ずん体実験 その1
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spacezunda581 2023年02月01日(水) 17:40:11履歴
作者:スペースずんだ 
皆さんは耐性菌というものを知っているだろうか？
抗生物質を使い続けて、薬に対する抵抗力が高くなり耐性を持った菌のことだ。
我々の生産活動に悪影響を及ぼす憎き『ずんだ虫』にも、この耐性菌のように薬品に高い抵抗力を持った『耐性ずん』が存在する。
今回はこの耐性ずんが発生する要因と、このずんだ虫に対抗できる新しい製品の研究を紹介しよう。
先月、私はある製薬会社の研究室に招かれた。
なんでも、研究員の殆どが人型の『ずんだもん』で構成されているそうだ。
研究棟入り口付近には清潔感のある服装のずんだもんが立っていた
『遠路はるばるお越しくださり誠にありがとうございますのだ。私がこの研究室の所長ずんだもんです。所長とお呼びください。』
近年ずんだ餅の質の向上により人類と同等、又はそれ以上の知能を持つ個体が増えていると噂になったが、これは驚いた。
本当にあの『ずんだ虫』と祖先を同じとする生物なのか？そう思わせる程に余りにも知性が溢れ出ていた。
私は建物内を歩きながら所長と会話する。
『僕たちはこの研究棟で実験・研究を重ね、様々な製品の元となる技術を生み出しました。
今薬局で売られているずんジェットなんかもそのうちの一つです。』
「具体的にはどの様な研究を主に行っているのですか？」
『...それは実験動物を使用したものです。
同じ薬品を使用しても生物によって効果は違いますからね。』
所長が口を濁す。実験動物に何か秘密があるのか？
『着きました。ここが動物実験を行う研究室の入り口です。本来関係者以外は立ち入り禁止なのですが、今回は特別ですのだ。』
入り口は分厚い二重扉になっている。
『実験室に入る前に、必ず防護服を着用してほしいのだ。』
私は隣の更衣室に案内され、貴重品を保管し防護服に着替えた。
私と所長は二重扉の中に入っていく、中にはエアロックが掛けられており、扉の先の側には専用のシャワー室まであった。
実験を行う部屋に入ると、何人（匹？）かの人型ずんだもん達に招かれた。
研究員ずん「所長！おかえりなさいなのだ！『耐性ずん』の出産が終わって、今日薬品実験するのだ！そっちの人もこの実験を見にきたのだ？」
所長『そうだよ、それじゃあ帰ってきたばかりだけど早速始めようか、例のものは保管室だね。』
所長が別の部屋から謎の大きな箱を慎重に運んでくる。箱の中には成熟したずんだ虫と数匹の赤ずんが居た。
（おぎゃー！おぎゃー！）
（ままー！ままー！）
（ずーん...ずーん...）
（あっ、しょちょーさんなのだ！みてほしいのだ！げんきなおちびちゃんがうまれたのだ！）
（これもたいせつにそだててくれたしょちょーさんのおかげなのだ！）
『健康状態は至って良好...皮膚や枝豆耳にも特に問題はなさそうなのだ。皆元気そうで良かったのだ。』
『それじゃあ暫く振りに君たちのお部屋を掃除してあげるのだ。』
（やったのだ！ありがとうなのだ！）
そう言いながら所長が取り出したのは『ずんジェット』殺ずん剤として一大シェアを獲得している、この製薬会社の主力商品だ。
所長はずんジェットを巣箱と赤ずんに吹きかける...が赤ずん達には何も起こらない。
『赤ずんは順調に耐性を獲得しているのだ。』
所長が私に説明する
『複数の親ずん候補に、ほんの少し薬品が含まれる餌を与え続けるのだ。しかし殆どの個体は交尾を行う前に薬品の毒で死んでしまう。だが稀に生き残り無事交尾に成功する個体が現れるのだ。そしてそいつらの子供はその薬品に対して強い抵抗力を持つ、いわゆる耐性ずんとなるのだ。』
『こいつらは既存のずんジェットにほぼ完全な耐性を持つ、究極のずんだ虫なのだ。』
『こいつらがもし研究室を脱走し、野生の個体と繁殖行為を行ったら?薬品が通じない化物が無数に産まれるのだ。』
