作者：からなし 
ずん虐要素ほとんどないし短いけど、思いついたネタを投稿します。
また、hayashidada様のずんだ案山子の設定案を一部使用させていただいております。
また、hayashidada様のずんだ案山子の設定案を一部使用させていただいております。
本編
とある施設から数匹の妖精ずんだもん、通称ずんだ虫が日本各地の野に放たれた。
そのずんだ虫たちは皆一様に首から小さなペットボトルのようなものを下げており、その蓋部分には小さな穴は複数空いていたのだ。
ありていに言ってしまえばペットボトルじょうろのような状態であり、その中にはずんだ虫たちが施設で食べてきた食料が入っている。
施設から野に放たれた多くのずんだ虫はまず野山を目指した。
それは彼の中にある本能がそうさせているのか、それとも他の何かがあるのかは定かではない。
だが、そんなことはどうでもいいのだ。
野山を目指すものの、そうでないものも最終的にはずんだ虫の集まる場所へと行くのだから…
さて、ではここで野山のずんだ虫の群れへとたどり着いた個体の様子を見てみよう。
「しんいりなのだ？」
「どこからきたのだ？」
「おい！"もりのけんじゃ"のなかの おさである ぼくにあいさつをするのだ！」
早速の質問攻めにあっているようだが、施設ずん(施設から野に放たれたずんだ虫)はそれぞれの質問にこたえている。
しばらくすればどうやら仲間に入れてもらえたようで、その環の中にいるのが確認できたようである。
「しんいり ごはんさんの じかんにするのだ！」
「かりのじかんなのだ！」
「へこへこするためには おなかいっぱいになる ひつようがあるのだ！」
それから更に数十分後、野生のずんだ虫たちは腹が減ったのか食事の誘いを施設ずんにしてくる。
しかし一斉に飛び立とうしている野生ずんだ虫をよそに彼は自身の首からさげているそれを振り、その中のものを食べ始めたのだ。
「おいち おいち」
「しんいり それはなんなのだ？」
当然の疑問を野生ずんだ虫は彼にぶつけた。
それもそうだ、自分たちが苦労して狩りを始めようとしたところ、楽して食事にありついている新入りを許すことなどずんだ虫たちにはできないだろう。
「にんげんさん おいち おいち」
「え”… おまえ くちょにんげんをたべているのだ？」
狩りに行く予定のなかった雌の野生ずんだ虫の視線も含めて、この場すべての視線が彼に集められた。
たしかに今、施設ずんは『にんげんさん おいち おいち』と言ったのだから…
「くちょにんげん？
これはにんげんさんなのだ おいち おいち」
「おまえが にんげんさんとよんでいるのは くちょにんげんのことなのだ」
「そうなのだ くちょにんげんはくちょにんげんなのだ」
施設ずんの問いに彼らは自分たちの常識を押し付けるように語る。
「よくわからないけど にんげんさんはおいちいから たべてみるのだ」
そう言って施設ずん、その首からさげているボトルのようなものを振る。
すると中からはとても人間とは似ても似つかない小さく四角い物体が出てきたのだ。
だが、たしかに色合いは人間の肌色に似ている気がするが、流石にこれだけで人間だと思うようなことはないだろう。
ずんだ虫を除いてはの話だが…
「おいちぃぃぃぃぃぃいぃぃぃいいいいぃぃぃいぃい！！！」
「おいしすぎるのだ うますぎるののだ」
「くちょにんげん おいち おいち」
「だから くちょにんげんじゃなくて にんげんさんなのだ…」
「たしかに こんなおいちいものを くちょなんてよべないのだ。
にんげんさん おいち おいち」
「にんげんさん おいち おいち」
「にんげんさん おいち おいち」
「にんげんさん おいち おいち」
それはまるで大合唱であった。
ずんだ虫たちは我先にと施設ずんのボトルから出るそれを食べ、同じ言葉を大合唱する。
しかしだ、高々ずんだ虫一匹が首からさげられるボトルなど大きさがしれている。
つまりその中に入っている『にんげんさん』もすぐに尽きたのだ…
「にんげんさん もうなくなっちゃったのだ…」
「もっと にんげんさんたべたいのだ」
「そうなのだ まちにいけば たくさんくちょ…にんげんさんがいるのだ」
「いくのだ いくのだ」
「みんなで にんげんさんをたべにいくのだ」
