まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

417 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/15(土) 00:19:57.89 0

桜の花びらが風に漂う4月の朝、桃子はフルートのケースを大切に抱えながら小走りで高校へと向かっていた。
今日は入学式。桃子が所属する吹奏楽部は入場演奏があるため集合時間が早かった。
チラリ、と腕時計を確認しながら勢いよく角を曲がると、目の前には桃子と同じ制服を着た背中。
勢いを殺せずそのままぶつかってしまった。
フルート落としたらヤバイ!見知らぬ人ごめんなさい!
なんとか踏ん張って踏みとどまった桃子に対して、転んでしまった相手。
どう考えても桃子が悪い。
慌てて手を貸して立ち上がらせ、スカートやブレザーの埃を払ってあげる。
顔をあげてみたら、いかにも機嫌悪そうなしかめ面をした美人さんが立っていた。
かなり明るい茶色に染められ巻かれた髪、軽めではあるが着崩された制服、薄目ではあるがお化粧もしている。
「ごめんなさい、ちゃんと前見てなくてぶつかっちゃって。同じ高校だですよね?怪我とか大丈夫ですか?」
「入学式だってのにサイアク。ケガしてないし、みやも立ち止まって桜見てたし。えっと、ごめんなさい」
「入学式ってことは1年生?初日から制服汚しちゃってごめんね。
ホントに悪いんだけど、時間なくて急いでて」
「その言い方だと1年じゃないの?そっちこそ大丈夫?」
「ももは2年生だよ。楽器も無事だったし怪我もしてないから大丈夫。ごめんね、もう行かなきゃ」
意外とちゃんとしてる子だなぁ、切れられるかと思ったら謝られちゃった等となかなかの失礼なことを考えつつ、桃子は転んだ子を置き去りにして走り去った。
これが桃子と雅の出会いだった。

418 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/15(土) 00:21:07.98 0

学校まで全力でダッシュし、息を切らしたまま練習室でフルートを組み立てて、楽譜と譜面台をつかんで体育館へと向かう。
なんとか集合時間には間に合った。
本番前の慌ただしい時間は過ぎ、入学式が始まる。
入場に会わせてエルガーの威風堂々第一番の演奏が始まる。
一年前、桃子は入学式で聞いたこのメロディと演奏する先輩達がかっこよく見えて吹奏楽部に入部した。
演奏が終わり、長々した挨拶を聞き流しながら朝ぶつかった子を思い出す。
ゆるゆるな校則の高校だから、上級生ともなればそれはそれはカラフルな髪色だったりもするけれど、入学式から染めている子は殆どいない。
退場する1年生を眺めながら、何となくあの明るい茶色の髪を探す。
あ、いた。みやって言ってたっけ。
綺麗なのになんかつまんなさそうな顔してるなぁ。
まぁ、真面目そうなタイプじゃないし、関わることもなさそうかなぁ等とまた失礼なことを思った。

421 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/15(土) 00:22:38.19 0

授業も始まり、新入生の部活の見学期間初日。
桃子は同級生で吹奏楽部員でもある佐紀、舞美と一緒にお弁当を食べていた。
「今日から見学期間だねぇ。何人来るかなぁ。うちらの学年で3人も退部するとか思わなかったよ」
「皆それぞれ事情があるんだし仕方ないけどさ。オーボエ、トランペット、ファゴットだもんね。正直パート編成的にも痛いよ」
「確かに。でも、ももはフルートだし、佐紀だってホルンだし、一人や二人ははいるじゃん。チューバなんてなかなか希望の子いないのにさ」
「まぁねぇ。舞美のとこはねぇ、そもそも楽器が大きくて人選んじゃうじゃん」
「そう言えば舞美のいとこ、愛理ちゃんだっけ?まだ中学生?」
「今中3。来年、愛理はトランペットでファースト(第一奏者)とるよ、きっと。早く来年にならないかなぁ。待ち遠しいよ」
「今は来年の事より今週の事気にしてよ。先輩が見学期間の1週間はかなりきついって言ってたし」
「絶対的に足りてないパーカッションと低音パートは一人でも多く欲しいねぇ」
期間中は放課後毎日、見学者が訪れる。
初回見学者は数人ずつのグループに分かれて、2年生が説明をしながら全てのパートを順番に見学する。
その後本人の希望するパートへと引き渡されて楽器に触ってみるという流れだ。
当然説明係の2年生は楽器に触れない。その分の練習は朝練に積み上げられる。
3人とも説明係になっているため、ため息は非常に重たかった。

