実験・第四研究室
最終更新：
hayashidada 2023年12月04日(月) 06:15:16履歴
ちゃんとした地獄というものがあるとして、それがいかなる場所かはそれぞれだろう。
肉体、あるいは精神に対する終わりのない責め苦。
既に死んでるから、死んでも終わらないという絶望の終着点。
そういう意味では、ここにはまだ救いがある。ちゃんとした地獄には程遠く、確かな希望に満ち満ちていた。
「ぐっ！ ごっ！ げっ！」
鉄鞭で叩かれる度にどこかしらから緑色の血をずんだ虫が吐き出す。
ずらっと端から端まで壁に並べられ、四肢を固定されたずんだ虫たちは、接待を受けるようにマンツーマンで相手をされていた。
いずれも丁寧に丁寧にいたぶられていて、五体満足の虫はいない。「コロチテ……コロチテ……」目玉を失い枝豆が半ばから切られた虫が、うわ言のように呟く。その頬が鉄鞭で張られては赤い液体が口の中に注ぎ込まれていく。
「げっ、ゲェぇエエェェぇえおえっおえっえぇぇ……」
吐瀉物を撒き散らしながらも肉体が回復していく。目玉が再生し、正気を取り戻した虫が顔を上げると、そこには仏頂面の刑吏が立っている。
「あ、ああ……も、もうやめて……やめてほしいのだ……」
祈るように縋るように涙をたたえて訴えるその瞳に、刑吏が持っていた鉄鞭が突き刺さる。
「ああああああああああああ！？」
再び視界が失われ、突き刺さった鉄鞭に捻りが加えられる。その度に絶叫は悲壮さを増して響き渡った。
「やかましいのだ。どうせ再生するのだ。そんなに泣き叫んでも大げさすぎて鬱陶しいだけなのだ」
刑吏はそう告げると鉄鞭を引き抜き、頭を強かに打ち付けた。
頭部が割れ、脳漿が飛び散り、小さな脳とそれを圧迫する枝豆袋が露出する。
刑吏はそれを忌々しげに見ると舌打ちした。
「愚かな虫なのだ。こんな生き物と同族かと思うと反吐が出るのだ」
刑吏はそう言うと真っ白い手を頭の中に突っ込み、枝豆袋を鷲掴みにすると力任せに引き抜いた。
「ひっーーーー」
虫が頭を垂れるようにして気絶する。頭の中からドロドロと液体が零れ出る。刑吏の手と同じように真っ白い足が液体に触れた。
刑吏は舌打ちすると虫の腹を蹴り、そのまま腹で足を拭いた。
「クソ虫が……何故僕達がお前達をわざわざ駆除しなければならないのだ。存在が既に恥なのだから速やかに自滅すべきなのだ」
生死の境の割と死の方によっていた虫に赤い液体を飲ませる。傷がみるみる塞がり、再び意識を取り戻したところで鉄鞭を尻から差し込んだ。鉄鞭には小さな無数の突起がついていて、動く度にそれが内臓を傷付けて口と尻から噴水みたいに血を吹き出させていた。
「おごぉぉ……おぇ、おあお……おう……おろひて……ごぶっ」
残された黒い目から緑色の液体が流れる。
いつかは終わる、死ねば終わる。それでもなかなか死なせてはもらえない。それでもここはまだちゃんとした地獄にはなっていなかった。
ここは第四実験室。害虫駆除の研究を主に担当している。
この接待はその一環だった。刑吏たちにずんだ虫の扱い方を教えることが主目的である。
ずんだ虫とは害虫であり、言葉は通じるが話は通じない有機物である。これを痛めつけるのに何ら躊躇することはない、苦しめて苦しめて生きていたくないと思ってもなお苦しめて、それからようやく殺すのだ。
その教育に従い、多くの虫が同様に接待を受けている。そして、もてなしているのもまた、ずんだ虫に見える何かなのであった。
第四研究室ではずんだ虫の駆除を研究している。
故に第四研究室はいかに早急に虫を排除するかというコンセプトで研究が行われているのだった。
「……じゃあ拷問やってんのおかしくないっすか？」
後輩から当然の疑問が浴びせられる。
それにふむ、と鼻を鳴らし主任研究員である男は少し考えてから口を開いた。
「今、やらせている拷問は別に虫を排除するためのものではなく、教育のためだ」
「教育っすか。ずんだ虫の教育なんて出来るもんなんすか？」
視線をやった先では壁に張り付けられたずんだ虫を鉄鞭を持ち軍隊などに見られる官帽を被っているずんだ虫が凄惨な拷問にかけている。
