廻談詣り(イベントコミュ)

概要
コミュ

概要

イベント「廻談詣り」のイベントコミュ。

コミュ

ゲーム内予告1(依田芳乃)

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ゲーム内予告2(白坂小梅)

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オープニング「風薫るまほろばへ」

あらすじ	潮風香る海を渡り、離島へ降り立ったアイドルたち。彼女らは芳乃と小梅のユニット『かくりよがたり』の住人映像を撮影するためにこの島を訪れていた。島の住人にも歓迎され、期待に心躍らせる一行。ノスタルジックな離島を舞台に、アイドルたちのちょっと不思議な撮影旅行が幕を開ける……。

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芳乃		船に揺られること、幾刻かー。ようやく到着なのでしてー。
李衣菜		くーっ、普段はなかなか味わえないこの解放感っ！旅行に来たーって感じがするね！！
小梅		日差しは強いけど、あまり暑くはないんだね……。これなら過ごしやすいかも……。
乃々		緑がいっぱいの島、らしいので…… もりくぼの心も、いつもより安らかになりそう、です……。
早苗		そうね。山歩きに海水浴、自然を思いっきり楽しめそうよ！
プロデューサー		仕事のことも忘れずに……
早苗		わかってるわよ、もちろんっ♪ でもせっかくの撮影旅行だし、思いっきり楽しみましょ♪
		数力月前
早苗		このメンバーで、新しいお仕事？
芳乃		いかにもー。みなさまの助力がいただければ、わたくしどもも幸いなのでしてー。
プロデューサー		小梅と芳乃のユニット『かくりよがたり』で、新曲の企画が進んでいてね。そのPR用の映像に、ふたりの他にゲストで出演する仕事だよ。
李衣菜		へぇー、小梅ちゃんと芳乃ちゃんの新曲！どんな雰囲気の曲になるんですか？
小梅		聞いちゃう？李衣菜ちゃんも、気になる……？やっぱりそうだよね……えへへ……♪
乃々		えっと……小梅ちゃんが、そんなに生き生きしてる……ということは……。
芳乃		じゃんるは、和風ほらーだそうでしてー。わたくしと小梅さんの持ち味を、活かしたものとなりましょー。
乃々		ほ、ホラー……！もりくぼが耐えられる範囲で、お手柔らかにお願いします……。
小梅		大丈夫……このお仕事が終わったら、乃々ちゃんもきっとホラー大好きになってるよ……。
乃々		ひいぃ……！もりくぼ、どうなってしまうんでしょうか……？
早苗		これが撮影スケジュール？ふむふむ、なるほど……わりと長丁場になるのね。そんなに大掛かりな撮影なの？
プロデューサー		確かに期間は長いけれど、ずっと仕事というわけではないよ。ちょうど夏休みの時期でもあるからね。
李衣菜		夏休み？
芳乃		撮影はとある離島で行われるのでしてー。余裕を持った日程ゆえ、自由な時間も取れるのだとー。
小梅		自由時間には、島のあちこち散歩したり、遊んだり…… あと、旅館で美味しいご飯も出るって……。みんなも、一緒にどうかな……？
李衣菜		みんなとお仕事しつつ、夏休みの旅行も楽しんじゃおうってこと？いいねそれっ！
早苗		夏の過ごし方としては文句なしね。ならあたしも乗ったわ！ユニットのお仕事、お手伝いさせてちょうだい♪
乃々		確かに……いいかも、です。もりくぼも……迷惑でなければ、ご一緒しますので……。
小梅		よかった……♪ みんなでお仕事、頑張ろうね……。
島の町長		アイドルのみなさん、ようこそおいでくださいました！
プロデューサー		こちらこそ、撮影にもご協力をいただけるとのことで、まことにありがとうございます。
島の町長		お安い御用です。今回のことがきっかけで少しでも人が増えれば何よりですし。見ての通り、観光資源もあまりない小さな島ですからねぇ。
早苗		いえいえ、とっても素敵な場所だと思います。こうして立っているだけで、心が洗われる気分で♪
女将		うふふ、ありがとうございます。撮影の間は、うちの旅館に滞在していただきますので。さっそく案内しますね。
李衣菜		よろしくお願いしまーっす。それじゃ、私たちもいこっか。
芳乃		…………。
李衣菜		あれ、芳乃ちゃん？どうしたの？
芳乃		すみませぬー。少し、懐かしい気持ちに浸っておりましてー。
李衣菜		懐かしい？そっか、芳乃ちゃんって昔はこんな感じのところで暮らしてたんだっけ？
芳乃		いかにもー。潮風や波の音は……ばばさまと過ごした島での日々を、思い起こさせてくれるのでしてー。
芳乃		わたくしにとっては、特別な意味を持つ景色ー……。ひいては、わたくしがここを訪れたことも、運命の導きなのかもしれませぬー。
李衣菜		おぉー……何かが起こる予感ってやつ？芳乃ちゃんが言うと、本当にありそうな気がしてくるなぁ。
乃々		そ、そうですか……？もりくぼとしては、平穏無事に終わるのが一番なんですけど……。
李衣菜		いやいや、ここはせっかくの旅行だし。みんなでスペシャルな思い出を作っちゃおうよ。ねっ♪
小梅		いいね、スペシャル……。例えば……島の伝承になぞらえた、怪奇現象が起きるとか？ ……わくわく♪
李衣菜		いや、そういう方向のスペシャルはどうかなぁ……？
李衣菜		ここが私たちの部屋か～。綺麗だし眺めもいいし、文句なしだね。窓際の謎スペースもちゃんとある！
プロデューサー		それじゃあ、打ち合わせと撮影はスケジュール通りに。それ以外の予定は自由だけれど、連絡がつくようにはしておいてね。
早苗		オッケー♪ここはあたしが年長者として、みんなのこともしっかりまとめてみせるわ♪
早苗		さ～て……長いこと船に揺られてたし、しばらく部屋でゆっくりしてようかしら。あ、でもお風呂とかはチェックしておきたいわね……。
乃々		近くをお散歩するのも、いいかもですね……。何があるのかとか、見ておきたいですし……。
芳乃		時間はたっぷりとありますゆえー。焦らずにひとつずつ、歩みを進めるのが吉でしてー。
乃々		お仕事の準備は、忘れずに……でも、いっぱい遊びましょう。ふふ、もりくぼも楽しくなってきたかも……です……。
小梅		そうだね……。楽しい思い出が、たくさんできるように……。
小梅		……こうして始まった、私たちの夏休み。それがあんな結末を迎えるとは、この時は誰も想像していなかったのです……。
乃々		ひ、ひぃっ！そのナレーションは、遠慮してほしいんですけどぉ……！

