まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

608名無し募集中。。。2017/10/23(月) 16:46:45.610

ひどい顔、と佐紀ちゃんの声がする。
楽屋の片隅、目の前に据えられた鏡に自分の顔が映っていた。
言われるまでもなく、自覚はある。
昨晩のももとのやりとりが、全身に絡みついたままだった。

振り回されるだけだって言ったじゃん。

眉を落とした佐紀ちゃんが、ため息交じりに言うのが聞こえた。
今更そんな優しい声で話しかけられたって、届きやしないのに。

好きにしたらいいって言った。

こちらに差し出された綱を、投げやりな気持ちで断ち切った。
ももの態度も、全部諦めたような作り笑いも、吐きそうなほど最低だった。
けれど何より最低なのは、言われるままにあの場から離れた自分自身だと思う。

そうは言っても心配なの。

哀れむでもなく呆れるでもなく、凪いだ海を思わせる声に耳を撫でられた。
刺々しい気持ちが少し収まったのを感じながら、佐紀ちゃんを見やった。

609名無し募集中。。。2017/10/23(月) 16:47:26.640

誰でも、いいんだって。

ももの言葉を反芻すると、虚しさが胸の奥で弾けた。
薄っぺらかった言葉が、一気に厚みを持つ。

じゃなきゃ、お金で解決しようなんて思わないでしょ。

追い討ちをかける言葉が、さらなる重さを伴って腹の底に沈んだ。
佐紀ちゃんが忠告をしてくれた時点で、それは自明のことだった。
うちは、分かっていたつもりで、実は何も理解してなかった。

でもやっぱり、おかしいよ。誰とでも、寝れるなんて。

うちが言えたことじゃないと分かっていても、吐き出さずにはいられない。
乾いた笑いが隣から聞こえた。

ももが、そういうの判断できるような状況だと思う?

わかってるでしょう、と同意を求める佐紀ちゃんの視線が刺さる。
言われなくても、痛いほど実感していた。
行為を求める時のももは、何かに取り憑かれたみたいに別人だった。
ぎらつく瞳は、人間というよりも。獣に類する何か。

自分が特別だって思うの、やめた方がいいよ。

無理矢理に瞼を開かれて、見たくもないものを突きつけられる。
残酷な佐紀ちゃんの言葉は、けれど優しさなのだとも分かっていた。
好きにすればって、言ったくせに。

ももは、みやがいなくても生きていけるんだから。

もう、やめて。
叫びは喉に引っかかり、溺れた時のように息が詰まった。
声の代わりに、捩れた喉から派手な咳が漏れた。

610名無し募集中。。。2017/10/23(月) 16:47:55.590

寝不足の時は何よりも眠気が勝つし、お腹が空いたらとりあえず何だって食べたくなるでしょ。

それと一緒だから、とつぶやく佐紀ちゃんの横顔は、うちよりずっと大人に映る。
佐紀ちゃんもまた、ももとは違うところで何かを諦めたのかもしれない。

でもグループを潰したいわけじゃないし、ももはももで頑張ってるの知ってるから。

キャプテンとしてできることをやってるだけだよ、と佐紀ちゃんは言葉を収める。
壁のあたりをうろついていた佐紀ちゃんの視線が、やがてぴたりと鏡の中のうちに定まった。
穏やかな微笑みを、今度は素直に受け止める。

うちには、何ができるんだろう。

佐紀ちゃんはきっと、答えを知っていても教えてくれない気がした。

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