼など様々なパターンがある。内部は食物連鎖が完結しているのか、ごくわずかな例外を除き、魔物は領域の外には出てこない。領域内部に古代文明の遺跡があることも多く、魔物を始め、各種素材や発掘品を求めて冒険者が挑む場所である。古代魔法文明で行われた大規模な実験の失敗(「大崩壊」と呼ばれる)の際に、飛び散った魔力が浸み込んだ土地に発生した。領域には「主(ぬし)」と呼ばれる魔物が存在しており、それを倒すことで領域を解放することも可能だが、主を倒すと他の魔物が四方八方に散ってしまい十分な準備なしに倒すと洒落にならない被害が出ることも多い。そのため、解放する際には多数の冒険者や、場合によっては軍隊も動員しての大規模作戦となる。よほど立地に問題がある訳でもなければ安定した狩場として維持されることが多い。

古代骨竜(アンデット・ボーン・ドラゴン)
ヴェンデリンたちが魔導飛行船で王都に向かう途中で遭遇した古代竜がアンデッド化した魔物。ヴェル渾身の「聖」魔法で倒され、回収された魔石や骨は王国に15億セント(約1500億円)で買い取られた。ブランタークもまともに戦って勝てる相手ではないと言った通り、Web版で書かれたIFストーリー(未来の宇宙貨物輸送会社の家族が戦国時代の日本に宇宙船ごとタイムスリップしたという作者の別作品のキャラクターが異世界転移でアキツシマ島に漂着。宇宙船を始めとした科学力で島を統一し、そこからリンガイア大陸南端に侵攻してきたというもの。ヴェンデリン含めた南部バウマイスター家(クルトを除く)が降伏したことで、ヴェンデリンはブライヒブルクには行かなかった)では大陸全土に壊滅的な被害をもたらした。

グレードグランド
王都近郊の領域・パルケニア草原の主である老地竜。以前から解放して新たな開発地とするべくアームストロング導師による調査・偵察が繰り返されていたが、ブランタークそしてヴェンデリンという強力な魔法使いが揃ったことで発動した解放作戦で退治された。売却益は3人の頭割りで1人4億5050万セント(450億5000万円)だった。

桃色カバさん
魔物ではあるが、魔物の領域以外の場所に棲み、人に危害を加えることもない。雌しか存在せず、単体で卵を産んで繁殖するが、寿命が長いため、滅多に卵を産まない希少性から王国では保護動物に指定されている。実際には保護されている理由は卵の殻が極めて希少な薬(不能治療薬)の素材となるためである。前述の通り、おとなしい習性だが、産卵直後は警戒心が強く近づく相手に色欲を喚起する精神攻撃を行う。

髪神(カミカミ)
リンガイア大陸に時折あらわれる謎の生物。あまりに素早い動きからその姿を捉えた者はいないが、あらわれた際に撒き散らしていく体液らしき液体が強力な「発毛/育毛剤」としての効果を発揮するために噂が立つだけでも一攫千金を夢みる冒険者から「長き友の復活」を求める者たちまで、多くの人々が集まってくる伝説の存在。探索中に体液を浴びた導師は金髪ロン毛の仙人ヒゲになってしまい、10日ほどの間伸び続けた。一週間の張り込み探索の末、ヴェルが手に入れた壺一杯(約20リットル)の体液は1人“頭”100万セント(約1億円)で販売された。

魔族/ゾヌターク共和国
リンガイア大陸の西にある異大陸に住む種族とその国家。通貨単位は「エーン」。人間と違って魔法使いの才能が優性遺伝で受け継がれる種族であり、少なくとも中級以上の魔力と平均して250-300年という長い寿命を持つ。成長速度は人族とそう変わらないが、成人に近づくに連れて人族の基準ではほとんど変化しなくなる。人族との混血も可能だが、一代限りでハーフ同士では子供が出来ず、ハーフと人間や魔族との場合は片方の種族しか産まれない。魔法使いとしては精神操作系の「闇」魔法を得意とするが、魔力量の割りに使える魔法は多くは無く、特に「通信」や「瞬間移動」「移築」など、希少ながらも人族には持つ者が存在する魔法を使える者がいない。前述の通り最低でも中級クラスの魔力をもつ以外に、時折魔族の中でもケタ違いの魔力をもつ者が生まれることもあり、そういった者は支配者となり「魔王」と呼ばれた時代もあったが、現在は魔道具が発展しすぎて魔力はあっても魔法を使える者が少ない。最近では種族のほとんどが趣味に埋没していて出生率も低下、少子化に悩まされている。国の体制も硬直・停滞気味の民主制となっている。よく知らない君主制を漠然と「良くないこと」と考えていたり、経済も大企業の独占市場で、小売り業者・小規模生産業者はよほど優秀な産品か、固定客を確保していないと成り立たず、若者もその多くが就職難となっているなど、ミズホ公国や故アキツシマ共和国とは違う意味でもヴェルにとっては馴染み深い存在となっている。かつて「魔王」と呼ばれた存在の血筋は存続しているが、現魔王は共和国の人口減少と共に放棄された土地に失業した若者を集めて再開発し、いずれ「新ゾヌターク王国」として独立しようとしている。体裁は単なる農村復興運動のため(しかも失業していた者たちは些少ながら現金収入を得て税金も納めているので)、共和国側は何もできない。

雑記



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