第1話「幽世の境にて」

あらすじ	撮影が始まり、滑り出しは順調そのもの。アイドルたちは自由時間に島内の散策も楽しみ、離島ならではのゆったりとした時間が流れていく。そんな中、小梅はふとした折に訪れた神社で、舞の練習をする不思議な少女と出会う。その少女は小梅と芳乃の目にしか映らない、この世ならざる者だった。

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撮影スタッフ		本日の撮影予定、終了です！みなさんお疲れさまでした！
芳乃		お疲れさまでしてー。お仕事の走り出しも順調のようでー、よきかなよきかなー。
小梅		島が舞台の、短編ホラームービー…… みんなと一緒に出演できて、嬉しいな……。
李衣菜		小梅ちゃんと芳乃ちゃんも、演技がすっごいノってるよね。台本で展開は知ってるはずなのに、実際に撮影になると印象違う感じでさ。
乃々		ふたりのホラーな雰囲気……ドキドキします。もりくぼも、しっかりついていかないとです……。
早苗		さてと、このあとの予定は……夕飯までは自由時間ね。いったん旅館に帰るとして、そのあとはどうする？
李衣菜		私、海の方に行ってみたいなっ。天気もいいし、遊んだら気持ちよさそうっ♪
早苗		ならあたしも！どうせならプロデューサー君も誘っていきましょ♪
乃々		もりくぼは……お買い物に行こうと思います。旅館の人にオススメしてもらった、お土産があるので…… 見ておこうかと。
芳乃		では、それぞれ自由行動といたしましょー。小梅さんは、いかがでしてー？
小梅		私は……旅館の近く、散歩してみようかな。まだ行ってなくて、気になるところもあるから……。
小梅		ふぅ……ちょっとお散歩のつもりで、結構遠くまで来ちゃった……。
小梅		ここは、神社かな……。せっかくだし、お詣りしていこう……。 ……あれ？
少女		…………。
小梅		(女の子が、踊ってる……？他には誰もいないし、練習でもしてるのかな……？でも、あれって……)
少女		……ふぅ。
小梅		あ……え、えっと……素敵な踊りですね。
少女		わっ！？び、びっくりした……。え、あなたもしかして……あたしの踊り、見てたの？
小梅		あ、えっと……いきなり話しかけて、ごめんなさい。ひとりで踊ってるの、気になっちゃって……邪魔しちゃった？
少女		あー、いや……こっちこそごめんね。意外だったから驚いただけだよ、気にしないで。
少女		別に、人に隠れて練習してたってわけでもないし。むしろ、誰かに見てほしかったくらいだからね。
小梅		その踊りを……ですか？
少女		そうそう。夏祭りで……って、いきなり言われてもわかんないか。あなた、外から来た人だよね。この辺で見かけたことないもん。
小梅		はい……この島の旅館に泊まってます。島に来たのは、半分旅行で、半分お仕事……そんな感じです。
少女		お仕事って、あたしよりも年下っぽいのに？まぁ、事情は人それぞれか。
小梅		それで……お祭りがあるんですか？そういえば、スケジュールにも書いてあったような……。
少女		うん。もうすぐこの島で、夏のお祭りがあるんだ。島の外からも人が来てさ、結構にぎやかになるんだよ。
少女		そんでお祭りの日には、巫女さん役に選ばれた子が、ここで舞を披露するの。今回はあたしが、その巫女さん役ってわけ。
小梅		そうなんだ……。確かに、さっきの踊り……巫女さんの衣装で踊ったら、すごくきれいかも……ですね。
少女		えへへ、でしょでしょ♪ あなたは、どれくらいこっちに滞在してるの？夏祭りにもいくのかな？
小梅		もうしばらく泊まってる予定だから、多分……。お祭り、楽しみにしてます。
少女		ありがと♪ ねぇねぇ、お名前はなんていうの？
小梅		小梅、です……。白坂小梅っていいます。
少女		小梅ちゃんね、よろしく。あたしは……。
芳乃		ほらー、見つけましてー。探し人ならばわたくしにお任せをー。
小梅		あ……芳乃さんと、乃々ちゃん……。もしかして、私のこと探してた？
乃々		そろそろご飯の時間なので……小梅ちゃんを呼びに来ました。きっとここにいるって、芳乃さんが案内してくれて…… 当たっててびっくりです。
少女		小梅ちゃんのお友だち？ならそっちに行ってあげなよ。あたしはまだここで練習してるから。
小梅		ん……。……わかった。私ももう、旅館に戻るね。
芳乃		ちょうどおなかも空いてきましたゆえー、どんなお料理がいただけるか楽しみでしてー。 ……それでは、さようならー。
少女		…………。
芳乃		ふぅー……坂道を歩くのはなかなか運動になりましてー。
小梅		ごめんね、ふたりとも。わざわざこんなところまで、呼びに来てもらって……。
芳乃		お気になさらずー。豊かな自然の中を歩くのも、旅の醍醐味と言えましょー。
乃々		景色もきれいで、気持ちいいですね……。さっきの神社も、静かでもりくぼ好みの雰囲気でしたし……。
乃々		でも、小梅ちゃん……ひとりで何をしてたんですか？お仕事成功のお祈りとか？
芳乃		それは違いましてー。小梅さんひとりではなかったのでしてー。
乃々		はい……？そ、それってまさか……。
小梅		芳乃さんにも……視えてたんだ？神社にいた、あの女の子……。
芳乃		小梅さんの力が及んだのかもしれませぬがー。わたくしにも、彼女の姿はしかと視えましてー。
乃々		えっ、えっ……？もしかして、ゆ、幽霊が……さっきの神社にいたんですか？もりくぼ、憑かれてたりしませんか？
小梅		大丈夫だよ、乃々ちゃん。ちゃんとお話できたし、悪い子じゃないはずだから……
芳乃		とはいえ、気がかりなのも事実でしてー。故あって、あの場に留まっているのであれば…… わたくしたちの力で、彼女を導ければよいのですがー。
小梅		ん……そうだね……。私たちが、なんとか……。

