介護保険法の目的

介護保険法の目的は、要介護者等について、これらの者が尊厳を保持し(改正で尊厳の保持を追加)、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険医療サービスおよび福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、国民の保険医療の向上および福祉の増進を図ることとされている。≪第1条≫


高齢者を取り巻く環境

    • 85歳以上のおよそ二人に一人が、要支援又は要介護の認定を受けている。
    • 要支援又は要介護の認定を受けた者のいる世帯の約5割が、単独世帯又は核家族世帯である。
    • 高齢者の子との同居率は低下してきている。
    • 自宅で高齢者の介護をしている者は、5割以上が60歳以上の高齢者である。
    • 介護者の過半数は女性が占めている。




介護保険制度とは

介護保険制度の変遷と動向

介護保険制度設立前は老人福祉法と老人医療制度に分立していた制度を、それぞれの良い点と、両制度の現実とギャップを埋めることができるように再編成し、新たなシステムとして介護保険が導入された。

老人福祉制度
【措置から契約へ】行政機関(市町村)による『措置』決定にもとづくものであった。
介護保険制度導入の背景となった老人福祉制度が抱える課題(問題点)
〈老人福祉制度〉措置制度 〈介護保険制度〉社会保険方式
公費を財源とする保険料を財源の一部とする
応能負担応益負担
行政の措置(行政処分)によるサービスの利用利用者の自由なサービスの選択と契約
サービス量の不足が課題(⇒社会的入院の増加)民間活力の活用によるサービス量と質の確保


後期高齢者医療制度(旧・老人保健制度)
老人福祉で介護を受けるより医療機関に入院したほうが中高所得層では負担額が低いことにより、本来急性治療を目的とする一般病棟に長期入院し続けるという「社会的入院」という事態を引き起こしていた。このことで、急性期の治療を必要としない高齢者を、介護目的で処遇することが、医療費の適正化の観点からも問題とされていて、さらに、一般病院は食堂、浴室などの整備の点でも高齢者の長期療養の場としての環境が十分でなかった。介護保険の導入により問題解決を図ることが期待された。




介護保険制度

介護保険はみんなで支え合う制度。本格的な超高齢社会を迎え、介護が必要な高齢者が急速に増え、介護する人の高齢化も進み、各家族化、就労する女性が増加したことにより、家族だけで介護することは難しくなってきている。老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支えるしくみとして「介護保険制度」ができた。
  • 介護保険制度は社会保障の一つで、利用者本位を重視し、契約によりサービスを利用する制度である。
  • 市町村・特別区が運営し、40歳以上の人が加入者となって、介護や支援が必要とされたときにサービスを利用できる。



介護保険制度の実施状況

    • 第1号被保険者数が第2号被保険者数を上回ったことはない。
    • 要介護度別の増加率を平成12年度末と平成17年度末で比較すると、要支援又は要介護1の認定を受けた者が大幅に増加している。
    • 施設サービス利用者数は、居宅サービス利用者数よりも少ない。
    • 制度創設以来平成17年度までを通じて、要介護5の認定を受けた者は、要支援又は要介護の認定を受けた者全体の1割程度を占めている。





保険者(運営主体)

保険の運営主体のことを「保険者」と呼び、介護保険の場合、保険者は市町村。(東京都では特別区の23区が保険者)保険料の徴収、要介護認定、保険給付などの業務を行なう。また、国・都道府県も運営を支援している。

主な運営の内容

  • 保険料の金額を決め、保険料を集める*1
  • 介護保険被保険者証の交付
  • 要介護認定
  • 介護保険事業計画を策定し、介護サービスの確保や整備を行う
  • 地域包括支援センターの運営





被保険者(介護保険の加入対象者)

65歳の誕生月の月末までに郵送で届く。保険へは年齢により自動的に加入するので、ご本人が加入の手続きをする必要はない。
被保険者は年齢によって2つのグループに分かれる。
区 分 対 象 者
第1号被保険者65歳以上の方*2
第2号被保険者40歳以上65歳未満の方で医療保険加入の方*3


第2号被保険者が介護保険の給付対象となる特定疾病
筋委縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症
多系統委縮症
脊髄小脳変性症
早老症(ウエルナー症候群)
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
パーキンソン病関連疾患
閉塞性動脈硬化症
関節リウマチ
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
●初老期における認知症*4
●脊柱管狭窄症
●がん末期*5

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