181名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/14(月) 18:43:06.680
楽屋の隅のソファが、ももの定位置。
そこでうずくまったももは、大きく肩で息をしていた。
体調でも、悪いのかな。
話しかけようとして、ぎょっとした。
声を上げなかっただけ、褒められてもいいくらいだと思った。
手の甲一面に浮かび上がる、真っ赤な爪痕。
思わず肩を掴むと、ももは体を竦ませた。
後から思えば、きっとももは戦っていたんだ。
厄介な自分自身と。
なに、と平坦な声がして、うちは言葉を見失った。
何か言いたいことがあるわけじゃない。
ただ、止めさせたかっただけ。
どうせ衣装で手袋つけるし大丈夫。
そういう問題じゃない。
楽屋の端っこで交わされる、小声の問答。
佐紀ちゃんの一声でその場は流れたけれど、そのまま終わらせられるわけなかった。
183名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/14(月) 18:46:59.920
仕事が終わると、ももは誰よりも早く楽屋を出た。
うちも鞄を引っ掴んで、先を行くももを追いかける。
なんで、あんなこと。
追いついて、真っ先に出たうちの問いかけは、ぴしゃりと遮られた。
ごめん、早く帰りたいんだけど。そう言うももは、どこか焦ってるようにも聞こえる。
突き放されて、足が止まりそうになるのをグッと堪えた。
うちにできることなら、何だってする。
腕をつかむと、ももは大きく息を吐いた。
何だって、なんてさ。軽率に使っちゃだめだよ。
そう地面に吐き捨てて、ももはゆっくりと顔を上げる。
上気した頬と声との温度差に、全身が粟立った。
ももに連れて行かれた場所は、寄り道なんて可愛い言葉では表せそうにない。
引き返してもいいよ、と示された選択肢は突っぱねた。
こんなところに来たのも初めてなら、誰かを組み敷くのだって初めて。
でも、それをわざわざ言いはしなかった。
何だってするって宣言したから。
笑っちゃうほどちっぽけなプライドが、今はうちを真っ直ぐに立たせていた。
うちの指一つで、ももが喘ぐ。
それは、吐きそうなほどに甘ったるい時間だった。
184名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/14(月) 18:50:44.300
こんなにも人の欲望が底なしだなんて、思いもしなかった。
怠すぎて、起き上がる気力さえない。
うちの体は限界だったけれど、ももの目の奥にはまだ熱が燻っていた。
こんなの……今まで、どうしてたの?
ついつい、そんな疑問が口をついた。
咎めるだとかそんな意味じゃなく、純粋に気になった。
今の世の中、やりようはいくらでもあるからねえ。
曖昧に笑って、ももの手のひらに押し倒される。
抗議の言葉は、あっさりと喉の奥に逆戻りした。
今度はみやの番ね。
誤魔化されたと分かっていても、従う以外に道はなかった。
トロトロとした夢の中で、ドアの閉まる音を聞いた。
たぶん、気のせいじゃない。
起き上がろうとしたら、体が拒んだ。うん、限界だわ。
朝、目を開けるとももは何もなかったようにシーツに包まっていた。
その髪を掻き分けると、匂い立つ棘のある香りが鼻を突き刺した。
楽屋の隅のソファが、ももの定位置。
そこでうずくまったももは、大きく肩で息をしていた。
体調でも、悪いのかな。
話しかけようとして、ぎょっとした。
声を上げなかっただけ、褒められてもいいくらいだと思った。
手の甲一面に浮かび上がる、真っ赤な爪痕。
思わず肩を掴むと、ももは体を竦ませた。
後から思えば、きっとももは戦っていたんだ。
厄介な自分自身と。
なに、と平坦な声がして、うちは言葉を見失った。
何か言いたいことがあるわけじゃない。
ただ、止めさせたかっただけ。
どうせ衣装で手袋つけるし大丈夫。
そういう問題じゃない。
楽屋の端っこで交わされる、小声の問答。
佐紀ちゃんの一声でその場は流れたけれど、そのまま終わらせられるわけなかった。
183名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/14(月) 18:46:59.920
仕事が終わると、ももは誰よりも早く楽屋を出た。
うちも鞄を引っ掴んで、先を行くももを追いかける。
なんで、あんなこと。
追いついて、真っ先に出たうちの問いかけは、ぴしゃりと遮られた。
ごめん、早く帰りたいんだけど。そう言うももは、どこか焦ってるようにも聞こえる。
突き放されて、足が止まりそうになるのをグッと堪えた。
うちにできることなら、何だってする。
腕をつかむと、ももは大きく息を吐いた。
何だって、なんてさ。軽率に使っちゃだめだよ。
そう地面に吐き捨てて、ももはゆっくりと顔を上げる。
上気した頬と声との温度差に、全身が粟立った。
ももに連れて行かれた場所は、寄り道なんて可愛い言葉では表せそうにない。
引き返してもいいよ、と示された選択肢は突っぱねた。
こんなところに来たのも初めてなら、誰かを組み敷くのだって初めて。
でも、それをわざわざ言いはしなかった。
何だってするって宣言したから。
笑っちゃうほどちっぽけなプライドが、今はうちを真っ直ぐに立たせていた。
うちの指一つで、ももが喘ぐ。
それは、吐きそうなほどに甘ったるい時間だった。
184名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/14(月) 18:50:44.300
こんなにも人の欲望が底なしだなんて、思いもしなかった。
怠すぎて、起き上がる気力さえない。
うちの体は限界だったけれど、ももの目の奥にはまだ熱が燻っていた。
こんなの……今まで、どうしてたの?
ついつい、そんな疑問が口をついた。
咎めるだとかそんな意味じゃなく、純粋に気になった。
今の世の中、やりようはいくらでもあるからねえ。
曖昧に笑って、ももの手のひらに押し倒される。
抗議の言葉は、あっさりと喉の奥に逆戻りした。
今度はみやの番ね。
誤魔化されたと分かっていても、従う以外に道はなかった。
トロトロとした夢の中で、ドアの閉まる音を聞いた。
たぶん、気のせいじゃない。
起き上がろうとしたら、体が拒んだ。うん、限界だわ。
朝、目を開けるとももは何もなかったようにシーツに包まっていた。
その髪を掻き分けると、匂い立つ棘のある香りが鼻を突き刺した。
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