第2話「送り火の神楽舞」

あらすじ	島の夏祭りで巫女舞を踊ると話していた少女の霊。旅館の女将たちに話を聞くと、彼女は昔無くなった町長の孫娘らしい。そして彼らは、少女の死から途絶えていた巫女舞の舞台に立ってくれないかと、アイドルたちに依頼する。小梅たちは少女の意思を確かめに、再び神社を訪れることにするのだった。

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李衣菜		はぁ……ごちそうさまでした～。晩ごはん、とても美味しかったですっ。
旅館の女将		ふふふ、こんなに喜んでもらえるなんて。こちらも丹精込めて作った甲斐がありました。
乃々		お土産のお店も、素敵でした……。友だちにも、喜んでもらえそうなもの…… たくさん見つかったので……。
旅館の従業員		それはよかった！他の方々にも、この島をどんどん宣伝しちゃってください。
旅館の女将		そういえばみなさんは、夏祭りも見ていかれるんでしょうか？島民が総出で盛り上がるお祭りなんですよ。
早苗		そうそう、その予定も確認しておきたかったんだわ。大丈夫よね、プロデューサー君？
プロデューサー		もちろん、そちらも踏まえた日程ですよ。撮影を終えた後、ゆっくり楽しませていただきます。
芳乃		お仕事の成功を祝う場には、ぴったりでしてー。撮影にもより一層、熱が入りましょー。
李衣菜		だねっ。みんなで一緒にお祝いできるように、明日からも気合い入れていこうっ！
小梅		島のお祭り…… じゃあ、神社でやる巫女さんの踊りも、観られるんですか？
旅館の従業員		えっ……？いや、それは……。
旅館の女将		巫女舞のことをご存じでしたか……。どなたからお聞きに……？
小梅		え？あ、えっと、……その……。
旅館の女将		あぁすみません、お気になさらず。その……昔はやっていましたが、今はやっていないんですよ。
芳乃		それは……何か事情がありましてー？
旅館の従業員		……ご存じの通り、この島の夏祭りでは、選ばれた子どもが舞を披露する習わしがあったんです。少し前までは、毎年その舞台が用意されてました。
旅館の従業員		でも、ある年……巫女役の少女が、祭りの直前に事故で亡くなってしまったんです。その年の舞台は中止になって……。
李衣菜		そんなことがあったんですか……。
旅館の従業員		今も夏祭りは続いていますが、巫女舞の舞台はずっと開かれてません。亡くなった女の子は、町長のお孫さんで……舞台を観るのは今でも辛いから、って。
早苗		それは確かに……仕方ないでしょうね。その子がここにいないって、嫌でも思い出しちゃうでしょうし。
芳乃		たやすく乗り越えられるものではありませぬー。町長さんの心も、察するに余りありましてー。
小梅		す、すみません。私が、失礼なこと聞いちゃって……。
旅館の女将		いえ、いいんですよ。悲しい出来事を乗り越えるのも、残された者たちの務めですから……。
小梅		…………。そう、ですね……。
旅館の従業員		……そうだ！あのっ…… もしよかったら、みなさんにお願いできませんか？その……巫女の役目を！
芳乃		わたくしたちが、巫女舞をー……？
旅館の女将		ちょっとあんた。大事なお仕事で来てる人たちに、なに無茶なこと言ってるんだい。それに、町長さんの気持ちだってわからないわけじゃないだろう？
旅館の従業員		でも、いつまでも引きずっているわけにもいかないでしょう。亡くなった彼女だって、そんなことは望んでないかも……。
旅館の女将		それは、そうだけど……。でも、みなさんにとっても無理なお願いですよね？撮影があるのに、その上で祭りの役なんて……。
李衣菜		えっと……どうなんだろう？さすがにそれは、プロデューサーさんに聞いてみないと、ですよね？
プロデューサー		……事情は把握しました
プロデューサー		お世話になっているみなさんからの頼みとあれば、こちらでも検討してみます。スケジュールの都合もありますし、今すぐに返答はできませんが……。
旅館の女将		いえ、ありがとうございます。そう言っていただけただけでも、十分ですから……。
小梅		お祭り、どうなるのかな……。私たちは……どうしよう……？
李衣菜		お祭りで踊る巫女さん役かぁ。この中だと、そういうのが得意なのはやっぱり……。
芳乃		わたくしでしょうかー。神楽の心得はありますゆえ、少々お時間をいただければ問題ないかとー。
早苗		時間のゆとりはあるし、大丈夫そうかしら。お世話になってるんだし、頼まれたなら応えてあげたいわよねぇ。
芳乃		わたくしも、同じでしてー。なのであとは、当人の意思次第となりましょー。
早苗		ん？当人って？
乃々		……あっ。も、もしかして…… 踊りのことを、小梅ちゃんが知ってたのって……？
小梅		うん……本人から、聞いたの。今日、島の神社に行って……そこで会った、幽霊の子から……。
早苗李衣菜		幽霊っ！？
乃々		も、もりくぼは、何もわからなかったんですけど…… 小梅ちゃんも芳乃さんも、視えたらしくて……。
李衣菜		そ、それって、えーっと…… 小梅ちゃんといつも一緒にいる子とは、また別で？
小梅		うん。今回はあの子、事務所でお留守番してるから……。その子とは今日、初めて会ったの。
小梅		お祭りのこととか、話してたし…… 多分、亡くなった巫女役の子なんだと思う……。
李衣菜		あれ？ってことは、もし芳乃ちゃんが代わりに踊るなら…… その子の役目を横取りするみたいな感じになっちゃう？
乃々		まさか…… それで、もりくぼたちが怒られたり、祟られたり……？
芳乃		そのような強い念は、感じませんでしたがー…… やはりもう一度、会って話を聞いてみるのがよいかとー。
小梅		そうだね……。例えば、自分が死んでるって気づいてない子も、たまにいるし…… あの子がそうだったら、ちょっと大変かも……。
小梅		だから、ちゃんとお話しなきゃ……。神社に行ったら、また会えるかな……。
プロデューサー		うん……そうだね。島の人たちとは、こっちで話をしておくよ。その子については……ふたりに任せよう。
小梅		ん……お願いします、プロデューサーさん。
芳乃		迷える人がいるならば、正しき道へ導くのが役目でしてー。あいどるのみならず、かんなぎとしても、務めを果たすといたしましょー。
小梅		…………。
小梅		……正しき道へ、かぁ……。

