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【定義】

鈴木正三が記した、出家の心得に関する解説書で全十七箇条。万安英種の求めによって書かれたとされ、古い版本は上下2巻本、後に1巻になったともされる。

【内容】

剃髪したての出家者から、一寺の住持に到るまでの出家者の心得を、十七箇条の教訓として示されており、簡潔な内容で分かりやすい。題名の『麓草分(ふもとのくさわけ)』については、同著の冒頭に、「仏道修行に趨く人は、浅きより深きに入る。麓の草を分けて、頂上に登る可し」とあることからも段階をおって修行する仏門を登山に準え、まず山に入るにはその麓の草を分けるところから始まるものだという意味があると理解出来る。十七箇条の項目は以下の通り。原漢文だが、訓読して示す。

一、剃髪受戒の時心著く可き事
一、三宝を敬礼す可き事
一、義を守って修行す可き事
一、行脚功徳有る事
一、一言一句を守る可き事
一、乞食得失有る事
一、学文得失有る事
一、無常を観ず可き事
一、願力を以て修行す可き事
一、捨身を守る可き事
一、自己を忘る可から不る事
一、修行に多途有り邪正を知る可き事
一、実有の見を離る可き事
一、亡者を吊うに得失有る事
一、非人物を施す事
一、一寺の主欲心を離る可き事
一、檀那対談の事

本書の執筆経緯について、正三自身が以下のように述べている。
師、一日衆に謂て曰く、草分は、万安和尚の所望に仍て書く也。 『驢鞍橋』巻中86則

また、『石平道人行業記弁疑』という正三の伝記でも本書が書かれた経緯を、以下のような問答体にて述べる。

問、当時、万安禅師、広学博知を以て天下に鳴る。何が故にか、師に草分を述せん事を請ふや。
答、惟るに、安、博綜に栄しと雖も、行徳に乏し。師や、学知なしと雖も、行証の薫煉丕いに足れり。所以に安、その行徳秀逸なるを重んじて、以て著述を請ふなり。

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