考える社会学

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目次

まえがき

イントロダクション：社会学のねらいと方法
1 社会学のイメージ
2 社会学のめざすもの
3 モデル・スペキュレーションの考え方
4 本書の構成について

第Ⅰ部　意図せざる結果

1章　予言の自己成就
1 2種類の予言
2 マートンの研究
3 予言の自己成就のメカニズム
4 予言の自己成就と意図せざる結果

2章　社会的ジレンマ
1 意図せざる結果としての「共有地の悲劇」
2 社会的ジレンマの基本的構造
3 社会的トラップと社会的フェンス
4 社会的ジレンマを解決する
5 社会的ジレンマ解決の原則

3章　プロテスタンティズムは何をもたらしたか
1 問題の所在
2 使命としての職業（＝天職）
3 予定説の意図せざる結果

4章　官僚制の逆機能
1 近代官僚制の特徴
2 官僚制の逆機能
3 官僚制の逆機能に関する実証的研究
4 悪循環を通しての官僚制化の進行

第Ⅱ部　相互作用

5章　社会的意思決定
1 社会的意思決定の基盤
2 投票のパラドックス
3 社会的選好と個人の自由
4 選好順序の変更とその帰結

6章　共通利益の実現：公共財の供給
1 集団と公共財の供給
2 オルソンによる2通りの説明
3 集団規模が大きくなるほど公共財の供給は困難になるのか
4 大規模集団で公共財が供給されるための条件
5 公共財供給と資源動員

7章　弱い紐帯の強さ：社会関係ネットワーク
1 ”弱い紐帯”は”強い”？
2 紐帯・推移性・ブリッジ
3 弱い紐帯の機能
4 疑問と検討課題

8章　逸脱とラベリング
1 人はなぜ逸脱行動をするのか
2 ラベリング理論の基本的発想
3 選別的ラベリング
4 ラベリングにもとづくアイデンティティ形成
5 ラベリング理論の「実証」をめぐる問題
6 逸脱行動研究の展開

9章　相対的剥奪の考え方
1 剥奪と不満
2 集団内のばらつき, 集団間のばらつき
3 不満を持つ兵士の割合
4 所属と準拠

第Ⅲ部　集団・組織

10章　第1次集団の仕組み
1 第1次集団における人間行動
2 第1次集団の対外システム
3 第1次集団の対内システム

11章　権力現象としての組織
1 寡頭制
2 寡頭制のパラドックス
3 拒否権と投票力

12章　組織と人間：全面的収容施設における2次的適応
1 精神病院の「裏舞台」
2 全面的収容施設
3 全面的収容施設における2次的適応

13章　組織と環境
1 組織と環境
2 不安定な環境と組織との適合関係
3 社会学的展開

第Ⅳ部　社会秩序

14章　選択的交際と社会統合
1 社会の分化と統合
2 選択的交際のパラドックス
3 多次元的な社会分化

15章　豊かさの中の自殺
1 経済的境遇と自殺
2 アノミー的自殺論とその検証
3 アノミー仮説と一般化
4 アノミー論の位置づけと展開

16章　産業化と社会移動
1 産業化と平等化
2 産業化命題
3 操作定義および測定
4 検証

17章　教育と社会的不平等
1 社会階層と教育の不平等
2 教育の拡大と個人的選好の変化
3 教育の拡大とそのマクロ的効果

18章　付き合い方の戦略と秩序形成
1 反復「囚人のジレンマ」ゲーム
2 反復「囚人のジレンマ」ゲームにおける戦略とその優劣
3 「しっぺ返し」戦略の強さの秘密
4 「しっぺ返し」戦略の問題点
5 世界の秩序形成：世界平和のためにはどうするべきか

参考文献（抜粋）
・チャールズ A.レイブ, ジェームズ G.マーチ『社会科学のためのモデル入門』, ハーベスト社
・ロバート・K. マートン『社会理論と社会構造』, みすず書房
・R. アクセルロッド『つきあい方の科学:バクテリアから国際関係まで』, ミネルヴァ書房
・海野道郎『社会的ジレンマ:合理的選択理論による問題解決の試み』, ミネルヴァ書房

人名索引
事項索引

社会のなかの数理─行列とベクトル入門─

目次

序

1 行列の扱い方
1. 行列とは何か
　いろいろな行列
2. 社会科学における行列
　投入産出分析
　ゲーム理論
　いくつかの社会学的話題
3. 行列の操作
　行列の足し算
　行列の掛け算
　掛け算のまとめ
　掛け算が可能な場合
　掛ける順番
4. 割り算について
　単位行列
　逆行列
練習問題

2 逆行列の求め方
1. 逆行列の基礎
　前章の復習
　計算手順
　逆行列は必ず存在するか
2. 2×2の一般的なケース
　より一般的な考え方
　共通の分母を外に出す
　簡便な公式
　逆行列が存在しない場合
3. 基本的行変形
　単位行列をつくるための変形
　逆行列を計算するための行変形
4. もっと大きな行列の逆行列
　大きな行列の場合
　列変形
練習問題