第3話「導き手の務めを」

あらすじ	再び幽霊の少女に会うため神社を訪れた小梅と芳乃。自分が既に亡くなっていて人の身ではないことを理解していた少女は、自分に代わって祭りで踊る芳乃の提案を快諾する。町長も説得し、祭りへ向け一同が盛り上がるが、何故か小梅の表情は晴れず、一緒に踊ろうと誘う芳乃の言葉を拒むのだった。

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		島の神社
幽霊の少女		あれ、小梅ちゃん……と、お友だち？また来てくれたんだ♪
小梅		うん……。時間があったし、もっといろいろお話したいと思って…… 迷惑じゃなかったら、ですけど……。
幽霊の少女		いいよいいよ～。ずっとひとりで練習しててもつまんないし、おしゃべりは大歓迎♪
芳乃		わたくしは、依田芳乃と申しますー。小梅さんと同じく、こちらに滞在中の身でしてー。
幽霊の少女		あはは、そんなにかしこまらなくてもいいよ～。それで、何の話する？島のこととか？
小梅		えっと、あなたに聞きたいことがあって…… いつもここで、踊りの練習をしてるのかなって。
幽霊の少女		そうだねー。巫女さん役に選ばれてから、ずっとだよ。大事な役目だし、中途半端なことはできないもん。
小梅		そっか……。島の人たちにとっても……大事なお祭りみたい。みんな、楽しみにしてた……。
芳乃		特別な思い入れを感じましてー。島の伝統や、みなの期待…… それらを背負う、まさに大役と言えましょー。
幽霊の少女		うん。もちろんあたしも同じ気持ち。大好きなお祭りを盛り上げて、みんなに喜んでもらえるように、踊りの練習も頑張ってたし……。
幽霊の少女		だから……みんなには、申し訳ないことしちゃったなぁ。
小梅		あっ……。それって、もしかして……もう、気づいてる？あなたが今、どうなってるか……。
幽霊の少女		……まぁね。あたしはもう死んじゃって、幽霊になってる。そりゃわかるよ。こうなってからもうだいぶ経ってるもん。
幽霊の少女		小梅ちゃんたちって、霊感持ちってやつなんでしょ？そういう人って初めて会ったから、昨日はびっくりしたなぁ。
芳乃		小梅さんには、不思議な力がありましてー。そなたのような魂と触れ合い、心を通わせることができるのですー。
幽霊の少女		そうなんだ。なんかわかる気がするかも。一緒にいると、あったかい感じがするし♪
小梅		そ、そうなのかな……？私……特別なこととか、してないし……よくわからないけど……。
芳乃		何はともあれ、これでひとつの憂いが晴れましてー。では本題に、といきたいところですがー……。
幽霊の少女		ん？なになに？
芳乃		こうして巡り会えたのも、天の導きかもしれませぬー。まずは、芽生えた縁を育むのはいかがでしょー？
島の町長		ふむ……。長らく中止になっていた巫女舞を、今回の祭りで……ですか。
早苗		あたしたちがこの島に来たのも、何かの縁なのかもしれません。みなさんの心の支えにもなれると思うんです。
李衣菜		巫女さんの踊りなら、すごく得意な子がいますし。島の人たちにも、きっと喜んでもらえますっ。
旅館の従業員		舞台の準備なら、今からでも急げば間に合います。町長、どうでしょうか……？
島の町長		……そうですね。過去の思い出を振り切って、いつかは前を向かなければならない。それが今だというのであれば……。
芳乃		そーれー。わたくし、鞠の扱いには自信がありましてー♪
小梅		わわっ、こっち……？鞠、落とさないように……えいっ。
芳乃		小梅さんも、なかなかお上手でしてー。そなたもぜひ、思いっきり蹴ってみましょー。
幽霊の少女		えぇっ、あたしも？でもあたし幽霊だし、物に触るの無理なんだけど……。
芳乃		わたくしが常日頃、心を込めてお手入れしている鞠ですのでー。そなたの魂にも、届くかもしれませぬよー。
幽霊の少女		そ、そうなの？ ……わっ、ホントに触れた！何これ不思議！
芳乃		ふぅー、いかがでしょー？このような楽しいひとときも、わたくしたちの縁から生まれたものでしてー。
幽霊の少女		ふふっ……確かに。踊りの練習するくらいしか、やることなかったから…… こんな風に遊ぶの、本当に久しぶりだよ。
小梅		そっか……。じゃあ、私たちが来るまでは…… ずっとここに、ひとりでいたの……？
幽霊の少女		……そうだね。事故にあって、気づいたらあたしはここにいた。ずっと踊りの練習で使ってた、この神社に……。
幽霊の少女		なぜか神社からは出られないし、誰もあたしに気づかないし。やることもないから、踊りの練習を続けてたよ。 ……見せる相手もいないのにね。
芳乃		ふむー……。ならばそなたの願い、わたくしたちに委ねていただけませぬかー？
幽霊の少女		えっ？どういうこと？
芳乃		実はわたくしたち、歌って踊るあいどるを生業としていましてー。この島にも、そのお仕事でやってきたのですー。
芳乃		そして昨晩、島のみなさまより頼まれましてー。そなたが亡くなって以来、開かれていない巫女舞の舞台に、わたくしたちに立ってほしいと。
幽霊の少女		それってつまり…… 芳乃ちゃんたちが、お祭りの舞を踊ってくれるってこと？
芳乃		でしてー。そなたをこの地に留めているのが、巫女舞が途絶えてしまったことへの負い目ならば…… それを晴らすことで、新たな道が開けるやもしれませぬー。
幽霊の少女		あはは、そういうことか……。でももしかしたら、それであたしの未練も晴れて…… 成仏とかできたりするのかな？
芳乃		それはわかりませぬがー……。少なくとも、そなたが正しき歩みを取り戻す手助けになるかとー。
幽霊の少女		……わかった。ならあたしからもお願いしようかな。
小梅		えっと……い、いいの……？
幽霊の少女		だって……巫女舞がなくなっちゃったのも、おじいちゃんたちが悲しんでたのも、ずっと見てきたからさ。あたしには、何もできなかったけど……。
幽霊の少女		それを助けてあげられるなら……あなたたちに任せるよ。
乃々		じゃあ、ちゃんと伝えられたんですか？お祭りのこと、その……幽霊の子に……。
芳乃		はいー。彼女からも、言っていただけたのでしてー。お祭りの舞台は、わたくしたちに託すとー。
早苗		みんな、お待たせ～♪ 町長さんからも、許可を貰ってきたわ。今年のお祭りで、巫女舞を復活させるって！
李衣菜		プロデューサーさんにも伝えて、今スケジュールを組んでもらってるよ。お仕事と並行で、お祭りの打ち合わせをすることになるみたい。
乃々		よかったですね……。舞台に立つのは……やっぱり、芳乃さんでしょうか。もりくぼも、できる限りお手伝いしますね……。
芳乃		もちろんそのつもりですがー……。小梅さんも、わたくしと共に、踊りませぬかー？
小梅		え……わ、私も……一緒に舞台に？
芳乃		彼女を気遣う心は、わたくしだけのものではありませぬー。共に手を差し伸べ、道しるべとなりましょー。
早苗		ふふ、いいんじゃないかしら。ふたりの方が盛り上がるでしょうし、幽霊の子も島の人も、きっと喜んでくれるわ♪
小梅		…………。 ……ううん、私は……やめておくよ。
乃々		えっ？小梅ちゃん……どうして？
小梅		あまり、自信がないし……迷惑をかけちゃうかも、だから……。あの子のことは……芳乃さんに任せるよ。