『仮に脱走を防いだとしても、野生種側が適応し耐性ずんに近いずんだ虫が現れる可能性も無くはないのだ。』
『いずれ未来に起こるであろう耐性ずんによる問題を解決する為、私達はあるモノを開発したのだ。それがこの、ずんジェットを超えるずんジェット、ずんジェットPROなのだ！』
そう言いながら所長はゴージャスな装飾がされた殺ずんガス入りの缶を取り出した。
『このずんジェットPROは特殊合成によって精製したアンチずんジェット抗体成分を含んでいるのだ』
『ずんジェットへの薬剤耐性が高ければ高いほど！よりもがき苦しみながらあの世に逝くのだ！！ハーッハッハッハ！！』
所長は若干ハイになっているようだ
『ふぅ、兎も角こいつを耐性ずんに吹きかけると面白い事が起こるのだ。』
（な、なにをいってるのかよくわからないのだ...）
（おちびちゃん達をどうする気なのだ！？）
ガスが赤ずんに吹きかけられる
（おかあちゃ、おかあちゃ、かいーかいーなのだ）
（おとうちゃ、ｸるしいノだ）
（あちゅい！あちゅいよお！）
赤ずんの身体に斑点ができ始める
『これはまだ初期段階、さらに濃度を高めるのだ。』
（いちゃい！いちゃい！）
（ｵかあちゃ！おﾄうちゃ！たｽけテ！）
（アガガガガガガガ！！）ﾌﾞﾁｭ
『おっと、三男が死んでしまったのだ。こいつは兄弟の中でも特に耐性が高いやつだったのだ、ちょっと勿体無いのだ』
（やめて！おちびちゃん達にひどいことしないで！）
（なんでしょちょーさんはこんなことするのだ！？）
『何故かって？お前らの同族が作物や田畑を食い荒らし、人類や我々人ずんにまで悪影響を及ぼすからなのだ。連帯責任という奴なのだ』
『そしてお前らは悪い同族を効率良く殺す為の研究を行う為の実験動物として産み出されたのだ。お前らには最初から自由なんて無いのだ』
（そ、そんなことって...）
（ぼくたちはただいきているだけなのに...）
『ふう、3匹全員死んだのだ。さて、まだ実験は終わってないのだ、あいつらより耐性の低いずんだ虫にこのずんジェットPROをかけたらどうなるか試すのだ。』
（え？）
（いやああああああああ！！）
（たすけてええええええ！！）
『怖がる必要は無いのだ、夫婦そろって直ぐに子供達の所へ送ってやるのだ。』
（どうして...どうして）
（おちびちゃん...元気にそだててあげられなくてごめんね...）
___
（ｱ....ｶﾞ....）
（ｺﾛ...ｼﾃ...ｺﾛ...ｼﾃ...）
『あぁ、まだ生きてるのだ？でももう長くは無いのだ、加工して他のずんだ虫の餌にするのだ』
そうして『夫婦』だったずんだ虫2匹は研究員によって何処かへ運ばれた。
___
所長『今日はありがとうございましたのだ！』
「いえいえ、私も凄い体験をさせて頂きました。」
所長『また新製品を開発したら招待しますのだ！楽しみに待っていてくださいなのだ！』
「それは期待ですね！」
正直怖い、今日以上のヤバい実験があの実験室で行われると想像しただけで。
でもこの所長の頭脳は本物だ。いつかまたお世話になるのだろう。
この世に人間に害をなすずんだ虫が存在する限り。
おわり
このページへのコメント
そうそう、駆除薬は確実に致死してくれないとこれがあるから…
虫は繁殖スピードが物凄いし駆除薬は大量に使われるからどこかで耐性持ちが生まれるとじわじわ耐性持ちが広がっちゃうのだ…
(詳しくないけど抗生物質と細菌の関係もおんなじだと思うので、医者が処方した分は全部飲みきらないと半端に生き残った分が耐性を持ったりしてしまうんだろうな)
※以下コメ人の妄想です
「へえ、すごいなあ…コメントも見てみるか」ｽｸﾛｰﾙ
『ずんジェットのヘビーユーザー専用品。他社のは毒成分ちがくて効果なし。注意しろよ』
『レポートっぽくしてるけどがっつり宣伝で草』
『↑コメ 当然だろ番組スポンサー見てみろや』
『ずんジェットすぐ効かなくなるって意見多過ぎて斜め上の対応してきたかwwwwこういうの大好きもっとやれwwww天敵駆除法してるから買わんけどwwwwww』