最終更新:ID:w3JWu73URw 2017年01月30日(月) 21:52:45履歴
226 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/29(日) 03:10:10.55 0
ーーー
ーーももじゃない人に触られても、みやって感じちゃうんだね
首を振る。そんなわけない。そう思うのに声が漏れてしまう。
片手でシーツを引っ掻く。指先で掴んだらあっけなく引き抜けて、そのままきつく握りしめた。
堅く閉じた腿の内側がぬるっと滑ってハッとする。嘘だ。こんなの嘘。
「みやに催眠をかけてみよーと思う」
何に影響されたんだか、そんなアホなことをももが言い出して、頭どうかしたんじゃないのと思いつつ
明日休みだし、ちょっと付き合ってもみてもいいかって、言われた通り横になった。どうしよう、笑いそう。
面白いからちょっとだけ、かかったフリしてみようかな。なんて最初は思ってた。
お互い “ごっこ遊び” のつもりだったはず。
そのうち、ゆっくりと低いトーンで響いてくる音が、だんだん心地良くなってきて
言葉が頭の中で溶けてくみたいになった。
ーー嫌なこととか疲れとかストレスとかぜーんぶなくなって、目が覚めたらすっきり楽になってるよ
それ、いい。降ってくる言葉のまま、呼吸に合わせて全身が重くなってきて
それから、全然力が入らなくなった。
ーー何が見える?
はじめに見たのはキラキラ淡い金色に輝く真綿に包まれた世界で、あったかくて柔らかいの。
転がったり潜ったり、髪が、肩が、大きく掻いた手が、曲げた膝が、爪先が
触れたところから溶けていった。息を吸えば頭の中もふんわりと蕩けた。
ーー次に目を開いたら、自分の部屋のベッドの上だよ
さん、にぃ、いち。
ゆっくり目を開けたら、誰だか知らない人が、みやの体に触れていてビクッとする。
なんで?……なんでこんなことになったの。
ーーみやが連れ帰ってきたんでしょう?
そう……だっけ。イヤ、触んないで。首筋に触れる指を振り払った。
ーー嫌なのに感じてるの
なにそれ。感じてなんかない。体を駆け上がってくる感覚に目を瞑る。容赦なくまた手が伸びてきた。
227 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/29(日) 03:10:52.63 0
不快なだけの指先が、体を勝手に扱う。心が引きはがされる。
さっき真綿の中で感じた快感が、触れられる場所のあちこちに落とし込まれて、必死にもがいた。
ーーそんなに声上げて、気持ちいいの?みや
首を振る。何度も振った。
助けて
「助けて、もも」
絞り出すような本心だった。言葉にしたら、想いが込み上げて涙が滲んだ。
お願い、助けて。こんな場所から救い出して。
「……っく、んっ…えっ」
泣き出したみやを、誰かが見下ろしていた。知らない。泣くもん。
子供みたいに泣いてやる。
もものことだけが好きなの
それだけは揺らいだりしないから
こんな世界に、負けたりしないから
耳元で、ぱちんって音がした。
「みや」
すぐ近くでももの声がして、ぎゅっと閉じていた目を開ける。すぐ前に、真っ白な顔したももがいて。
うっすら緊張した顔で「大丈夫だから」って言った。
ああ、助けに来てくれた。みやのために来てくれたんだ。そう思って、しがみつくと
すぐ受け止めて抱いてくれた。
「んんっ……」泣きすぎて引き攣ってる頬を、また涙が勝手に幾筋も流れた。
必死に背中を掻き抱く。腰に腕を巻き付けて、かたちと匂いを確かめて、ホッとする。ももの体。離したくない。
「もも……ももじゃなくちゃイヤなの、ぜったいにイヤ」
興奮して口走っていた。
ももはきつくきつく抱きしめてくれて、小さな声で「うん」って言った。
「ごめんね、みや」
そう言って、みやの涙を舐めた。舌先が目の縁をなぞる。このまま、離さないで。
ぼぅっとする。幸せだった。今、愛されてるって強く強く思った。
だけど頭のどこかでは、全部ももに仕掛けられたことだって、わかっている。
ごめんね。の意味もわかっている。
