雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

485 : 名無し募集中。。。＠無断転載は禁止2017/01/04(水) 23:21:46.78 0

寝る前のおまけ『フェルト裏　あんまりみやももじゃなくってごめんね』序

住んでるとこから電車の駅5つ分先の、賑やかな街。
繁華街の1本裏の通りを歩く。
親戚のうちへお使いに行った帰りだった。
あまり人通りもなく店の途切れたところ
古そうなコンクリの小さいビルの前に、数人が群れている。
地下へ続く階段の下から音楽が漏れ聞こえていた。
ライブハウスとも違う、ちっちゃいクラブみたいな
柄の良くない感じ。ももには関係のない場所だ。
前を足早に抜けようとした時
記憶にあった顔が視界の端をかすめた。あれ、あの女の人

佐紀ちゃんのかてきょのセンセー。

会ったことはなかったけど
画像は何枚か見せられたことがあった。
半年前から佐紀ちゃんのところに来てる大学生の家庭教師。

「佐紀ちゃんこの画像前も見せてくれなかったっけ？」
「これはももに見せてないよ。お祭りの」
「お祭りのやつ見たよ」
「そうだっけ？この時先生と一緒にお揃いの髪飾り買ったの」
「聞いた。嬉しそうな顔しちゃってぇ。佐紀ちゃんすっかり恋する乙女だねぇ」
「ももが聞きたがるから。まだ恋人とかじゃないし」
「まだってことは？」
「うるさいなぁ」

あの人だ。だけど、見てた画像とずいぶん雰囲気が違う。
清潔感あるきれいな人って思ってたけど
一緒にいる男の人たちにくっついて、笑い転げてる笑顔が
訳知り顔で悪いものに見えて、ひどく心がざわついた。

486 : 名無し募集中。。。＠無断転載は禁止2017/01/04(水) 23:22:23.61 0

立ち止まってしまったせいで、店の前の数人がこっちを見て
慌てて逃げるようにその場を離れる。
センセーの指に煙草みたいなのが見えた気がする。
大学生なんてもう大人で、そりゃ遊んでたりもするんだろうけど。
佐紀ちゃん知ってるんだろうか。

「知らないわけじゃないけど」
昼休みに言葉を選びつつ訊いたら、佐紀ちゃんは面倒くさそうに言った。
「いっ……一緒によ、夜遊びとかしてたりするってこと？」
焦って言葉がつっかえてしまった。
佐紀ちゃんがちらっとこっちを見た。
その視線もやけに大人っぽく見えて、さらに焦ってしまう。

「夜出かけたりはしてない」
「それなら、まだ、いいけど」
「別に悪いことしてるわけじゃないし危ないこともしてないよ」
「まだ早いよ」
「何が」
イラっとした感じで言われた。「ももには関係ないでしょ」
「関係ないことないよ」
「わかった。もう、ももには言わない」
「なっ、なんで」
「ももにはまだ早い」
佐紀ちゃんはふふんと笑うと席を立って、教室の反対側の友達の方に行ってしまった。
席に一人取り残される。

確かに、佐紀ちゃんはももなんかより
先を行ってるような雰囲気が、ある。
だけど、今佐紀ちゃんが進もうとしてる先って良くない気がする。
良くないよ。

別にこっちに引き止めておきたいとか
いつまでも子どもでいようよとか、そういうことじゃなくて
あの人たちと絡んでいたら、佐紀ちゃんが傷つくような気がする。

487 : 名無し募集中。。。＠無断転載は禁止2017/01/04(水) 23:23:23.36 0

あのビルの前にいた男女を思い出す。
大人っていうだけじゃない、なにか嫌な空気が纏わり付いていた。

教室はうるさすぎて考えがまとまらない。
廊下に出ると階段の踊り場まで行って、壁に寄りかかった。
理屈で説得できるならそうしたいけど
恋心はよくわからない。反対されると余計火がつくとかいうし。

佐紀ちゃんは相当思い入れてると思う。
今の佐紀ちゃんは誘われたらすぐに落ちてしまいそうな危うさがある。
散々浮かれ話を聞かされてきたのだ。

だけど、なんとかしなきゃ。あれを見てしまったら
無理矢理だって何だって、佐紀ちゃんが傷つく前に
なんとかできるのは私しかいない。どうにか、したい。
たとえ嫌われたとしてもだよ。
そこまで考えたら、ちょっと震えた。

みやの顔見に行こうかな。急に思った。

ちっちゃいときからとっても可愛くて、もものこと好いてくれて
ももが持ってないものばかりいっぱい持ってる雅ちゃん。勇気をくれないかな。
思い立ったらすぐがいい。

みやの学校の近くで、待ち伏せしてみた。さてコインは表か裏か。
捕まえらんなくてもいい。そういうゲームみたいなもの。
けど、すぐに見つけられた。嬉しいよね。なんかね？そう。引き寄せられるものあるんだよね。

なんだかんだ相手してくれるんだからさぁ。
久しぶりだったけど変わらなかった。そのまんま、みやは変わんないでいて欲しい。

序　おわり