まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

499 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/10(月) 21:58:21.31 0

−−−−

打ち合わせが終わり、スタッフたちはぞろぞろと部屋から退出していく。愛理も、この後は℃-uteの仕事があると急ぎ足で去っていった。
今日の仕事はこれで終わりである私は、のんびりと打ち合わせで使用した資料を片付けていた。
書類をクリアファイルにしまったところで、隣に人が立つ気配。

「さっきの続き、話そう?」

隣に立っていたのはももだった。彼女の口から飛び出した、思いもよらない誘いに驚きを隠せない。
確かにさっきはももの質問で話が途切れはしたが、打ち合わせをしているうちに忘れてしまうだろうと思っていたから。
ももにとって、あの会話は取るに足らない内容ではなかったのだろうか。

今日はももが所属するカントリーも最終リハーサルの後はオフということで、楽屋には誰もいないらしい。ちょうどいいと、そこで話をすることにした。
楽屋に入り、荷物等を見て本当に全員帰宅したか確認した上で、ももは扉を閉めた。
テーブルを挟んで、向かい合って腰かける。部屋は静かすぎて、椅子を引く音すらはっきりと響く。

「私には勘違いされたくないって言ったよね?あれって、どういう意味?」

からかうわけでも、問い詰めるわけでもない、何気ない質問のような声音でももは言った。
ああ、私はそんなことを言ってしまっていたのかとももに言われて初めて気付いた。
ももが好きだからだよ。そう言いたいけど−−手をぐっと握りしめた。

「……なんで、そんなこと聞くの」

答えることができないから、質問に質問で返した。これは逃げだ。しかし、本当に聞きたいことでもあった。
何か理由でもなければ、わざわざ尋ねるような内容とは思えなかったから。

501 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/10(月) 22:00:29.29 0

「『ももには』って言うからなんでかなって思って」
「そんな、深い意味はないよ」
「……ならいいけど」

そう答えるももはの表情はどこか残念そうにも見えて、何かを期待してしまいそうになった。
そんなわけないと分かっているのに、淡い期待を抱いてしまう。期待しても、後から現実に打ちのめされるだけなのに。ほんと、ばかだなあと思う。

ふと、今なら、冗談に出来るかもしれないと思い立った。頭の中で一回、シミュレーションしてから、聞いてみる。

「……もし、もものことが好きだからって言ったら?」

冗談に出来るかもしれないと思いながらも、完全な冗談にはしたくなくて。でも、ちゃんとした告白はできない。自らの中途半端さを見に沁みて感じながらも、言葉にした。
私の言葉がももの耳に届いただろう瞬間から数秒後、ももの表情には驚きの色が浮かぶ。慌てて、「なんてね」と言おうとした瞬間、ももは目を閉じた。一つ息を吸いて、吐くくらいの空白の後目を開いて、

「ちゃんと考えるよ。ちゃんと、伝えてくれるなら」

真摯な表情で、こちらを見て答えた。

そのまっすぐな瞳に、射抜かれるような気持ちになる。
思わぬ返答に狼狽えながらも、これは告白をするチャンスなのではないかという考えが浮かんだ。

元々は伝える気なんて毛頭なかった気持ちだ。活動停止の時に伝えようかと思ったこともあったが、やはり言葉には出来なくて。
でも、引退したら、それこそ会う機会はなくなる。それなら、結果がダメでも、関係が崩れてしまっても、問題ないのではないか。
むくむくと、勇気の芽が開こうとする感覚を覚えながら、ここで言ってしまおうかと葛藤する。

503 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/10(月) 22:01:22.51 0

そんな私の思いを断ち切るかのように、再び振動音が鳴った。今度は私の携帯だった。
画面を見て、表示された名前を確認した後、電話には出ずにズボンのポケットにしまった。
振動音は途切れることなく、思いの外長く部屋に響いていた。

「出たら?」
「……出ない」
「ずっと鳴ってるけど」

出なよと目で促される。依然としてディスプレイに表示される名前と、着信を知らせる振動。
その名前を見るまで、すっかり彼女のことを忘れてしまっていたことに気付く。
キスをされそうになった瞬間に拒んで、それを見ていたももを追いかけて。
その後はまだ話をしていなかった。何故か、ちくりと胸が痛んだ気がした。

「……ちょっと出てくる」

小走りで楽屋を出た。扉を閉めてから、画面をスライドさせ、耳に当てる。すぐに声はせず、雑音混じりの静寂が聴こえた。

「もしもし?」
『……あ、お疲れ様です』
「おつかれ。どしたの?」

尋ねながら、扉から距離を取るために歩く。声も自然と潜める形となった。

『誤解、解けたかなと思って』
「ああ……まあ、なんとか」
『まあ誤解でもなんでもないんですけどね』

にへは、苦笑交じりに言った。
実際のところ、彼女の言うとおりだ。誤解でもなんでもない。付き合ってはいないが、体を重ねる関係であることに違いはない。
とは言え、仕事場でああいうスキンシップを取ろうとしたのはにへの落ち度だ。にも関わらず、反省が微塵も見えない態度が引っかかる。

「あのさあ、悪いと思ってないでしょ?仕事場でああいうことはほんとやめて」
『はーい』

伝わっているのがいないのか分からないような軽い返事が返ってきて、思わずため息が漏れた。

504 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/10(月) 22:02:35.78 0

『あー……じゃあ、そういうことで』
「はーい」
『嗣永さんによろしくお伝えください』
「何をよろしく言うっての。……じゃあね」

通話を切った瞬間に、言いようのない気持ちを覚える。表現出来るほどはっきりとしたものではない、漠然とした何か。
それが何なのか、突き詰めることを諦め、楽屋へ戻った。

その後ももとは、二言三言当たり障りのない言葉を交わして、別れた。
電話を切って再び楽屋へ入った時には、一度芽生えた勇気はあっさりと消え失せていた。
ももは先ほどまでの会話で満足したのか、それ以上何かを聞いてくることはなかった。
ありがたいと思うと同時に、もうこんな好機は訪れないのではないかと後悔の念が襲う。

−−ちゃんと考えるよ。ちゃんと、伝えてくれるなら。

ももの言葉が頭の中で何度も再生されるのを聴きながら、帰路についた。

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