3 簡単な投入―産出分析
1. 産業連関
　投入－産出関連
　計画当局の問題
　生産技術
　生産技術
　経済の全体図
　行列による表現
　逆行列を掛ける
　方程式の解
2. 投入係数
　基本的仮定
　行列Aの意味
　問題の再定式化
3. 1つの具体的な例
　4つの産業の例
　計算のステップ
　計算結果の解釈
4. 無限の連鎖
　無限級数
　数式の解釈
　経済学的な意味付け
5. 最後の問題
　計画の実行可能性
　具体例
　貨幣価値による財の計測
　アドバイス
練習問題

4 部族社会の親族構造
1. 親族システム
　生物学的関係と社会学的関係
　婚姻関係と出自規則
　モデル構築の実際
　行列Wについて
　行列Cについて
　行y列WとCに対する制約
2. 順列行列について
3. 再び親族システムについて
　第1ステップ
　第2ステップ
　第3ステップ
練習問題
4. いとこ婚
　4つの型のいとこ関係
　型Ⅰの社会
　他の型の社会
　残された問題
練習問題

5 集団内の勢力関係をさぐる―優越行列とその応用
1. めんどりのつつき順位
　ダイグラフと優越行列
　優越行列の性質と勢力ベクトル
　間接的な影響力の測定
　望ましい勢力の測度
練習問題
2. 力のある裁判官をみつける
　裁判官集団における優劣関係
　同調関係指数
　優劣行列を求める
　高次の関係を考慮した優劣関係

6 マルコフ連鎖モデル
1. 名物教授の試験問題を予想する
　確率的な予測の問題
　マルコフ連鎖
　樹木図による確率計算
　行列演算を利用する
　Pnから何が分かるか
2. 1つの重要な定理
　確率過程の均衡
　均衡の現実的な含意
3. うわさと真実
　うわさの伝播過程
　均衡確率ベクトルを求める
　いくつかの数値例
練習問題

7 移動のマルコフ連鎖モデル
1. いくつかの簡単な移動過程
　地域移動のマルコフ連鎖
　世代間職業移動のマルコフ連鎖
　分析の目的
2. 産業間移動のマルコフ・モデル
　官庁統計でみる産業間移動
　推移確率の求め方
　モデルの予測
　マルコフ性の現実的妥当性
　より適合的な別のテスト結果
3. 移動者と停留者
　対角線問題の克服
　推移確率の含意と特徴
　対角線に対する改良効果
練習問題

8 吸収マルコフ連鎖の数学
　吸収状態をもつ過程
　推移確率行列の分割
　基本行列の活用
　吸収までの平均時間の一般解
　配達される確率は？
練習問題

9 吸収マルコフ連鎖の応用
1. 刑務所運営と犯罪常習性
　将来の囚人人口を見積もる
　何年自由でいられるか
　刑務所に逆戻りするまでの年数
　理解を深めるために
問題1
2. 集団圧力と同調
　コーエンの実験
　人はいつ同調者になるか
　ひとつの解決法
　理解を深めるために
問題2
3. マルコフ・モデルを応用するときの諸問題
　欠陥対角線の問題
　いくつかの解決法
4. ニュースの伝播過程
　情報はどこまで伝わるか
　1つのデータ
　吸収連鎖によるモデル化
　ニュースの伝播過程を追う
　データによる経験的テスト
練習問題

10 人口動態シミュレーション
1. 生存行列
　人間は誰でも年をとる
　生存行列の行と列
　人口分布を表すベクトル
　将来人口の予測
　生存行列のベキ乗
　(I-S)-1の計算方法
問題1
　平均余命の推定値
2. 中国の人口政策
　中国社会の生存行列
　平均余命の推定値
問題2
3. 出生力とレスリー行列
　中国の定常人口
　定常人口と現実の人口
　レスリー行列
　計算の具体例
　計算の具体例
　中国の出生率
4. 現行の出生率が続く場合
　「一人っ子」政策は成功しているか
　将来人口の推計
5. 「子ども2人」の場合
　人口が減少していくプロセス
6. 「一人っ子」の場合
　「一人っ子」政策とその緩和
　3つのレスリー行列
　「一人っ子」政策の帰結
練習問題

11 簡単なゲームの理論
1. いろいろなゲーム
　社会の中の葛藤
　マッチング・ペニー
　ゼロ和ゲーム
　定数和ゲーム
2. 優越戦略
　利得行列による表現
練習問題
3. 鞍点と純粋戦略
　マキシミンとミニマックス
　マキシミンとミニマックスの一致
練習問題
4. 混合戦略
　ゲームの単純化
　鞍点が存在しないとき
　確率ベクトル
　利得を表す直線
　利得を表す数式
　グラフによる表現
　レイチェルの取るべき混合戦略
　新しいグラフ
　チャールズの利得
　混合戦略による解
　m×nゲームの解
5. 別のゲームによる復習
　もう1つのゲーム
　Rの最適戦略
　Cの最適戦略
練習問題