被害状況
その日、全国各地でずんだ虫による被害が多発した。
彼らは口々に「にんげんさん おいち おいち」と鳴き、道行く人々に噛み付いたのだ。
しかしながら肉食動物のような牙を持たないずんだ虫が噛みついたところで精々痛いくらいだ。
子供は驚きでその場で泣き出してしまうかもしれないが、それ以上の被害はない。実情では…
しかしながら、このずんだ虫の異常な行動はすぐにメディアに取り上げられることになる。
そしてその中で被害にあったとされる男性のインタビューがあった。
「見てくださいよこれ…」
そう言って彼が取材班に見せたのはとてもお茶の間では流せないようなものであった。
その腕は所々肉がえぐられており、その生々しい赤が覗いている箇所まであるという有様だ。
「妖精ずんだもんにやられたんですよ…
酷いですよね…私、これでも妖精ずんだもんの保護団体には寄付とかもしていたのにまさかこんな仕打ちをうけるとは思ってなかったです…」
そう、彼は妖精愛護団体と呼ばれる組織に寄付を行っており、その手の愛好家の間では割りと有名な人物でもあったのだ。
そんな彼が謂わば妖精から恩を仇で返されたということ、そして妖精の暴走が人の生命を奪う可能性があるということは瞬く間に広まった。
一般人の間にも、そして妖精愛好家と呼ばれる者たちの間にも…
彼らは口々に「にんげんさん おいち おいち」と鳴き、道行く人々に噛み付いたのだ。
しかしながら肉食動物のような牙を持たないずんだ虫が噛みついたところで精々痛いくらいだ。
子供は驚きでその場で泣き出してしまうかもしれないが、それ以上の被害はない。実情では…
しかしながら、このずんだ虫の異常な行動はすぐにメディアに取り上げられることになる。
そしてその中で被害にあったとされる男性のインタビューがあった。
「見てくださいよこれ…」
そう言って彼が取材班に見せたのはとてもお茶の間では流せないようなものであった。
その腕は所々肉がえぐられており、その生々しい赤が覗いている箇所まであるという有様だ。
「妖精ずんだもんにやられたんですよ…
酷いですよね…私、これでも妖精ずんだもんの保護団体には寄付とかもしていたのにまさかこんな仕打ちをうけるとは思ってなかったです…」
そう、彼は妖精愛護団体と呼ばれる組織に寄付を行っており、その手の愛好家の間では割りと有名な人物でもあったのだ。
そんな彼が謂わば妖精から恩を仇で返されたということ、そして妖精の暴走が人の生命を奪う可能性があるということは瞬く間に広まった。
一般人の間にも、そして妖精愛好家と呼ばれる者たちの間にも…
それから
まずは簡潔に結果だけ話そう。
妖精駆除法案が可決された。
もちろんFAIRIESや先のインタビューを見た後でも残っていた3割ほどの妖精愛護団体からは抗議の声が上がったのだが、人の生命に明確な危害を加えることが認知された今、圧倒的多数の一般市民の声におされたのだ。
今まで被害を受けていたのは農家やずんだ虫のすみかの近くに住んでいたごく一部だけ。
だが今やその被害はすべての人が等しく受けるのだ。いや、そうであるとみな危惧している。
自分たちを食べようとする恐ろしいイキモノが妖精ずんだもんであると…
だからこそ妖精ずんだもん排除の機運、運動は止まらなかった。
実際に痛々しい被害者が出た点、そして生物学的にも妖精ずんだもんが噛んだことによる被害であることが証明された以上、これは必然とも言えるのかもしれないが…
「いちゃいいちゃい！
やめるのだぁぁぁぁぁぁぁ！！」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ ぼくのずんぽがぁぁぁぁぁあぁああ！！」
「おいやめろ！ くちょにん…にんげんさ…」
そんな声が日本の各地で響くようになる。
妖精駆除法案により政府から奨励金が出されるようになってから大小問わず駆除業者が大幅に増えたのだ。
さらには個人での狩猟も認可されたため、食材目的に狩る猟師のようなものも現れた。
なんにせよ一大ムーブメントとなった妖精狩りによって彼らは一気に数を減らしていったのだ。
そんな状況の発端となったとある施設の奥の部屋、そこでとある男性が口を開く。