第4話「語り合い重ね合い」

あらすじ	夏祭りの準備が進む一方で、元気がない様子の小梅。芳乃は意を決し、舞台に立たない理由を彼女に問う。幼い頃からこの世ならざる者と交流して育った小梅は霊をあの世へ送ることに戸惑いがあり、その想いが芳乃の邪魔になると考えていた。芳乃は誤解を正し、「自分の役割は道を照らすだけ」と小梅に伝える。

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早苗		ふぅ、今日のスケジュールも無事こなせたわね。撮影の方は、このまま順調に終わりそうだわ。
芳乃		それではわたくしは、このあと夏祭りの打ち合わせがありますゆえー。失礼いたしますー。
李衣菜		あ、それなら私も一緒に行くよ。何か手伝えることがあるかもだし。
小梅		いってらっしゃい……。島の人たちにも、よろしくね……。
乃々		あ、えっと……小梅ちゃんは、この後どうしますか？お仕事の方は、もう大丈夫そうですし……。
早苗		そうだ、一緒に神社に行ってみる？あたしたちは例の子と、お話したりはできないけど……。ほら、小梅ちゃんに紹介してもらうくらいはできるかも。
小梅		……ううん、やめておく。あの子のことは……芳乃さんに任せるって、決めたから……。
乃々		小梅ちゃん……大丈夫でしょうか。なんだか元気がないような……。
早苗		そうねぇ、何か思うところがあるのかしら……。
旅館の女将		巫女の衣装は、こちらをどうぞ。きちんと手入れしておりますので、今すぐにでも着られますよ。
芳乃		ありがとうございますー。みなさまに大事にされているのが、よくわかりましてー。
李衣菜		サイズ違いのも合わせて、何着かあるんだね。これなら、ふたりで一緒に踊っても大丈夫なのになぁ。
芳乃		それは、そうですがー……。此度の舞台に立つのは、わたくしひとりで十分でしてー。
李衣菜		……ねぇ、芳乃ちゃん。小梅ちゃんは、なんで巫女さんの役断っちゃったんだろう？
芳乃		それは、わたくしにはわかりませぬー。しかし……単に遠慮している、というわけでもなさそうでしてー。
芳乃		ですが……わたくしの役目は、人を支え導くことー。わたくしの意思で道を曲げることではありませぬよー。
李衣菜		確かに、無理強いに思えちゃうのもわかるけど……。それじゃ、やっぱり駄目だと思うよ。
芳乃		李衣菜さん？それは、どういう意味でしてー？
李衣菜		私も、あんまり器用じゃない……っていうか、かなり不器用な方だからさ。他の子とユニット組んでも、よくケンカしちゃったりするけど……。
李衣菜		それでも、はっきり言えることがあるんだ。ユニットの仲間に遠慮するより、多少強引にでも、気持ちは言葉にした方がいいってね。
李衣菜		ちゃんと言わないと伝わらないことってあるもん。自分の気持ちも、相手の気持ちも……どっちもだよ。
芳乃		それも、一理ありましてー……ふむー。
小梅		……あ、芳乃さん……おかえりなさい。お祭りの準備、ちゃんと進んでる？
芳乃		そちらも順調で、むしろ時間を持て余すほどでしてー。なのでこれから、散歩に出かけようと思うのですー。そなたもいかがでしてー？
小梅		え……わ、私も……？でも、私は……ちょっと疲れちゃったから、休んでようかな……。
芳乃		そこをなんとか、でしてー。今はそなたとの語らいを、大事にしたいのですー。さぁさぁ、出かけましょー。ぜひぜひー。
小梅		え、えぇっ？よ、芳乃さんが……いつもより、強引なような……？
小梅		あ、あの、芳乃さん……？もしかして、私に用事があったり……？
芳乃		はいー。それでは、単刀直入に問いましょー。どうして巫女役を、断ってしまったのかとー。
