まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

344 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/11(日) 22:17:39.33 0

閉じたまぶたから伸びるまつ毛が綺麗だなと思った。

ソファに身を預け眠っている体に、そばにあった膝かけをかけてやる。それでも全く起きる気配はなく、肩がゆっくりと上下していた。
気持ち良さそうに眠るなあ。思わず頬が緩む。しゃがみこんで、間近で寝顔を見てみた。透き通るような白い肌に、ほんのりそばかすが浮かんでいて、可愛い。
柔らかそうなその肌に触れたくて、自然と手が伸びていた。

「何してんですか」

指先が触れる1mm手前で、後ろから声が飛んできた。跳ねるように後ろを振り返ると、不思議そうな顔をしたにへが立っている。
視線を横にずらし、私の後ろにいる人物を認めると、思いついたかのようににやにやと笑った。

「今、嗣永さんに何しようとしてたんですか」

寝ているももへの配慮から、声は囁くようなトーンだった。しかし、私の耳には充分すぎるほど鮮明に届いてしまう。
無性に喉が渇いて、一つ唾を飲み込んだ。

何をしていたかと問われると、「顔に触れようとしていた」と答えることになるだろう。
とすると、次の問いは「何でそんなことを?」となるに決まっている。
その問いには答えられない。何故なら、自分でも分からないからだ。ただ、これだけははっきりと言えることがある。

私はもものことが好きだ。

好きな人に触れたいと思うのは自然な欲求であろう。これなら誰もが納得いく説明となる。
が、それを実際に伝えることが出来るかというと別問題だ。こんなこと、誰かに知られるわけにはいかない。

358 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/11(日) 22:32:20.22 0

「……触ろうとしてましたよね」

答えあぐねていると、質問が重ねられる。分かっているなら、何故問うたのだ。
−−いや、分かっているのではなく、ハッタリだとしたら?後ろからなら伸ばした手は見えなかった可能性もある。否定しようと、違う、と発声しようとした瞬間だった。

「もしかして……付き合ってるんですか?」

にへの声が耳に届いた瞬間、ももを見た。起きてしまっていないか確認するためだ。気持ち良さそうな寝顔に変化はない。安堵の息が漏れた。
今は平気だったが、これ以上ここで話を続けてしまったらいずれ起きてしまう可能性がある。
にへの腕を掴み、楽屋を出た。扉が閉まったのを確認して、一呼吸置いてから告げる。

「ももとは付き合ってない」
「……じゃあ、片想いとか?」
「……なんでそうなるの?」

図星だが、認めるわけにはいかない。にへの鋭い眼差しに内心は焦りでいっぱいだが、悟られないように努める。

「だって、普通なんとも思ってない人の寝顔あんなに近くで眺めます?」
「それは……なんとなくだよ」
「じゃあ触ろうとしてたのは?」
「だから……してないって」

我ながら無理がある。にへの目を見たら見透かされてしまいそうで、思わず目を逸らしてしまった。みや、何後輩相手に狼狽えてるんだ。堂々としろ!と喝を入れ、視線を戻した瞬間。

にへの顔が思っていたよりも近くにあった。そのまま徐々に体ごと接近される。
後ずさりすると、踵が壁とぶつかった。

360 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/11(日) 22:33:14.06 0

「みやちゃんが、嗣永さんのこと好きだって、寝顔を見て何かしようとしてたって……言っちゃってもいいですか?」

そう問いながら、視線を扉の方へ向ける。その先にいるもものことを指しているのだろう。
ドクンと心臓が音を立てて跳ねた。
それだけはダメだ。絶対に、ダメ。咄嗟に、顔を歪めるももの表情が頭に浮かんだ。
ももに嫌われたくない。ももを傷付けたくない。そんな感情で頭がいっぱいになった。

今、私が言うべき答えは「全部にへの勘違いだよ」だっただろう。それなのに。

「……やめて」

にへの言っていることを全て認めてしまうような返答をしてしまった。しまったと気付いたのはにへがにやりと笑った瞬間。

「……じゃあ、私の言うこと一つ聞いてくださいよ」

もう取り繕う隙はない。主導権を得たにへは、イタズラっ子のような、でもどこか色香が漂う表情で笑った。

「……何?」
「ちゃんと聞いてくれるって約束してくださいよ」
「そんなの聞かなきゃ分かんないじゃん」

まーそれもそうですね。納得したような表情を見せた後、明るい声音でにへは言った。

362 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/11(日) 22:34:35.68 0

「させてください」

させてください?何を?目的語がない要求を投げかけられ、戸惑いを隠せない。

「何を?」
「またまたぁ、分かるくせに。……そういうコト。ですよ」

囁くような声で告げられる事実に、頭が追いつかない。この子は何を言っているんだ。異国の言語を話す宇宙人を前にしたような気分で対峙する。

「何言ってんの?おかしいでしょ」
「みやちゃんが嗣永さんを好きなのはおかしくなくて、みやちゃんと私がするのはおかしいんですか?」
「それは……だって、そういうことは好きな人とするもんなんじゃないの」

私がそう言うと、にへはおかしそうに笑った。みやちゃんの見た目でその発言は反則ですってと。何がそんなに面白いのか。苛立ちを覚えるが、息をゆっくりと吐いて気持ちを落ち着かせた。

「女の子とするのに興味あったし、みやちゃん可愛いし。別にそんな理由でもいいじゃないですか。それに」

目で続きを促す。にへは再びにっこりと笑った。

「もったいぶって大事にしたって、嗣永さんは振り向いてくれないでしょう?」

それなら、寂しさ埋めてもバチ当たんないですよ。
にへの言うとおりだ。ももはこっちを向いてくれない。 私が何をしたってももには関係ないし、きっとどーだっていい。
いずれにせよ、私に選択肢はない。にへからの誘いを受ける以外にないのだ。
でも、頷くのは癪だから、「……一回だけだからね」そう答えた。

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