〜オッサンVS幼女 その6〜

初出スレ:6代目112

属性:男(34歳)×少女(9歳)





衝撃!!
おっちゃんの娘は娼婦だった!!



「男の人に無理矢理エッチなことをさせられるんだって。」

うん、それは知ってる。
いかにもお前の好きそうな仕事だな。

「好きでもない人にそんなことしなきゃいけないなんて、酷いと思う。」

――と思いきやそれぐらいの分別はあったのかお前。
そうか、流石に嫌いな奴にまで身体寄越したりはせんか。

「それで生活に嫌気が差して逃げたらこうなった、と。」

少女に視線を戻す。
まだ俯いて泣いている。

「そう、です…。」

「泣いてるのは、俺があのおっちゃんの所にまで連れ戻すと思ったからか?」

「…あそこにだけは、帰りたくないんです。
 ここから助けて下さったことは、感謝します…
 でも…あそこに戻ったら…意味が、無いんです…。」

よっぽど娼婦生活が嫌らしい。
濃い客の濃い要求にでもいじめられてトラウマになったか?

「…そうか。」

「ねぇおじさん。」

どうした。
そしてお前はいつまで俺に抱きついてる気だ。
汗でべとつくぞ。

「おねえちゃんを助けてあげられないの?
 このままじゃ、かわいそうだよ。」

随分と肩入れするな。ついさっき会ったばっかりじゃねぇの。



「ここで捕まってる間に仲良くなったのか?」

「朝起きたらこんな所に閉じ込められてて、おじさんもいなくて…
 すごく怖かったんだけど、おねえちゃんが側にいてくれたから。」

それで二人抱き合って気を紛らわしてたのか。
なんというバイ。
そんな所まで前の「お姉ちゃん」の性質を忠実に受け継いでいたと言うのか。

「おねえちゃんも男の人は怖いみたいだけど、わたしなら平気だって。」

向こうもイケるクチか。
百合百合だな。

それと、お前ほんと他人に心開くまでの時間無さ過ぎだろ。
オッサンがいなきゃ、たまたま側にいたお嬢さんにまで毒牙にかけんのか。
なんという見境の無さ。
散々腐れビッチ呼ばわりしてきたがまだ飽き足らぬと言うか。

「…ねぇ、どうにかしてあげようよ。」

「どうにか、っつってもな。」

新しい就職先でも斡旋しろってか?

「…逃がして、くれませんか?…どこかに。」

すると、少女が訴えかけてきた。

「あの人に見つかったら、絶対またあそこに戻されて…
 見つかる前に、私をどこかに逃がして下さい…お願いです…。」

成程な。
確かにどっかに消えてしまえば戻る必要も無いだろう。
だが。

「どこか、ってどこだよ。」

「どこでも、いいんです。出来るだけ遠くに行って、見つからなければ…。」

「一人で逃げるのか?」

「…え?」

あんたのその提案は、承諾しかねる。

いい加減に俺にくっつき続けるこのビッチ幼女も適度な所で引きはがしておき、
頭に手の平だけ乗せてやっておきながら、俺は言葉を続けた。


「逃げた矢先にとっ捕まってこんな所に押し込まれたんだろ?
 またこっから逃げても、こんな治安も良くない街で、一人で誰にも頼らずに生きていくことができるか?」

「…!!」

俺の言葉に衝撃を受けている。
…あんたの提案は。

「娼婦やってた、ってつまり娼館で働いてたんだろ。」

「…はい。」

「金で女の身体売り買いするとか、俺も酷い仕事だと思う。
 俺としても嫌いな類の商売だ。それで儲けてる連中とか最悪だな。」

「…。」

「けどな。そこで働いてる限り、あんたも店の存在が後ろ盾になっていた、ってのも事実だ。
 だから…。」

「…ぅ…。」

「…店から逃げたせいで、誰にも護ってもらえなくなったあんたは、
 こうやってあっさりヤバい男に捕まったんだ。」

「…ぅあ…。」

とにかくどこかに逃がして、って後先を一切考えてないあんたの提案はな。
所詮子供の一時凌ぎ…いや一時すら保つかどうかも危うい、拙い即興案に過ぎないんだよ。

「むしろ今回は捕まってすぐには手を出されなかっただけマシなぐらいだ。
 ここよりもっとヤバい変態に捕まってりゃ、『店のルール』に護られることもないせいで
 店で客の相手する時より更に酷い目に遭ってた可能性もある。」

