まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

206 名無し募集中。。。@無断転載は禁止 2017/09/04(月) 20:25:42.20 0

家族とテーブルを囲み、朝食をとりながら、私は考えていた。
手紙はつまらない悪戯のようなものだと一蹴できても、今、どうやらみやからブロックされている、着信拒否されている。
いくら頭の中で転がしても、その事実に納得できるような落としどころは見つけられなかった。

モヤモヤとした不安と、苛立ちが心の中を塗りつぶしていく。

茉麻は、少し時間が欲しいと言った。私のお願いはまだ生きている。そのことだけがよすがだった。
私から直接みやと連絡を取れない以上、今のところは茉麻からの連絡を待つしかない。
今日明日でけりをつけたいところだが、数日、いや一週間以上かかることだって考えられる。茉麻だって暇なわけではないのだ。
とりあえず、インスタを見る限りみやに変わった様子は見られない。

みやが無事であるならいい。
そこまで考えて、ようやく少しだけ気持ちが落ち着いた。

「なんて可哀想に。親御さんの気持ちを思うとやりきれない」
母親が呟き、私は顔を上げてテレビを見た。上空からどこかの山林が映し出されていた。
行方不明だった女子大生が遺体で発見されたというニュースだった。
想像すると胸が潰されそうで、私は既に食べ終えていた食器を手に椅子から立った。

自室に戻ると、棚に置いていた書店の袋を手に取る。一通目の上に、今日届いた手紙を入れた。
みやと無事連絡がついたら、まとめて捨ててしまおう。そう思った。
一瞬、この袋に溢れんばかりに手紙が押し込まれている様が脳裏に浮かんだ。
私はゾッとして首を振ると、急いでその妄想を打ち消した。

207 名無し募集中。。。@無断転載は禁止 2017/09/04(月) 20:29:40.67 0

家の外から、カタンという音が聞こえた気がして、私は暗闇の中、目を覚ました。郵便受けの音。
朝刊の配達なら続いてバイクのエンジン音が聞こえる。そう思って耳をすましたが、それきり何の音も聞こえて来なかった。
私は起き上がって傍らに置いていたスマホを手に取った。5時半。カーテンを手繰ると、そろそろ日が出そうだった。

再びスマホに目を落とす。茉麻からはまだ何の連絡もない。私はため息を吐いた。
気が急いている。数日以上待っても仕方がないと昨日覚悟したはずなのに。
私はもう一度横になったが、さっきの音が気になって寝付けなかった。
外の空気の冷たさを想像すると気乗りしなかったが、このまま眠れる気もしない。私はベッドから降り、部屋から廊下へ出た。

音を立てないようそっと玄関のドアを開けた。空はもう、明るくなりそうだった。人の気配はない。
思ったよりも朝の空気は柔らかく、私は深呼吸した。

一体、何をしているんだろう。
そう思いながら郵便受けに近づく。手前に見える朝刊を引っこ抜いた。
実際、そこに封筒を見た時、私は思わず小さく笑っていた。
予感は当たった。いや、こんな予感は当たらなくて良かった。

手を伸ばした瞬間、どこかからパシッという小枝を踏むような音が聞こえた。
「……っ!」
私は息を呑み、咄嗟にその場にしゃがみこむ。
すぐに、頭上をカラスの鳴き声が通り過ぎていった。

誰かいるわけじゃない。そう確認してからも、私はしばらく動けず
朝の光が辺りを差すまで、新聞を抱きかかえたままじっと耳をそばだてていた。

209 名無し募集中。。。@無断転載は禁止 2017/09/04(月) 20:32:43.96 0

三通目だ。私は家の中に戻ると朝刊をダイニングのテーブルの上に置き
手紙を手にしたまま、少し考えた。
この、まんまと乗せられている感じは、癪に障る。
とりあえず、今日の分はこれで終わりだろう。

開けてやらない。
そう心の中で呟くと、気が抜けたのか小さな欠伸が出て、私は手紙を新聞と一緒に置いたまま、階段を上がり自室に戻った。
あたたかい布団に潜り込むと、あっという間に眠りに誘われる。それから、アラームで目を覚ますまで一瞬だった。
外はもうすっかり明るくなっていた。
私は横になったまま寝返りを打ち、顔を上げる。棚に目がいった。

袋がない。

慌てて体を起こした。見間違いかと思ったが、やはり昨日までに届いた二通を入れていた筈の、袋が見えない。
ベッドから降りて近づいた。ない。
「なんで」
思わず言葉が漏れていた。見回すと、要らない袋をまとめていた場所に、書店の袋が挟まっていた。
引っ張り出して中を見る。空っぽだった。
最初の手紙を入れた時、同じようにしてこの袋の束から出したのだ。

私は階下へ降りるとダイニングのゴミ箱の蓋を開けた。
丸めた手紙がそこにあった。震える手で拾い出す。紙くずを避けると、ハートの布が目の端に入った。
「なに?ゴミ漁ったりして」
頭の中に針で刺したような痛みが走った。
恐る恐る振り返る。昨日の朝と同じ格好の母親が立っていた。

テーブルに目をやる。封筒があった。朝刊は母親が移動したのだろう。
「何か手紙来てるわよ」
顔が引き攣るのを感じた。
「……うん」
知っている。その手紙は、私が今朝、そこに置いたのだ。

210 名無し募集中。。。@無断転載は禁止 2017/09/04(月) 20:37:21.20 0

「最近、みやと連絡取った?」
私がそう訊くと、茉麻は「忙しくて最近はしてなかったかな」と言った。

ここからやり直しか。私は自分の爪を見ながら考えを巡らせた。

茉麻への頼み事を済ませ通話を切り、何度目かの確認をする。
みやからの既読がつかないLINE、みやのインスタの最終更新も、昨日の朝のままだった。
昨日の出来事が全部、夢だったとでもいうんだろうか。

三通目だと思った二通目は、封を切って中を確認してから、一通目と一緒に袋に入れ棚に置いた。そうするしかなかった。
『みやに会いたくなった?』
その文面も文字も、昨日の朝見たのと同じ。
昨日と違うのは、私が朝食の支度を手伝わず、こうして自室に籠っていることだ。

何かを変えなければ明日に進めない。そんな気がした。
まるで無為となった昨日の自分の行動は追わない。そう決めた。

私は開きっぱなしにしていたみやのインスタの画面に目を落とした。さっきから何度見たか知れない、最終更新のイベントの告知。
「あ……これ今日か」
都内のイベントだった。
もしかしたらこれが、明日へ進むキーなのかもしれない。私は閃くように思った。
連絡がつかないなら、直接出向けばいいんだ。
直接みやをつかまえて、聞けばいい。そう思い至ると、気持ちが逸った。

茉麻からLINEにメッセージが届く。
『ごめん、頼まれた件、少し時間もらっていい?』

「しょーがないなぁ」
私はため息とともに呟いていた。泣きそうだった。

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