小梅		だって……ちゃんと踊れるか、自信がないし…… きっと迷惑をかけちゃうから……。
芳乃		それは、半分は本当で半分は嘘、ですねー。わたくしの目はごまかせませぬよー？
芳乃		そなたの意を尊重するべき、と考えましたがー…… 時には境を越えて踏み込むことも、求められましょー。
小梅		……そう、かな。うん…… じゃあ……聞いてくれる？
小梅		みんな知ってることだけど…… 私、昔から幽霊とかが視えたの。それが私にとって当たり前で、他の人とは違ってて……。
小梅		それで、いろんな人に嫌な思いをさせちゃったりもした。周りの人、学校の友だち……もちろん、パパやママにも……。
小梅		「普通の子になって」って言われたこともあったの……。悲しかったけど……私はみんなと違うから、仕方ないって諦めてた……。
小梅		でも、アイドルになってからは…… そんな私を好きでいてくれる人と、たくさん出会えた。普通じゃない私でも、いいって……認めてもらえて、嬉しかった。
芳乃		それがそなたの魅力であればー、当然でしょうー。わたくしもよーく知っておりますよー。
小梅		ありがとう……。だけど、やっぱり…… 私の願いは、本当は「いけないもの」なんだって思うの。芳乃さんと一緒にいて、わかったから……。
芳乃		わたくしが、そなたの願いを……悪しきものとー？
小梅		だって芳乃さん、言ってたよね。迷える人を正しい道に導くのが、役目だって……だからあの子のことも、ちゃんとした場所に送り出してあげようとしてる。
小梅		でも私は、違うの。お話をして、遊んだりして…… そういう時にどうしても、もっと一緒にいたいって考えちゃう。そんな、「いけない子」だから……。
小梅		あの子をきちんと送り出すための舞台には、立てないよ……。私がいたら、きっと……迷惑をかけちゃう。
芳乃		……ふむー。そなたの心は理解しましてー。これは、わたくしの至らなさが招いたことゆえ…… 反省せねば、ばばさまにも叱られますねー。
小梅		えっ……？ど、どうして……？芳乃さんは、悪いことなんて何も……。
芳乃		いえいえー。わたくしが言葉を誤り、そなたを惑わせてしまったことー……。これはまぎれもない事実でしてー。
芳乃		ゆえに、今一度そなたに伝えましょー。そなたやそなたの友にとって、正しき道を定めるのは、決してわたくしではありませぬー。
芳乃		光をもたらし道を照らすのが、あくまでわたくしの役目でしてー。その上でどちらへ歩むのかは、みなの心が定めることですー。
小梅		……でも、芳乃さんは……本当にそれでいいの？みんなを導くのが役目なのに……。
芳乃		信じることと従うことは違うのだと、ばばさまも常々言っておりましたー。わたくしを信じることで、そなたがそなたの道を歩めるのなら、それでよいのですー。
小梅		……じゃあ、お祭りの舞台も…… お別れのためじゃなくていいのかな……？
芳乃		ですねー。彼女の背中を押す役目は、わたくしだけのものではありませぬよー。
小梅		わかった……ありがとう、芳乃さん。それと……ごめんね。芳乃さんが考えてること…… 私も、ちゃんとわかってなかったから。
芳乃		ふふー、構いませぬよー。境を越えて、語り合うことー…… それがわたくしたちのあり方なのでしょー。
小梅		……じゃあ、もう少しだけ……お話したいな。私たちだけじゃなくて、みんなで一緒に……。

第5話「現世に響く唄」

あらすじ	少女をあの世へ送り出すためではなく、その思いを遂げさせるため……小梅は舞台に立つ決心をした。芳乃と小梅、この世ならざる者と関わるふたりが起こした小さな奇跡か。夏祭りの日、待ちに待った舞台を見つめる人々の目には、島の祭りと巫女舞を愛した少女の姿が確かに映っていたという。