「……やめ…て…。」

俺も至近距離に幼女置きながら娼館の話とかあんまりしたくねぇよ。
こいつビッチだからまだいいけど。

「…また一人だけでどこへともなく逃げる、ってこういうことだ。」

「う……。」

…意地悪が過ぎたか。
えらくボロ泣きされてしまった。

「…どうするの、おじさん。」

いやぁほんとどうしたもんだろうな腐れビッチよ。

「とりあえずまぁ一旦帰るぞ。疲れてんだよ、俺。」

お前は寝起きだったっぽいが、徹夜なんだよこっちは。



「おねえちゃんも一緒だよね?」

「一先ずはな。一人でここに置き去りじゃあ、それも危ねぇ。」

少女を手招きする。

「…あ。」

「今はとりあえず一緒に来てくれ。どうするかは後で考えよう。」

少し悩んだ素振りの後、彼女は無言で頷いた。
…とりあえず、おっちゃんの所に突き出すかどうかは、帰ってから考えよう。



ビルを下りる。

所々雑魚を喰い散らかした痕跡が広がってるのは、あのオッサンがやったのか。
無惨な事後もあったもんである。

一階まで来て外に出てみると、玄関でオッサンが座り込んでいた。

「おう、お疲れさん。」

「…フン。」

声をかけてみたが素っ気ない。
オッサンは顔や服など所々に細かい切り傷が見えるぐらいで、実質ほぼノーダメージだった。
流石である。
むしろ俺も合わせて流石だよな俺ら。



「いやぁ、流石だ。よくやってくれたよ君達。」

…と、そのタイミングで実際に口で流石と言う評価を下して割り込んだのは。

「まさか連中を丸ごと粉砕とは。予想以上だよ。」

もうついたのか。早い。来た、紳士来た。チビデブ紳士来た。
お前も徹夜で張ってたのかよオイ。

「おっちゃん…。」

「さて、うちの娘は?」

問題の少女は、慌てて俺の背後に身を隠した。

…やれやれ面倒臭い展開になった。
このおっちゃん無視して帰宅してそれから作戦考えるつもりだったのに。




「その前におっちゃんって娼館の店主だったのか?」

「…ああ、聞いているのか。その通りだよ。」

揺さぶってみても案外動じない。
いや、もうちょい揺すってみるか。

「その辺誤魔化してたよな。娘がさらわれた、とか言って。」

「人聞きが悪いな。娘も同然だってことさ。」

ほう。
娘も同然って言う嬢ちゃん本人はアホほど嫌がってるんだけどな。
なかなかふてぶてしい奴だ。

「この子、あんたが嫌で逃げたらしいんだが?」

身体は振り向かず、真後ろにいる人間に親指をさす。

「恥ずかしがりな子でね。」

「あんたン所で働くのもう嫌だってよ。」

「…。」

お、黙り込んだ。

「とにかく君にはその子を取り戻すことを頼んだだけじゃないか。
 早くこちらに返してくれないか?そこから先は君の立ち入る領域じゃないだろう?」

話題逸らしやがった。このデブめ。
神経まで太いな。

「取り返してきた礼は?」

「何?」

「礼は弾むんだろ?約束果たしたからには。」

「…おっと、そういう条件だったな。」

おいおい今の今まで忘れてたのか?
俺からすればそこが一番重要であるべきだろうに。

「それでは是非うちの店に来てはくれんか?」

…おいコラ。
私に聞ける範囲ならどんな要求でも呑もう、って言ってたのすら忘れたか。
自分から内容を決めてどうする。




「君が望む通りの娘を用意しようじゃないか。何ならその子でも――」

「金で女買う趣味は無ぇよ。」

「ッ…で、では君は?」

「興味が無い。」

オッサンにも突っぱねられてやんの。
流石オッサン。見た目に違わず硬派だ。
ここで「じゃあ是非」とか言い出してもそれはそれで面白い展開になったかもしれんが、
とりあえず俺の期待通りだ。

「ッ…これは無礼な申し出だったか…すまないな。」

紳士に焦りが見えてきた。
いや割と下衆い本性がバレつつある現状でまで、紳士の称号で通してやる必要も無いか。

「では君達の力を見込んで、うちの用心棒に――」

「女売る商売に加担する気も無ぇよ。」

「ッ…君は…。」

「…聞くまでもないと思うが?」

オッサンも大概ウザがっていらっしゃる。
キレかかってんじゃね。

「給金は弾むよ!なんたってウチはこの辺の界隈でも最大手で――」

「知らんがな。」

しつこいな。油汚れか。

「もしかして最大手だから脱走者が出たとか、そういうの露呈させたくないわけ?」

「…そうだよ、よくわかっているじゃあないか。」

ぬ、おっちゃんの顔色が変わった。

「だから…この件に直接関わった君達には、口封じをさせてもらおうか?」

言うや否やおっちゃんが指パッチン。
ほお、デブでもできるのか。
いやそりゃ偏見か。

「正直君達には適当に撹乱でもしといてもらって、
 適当な所で勝手にやられといてもらうのが一番都合が良かったんだが…
 まさか本気で全部潰して大成功、とは予想外だよ。」




