まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

891 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/08(火) 01:08:47.44 0

ちょっと前にスレで話題になってたぴゅあな方のみやももイメージで


みや、と呼びかけても、その背中は頑固なままでぴくりともしなかったーーと思う。
電気の消された室内で、カーテンの隙間から差し込む街の光だけでは輪郭なんて定まらない。
でも、これっぽっちも物音が立たなかったから、みやはまだあっちを向いたままなんだろうと判断した。
原因は何となく分かってる。だから、不必要な言葉を並べ立てて振り向かせるのも違う気がして。
結局、ももができたことといえば、みやから少し離れて体育座りをすることくらいだった。
ベッドの上で、みやの視線は壁に向いていて。その背中にはももの視線が向いていて。
相変わらず分かりやすく拗ねてくれるあたりは助かるんだけど、そろそろももの心も限界なんだよね。

カントリー・ガールズの結成2周年、そして引退の発表をした日から2日。
あっという間にライブと記者会見の映像は世間に広まって、やっぱももちは人気者だなーなんて思いながらもどこか他人事みたいな感覚だった。
きっとみやが拗ねてるのはね、その映像を見たからだと思うんだよね。

ーー恋愛のことは考えられません。

そりゃさ、これでもまだあと8ヶ月はアイドルなわけ。そして、アイドルももちとしては、そう答えるしかないじゃん。
今まで必死に隠してきたみやとの関係、そのまま言えるわけないでしょう?
なんて。そこまで全部分かったうえで、でもショックだったんだろうなって思う。
ももが自分と逆の立場だったら、やっぱりちょっと寂しく感じるだろうし。

かすかな衣擦れの音に、漂っていた思考が現実へと戻された。
輪郭はぼやけていたけれど、みやの温かさが近づいてきたからゆっくりと腕を回してみる。
ちょうど体育座りの膝の間に挟まるような格好で、みやはいつになく素直にそこに収まってきた。

「まだ、拗ねてる?」
「そんなんじゃない」

否定しつつも唇を尖らせるものだから、何だか可笑しくなって回した腕に力を込めてみる。
そういうのをね、世間一般では”拗ねてる"って表現するんだと思うよ、みや。

「……だって、ももがあんなこと言うから」
「恋愛がどうこうって?」

首を縦に振りながらも、みやの唇はまだ尖ったままだった。
様子見も兼ねて、いつものノリで突っ込んでみる。

「そりゃあ、みんなのアイドルだか——ふぁ?!」

何の前触れもなく、みやの指にほっぺを摘まれた。しかも、かなりの力で。
いやいやいや、大事な大事なもものほっぺ、そんな左右に引っ張んないでよ!

「何すんの!」

慌ててみやの指を引き剥がすと、指先はそのまま絡め取られた。結果的には、さっきと同じくみやを背後から抱きしめる形になる。
繋がった指先がぎゅっと握られて、次の瞬間みやが唐突に叫んだ。

893 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/11/08(火) 01:10:30.44 0

「あーもう! 早く言っちゃいたい!」

握った手はそのままに、投げ出した足をバタバタさせるみや。
子どもっぽい動作だけど、きっと飛び出たのは本音だったと思う。ももちはみんなのものかもしれないけど、ももはみやのなの!って。
ベリーズ時代はツンデレで売ってたなんて信じられないくらいデレデレですね、夏焼さん。
そんなみやを見ていたら、あと8ヶ月待ってよなんて軽く発しようとした音は妙な形で喉に引っかかった。

「なーんてね……って、もも?」
「え?」

あれ? なんでみやは驚いた顔してるんだろう。
もも、何かしたっけ? 顔に何かついてる? それとも何か別のことを忘れてる?
はっとした顔のままで見つめてくるみやに、ももの心は簡単に揺さぶられる。
しばらくそのまま見つめあって、あっと思った時にはみやの体重が降ってきていた。
するりと指先は解けて、わき腹に違和感を覚える。

「わ、えっ、ちょっ! みや、待っ!」

なんで、なんで、いきなりくすぐってくるの、わけわかんない!
至る所からやってくるくすぐったさの波に、思考なんてまとまるはずもなかった。
どうしちゃったの、みや。
避けても避けても伸びてくる指先をどうにかこうにか捕まえて、ようやくみやは動きを止めてくれた。
みやの両手はももの顔の両脇にあって、なんだっけこれ、床ドンってやつだっけ。
もものことを見下ろすみやは悪戯っ子そのもの。でも、数回瞬きをした後には、すっと真面目なものに変わっていた。

「なんて顔してんの」
「お互い、様でしょ」

自分の顔は分からないけど、みやの表情ならよく見える。
ももを見下ろすみやの目に、熱が宿っていた気がした。でもそれもほんの一瞬で消え去る。
ああ、最初に押し倒されたのいつだったっけ。頭の片隅でどうでもいい思考がくるくると巡った。
アイドルじゃなくなるまではそういうのナシっていう約束を、あのみやが未だにしっかりと守ってくれてるのが不思議だった。

「目、閉じて」

みやの言われるままに、視界を閉ざす。頬に舞い降りる柔らかさに、ちょっとだけ泣きそうになった。
みんなのももちっていう割に、みやにはいっぱい我慢させてるね。
もものワガママもたくさん聞いてもらって、そのうちどれだけを返せてるんだろう。
今までだって有り余るほどの時間をももにくれたのに、まだ待ってって言わなきゃいけないんだよ。

「バカ。今までどんだけ待ったと思ってんの?」

数ヶ月なんて、あっという間なんだからって。
みやが言うと確かな説得力があって、そうやって待ってくれてるみやに、ももはいつも甘えちゃうね。

「ごめ——ふぇ?!」

いや、だから! 痛いって!
本日2度目のみやによるほっぺ攻撃。地味にヒリヒリするんだってば。

「ごめんじゃないでしょ」

そういう時はありがとうでいいのって、言いながらみやがくしゃって笑う。あ、ももの好きな笑顔。
たったそれだけのことなのに、心臓がうるさいほどに脈打った。
頬は摘まれたままだけど、そんなことも気にならなくなるくらい。
今度はももから、そっと触れるだけのキスを送る。

ありがとう、みや。
もう少しだけ、待っててね。

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