刑吏のずんだ虫はいずれも嫌悪や侮蔑の表情を浮かべずんだ虫を痛め付けることに疑問を抱いていないようであった。
「あのずんだ虫どもは何が違うんです」
「一個共通点があるだろ」
「共通点……あっ」
言われて観察してみると気が付いた。刑吏のずんだ虫達には枝豆が存在しない。
「生まれてすぐ枝豆袋を切除して再生しないように手術を施した結果、あいつらは枝豆を生やすことがなく、また枝豆袋で脳が圧迫されることもない。つまり、知能が通常のずんだ虫に比して高いんだ」
その後、真っ当な教育を受けたずんだ虫たちは人間並みの倫理観と常識を身に着け、コミュニケーションが可能になっていった。
「いやいや。真っ当な倫理観持ってたら、アレは出来ないでしょ」
指差す先では刑吏がずんだ虫の睾丸を万力にかけていた。「やめて！ ずんたまはやめて！ やるならとなりのやつにするのだ！ ぼくはもりのけんじゃなのだ！ もっとたいせつにされるべきなのだ！」「ふざけるななのだ！ おまえみたいなごみはさっさとたまなしになるのだ！ ところでそのどうぐはなんなのだ？ どうしてぼくのずんぽにとりつけるのだ？ やめ、やめて、やめて！ あ、あぎゃ」とかやっている。確かに同族に対して何の容赦もない有り様は良心ある生き物とは思いにくいように見えた。
「あー、あれはな。一通り教育が終わったら野良ずんだ虫のコミュニティに放り込むんだ」
「あ〜……」
それを聞いて納得する。
確かに真っ当な倫理観を得たずんだ虫はずんだ虫を徒に痛めつけることに対して最初は忌避感を覚える。
「それは矛盾しているのだ。他者に対する優しさや思いやりは種族を問わず発揮されるべきもので、ずんだ虫も例外ではないはずなのだ」
まるで愛護団体のようなことを言い出すが、それは当然の帰結ともいうべきであり、自身の所属する種族を悪様に扱われていい気もしないのは理解できる。
だから、彼らにはホームステイをしてもらうことになっている。
「彼らと一緒に暮らすのだ？ 分かったのだ。人間の皆さんに迷惑をかけることがないように説得をして分かってもらうのだ。そうしたらずんだ虫に酷い扱いをする必要もなくなるのだ！」
そう目を輝かせながら意気揚々と向かう彼らを待ち受けているのはずんだ虫という生き物の実態である。
「初めまして！ 今日からここでお世話になる……」
「しんいりなのだ？ じゃあ、おまえがいちばんかくしたなのだ！ ぼくたちのどれーになるのだ！」
「いや、いきなり何を言い出すのだ。初対面の相手をいきなり奴隷扱いなどしていけないのだ」
「うるせーのだ！ ぼくはもりのけんじゃなのだ！ すべてのけっていけんはぼくにあり、ぼくのいうことはぜったいであり、おまえにきょひするけんりはないのだ！」
「……だ、駄目なのだ。他に、他に話の通じる相手は……あ、そこの方、ちょっと話を」
「おまえ、いいけつしてるのだ！ あにゃるさんをこっちにむけるのだ！ いますぐへこらせるのだ！」
「初対面の相手に何でいきなり性交渉を持ち掛けるのだ！？ そもそも僕は雄なのだ！」
「おまえ、どうせいあいをひていするなんてれいしすとなのだ！ とんでもないやつなのだ！ ばつとしてぼくのえくすかりずんぽをうけいれるのだ！」
「ここは地獄なのだ！？」
こんな調子が一週間も続けば平等や愛を説いていたずんだ虫も考えを改める。
ホームステイから帰ってきたずんだ虫たちは一様にゲッソリとしており、お互いの姿を見た彼らは「自分の入ったコミュニティが異常なだけ」という最後の希望すら打ち砕かれ、ずんだ虫という生き物を心底嫌悪するようになる。
「僕たちはずんだ虫でありたくないのだ」
そうして彼らはずんだ虫を拷問する訓練を受ける。ずんだ虫に対する最後の情を捨て去るために。
「なんだおまえら！ さっさとぼくをたすけるのだ！ はやくしないとぶっころしてやるのだ！」
壁に張り付けられた虫が喚く。それを冷めた目で眺めながら刑吏はため息をつく。
「こんな生き物を助けようとしていた僕は本当に愚かだったのだ」
そうして拷問が始まる。
鉄鞭で叩き、ナイフで皮をはぎ、ヤスリで肉を削り、薬物を内臓に直接注射しても彼らの心にさざなみ一つ立つことはない。
「やめ……やめ……」
涙ながらの命乞いさえおぞましい。一匹残らず殺したいが殺してはならないと言われている。
薬を飲ませ、体を回復させ、何度でも痛めつける。
それがただの業務として一切の喜びなく行われる時、彼らはずんだ虫ではなくなっていた。
「改良個体……
Improvement Individual
頭文字を取ってアイツーと呼ぶことにした」
「それで……アイツーらが駆除にどう関係してくるんです？」
「お前に他の研究室を回ってきてもらった結果、ちょっとした実験が行えることになった。それに使う」
二人の目がずんだ虫を拷問するアイツーらへと向けられる。
響き渡る悲鳴の中、返り血を浴びながらも淡々と虫どもへの拷問は続けられていた。
※ 拙作がＲ18文書欄にない件についてですが、これは全てずんだ虫の設定を思い付いたから書いているためであり、虐待描写が主ではないことから「まあ、残さなくてもいいかな」と思ったからです。ずんだ案山子に関してはどなたかが気を利かせて登録してくださったのでそのままにしてあります。
肉体、あるいは精神に対する終わりのない責め苦。
既に死んでるから、死んでも終わらないという絶望の終着点。
そういう意味では、ここにはまだ救いがある。ちゃんとした地獄には程遠く、確かな希望に満ち満ちていた。
「ぐっ！ ごっ！ げっ！」
鉄鞭で叩かれる度にどこかしらから緑色の血をずんだ虫が吐き出す。
ずらっと端から端まで壁に並べられ、四肢を固定されたずんだ虫たちは、接待を受けるようにマンツーマンで相手をされていた。
いずれも丁寧に丁寧にいたぶられていて、五体満足の虫はいない。「コロチテ……コロチテ……」目玉を失い枝豆が半ばから切られた虫が、うわ言のように呟く。その頬が鉄鞭で張られては赤い液体が口の中に注ぎ込まれていく。
「げっ、ゲェぇエエェェぇえおえっおえっえぇぇ……」
吐瀉物を撒き散らしながらも肉体が回復していく。目玉が再生し、正気を取り戻した虫が顔を上げると、そこには仏頂面の刑吏が立っている。
「あ、ああ……も、もうやめて……やめてほしいのだ……」
祈るように縋るように涙をたたえて訴えるその瞳に、刑吏が持っていた鉄鞭が突き刺さる。
「ああああああああああああ！？」
再び視界が失われ、突き刺さった鉄鞭に捻りが加えられる。その度に絶叫は悲壮さを増して響き渡った。
「やかましいのだ。どうせ再生するのだ。そんなに泣き叫んでも大げさすぎて鬱陶しいだけなのだ」
刑吏はそう告げると鉄鞭を引き抜き、頭を強かに打ち付けた。
頭部が割れ、脳漿が飛び散り、小さな脳とそれを圧迫する枝豆袋が露出する。
刑吏はそれを忌々しげに見ると舌打ちした。
「愚かな虫なのだ。こんな生き物と同族かと思うと反吐が出るのだ」
刑吏はそう言うと真っ白い手を頭の中に突っ込み、枝豆袋を鷲掴みにすると力任せに引き抜いた。
「ひっーーーー」
虫が頭を垂れるようにして気絶する。頭の中からドロドロと液体が零れ出る。刑吏の手と同じように真っ白い足が液体に触れた。
刑吏は舌打ちすると虫の腹を蹴り、そのまま腹で足を拭いた。
「クソ虫が……何故僕達がお前達をわざわざ駆除しなければならないのだ。存在が既に恥なのだから速やかに自滅すべきなのだ」
生死の境の割と死の方によっていた虫に赤い液体を飲ませる。傷がみるみる塞がり、再び意識を取り戻したところで鉄鞭を尻から差し込んだ。鉄鞭には小さな無数の突起がついていて、動く度にそれが内臓を傷付けて口と尻から噴水みたいに血を吹き出させていた。
「おごぉぉ……おぇ、おあお……おう……おろひて……ごぶっ」
残された黒い目から緑色の液体が流れる。
いつかは終わる、死ねば終わる。それでもなかなか死なせてはもらえない。それでもここはまだちゃんとした地獄にはなっていなかった。
ここは第四実験室。害虫駆除の研究を主に担当している。
この接待はその一環だった。刑吏たちにずんだ虫の扱い方を教えることが主目的である。
ずんだ虫とは害虫であり、言葉は通じるが話は通じない有機物である。これを痛めつけるのに何ら躊躇することはない、苦しめて苦しめて生きていたくないと思ってもなお苦しめて、それからようやく殺すのだ。
その教育に従い、多くの虫が同様に接待を受けている。そして、もてなしているのもまた、ずんだ虫に見える何かなのであった。
第四研究室ではずんだ虫の駆除を研究している。
日々増え続ける虫を何とか利用しようと他の研究室では弛まぬ努力が続いているが、それが実るまではその数を抑制する分野の研究も必要となる。
故に第四研究室はいかに早急に虫を排除するかというコンセプトで研究が行われているのだった。
「……じゃあ拷問やってんのおかしくないっすか？」
後輩から当然の疑問が浴びせられる。
それにふむ、と鼻を鳴らし主任研究員である男は少し考えてから口を開いた。
「今、やらせている拷問は別に虫を排除するためのものではなく、教育のためだ」
「教育っすか。ずんだ虫の教育なんて出来るもんなんすか？」
視線をやった先では壁に張り付けられたずんだ虫を鉄鞭を持ち軍隊などに見られる官帽を被っているずんだ虫が凄惨な拷問にかけている。
刑吏のずんだ虫はいずれも嫌悪や侮蔑の表情を浮かべずんだ虫を痛め付けることに疑問を抱いていないようであった。
「あのずんだ虫どもは何が違うんです」
「一個共通点があるだろ」
「共通点……あっ」
言われて観察してみると気が付いた。刑吏のずんだ虫達には枝豆が存在しない。
「生まれてすぐ枝豆袋を切除して再生しないように手術を施した結果、あいつらは枝豆を生やすことがなく、また枝豆袋で脳が圧迫されることもない。つまり、知能が通常のずんだ虫に比して高いんだ」
その後、真っ当な教育を受けたずんだ虫たちは人間並みの倫理観と常識を身に着け、コミュニケーションが可能になっていった。
「いやいや。真っ当な倫理観持ってたら、アレは出来ないでしょ」
指差す先では刑吏がずんだ虫の睾丸を万力にかけていた。「やめて！ ずんたまはやめて！ やるならとなりのやつにするのだ！ ぼくはもりのけんじゃなのだ！ もっとたいせつにされるべきなのだ！」「ふざけるななのだ！ おまえみたいなごみはさっさとたまなしになるのだ！ ところでそのどうぐはなんなのだ？ どうしてぼくのずんぽにとりつけるのだ？ やめ、やめて、やめて！ あ、あぎゃ」とかやっている。確かに同族に対して何の容赦もない有り様は良心ある生き物とは思いにくいように見えた。
「あー、あれはな。一通り教育が終わったら野良ずんだ虫のコミュニティに放り込むんだ」
「あ〜……」
それを聞いて納得する。
確かに真っ当な倫理観を得たずんだ虫はずんだ虫を徒に痛めつけることに対して最初は忌避感を覚える。
「それは矛盾しているのだ。他者に対する優しさや思いやりは種族を問わず発揮されるべきもので、ずんだ虫も例外ではないはずなのだ」
まるで愛護団体のようなことを言い出すが、それは当然の帰結ともいうべきであり、自身の所属する種族を悪様に扱われていい気もしないのは理解できる。
だから、彼らにはホームステイをしてもらうことになっている。
「彼らと一緒に暮らすのだ？ 分かったのだ。人間の皆さんに迷惑をかけることがないように説得をして分かってもらうのだ。そうしたらずんだ虫に酷い扱いをする必要もなくなるのだ！」
そう目を輝かせながら意気揚々と向かう彼らを待ち受けているのはずんだ虫という生き物の実態である。
「初めまして！ 今日からここでお世話になる……」
「しんいりなのだ？ じゃあ、おまえがいちばんかくしたなのだ！ ぼくたちのどれーになるのだ！」
「いや、いきなり何を言い出すのだ。初対面の相手をいきなり奴隷扱いなどしていけないのだ」
「うるせーのだ！ ぼくはもりのけんじゃなのだ！ すべてのけっていけんはぼくにあり、ぼくのいうことはぜったいであり、おまえにきょひするけんりはないのだ！」
「……だ、駄目なのだ。他に、他に話の通じる相手は……あ、そこの方、ちょっと話を」
「おまえ、いいけつしてるのだ！ あにゃるさんをこっちにむけるのだ！ いますぐへこらせるのだ！」
「初対面の相手に何でいきなり性交渉を持ち掛けるのだ！？ そもそも僕は雄なのだ！」
「おまえ、どうせいあいをひていするなんてれいしすとなのだ！ とんでもないやつなのだ！ ばつとしてぼくのえくすかりずんぽをうけいれるのだ！」
「ここは地獄なのだ！？」
こんな調子が一週間も続けば平等や愛を説いていたずんだ虫も考えを改める。
ホームステイから帰ってきたずんだ虫たちは一様にゲッソリとしており、お互いの姿を見た彼らは「自分の入ったコミュニティが異常なだけ」という最後の希望すら打ち砕かれ、ずんだ虫という生き物を心底嫌悪するようになる。
「僕たちはずんだ虫でありたくないのだ」
そうして彼らはずんだ虫を拷問する訓練を受ける。ずんだ虫に対する最後の情を捨て去るために。
「なんだおまえら！ さっさとぼくをたすけるのだ！ はやくしないとぶっころしてやるのだ！」
壁に張り付けられた虫が喚く。それを冷めた目で眺めながら刑吏はため息をつく。
「こんな生き物を助けようとしていた僕は本当に愚かだったのだ」
そうして拷問が始まる。
鉄鞭で叩き、ナイフで皮をはぎ、ヤスリで肉を削り、薬物を内臓に直接注射しても彼らの心にさざなみ一つ立つことはない。
「やめ……やめ……」
涙ながらの命乞いさえおぞましい。一匹残らず殺したいが殺してはならないと言われている。
薬を飲ませ、体を回復させ、何度でも痛めつける。
それがただの業務として一切の喜びなく行われる時、彼らはずんだ虫ではなくなっていた。
「改良個体……
Improvement Individual
頭文字を取ってアイツーと呼ぶことにした」
「それで……アイツーらが駆除にどう関係してくるんです？」
「お前に他の研究室を回ってきてもらった結果、ちょっとした実験が行えることになった。それに使う」
二人の目がずんだ虫を拷問するアイツーらへと向けられる。
響き渡る悲鳴の中、返り血を浴びながらも淡々と虫どもへの拷問は続けられていた。
※ 拙作がＲ18文書欄にない件についてですが、これは全てずんだ虫の設定を思い付いたから書いているためであり、虐待描写が主ではないことから「まあ、残さなくてもいいかな」と思ったからです。ずんだ案山子に関してはどなたかが気を利かせて登録してくださったのでそのままにしてあります。
このページへのコメント
ずんだ虫の特性についていろんな角度から虐…素晴らしい研究がなされていてとても興味深かったです！
そういえばこの研究室シリーズは音楽CDでいうところの隠しトラックみたいなニュアンスのものなのでしょうか？「最近更新したページ」には表示されるのですが、「R-18G文章」の一覧には表示されないので気になりました。
こちらの質問をさせていただいた者です。
R-18G文章欄に載らない件について理解することができました。なるほどそのようなhayashidadaさんのお考えが背景にあったのですね。
日頃から作品を楽しく読ませていただいております。ありがとうございます。
枝豆袋が無くなれば脳の機能が向上するとは
まっとうな教育を受けた結果、ずんだ虫の実態を知ったアイツー達
今後の実験が楽しみですね
ところで、過去作が文書一覧から消えてるような（ｒｙ
百聞は一見に如かず。ホームステイ先で実際に、ずんだ虫たちの「愚かさ」を目の当たりにしたからこそ、「アイツー」たちの心境に変化があったのですね！
自らの欲望のために他を蹴落とす、といった、ずんだ虫特有の価値観に対して「教育」によって嫌悪感を覚えるようになれば、それは教育が立派に成功しているなあと思いました！！
枝豆袋がないと脳ミソが人間並みに成長し、知性も道徳も獲得するとは……ずんだもんのアイデンティティを根本から否定してて草wwwwww。
脳ミソを圧迫して成長阻害し、傲慢な自己快楽を周囲に伝搬し種族を増長させ続ける…こんなデメリットしかないのになんのために枝豆が生えているのか分かんねぇな……汗(もしかして枝豆袋の正体はフクロムシみたいな自己繁殖のために宿主たるずんだ虫の生態を書き替える寄生生物だったりして…)。
真っ当な妖精に成長できたアイツー達とこれまでの実験の数々を使ってどのようにあのゴミクズ共を根絶できるか楽しみです!!
これ、刑吏に生殖能力が残ってたら絶望するしかないっスな
それもまた良き、生殖能力がなくて絶望するのもまた良き
今までハエの駆除みたいなのしか考えてなかったから洗脳個体の第五列による群れごと駆除は目からウロコですわ