まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

343 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/26(月) 21:50:44.30 0

ハウスキーパー雅ちゃん〈14〉

部屋から出てきたモモは、一瞬動きを止め、慌てて立ち上がった雅の頭の天辺からつま先まで視線を巡らせた。
「みーやん」
「ん、うん?」
「べりーずこーぼーって知ってる?」
「し……知らないけど」「だよね」
そのまま部屋から離れようとするモモの腕を掴んで止める。「記憶……記憶は戻ったの」
「うーん、まあ大体。とっても楽しい記憶だったよ」
モモは雅に背中を向けたまま軽い口調で言った。そぐわない言い回しには違和感しかなかった。それをどう捉えればいいのかわからない。振り返ったモモは、立ち尽くしている雅の顔を見て口の端だけで笑った。
「だけども……どういうことだろうね、まるでこの世界の話じゃあないみたいだよ」
それから雅に向かってではなく、独り言のように呟いた。
「この記憶を持って、帰る場所がないじゃんか」

置いていた受話器を取り、息を吸い込んでから雅は言った。
「戻りました」
須藤は受話器の向こうで「あぁ、良かった。ありがとね」と安堵のため息をついた。少なくとも雅には、何かに感づいたようにも、何かを誤魔化しているようにも聞こえなかった。
モモは雅が話すすぐ後ろで壁に背をつけていた。
「ももはどうしてる?そのまま寝かせてる?」
「あ、えっと」横から受話器が奪われる。
「もしもしまあさ?」

モモは話しながら、後ずさった雅の片手を取った。雅はその手が震えていることに気付く。両手できつく握りしめると、モモは目を閉じた。青い顔をしていた。

「まあさ、電話繋がってるついでに言うけど……戻ってきて」

電話を切ると、モモの体がゆらりと動いた。倒れ込んでくるモモを抱きとめ、背中を撫でながら雅は言った。
「……私は、どうしたらいい?」
須藤が帰ってくるなら、もう自分の居場所はないように思った。
「居てよ、みーやん」とモモは言った。

346 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/26(月) 21:54:05.62 0

「みーやんとの時間を、まあさには邪魔させない」
「それは……契約が終わる日までの、期限付きで?」
モモは顔を上げた。
「我儘言ってるのは、わかってるよ」
思い詰めたような顔に、何も言えなくなった。
雅は内に何枚目かの覚悟を重ねた。私が強くなればいい。私がもっともっと強く。モモの背中を抱く手のひらが熱を帯びた。この熱をすべてモモの中に送り込みたいと願った。

「すっかり、仲良くなったみたいで、なによりだけど」
両手に大量の荷物を持って玄関先に立った須藤は、それを受け取ろうと一歩踏み出した雅と、行かなくていいとばかりに、雅の体を羽交い締めにしているモモを見ながら言った。
「いや荷物はいいんだけどさ」
「そう。すごーく仲良くなったの。いいでしょ」
「あたしに嫉妬しろって?」
須藤はその場に荷物を置くと、歩み寄って来る。雅の肩に手を置くと言った。
「そりゃあ嫉妬するよね。ほんの一ヶ月弱で何があったのかと思うよ」
雅はその視線を真っ直ぐ受け止め、目を細めた。
「人を好きになるのに、時間なんていらないから。須藤さんが知らないもものことも知ってますけど」

「ちょっと〜やめてよ二人とも、私のせいでケンカとか」
雅は手を叩いた。
「……あっ。そうだ、須藤さんお昼何食べます?」
「え、つくってくれるの」
「もちろん、契約中は」
「じゃあお任せしちゃおうかな。そうそう、これお土産。生鮮だから使って。それまで、もも借りてもいい」
「どうぞ」
「みーやん、私を売るわけ」
須藤に渡された紙袋を覗き込んだ雅は「あ、明太子がある〜」と声を上げた。
「クリームチーズと一緒に焼いたお餅にのっけると美味しいんだって」と須藤が言うと「めっちゃ食べたい。お腹すいた」モモも雅の持っている紙袋を覗き込んできた。

351 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/26(月) 21:58:05.24 0

須藤の部屋。チェアに腰掛けたモモは手持ち無沙汰に髪を弄りながら言った。
「正確に言うと、すぐ “干渉が来る” わけじゃないんだけど」
「どういうこと?すぐに地下のリミットを全部解除しろってそういうことじゃないの」
「それはもっと感度を上げたいから」
「足りないっていうならいいけどさ。追加資金の目処もついたし」
「それから、まあさの言う、ネットワーク全域を使って干渉を撥ね付けるってやつさ、一旦なしにして」
「何、わけのわかんないこと言ってるの」
「急いで各方面に根回ししてよまあさ」
「無茶言わないで。今更、今回の計画を引き上げるなんて」
「しょーがないじゃん。〈対象〉を捉えちゃったんだからさ」

茉麻は目を見開き、大きく息を吸った。「素晴らしいね」
「勘弁してよ。死ぬとこだったんだから。みーやんが気づいてくれて良かった」
「あんたが服脱いでなきゃこっちだって意識の有無はすぐわかったのに」
「やっぱり、服か」 ※ぱんつですけど
モモは須藤のバッグから覗くお菓子の袋をめざとく見つけた。「海外も行ってたの」「いろいろだよ」
「ねえ開けて良い?」「どうぞ」
小分けされたパッケージを一つ取って剥くと、モモはチョコレートを口に放り込んだ。

「ももが言ってんのは〈対象〉に、意思があったってことだよね」
「反応なんかしたら、もう考える間もなく入植されて、全部持っていかれるだろうね。取るに足る資源ってとこかな」
「ちくりと刺したくらいじゃ、手は引っ込めてくれないか」
「そこそこ美味しいらしいよ、地球って。向こうも探ってたんだね、考えてみれば当たり前か」モモは指についたチョコを舐めた。
「 “探るだけの時間は終わった” 」
「そういうこと。一旦白紙に戻してどう防御するか考え直してもらわないとさ」
「防御?何言ってんのもも」
「え?」
「〈対象〉を見つけたんでしょ。これはもうぶっ潰すしかないよね……!」茉麻は興奮しきっていた。

「……私に、どうしろって?」モモの口から乾いた笑いが漏れ出た。それじゃあまるで、千奈美が言ってた最終兵器じゃないか。口の中に溶けたチョコレートのざらざらした甘みが残った。
「私なんてしょぼいデバイスの一つに過ぎないんだけど」
「違うね。ももは唯一無二の〈魔法使い〉だよ」

〈15〉に続く

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