強面のお兄さんが、どこからともなく四人もやって来なすった。
いわゆるボディガードとかSPの類のようだ。

「そういうわけで丸めこもうかと思ったんだがね。
 それもできないとあらば…こういう手段も辞さないよ、私は。」

ほほう、そうきたか。
まったくこちとら徹夜で大乱闘し続けてやっと終わったと思ってたってのに。
まーだ俺に戦えってか。
上等。

「おじさん…。」

「下がってろ、二人とも。」

こういう状況だと邪魔な幼女と少女はできるだけ後ろに下げておく。

「オッサン。」

「…。」

返事くれよ。
が、目つきが明らかに戦闘モードなので、問題は無い物として処理しておこう。

「…お疲れのところ悪いね、君達。」

「本当に疲れてるんでな。手短に頼むわ。」

タヌキ親父め。
何やらいかにも悪人的ないい笑顔を浮かべながらガードマン4人衆を差し向けてくる。
が。

生憎と。

そんなもんで。

俺達が止まったりは。

しないんだな、これが。

「――なッ!?」

襲いかかって来た刃物に自分の刀をブチ当てた。
砕けた。
向こうの刃が。

よしよし、結構久々に握ったが感覚は鈍っちゃいねぇ。
その調子で―――








「――さて、こっちこそ悪いな、おっちゃん。」

「…ぅひッ…!?」

オッサンと二人ずつ潰して四人、だ。
すまねぇな、世の中何でも自分の思い通りには運ばんよ。

ちなみに武器破壊は刀で行ったが、連中は拳で沈めたので安心して欲しい。

「あの嬢ちゃんのことだけどな。」

とりあえず、いい加減本題に戻ろうじゃないか。
あんたの部下とドツき合ってる間に思考もそれなりに固まったし、な。

「ど…どうするつもりかね…?」

「あんたの所には返せねぇな。」

本人も嫌がってるし。

「…そうか。しかしそうは、言うがな。彼女は一人で生き残る力も、社会に取り入る教養も無い。
 結局はウチの店に留まっておくのが一番安全なんだよ。」

この状況下でまだ食い下がるか。
図太いな流石デブ神経図太い。

「で、年食って売れなくなったら捨てるのか?」

「ぐッ…!!」

図星かよ。
所詮娼婦なんぞ使い捨ての駒だわな。
よくもまぁ、娘だなんて言い張れたものである。
…つくづく反吐が出る商売だ。

「だからなぁおっちゃん。嬢ちゃん取り戻したお礼っつーことで。」

「…なに、かね。」



「あの嬢ちゃん買い取らせてくれ。」











「…と、いうわけでだ。もうお互い結構疲れてるし、一旦帰らねぇ?」

「いいだろう。」

「明日改めて…でいいか?」

「承知した。」

なかなか話が通じる奴で助かる。

「…だが一つ、言わせてもらう。」

お、どうしたんだオッサン。
あんたから話を振るとは。

「『そんなもの』を…一つどころか二つも抱えたまま戦い続ければ、
 いずれ足元を掬われるのは目に見えている。今回だってそうだろう。」

「何とかなったじゃねぇか。少なくとも今回は。」

「今回は、な。次も同じだと言い切れるのか。」

何だよ、意外と喋るんじゃねぇかオッサン。

「心配ありがとよ。」

「…フン。」

素直じゃないな、まったくこのツンデレめ。

「でもま…何とかしていくさ。これからもな。」

「どうやって、だ。」

そんなもん決まってるだろ。

「俺が強くなりゃいい。何があっても何とかできるぐらいにな。」

「…忠告はしたぞ。」

「おう、ありがとな。」

「……精々、強くなるがいい。」

ま、そういうわけだ。



というわけで。

「帰るぞ、お前ら。」

「うん。」

「…。」

「おねえちゃん、ほら。」

「…はい!」






あまり眠気を無視して起き続けると、いつの間にか眠気も半分ほどは消え去る。
が、残り半分は中途半端に留まり続けるがために
「起きてはいられるが意識の奥底に眠気が潜み続ける」というややこしい状態が出来上がる。

徹夜後特有の奇妙な覚醒感と疲労感を味わいながら
シャワーを浴び。
お腹空いたとせがまれ。
そういえば俺もちょっとは何か口に入れたいと思って軽食を作り。
食って歯磨いて。
欠かすと気分悪くなる整理体操だけはして。

思いっきり寝る。
真っ昼間から力の限り爆睡し――ようとしてると。

「おねえちゃんも一緒に。」

「えっ…!?」

こらそこ、一つのベッドで三人とか正気かコラ。

「…隣のベッドで二人で寝ろ。」

「や。」

「えええ…!?」

嬢ちゃんも困惑してるだろうが。

「気持ちいいよ?」

誘惑すんな。



「…………それ、なら。」

…え、嬢ちゃん何。

「あの…いい、ですか?」

……おいィ。






夜。
二人を寝かせてから。

俺はワクワクしながらオッサンの下へ赴いたとさ。


関連ページ/〜オッサンVS幼女 その5〜 /


2012年03月09日(金) 17:30:26 Modified by ID:2C3t9ldb9A




スマートフォン版で見る