「ははっ、それにしてもうまくいったもんだね。
さすがヨツバの考える作戦はいつもあいつらに効果的だ」
「あいつらは醜く愚かなのだ。
だから一度得た美味しさを忘れることなんてできないのだ」
そう答えるのは彼のそばにいる妖精ずんだもんだ。
だが、それは普通のものとは違い、東武の枝豆が2房ではなく4房ある個体である。
「でもさ、なんで人間を食べようとするのやめないんだろうね。
いくら美味しくても自分たちを殺しにきてるやつなんて普通食べようとしないと思うけど」
「それは共感覚があるからなのだ。
あいつらは数が増えすぎているから言語による伝達だと効率が悪く、今自分が幸福を感じた出来事を仲間に伝播していく能力があるのだ。
でも、これには欠陥があって幸福を感じた出来事しか伝播しないから人間が自分たちを殺そうとしていることは伝わらないし、仮にそれを目撃してもまだ自分が得ていない幸福、つまり『にんげんさんを食べる』という目的の前には霞んでしまうのだ」
「へー。
なんで伝達手段があるのに、命の危険は伝播しないんだ。アホかよあいつら…」
ぷっと嘲笑気味に笑う彼であったが、ヨツバはそんな彼を心配そうに見上げる。
「でも本当に大丈夫なのだ？
その腕…まだ包帯もとれていないのだ…」
「あぁー、これなら気にしなくていいよ。
愛護団体のやつらを黙らせるにはこれくらい必要だろ？」
「で、でも、ごめんなさいなのだ。
痛くしちゃったのは私なのは変わりないのだ…」
「いいって、いいって。
それよりもヨツバには美味しくもない俺の腕を長時間噛ませ続けさせてごめんな」
そう言って彼は彼女を撫でる。
そう、つまりこの男性はあのインタビューを受けた男性そのものであり、腕の惨状は彼とヨツバ合意のもとでヨツバがつけたものであったのだ。
そしてボトルの中に入った『にんげんさん』を用意したのも彼だ。
「着色したずんだもちの欠片でこんだけの成果が上げられるなら上出来だよな。
これであのクソどもも大幅に数を減らすだろうし、時流的にも随分とやりやすくなったからさ」
「それにしても本当にバカなやつらなのだ。
普段からずんだもち、ずんだもちうるさいくせにいざずんだもちを食べてもコレが『にんげんさん』という食べ物だと教えたらそう思い込むなんて」
「そういえばさ、なんで『にんげんさん』なんだ？
あいつらって普段はくちょにんげんって呼ぶのにさ」
「それは単純な話なのだ。
あいつらにとって害のあるものや自分の思いどおりにならないものはくちょがついて、食べれるものや都合がいいものにはさんをつけているのだ。
だからあの『にんげんさん』呼びも食べ物として定着がすんなりいくようにしただけなのだ」
「害虫のくせにそんな呼び分けあったのか…
まぁ、いいや。とりあえず次の計画を練ろう。どうせあいつらは簡単には全滅しないしさ」
そういって男性が立ち上がるとその肩にヨツバも乗った。
そう、これはとある一人と一匹のありえたかもしれない未来の一つである
妖精駆除法案が可決された。
もちろんFAIRIESや先のインタビューを見た後でも残っていた3割ほどの妖精愛護団体からは抗議の声が上がったのだが、人の生命に明確な危害を加えることが認知された今、圧倒的多数の一般市民の声におされたのだ。
今まで被害を受けていたのは農家やずんだ虫のすみかの近くに住んでいたごく一部だけ。
だが今やその被害はすべての人が等しく受けるのだ。いや、そうであるとみな危惧している。
自分たちを食べようとする恐ろしいイキモノが妖精ずんだもんであると…
だからこそ妖精ずんだもん排除の機運、運動は止まらなかった。
実際に痛々しい被害者が出た点、そして生物学的にも妖精ずんだもんが噛んだことによる被害であることが証明された以上、これは必然とも言えるのかもしれないが…
「いちゃいいちゃい！
やめるのだぁぁぁぁぁぁぁ！！」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ ぼくのずんぽがぁぁぁぁぁあぁああ！！」
「おいやめろ！ くちょにん…にんげんさ…」
そんな声が日本の各地で響くようになる。
妖精駆除法案により政府から奨励金が出されるようになってから大小問わず駆除業者が大幅に増えたのだ。
