まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

544名無し募集中。。。2018/01/28(日) 08:49:58.360

一度は決心したのに、いざノートを取り出すと怖くなって書けない──という状況が続いていた。
みやは毎日心待ちにしているだろうなと思うと心苦しいのに、自分で勝手に作った壁を壊せずにいる。
催促のメールや電話は一度もなかったから、数日会っていないだけなのにもう何週間も会っていないような感覚に襲われた。今までだって何日か会わないことはあったのに、こんな感覚は初めてだった。

ノートを受け取ってからもう4日が経とうとしていた。今日は書かないと土日を挟んでしまうのはさすがにマズイ。それこそ本当に関係にヒビが入ってしまう。
今日は寄り道をしないで帰ろう。
掃除当番を終えて階段を下りていたとき、上の階から雅の声が聞こえた。

「えっみやもう帰んの?」
「ちょっと用事あって」
「そっかー。じゃあまた明日ねー」
「ばいばーい」

一緒にいる子は千奈美ちゃんかな。
階段を下りてくる足音が聞こえて、桃子は思わずその場で立ち止まっていた。
会いたいんだ。そっか。もも、みやに会いたかったんだ。
3年生のフロアまで下りてきたみやと目が合った時、なんだか胸が熱くなるのを感じた。

「もも、まだいたんだ」
「…掃除当番だったから」
「今、ちょっと話せる?」
「うん。同じこと思ってたところ」

雅に手を引かれて連れて行かれたのは、いつもと逆の方向にある屋上だった。
奥にあるベンチに二人で腰を掛ける。
「なんで今日は東棟なの?」
「だってあのまま引き返したら千奈美がいるんだもん。別にいていいんだけど、今日用事あるからって先に出てきちゃったんだよね」
「用事?」
「図書館行こうと思ってたんだよね。ももいるかなって。…たまにはこっちの屋上もよくない?」
「でもここ、吹部の練習場所でしょ?」
「大丈夫。ここ使ってる子2年生だから話せば使わせてくれると思う」
「……みやってすごいね。お友達たくさんいるんだね」
「全然そんなことない」
なぜか雅の表情が曇った。どうしたの、と聞くと視線を上靴に落とした。
「怖がられてるだけだから」
「え…なんで?」
「ヤンキーみたいで怖いって。逆らったらいじめられそうって思われてたんだって」
「誰から聞いたの、そんなこと」
「千奈美がトイレで話してるの聞いたって」
「ひどい……」
「今時ヤンキーとかウケるよね」

無理して笑ったのがわかった。こんなみやを見るのは初めてだった。いつもキラキラしているみやもこんな風に笑うことがあるんだ。
「…ももの前で無理して笑わなくてもいいんだよ?」
「え?」
「もものこと頼ってくれていいのに」
「もも…それ、みやと同じこと言ってる」

真似したわけでもなく、無意識に交換ノートにみやが書いたことと同じことを言っていた。
なんだかおかしくなって二人で笑い合った。なんでこんなことが楽しいんだろう。
こういう時間を大切にしていきたいと思った。だったらちゃんとホンネを伝えなきゃいけない。

546名無し募集中。。。2018/01/28(日) 08:54:46.860

「あのね、ノートのことなんだけど」

鞄からノートを取り出した。緊張してるのか手が震えてる。ここではぐらかしたら今までと何も変わらない。
なのに、そのあと話を切り出したのはみやの方だった。

「ごめん。ももの気持ちも考えないで勝手に一人で突っ走ってた。自分勝手すぎるよね。ほんとにごめん」
「違う。謝らなきゃいけないのも自分勝手なのも、ももの方だよ。ずっと書こうと思ってたのに、今日まで書けなかった」
「それはみやがノート押し付けたりしたから」
「違う。違うよみや。もも、すっごく嬉しかったの。みやがもものこと見ててくれて。だからもものために交換ノート用意してくれたのもすごく嬉しかった」
みやはまっすぐ見つめて話を聞いてくれていた。