422 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/15(土) 00:23:34.42 0

放課後になり、グループ分けしている見学者の中に、見覚えのある明るい茶色の髪を見つけた。
吹奏楽とか似合わないなぁ軽音部じゃないのかぁ等と失礼なことを考えつつ見ていたら、ちらっとこちらを見た気がした。
ぶつかって、こかして、置き去りにして走り去るとか、印象最悪だよ。
どうかあの子のグループに当たりませんようにと桃子は祈ったが、現実は無情だった。
茶色の髪のあの子、ショートカットの色黒な子、黒髪の和風な子の3人が初日の桃子の担当となった。
やりにくさを感じつつ口を開く。
「初めまして。フルート2年の嗣永桃子です。よろしくお願いします。じゃあ、もものいるフルートから一通り回ってくので、気になることとかあったらドンドン質問してください」
名前、経験者か、楽器所有者か、希望するパートはあるのかなど確認しつつ、どんどんパートを巡らなければならない。
経験があったり、自分の楽器がある子が態々初日に見学に来るようならば、殆どは入部するし、パートも決まっている場合が多い。そんなに説明も必要ない。
初心者だった場合は、丁寧に各パートの説明も必要だし、吹奏楽へ興味を持って貰えるようにしなければならない。
去年初心者として同じように先輩にして貰ったこととはいえ、かなり面倒くさい。
全パートの見学を終え、希望するパートの3年生へと引き渡す。
茶髪のあの子、雅はサックス。アルトとテナーの2本持っているらしい。似合わないどころか超有望株だった。
黒髪の子、茉麻はユーフォニウム。この子も楽器もち。待望の低音パートだ。
ショートカットの子、千奈美は初心者だがトロンボーンが気に入ったらしい。伸ばしたりするのが楽しそうと言っていた。

424 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/15(土) 00:24:19.53 0

2日目からも同じ様に丁寧さを心がけて説明をこなしていく。
雅は初日以来毎日参加していたが、特に何も言ってこないのでもう気にしていないのだろう、と勝手に思っていた。
1週間を終えた桃子は燃え尽きていた。
放課後は毎日1年生に対して話し掛け続けなければならない。
自分の楽器を触ることは殆ど全く出来ず、その分の練習は朝練で補う。
頑張ったかいあって、1年生17人の入部式を行っている最中だった。
雅、茉麻、千奈美の初日に説明した3人の姿も見られた。
その他にも桃子が担当した子が何人か入部していて嬉しく思った。
サックス2本も持ってて入部しないわけないか。
そんなことを考えていた桃子は雅に声をかけられた。
「ぶつかった時持ってたの、やっぱフルートだったんですね、嗣永先輩」
うぇっ、覚えてたっ、怒ってる?もも、しめられる?

425 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/15(土) 00:25:00.98 0

気がつけば4月も半ばを過ぎていた。
桃子は窓から校庭の隅で舞美と佐紀に指導されながら腹筋する吹奏楽部の1年生を眺めていた。
吹奏楽部は体育会系文化部である。
良い音を出すためには腹式呼吸が必要であり、その為には筋トレだってするし、走り込みなどの体力作りだってする。
体力お化けの舞美に指導されるとか、今年の1年生可哀想だなぁ。
まぁ佐紀ちゃんがいるし、ヤバければ止めるだろう。
がんばれーと無責任なエールを送りながらボケッとしていた。
もう数日もたてば、経験者は演奏に参加を始めるだろう。
ゴールデンウイークには合宿だってある。のんびりしている暇はないのだ。
先程まで個人練習を行っていたのだが、どうにも気分が乗らない。
あ、雅ちゃん。やっぱ今の時期に茶髪のあの子目立つなぁ。
入部式のあと、雅に謝り倒したことを思い出す。
土下座せんばかりの勢いで謝る桃子に雅は気にしないでと言ってくれた。
ぶつかった上に、置き去りにして走り去った加害者としては気になる、と訴えたらジュース奢ってくれたらそれで良いと言われた。
どうも雅ちゃんとの距離がつかめない。
なんだかよく見られているのに、目線が合うと逸らされる。
こちらから近寄ったら逃げるのに、たまに寄ってくる。
まるで人に慣れてない野生の動物みたいな雅ちゃん。
気になる。
ももどうしたんだろ

つづく

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