さらには個人での狩猟も認可されたため、食材目的に狩る猟師のようなものも現れた。
なんにせよ一大ムーブメントとなった妖精狩りによって彼らは一気に数を減らしていったのだ。
そんな状況の発端となったとある施設の奥の部屋、そこでとある男性が口を開く。
「ははっ、それにしてもうまくいったもんだね。
さすがヨツバの考える作戦はいつもあいつらに効果的だ」
「あいつらは醜く愚かなのだ。
だから一度得た美味しさを忘れることなんてできないのだ」
そう答えるのは彼のそばにいる妖精ずんだもんだ。
だが、それは普通のものとは違い、東武の枝豆が2房ではなく4房ある個体である。
「でもさ、なんで人間を食べようとするのやめないんだろうね。
いくら美味しくても自分たちを殺しにきてるやつなんて普通食べようとしないと思うけど」
「それは共感覚があるからなのだ。
あいつらは数が増えすぎているから言語による伝達だと効率が悪く、今自分が幸福を感じた出来事を仲間に伝播していく能力があるのだ。
でも、これには欠陥があって幸福を感じた出来事しか伝播しないから人間が自分たちを殺そうとしていることは伝わらないし、仮にそれを目撃してもまだ自分が得ていない幸福、つまり『にんげんさんを食べる』という目的の前には霞んでしまうのだ」
「へー。
なんで伝達手段があるのに、命の危険は伝播しないんだ。アホかよあいつら…」
ぷっと嘲笑気味に笑う彼であったが、ヨツバはそんな彼を心配そうに見上げる。
「でも本当に大丈夫なのだ？
その腕…まだ包帯もとれていないのだ…」
「あぁー、これなら気にしなくていいよ。
愛護団体のやつらを黙らせるにはこれくらい必要だろ？」
「で、でも、ごめんなさいなのだ。
痛くしちゃったのは私なのは変わりないのだ…」
「いいって、いいって。
それよりもヨツバには美味しくもない俺の腕を長時間噛ませ続けさせてごめんな」
そう言って彼は彼女を撫でる。
そう、つまりこの男性はあのインタビューを受けた男性そのものであり、腕の惨状は彼とヨツバ合意のもとでヨツバがつけたものであったのだ。
そしてボトルの中に入った『にんげんさん』を用意したのも彼だ。
「着色したずんだもちの欠片でこんだけの成果が上げられるなら上出来だよな。
これであのクソどもも大幅に数を減らすだろうし、時流的にも随分とやりやすくなったからさ」
「それにしても本当にバカなやつらなのだ。
普段からずんだもち、ずんだもちうるさいくせにいざずんだもちを食べてもコレが『にんげんさん』という食べ物だと教えたらそう思い込むなんて」
「そういえばさ、なんで『にんげんさん』なんだ？
あいつらって普段はくちょにんげんって呼ぶのにさ」
「それは単純な話なのだ。
あいつらにとって害のあるものや自分の思いどおりにならないものはくちょがついて、食べれるものや都合がいいものにはさんをつけているのだ。
だからあの『にんげんさん』呼びも食べ物として定着がすんなりいくようにしただけなのだ」
「害虫のくせにそんな呼び分けあったのか…
まぁ、いいや。とりあえず次の計画を練ろう。どうせあいつらは簡単には全滅しないしさ」
そういって男性が立ち上がるとその肩にヨツバも乗った。
そう、これはとある一人と一匹のありえたかもしれない未来の一つである
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このページへのコメント
妖精ずんを減らすために、マインドコントロールのようなことをして自然と世論をずんだ虫駆除に誘導する流れが巧妙でしたね。
表向きは妖精保護団体に入っていて、裏ではとある施設を介してずんた虫駆除を操っていた男と一緒に組んでる妖精ずんの関係性も気になるところ。
何とも回りくどく小賢しいことを考えるずんだ虫もいたもんですなぁ……。コイツも駆除されないかな
妖精の単純な性質と、民衆の感情をうまく利用した作戦でしたね！妖精愛護派だった人物が「裏切り」にあったとショックを受けた（演技をしている）描写が好きです！
妖精の言葉に空白が置かれていて、非常に読みやすいと感じました！
睡蓮さん二本立てかと思ったらカラナシさんだったか。
ずんだ虫のバカさ加減が同族のずんだ虫にすら利用されるという良作でした。