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		数日後
プロデューサー		みんな、お疲れさま。これで今回のPV撮影は、無事完了だね。
李衣菜		やったーっ！これで心置きなく、今日の夏祭りも見に行けますねっ♪
早苗		スケジュールに余裕あったし、まだまだ体力残ってるわ。お祭りも思いっきり楽しめそう♪
乃々		でも、芳乃さんと小梅ちゃんは…… お祭りの準備もありましたし、忙しかったですよね。本当に、お疲れさまです……。
小梅		大丈夫……みんなにも、手伝ってもらえたからね。舞の練習もちゃんとできたから、きっと……。
芳乃		みなさまにも、自信をもって披露できるかとー。ぜひぜひ、楽しんでくださいませー。
早苗		えぇ、もちろん♪ ふたりならではの晴れ姿、期待してるわよ～。
旅館の女将		では、準備は予定通りに進めます。依田さん、白坂さん、今日はよろしくお願いしますね。
小梅		はい、よろしくおねがいします……。ふぅ……ちょっと、緊張してきたかも……。
芳乃		いつものお仕事とは、趣が違いますがー。舞台に臨む意気込みは、変わりませぬよー。
芳乃		まっすぐな心で、今日という日を楽しめばー。観客のみなさまにも、必ず伝わるのでしてー。
小梅		そうだね……みんなに、頑張って届けよう。私たちの思いも、あの子の思いも……ひとつにして……。
		数日前
幽霊の少女		じゃあ、ふたりで巫女舞を踊ってくれるんだね。よかった……それなら、安心して任せられるよ。
小梅		うん。みんなが笑顔になれるように…… そして、前向きになれるように……精いっぱい踊るね。
芳乃		急ごしらえの舞台とはなりますが、できる限りの働きをお見せしましょー。
幽霊の少女		あははっ。謙遜しなくても、ふたりはプロのアイドルでしょ？あたしなんかよりもずっと上手に踊れそう。
幽霊の少女		こっちは、もう練習する必要もなくなったから…… 肩の荷が下りたって思って、お祭りまでのんびりしてようかな～。
小梅		……あの、ね。そのことなんだけど…… あなたに、お願いしたいことがあるの。もし、嫌じゃなかったら、だけど……。
幽霊の少女		ん？お願いって、あたしに？
乃々		わぁ……。こ、これが、島の夏祭り………。
李衣菜		おぉー、焼きそば！りんご飴！くじ引き！定番の屋台もそろってるんだね♪どこから行ってみようかな～。
乃々		わわっ……。想像してたよりも、にぎやかなんですけど…… もりくぼ、人波に流されてしまいそう……。
李衣菜		おっとと、乃々ちゃん大丈夫？島の外からも人が来るって聞いてたけど、確かにすごいね。よし、手をつないどこっか。
乃々		は、はい……ありがとうございます。心強いですね、はい……。
早苗		乃々ちゃん、李衣菜ちゃん、ちゃんと食べてる？ほらほら、おいしそう串焼きあったから買ってきたわよ！お姉さんのおごり、遠慮なく食べなさい♪
李衣菜		早苗さん、すっごいいろいろ買ってる！これ全部食べ切れるかな……？
早苗		当たり前でしょ～♪だってお祭りよ、お祭り！フェスティバル！うかうかしてたらあっという間に終わっちゃうんだから、全力でいくしかないでしょ！
乃々		もしや早苗さん……もうお酒を飲み始めてますか？早すぎるんですけどぉ……。
プロデューサー		みんな、楽しんでるかな？
李衣菜		あ、プロデューサーさん！えへへ、いい感じに盛り上がってますよ～。
乃々		お祭りの雰囲気に、流されて…… だんだんぱりくぼになりつつある、もりくぼです……。ぱーりぃ……。
早苗		プロデューサー君もほら、飲みましょ！女将さんにオススメしてもらったお酒、すっごく美味しいの♪
プロデューサー		それもいいけれど、そろそろ巫女舞の舞台が始まるから……。
李衣菜		本当だ、周りの人も動き始めてる！確か本殿の方だよね、急ごう！
島の町長		おぉ、みなさんもどうぞこちらへ。ちょうど巫女舞が始まる時間ですよ。
李衣菜		町長さん、お疲れさまです！舞台の方も準備万端みたいですね。
島の町長		えぇ、おかげさまで。練習も順調でしたし、安心して任せられましたよ。
島の町長		……あの子が亡くなってからずっと、まっすぐ向き合えなかったこの景色ですが…… みなさんのおかげで、ようやく受け止められそうです。
早苗		それはよかったです……。小梅ちゃんも芳乃ちゃんもとっても優しくて、いい子ですから♪
島の町長		ただ……舞台に立つおふたりが、先ほど少し気になることを仰っていたのです。私たち全員の姿を、見ていてほしい……と。
乃々		全員、ですか……？ふたりじゃなくて……？
李衣菜		あ、ふたりが出てきたよ！踊りが始まるみたい……。
小梅		…………。
李衣菜		えっと……小梅ちゃんと、芳乃ちゃん、と…… もうひとり、一緒に踊ってるような…… 見間違いじゃないよね……？
乃々		ふ、不思議な感じ……。でも、3人とも……すごくきれいです……。いつまでも、ずっと……見ていたくなるくらい……。
旅館の女将		町長さん……。一緒に踊っているのって、もしかして……。
島の町長		……ああ……。そうか、そうだな……お前も、ちゃんと立てたのか……。ずっと心待ちにしていた、この舞台に……う、ううっ……。
芳乃		さぁ、踊りませー。わたくしたちのより良き明日に、祈りを込めてー。
小梅		決して消えない、今日の思い出を胸に…… みんなで一緒に、歩んでいけるように……。
幽霊の少女		わぁ……海、きれい……。生きてた頃は、いつも見てたのに……久しぶりに感じるよ。
小梅		そっか……。今までずっと、神社から出られなかったんだもんね。
芳乃		……そなたが抱えていた未練も、今日を境にようやく晴れたのでしょー。これからは自由に、歩んでいけましてー。
幽霊の少女		そうなんだ……ふふっ。ありがとうね、小梅ちゃん、芳乃ちゃん。あたし、ふたりに会えて本当によかった。
小梅		私も、だよ……。いろいろお話して、いっぱい遊んで、一緒に舞台に立って……。全部、すごく楽しかった……。
芳乃		わたくしたちの縁と、そこから生まれたたくさんの思い出は…… この胸の内で、輝き続けることでしょー。
小梅		素敵な友だちと巡り会えた、この夏の思い出…… ずっと忘れないからね……。
幽霊の少女		あたしもだよ。これからも、ずっと……♪

エンディング「夏陰に想い馳せ」

あらすじ	かくして、少女の霊をめぐる離島での一件は解決し、再び元通りの日常は戻ってきたのだと、感慨にふけるアイドルたち。だがある日、誰かと話す小梅と芳乃の姿を目にする。「ついてきちゃったんだって」と言う小梅の無垢な笑みに、凍りつく一同。事務所で暮らす新たなお友達となり、少女の物語は続くのだった。