いいよ。それでも構わない。
ーーー
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ーーももじゃない人に触られても、みやって感じちゃうんだね
首を振る。そんなわけない。そう思うのに声が漏れてしまう。
片手でシーツを引っ掻く。指先で掴んだらあっけなく引き抜けて、そのままきつく握りしめた。
堅く閉じた腿の内側がぬるっと滑ってハッとする。嘘だ。こんなの嘘。
「みやに催眠をかけてみよーと思う」
何に影響されたんだか、そんなアホなことをももが言い出して、頭どうかしたんじゃないのと思いつつ
明日休みだし、ちょっと付き合ってもみてもいいかって、言われた通り横になった。どうしよう、笑いそう。
面白いからちょっとだけ、かかったフリしてみようかな。なんて最初は思ってた。
お互い “ごっこ遊び” のつもりだったはず。
そのうち、ゆっくりと低いトーンで響いてくる音が、だんだん心地良くなってきて
言葉が頭の中で溶けてくみたいになった。
ーー嫌なこととか疲れとかストレスとかぜーんぶなくなって、目が覚めたらすっきり楽になってるよ
それ、いい。降ってくる言葉のまま、呼吸に合わせて全身が重くなってきて
それから、全然力が入らなくなった。
ーー何が見える?
はじめに見たのはキラキラ淡い金色に輝く真綿に包まれた世界で、あったかくて柔らかいの。
転がったり潜ったり、髪が、肩が、大きく掻いた手が、曲げた膝が、爪先が
触れたところから溶けていった。息を吸えば頭の中もふんわりと蕩けた。
ーー次に目を開いたら、自分の部屋のベッドの上だよ
さん、にぃ、いち。
ゆっくり目を開けたら、誰だか知らない人が、みやの体に触れていてビクッとする。
なんで?……なんでこんなことになったの。
ーーみやが連れ帰ってきたんでしょう?
そう……だっけ。イヤ、触んないで。首筋に触れる指を振り払った。
ーー嫌なのに感じてるの
なにそれ。感じてなんかない。体を駆け上がってくる感覚に目を瞑る。容赦なくまた手が伸びてきた。
227 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/29(日) 03:10:52.63 0
不快なだけの指先が、体を勝手に扱う。心が引きはがされる。
さっき真綿の中で感じた快感が、触れられる場所のあちこちに落とし込まれて、必死にもがいた。
ーーそんなに声上げて、気持ちいいの?みや
首を振る。何度も振った。
助けて
「助けて、もも」
絞り出すような本心だった。言葉にしたら、想いが込み上げて涙が滲んだ。
お願い、助けて。こんな場所から救い出して。
「……っく、んっ…えっ」
泣き出したみやを、誰かが見下ろしていた。知らない。泣くもん。
子供みたいに泣いてやる。
もものことだけが好きなの
それだけは揺らいだりしないから
こんな世界に、負けたりしないから
耳元で、ぱちんって音がした。
「みや」
すぐ近くでももの声がして、ぎゅっと閉じていた目を開ける。すぐ前に、真っ白な顔したももがいて。
うっすら緊張した顔で「大丈夫だから」って言った。
ああ、助けに来てくれた。みやのために来てくれたんだ。そう思って、しがみつくと
すぐ受け止めて抱いてくれた。
「んんっ……」泣きすぎて引き攣ってる頬を、また涙が勝手に幾筋も流れた。
必死に背中を掻き抱く。腰に腕を巻き付けて、かたちと匂いを確かめて、ホッとする。ももの体。離したくない。
「もも……ももじゃなくちゃイヤなの、ぜったいにイヤ」
興奮して口走っていた。
ももはきつくきつく抱きしめてくれて、小さな声で「うん」って言った。
「ごめんね、みや」
そう言って、みやの涙を舐めた。舌先が目の縁をなぞる。このまま、離さないで。
ぼぅっとする。幸せだった。今、愛されてるって強く強く思った。
だけど頭のどこかでは、全部ももに仕掛けられたことだって、わかっている。
ごめんね。の意味もわかっている。
いいよ。それでも構わない。
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