まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

305 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/22(木) 09:17:33.46 0

『みやももフェルト』その1

学校からの帰り道
久しぶりに、見た。

その人は、塀の上を歩いていた。
ひょこひょこと、3歩行っては両手を広げて
片足上げてバランス取ったり
小さくジャンプしながらちょっとずつ下がったりしていた。
「よっ」「ほっ」
そんな小さな声も聞こえてきた。

神出鬼没。
ここってあの人の通学コースじゃないと思うんだけど。

頭の上で小さく一束結んだ髪が跳ねていた。
ちっちゃくて、相変わらず、子どもみたいに見える。
やってることも子どもみたい。あれでも高2なんだよね。
塀の下に鞄が置いてあった。
チャームにちっちゃいマスコットがいくつも付いてる。
ハンドメイドクラフト。が、趣味なんだっけ?
うん。手芸ね。

それにしても何してんだろ。パンツ見えんじゃね?
足を止めてちょっとの間、眺めていた。

不意にバッと強い風が吹いて
あっと思ったら
素早くスカートを抑えながら塀の上でしゃがみこんだその人が
首だけくるりと捻ってこっちを見た。

「いつまで見てんのさ。夏焼雅」

気付かれてた。うっかり顔がにやけてしまった。
嗣永桃子。もも。
私の友達……違うな。なんだろう。

306 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/22(木) 09:18:12.48 0

塀の上から得意げな顔してこっち見てる。
相変わらず意味のわかんない人。

「見てないし。バレないうちに逃げようと思ってたんだけど」
「ざんねーん。発見したのはこっちが先でした。だから塀の上で遊んでたのに」
「意味わかんないんだけど」
「ん?」
ももは塀の上から降りると、手を軽く2、3回払ってから
鞄を持ってこっちを見た。

「みやが見つけやすいようにしてあげたんだよ?」
「いや、やばい人見ちゃったな〜って」
「なんで」
「おかしいでしょ。だって普通塀の上に人いないもん」
「いることもあるの」
「わかった。見なかったことにしてあげる」
「いないことにしないでよ」
口尖らせて可愛いの。

「あっゴメン帰らなきゃもう時間がー」
袖まくって時計見るフリしたら、うわっとしがみついてきた。

「腕時計なんてしてないじゃん」
「ちょっと気安く触んないでもらえます」
「そんなこと言いながら喜んでる癖に」
「バッカじゃない」
無駄に道ばたで揉み合う。
顔見たら、めっちゃ笑ってるから
こっちもおかしくなってきちゃって
何してんだかわかんなくなってくる。

307 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/22(木) 09:19:00.19 0

この人のこと、別にいつも思っているわけじゃない。
忘れてる時間の方がずーっと長い。

小中一緒だったけどいっこ先輩。
先に中学を卒業していったときは
あぁ、いなくなっちゃうんだなと思ったけど
今までお世話になりましたとか、連絡先を交換したりとか
そういうの、らしくないと思って、遠くから見送った。
友情とは、何か違うの。

もう会えない、と思ったことは一度もない。
全然違う高校に通い始めたけど
だって会っちゃうんだもん。こんな風に。

「みやー!」
後ろから、クラスメイトの声がした。
ももはぱっと手を放すと「じゃ」少し照れたようにそう言って
私の返事も待たずに、ぱたぱたと坂を駆け下りて行った。
あ、久しぶりだったのに一瞬だった。
走り方全然変わらない。

「今のって、嗣永先輩?」
「うん」
「中学んとき懐かしー。何?連絡取り合ってんの」
「ん?ちがうちがう、たまたま会っただけ」
「うける、あの人昔っからみやに絡んでくるよね」
「やっぱそう思う?」
やっぱりそうなんだ。友達に言われて改めて思った。

あの人絶対みやのこと好きなんだよね。

308 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/22(木) 09:19:57.76 0

ーーー
撮影が押して帰りがすっかり遅くなってしまった。
そろり、と玄関を開けて、シューズケースに視線を送る。
よし。異常なし。

「みやおかえりー」リビングからももの声がした。
「……ただいま」
何かおかしい。ももから普通におかえりとか言ってくるなんておかしい。
部屋に入り、バッグを置きながらそれとなく観察する。
ソファに座っているももが何やら落ち着かなく見える。
「何かあった?」
「え?何にもないよ」
耳に髪をかけながら素知らぬ顔をする。なにその素振り。ものすごくわざとらしいんだけど。
ん?
近づくと後ずさりする。さらに距離を詰めると
ふわんと香った。

「わかった。みやのシャンプー使ったでしょ」
「んーん」
「何ごまかそうとしてんの、だってみやのシャンプーの匂いするし」
「気のせいだって」
「するって」
顔を近づけたら逃げようとするから、そのまま抱きついて
ソファに倒れ込んだ。騒ぐな。頭を掴んで鼻先を突っ込んでやる。ほら完全に
これみやの匂いだし。

ももは体を硬くして、震えてる。なに笑ってんの。
「なんで使った?」
「ほら、最近もも髪伸びたじゃん」
「そうだね」
「お高いシャンプーとか使ってみたら、どーなるのかなって」
ももの髪を指先に絡めて、軽く梳いた。つるんとしてる。
「勝手に使わないでよね」
「みやと同じの使いたいなぁ」
「甘えてごまかすな」
「そんなこと言いながら喜んでる癖に」
「バッカじゃない」

キツ目に言おうと思ったのに、なんだか甘くなった。
ももが柔らかい顔して笑う。誘うように指先が伸びてきて私の頬をなぞった。
こら誘ってくんな。

ーーー
その2につづく

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます