皇帝剣フロレント。ルキウス・ヒベリウスを象徴する純白に朱き魔剣。
最優の名剣とも。
刀身に咲き乱れる百合の花模様は生誕と剣を観す象徴であり、曰くローマ神話における花と豊穣の神フローラの加護を受けているとか。
アーサー王がフロル王の支配するパリシウス要塞から奪い、キャメロットの宝物庫に送った王剣クラレントの姉妹剣。
魔剣クラレントはガリア支配の王権を象徴する剣であるが、対となる魔剣フロレントは大陸全土の支配権を象徴する剣であり、
この剣を持つ者、即ち大ローマ帝国の
由緒正しき皇帝であるという王権を示す神造兵装である。
もとよりアーサー王がクラレントを保有した理由のひとつとして、
聖油王の戴冠式を行うためにローマを目指していたという説があり
*2、
ガリア支配の王権を示すこの白銀の王剣クラレントはそのために必要な剣だったというのだ。
王剣、即ち王権。駄洒落ではあるが、この思想に対応する刀剣はかつて円卓の騎士
トリスタンが保有し、
シャルルマーニュ十二勇士が一人
オジェ・ル・ダノワを経て現在は英国王室の戴冠宝具となった宝剣カーテナ(コルタナ)、
またシャルルマーニュ(カール大帝)の保有したジョワユーズ、皇紀2600年を皇室と共に歩んだ
草那藝之大刀と枚挙に遑がない。
クィリナリスの丘の古い大樹に刺さっていた剣であるが、その由来には謎が多い。
誰が鋳造したかも完全に不明であり、マルスの剣であるとも、ユピテルが生み出した剣であるとも、
神祖ロムルスがその弟であるレムスを殺した際に使用した剣であるとも、様々な説があるがその全てが明瞭な答えを持たず、
担い手はローマのみならず大陸全土の支配権を示すというが、
歴史においても担い手であったローマ皇帝がルキウスただ一人であったとされるため、その伝承においても疑問点が残る。
そもそもローマの正史には残らず、アーサー王伝説のみに語られているのもまた謎だ。
確かな事象としては、この剣は後にモードレッドがアーサー王殺害に使用した王剣クラレントの姉妹剣であり、
そしてこの剣の担い手であるルキウスはベディヴィエール、ガウェイン等の円卓の騎士を容易く屠る羅刹であった、という2点のみである。