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小梅		…………。
芳乃		ふぅー、今日も空はよく晴れていましてー。外はまだまだ暑くなりそうですー。
小梅		そうだね……。あの島の日差しは、都会とは違ってたなぁ……。
李衣菜		はぁ～……普段通りの毎日が、戻ってきた～。
早苗		あら、李衣菜ちゃん大丈夫？お仕事終わって燃え尽きちゃった？
李衣菜		燃え尽きたっていうか、夏休み明けの気分というか……。そんな感じです。
李衣菜		島でのんびり過ごしてたら、時間の感覚もゆっくりになっちゃった気がして…… ダメだね、しゃっきりしないとっ。
乃々		はい、次のお仕事も待ってますから……。ばてたりしないように、頑張りましょう……。
小梅		……あ、みんなお疲れさま。
早苗		小梅ちゃんたちも、事務所に来てたのね。ふたりとも、今日はレッスンとかあったっけ？
小梅		ん、そうじゃないけど……ちょっと、用事があって……。
乃々		用事ですか……？もりくぼか手伝えることなら、言ってくださいね。
小梅		大丈夫……。心配しないでいいよ。ありがとうね……。
早苗		……ふむ。李衣菜ちゃん、乃々ちゃん。ちょいちょい……。
李衣菜		え？どうしたんですか早苗さん。
早苗		……小梅ちゃんたち、もしかして…… ちょっぴりセンチメンタルになってたりするのかしら。
乃々		センチメンタル……ですか？
早苗		だってほら、島で仲良くなった幽霊の子。せっかくだし、もっと一緒にいたかったとか思ってるんじゃない？
乃々		なるほど……。でもその子にとっては、舞台に立てなかったことが心残りだったでしょうし……。
乃々		だから、お祭りのあと……成仏したんですよね？もりくぼ、そういうのは詳しくないですけど……。
芳乃		みなさまー、どうかしましてー？
李衣菜		あー、えっと……そうだなぁ。なんて言うか…… この夏は私にとっても、特別なものになったって思うよ。
李衣菜		少し不思議で、でも確かにここにあった…出会いと別れの夏。そういう時間を繰り返して、私たちは大人になっていくんだ。
早苗		そうね、あたしも同じ気持ちよ。あの子と直接お話はできなかったけど…… お祭りで見た景色は、ずっと忘れないわ。
乃々		一緒にいた時間は、長くはないですけど…… お別れしてしまっても、思い出は消えたりしないです……。
小梅		…………？お別れって、なんのこと……？
李衣菜		ん？だから、神社にいた女の子のこと。無事に心残りがなくなって、成仏できたんじゃ？
幽霊の少女		ただいま～。
小梅		あ、おかえり……どうだった……？
幽霊の少女		ちゃんとみんなに挨拶できたよ。小梅ちゃんのお友だちも、優しくていい子だった♪
芳乃		今日は特に予定もありませぬゆえー、案内を任せていただいてもよかったのですがー。
幽霊の少女		いやー、さすがにそこまでお世話になるわけにはねぇ。それに、知らない場所を探検するのって楽しいじゃん？
芳乃		それは同感でしてー。好奇心をかき立てられるというものー。
幽霊の少女		それにしても、アイドルの事務所ってすごいんだね！めちゃくちゃ広いし、人とかもたくさんいるし！アイドルって全部で何人いるの？
小梅		そこは、この事務所が特別なのかも…… 他のところは、こんなにたくさんはいないらしいから……。
早苗		……こここっ、小梅ちゃん、芳乃ちゃん？えーっと……誰としゃべってるの？
小梅		さっき、みんなが言ってた……島の神社にいた子だよ？
芳乃		わたくしたちと同じ舞台に立ち、興味を抱いたそうでしてー。あいどるをもっと追いかけ、そばで応援したいとー。
幽霊の少女		そうそう。間近でアイドルの踊りを見て、もう心を掴まれちゃったんだよ！
小梅		心、掴めた？えへへ、喜んでもらえてよかった……。
幽霊の少女		せっかく神社から出られるようになったんだし、ならいっそ島から出ちゃうのもいいかなって。もともと都会に憧れてたもんねー。
李衣菜		いやいやいや、まさかそれって……。
小梅		うん……。『ついてきちゃった』んだって。だからこれからも……ふふ、よろしくね♪
乃々		…………きゅう。
早苗		乃々ちゃんしっかり！たっ、多分大丈夫よ！怖いやつじゃないから……多分！
芳乃		この事務所は、不思議な縁が集まる場所ー。この先も、いかなる未来が待っているか、わくわくでしてー。

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芳乃		みなさまこんにちは－。依田芳乃でございますー。
芳乃		こたびはわたくしと小梅さんのユニット『かくりよがたり』で、新曲を作ることとなりましたー。まことにめでたきことでしてー。
芳乃		恐ろしくも美しくー、そしてどこか物悲しくー…… そんなわたくしたちの歌を、みなさまにお届けいたしましょー。今しばらく、お待ちくださいませー。


小梅		おつかれさま……白坂小梅です。みんなに、新しいお仕事のお知らせだよ……。
小梅		私と芳乃さんが、新曲『廻談詣り』を歌うことになったの。それで、新曲のプロモーション映像を撮るために…… 私たちはとある島を訪れたんだ。
小梅		豊かな自然や、人とのふれあいを楽しめる、夏の小旅行……。期待に心躍らせるみんなを待っていたのは……？ふふ、続きは見てのお楽しみ、だよ……♪

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概要

コミュ

ゲーム内予告1(依田芳乃)

ゲーム内予告2(白坂小梅)

オープニング「風薫るまほろばへ」

第1話「幽世の境にて」

第2話「送り火の神楽舞」

第3話「導き手の務めを」

第4話「語り合い重ね合い」

第5話「現世に響く唄」

エンディング「夏陰に想い馳せ」

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