「ももはね、騒ぎになるのが嫌で、何言われても何されてもニコニコ笑ってきた。でも…心の中はそうじゃなくて。だから、みやが本当のももを知ったら、嫌になっちゃうだろうなーってそう思ったら怖くて」
「怖い?」
「みやが離れていっちゃいそうで怖かったの。結局自分が傷付くのが嫌だった、ってことになるんだよね」
そんなことない、と雅は言いかけた。が、それを遮るように桃子は続けた。
「ううん。そうなんだよ。でもね、もものために行動してくれる人を傷付けたくないとも思ったんだ」
「…うん」
「だから、ちゃんとノート書こう伝えようって思ったんだけど、いざ書こうとすると勇気が出ないっていうか何て書けばいいのかわからなくなって……4日も経っちゃった」
「そっか……でも嫌いになんてなるわけないじゃん。ももが頑張ってニコニコしてるのも、みやは知ってるんだからね?」
「あ、バレてたかー…」
「それに、今ちゃんと話してくれた。それで十分だよ、ありがと」
「…まぁ……そうだね。こちらこそありがとう」

言われてみれば、交換ノートに書いて伝えようとしていたことを本人を目の前にして直接伝えていた。
あんなに踏み出せずにいたのにあっさりとその瞬間は過ぎてしまってなんだか拍子抜けする。

「あ…せっかくノート用意してくれたのに直接伝えちゃったら意味ない、よね」
「気にしなくていいよ。正直言うとね、みやも逃げてたんだ」
「…何から?」
「ももとこうやって話すことから逃げてた。学校じゃ時間ないとか理由つけたりして」
桃子は黙っていた。ただ黙って雅の話に耳を傾けていた。
「交換ノートしたいって思ったのはホント。でもももが言いたくないって思ってたとして、それを直接聞くのが怖いから交換ノートに頼ったところもあるってゆーか」
「そう…だったんだ……」
「でも、ノートなんて必要なかったね」
みやはニッコリ笑った。さっきの無理した笑顔とは違う顔でほっとした。

「交換ノートに頼らなくたって、ウチらはちゃんと向き合って話せるってことじゃん?」
「そうだね…そうだよね…!」
なぜか急に涙が出そうになったのを桃子はグッと堪えた。これはなんの涙だろう。初めて感じる感情だった。

お互いのことを知っているようで知らなくて、打ち解けていないようで打ち解けてて。
前よりもっとみやのとの距離が近くなったような、そんな感じがした。

547名無し募集中。。。2018/01/28(日) 08:58:35.770

「もうこのノート要らないね」

みやはももからノートを取り上げると、少し寂しそうに、でもどこか嬉しそうに呟いた。
「要るよ。もも やりたい。今度は直接言えないことじゃなくて、本当の交換ノートみたいに今日あったこととか、たくさん書こうよ」
「言ったね?みや間違いなく聞いたからね?」
「三日坊主じゃないって!」
「ホントかなぁ〜。あ、待って。みやが書いた最初の1ページ目、破ってもいい?」
「えっなんで」
「だって、なんか恥ずかしくなってきた」
雅はそう言いながらスイマーのリングノートからビリビリとページを切り離し始めた。
「じゃあそれ、ももにちょうだい」
「もらってどーすんの?」
「取っておくの。だってこれ、みやからの初めてのラブレターだもん。そうでしょ?」
そんなんじゃないし、とそっぽを向かれたけど、ぽっと赤くなった頬っぺたがその答えだって思ってるよ。

 
気がつけば、もう日が暮れ始めていた。急がないと屋上の鍵かけられちゃう、と慌てて二人で学校を後にした。

「今日 階段からみやの声が聞こえてきた時、会いたいって思ったの」
「なーんだ聞こえてたんだ」
「だからね、ノート渡すのは靴箱じゃなくてちゃんと会って渡したい。これからは」
「それってもう隠れてコソコソじゃなくて堂々と会いに行ってもいいってこと?」
「…うん」
「じゃあそうする。決まりね!」

きっと昨日の自分はこんなこと言えなかった。ここまでたどり着くまで遅かったのかどうかはわからない。
でも、いま自分に起きている面倒なこととか大変なことも全部、この右手にある温もりさえあれば乗り越えられる気がする。根拠のない自信かもしれないけど。
ももの隣にいてくれてありがとう、みや。
 
 
 
2009年6月3日 水曜日 くもり

今日は、ももちゃんの番だよ♡
聞いて!!
今日は日本史の小テストだったんだけどね、
昨日の夜 おうちで一生懸命漢字で書けるように覚えたのに、全部問題文に載ってたのー!!!
もうすっっっごいショック…昨日の時間を返してって感じだよぉー
テレビ見るのも我慢したんだよ?ももエライよね?
だから今日は頑張ったごほうびに購買でラスク買っちゃったんだー★
夜はママと一緒にギョウザを包んだよ♡
今度みやにも食べさせてあげるね♪

次は、♡みや♡ の番!!
 
 
おわり

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます