楽しい家族

初出スレ:3代目600〜

属性:父親×娘






傍にいて、日々を一緒にすごし、微笑を交わす。
穏やかな時間を共有し、手を繋いで歩き、楽しさを共有する。

それは簡単なこと。そして、とても素敵なこと。
たとえば、親子水入らずの花見での穏やかな会話とか。

「ぱぱ」
しをりが喋りかけた。

「ん?どうした?寒くないか?」
「へいき?」
桜が綺麗だったので、親子で花見。
しをりと俺は少し訳ありで今は離れて暮らしている。

「あのね、ぱぱ。しをりこの前たんじょーびだったの」
「うん、そうだな」
そんなのしをりが生まれた時から知ってる。
自信を持ってそう答えれば、しをりは我が意を得たりとばかりに目を輝かせた。
「だからね…あのね…しを、けっこんできる?!」


……多分お隣のしんくんとの事を言ってるんだろうな。

「もう少し大人にならないと無理だなー」
「えぇー!?もう大人なのに」

憤慨するしをりを見てやっぱり家の子は一番可愛いな、と思いながら、しをりをだっこしてやった。
「おっ、少し重くなったなしをり?」
「きゃー、高い?わーいもっとたかいたかいしてー!!!」
滅多に出来ない家族サービスだ。明日の筋肉痛も考えず、俺は娘の要望に答えてやった。



12年後
「しをり、俺たち結婚しないか?」
「男は身長180あって私に優しくしてくれないとだめ。というか、そもそも付き合ってないよね」

そもそもパパ以外なんて眼中にない。


桜の花が舞う中、しをりは新を冷たくあしらった。












「パパー」
「なんだ〜しをり?」

パパに抱きつくと、パパの腕はしをりを抱きしめたり。頭を撫でてくれたり、忙しく働いてくれる。

「あのね、服が欲しいから、つきあってほしいの」
「勿論いいよ」
「本当?!やったぁ」

パパが笑顔でそう言ってくれたから、しをりは緊張をほぐせた。

「パパのファッションセンス、ママよりしをりよりいいもんね!」

一応自分でも頑張って雑誌を見たり、服屋に入ったりするけど、どうも服を選ぶときに意識してしまう。
「この服、パパは好きかな」とか。
「これ、確かパパはナシって言っていたのに似てるかも」とか。
パパの好みの格好をしてみたいと思う気持ちを、気付かれないように上手にお願いする。

「いつにする?」
「今日!今から行くの!!」

予定を立てていきながら、こっそりママを見ると、複雑そうな顔をしていた。
そうだ、パパは忙しくて、パパとママはなかなか一緒にいられないのに、しをりは邪魔してるんじゃ!?
・・・・・・そういうときは、3人でお出かけしよう!

「ママ、お洋服着替えて。3人で行こうよ」
「えぇ?ママはいいよ、しをちゃん。パパと2人で行ってきて」

ママは3人でお出かけ、というかパパと外に出るのを嫌がってる。ママの方が「年上」で「オバさん」に見えるからパパと歩くのが嫌みたい。

「嫌!だめ!!今日はママも行くの〜絶対行くの〜〜!!」
「しをりが言ってるんだから」
「・・・うん。着替えてくるから、ちょっと待っててね」

ママが着替えている間にまだ10時を過ぎたところだからどこを回ろうかとか、お昼は何を食べようかとか、
そういえばママの誕生日はもうすぐだから何をあげようかな、とか今日の行動をシミュレートしてるとママが着替えてきた。

「・・・・・蛍光ピンクのスプリングコートに、目が覚めるような赤い豹柄スカーフ、おまけに黒レースが付いてるジーンズって
どんな組み合わせですか?!はい、やり直し」
「あの・・・コーディネートしてくれないかな?」
「俺が選んだワンピース着ればいいじゃないですか。あれ似合いますよ」
「あのワンピースは何か物足りなくて・・・」
「本当にオシャレ通り越してオサレだなあんた!」

パパのナシだっていうママの服装を見ても何の違和感もないから、しをりのセンスもやっぱり変なのかな、と思いながら、
時間はゆっくりと過ぎていった。



















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2009年04月29日(水) 07:56:17 Modified by ID:FwU9VR1qOQ




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