12 定数和ゲーム理論の応用―部族社会の知恵？
　なぜ定数和ゲームは使いにくいか
1. 呪術慣行
　呪術は合理的か
　狩人とトナカイのゲーム
　呪術と無作為性
2. ジャマイカの漁
　漁師と海のゲーム
　グラフでみる解の領域
　代数的な解放
　モデルの妥当性に対する重大な疑問
3. ガーナにおける農業
　もうひとつの著名な誤用例
　農地の最適利用を考えるためには
　グールド評価をめぐって
練習問題

13. 紛争と協同―非定数和ゲームの理論と現実
1. 密輸のゲーム
　旅行者と税関の利得
　非定数和ゲームの吟味
　無作為な検閲法の合理性
　解についてのいくつかの問題
2. 囚人のジレンマ
　裏切りと協力のジレンマ
　ジレンマの制御法
3. 軍拡競争のゲーム
　軍縮が進まないわけ
　協定と相互監視の問題
4. 各種の公共財問題
　OPECと原油の価格協定
　N人囚人のジレンマ
　労働組合のジレンマ
　公共財問題
5. 汚染のゲーム
　進む五大湖の汚染
　非対称なプレイヤー間のゲーム
　威嚇と相互授受による解
　環境対策の現実の難しさ
6. 合理性再考―実験室から学ぶ
　囚人のジレンマの実験研究
　繰り返しゲームにおける合理性
　いくつかの実験条件の効果

終章　今後の研究のために
参考文献の紹介
1) 一般的テキスト
2) 経済学および経営科学

S.Koshimura, Capital Reproduction and Economic Crisis in Matrix Form, Wako University Press, Tokyo, 1984.

3) 地理学, 人口学, 社会人口統計学
4) 社会学, 社会心理学, 人類学
5) 政治学, 紛争研究

訳者あとがき

社会科学のためのモデル入門
考える社会学

練習問題の解答
索引

『数理生態学』

目次

序にかえて

第1編個体数の変動

1. 増殖
1.1 単純増殖
1.2 有性生殖
1.3 ロジスティック増殖
1.4 離散時間でも増殖過程
1.5 離散時間でのロジスティック増殖
1.6 有性生殖の場合の過密および過疎効果
1.7 自家中毒の影響

2. 捕獲・捕食
2.1 捕獲による影響
2.2 捕食による影響
2.3 飽和型の捕食率
2.4 餌探索の確率モデル
2.5 スイッチング型の捕食率
2.6 餌場選択と捕食のスイッチング

3. 増殖の確率過程
3.1 出生過程
3.2 出生・死亡過程
3.3 過密効果のある場合
3.4 ランダムな環境変動-マルサス増殖
3.5 ランダムな環境変動-ロジスティック増殖
3.6 個体差のある集団の増殖
　3.4, 3.5節における確率演算についての注意

4. 齢構成と増殖
4.1 人口と齢構成
4.2 レスリー行列の方法
4.3 レスリー行列の性質
4.4 遷移行列の固有値と固有ベクトル
4.5 安定齢分布
4.6 計算の例
4.7 レスリー行列の特性方程式とロトカの考察

第2編種間の相互作用

1. 種間競争
1.1 ロトカ・ヴォルテラの競争モデル
1.2 競争の簡単な例
1.3 干渉的競争
1.4 搾取的競争
1.5 競争の格子モデル

2. 被食者‐捕食者関係
2.1 ロトカ・ヴォルテラの被食者-捕食者モデル
2.2 種内競争による安定化
2.3 定常点の局所安定性
2.4 捕食率の飽和効果とリミットサイクル
2.5 2種間相互作用に関するコルモゴロフの考察

3. 3種間相互作用
3.1 3種間競争の簡単な例
3.2 対称化した3種競争モデル
3.3 3すくみの競争関係
3.4 被食者-捕食者関係にある3種系
3.5 相互作用の非相加性と捕食のスイッチング
3.6 捕食者による共存の安定性

4. 2次元力学系の安定性解析について
4.1 2次元非線形系
4.2 ポアンカレ・ベンディクソンの定理
4.3 相互作用特性

第3編多種系の生物集団

1. 力学的安定性
1.1 多種系の場合の線形近似
1.2 定性的安定条件とリアプノフ関数

2. 多種系のロトカ・ヴォルテラ方程式
2.1 ロトカ・ヴォルテラ方程式の反対称化
2.2 反対称化した場合の解の性質
2.3 資源の共用による相互阻害
2.4 対称化した競争の方程式
2.5 偏害的相互作用の場合
2.6 多種系でも干渉的競争

3. 食物連鎖網
3.1 複雑性と系の安定性
3.2 エネルギーの流れと物質循環
3.3 食物連鎖網とエネルギー栄養段階モデル
3.4 栄養段階の階数とエネルギーピラミッド

文献
あとがき
索引

失敗の研究