まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

641名無し募集中。。。2019/03/15(金) 00:52:13.910

みやがあのバー、つまり、あの子猫ちゃんと出会ったバーを訪れたのは、にへちゃんの一言がきっかけだった。

「処女って、重いんですかねー……」

レモンサワーのジョッキを握りしめて、にへちゃんは呻くようにそう言った。
その前に、にへちゃんが彼氏にフラれたって話題があって、ベッドインまで行き着かなくてって話題があって、今に至る。

「えーそぉ?」
「そうですよぉ、ぜったい」

がつんってジョッキを机に叩きつけたにへちゃんは、もう真っ赤。
今日の飲み会は、にへちゃんを慰めるためだから良いんだけどさ。
にへちゃんが思った以上のペースで飲んでるから、みやは正直ついていけてない。
さっき頼んだサングリアまだかなーって思ってたら、にへちゃんが目を潤ませながらでみやを見上げてきた。

「てゆーか、みやちゃんはどうなんですかぁ」
「どうって」
「みやちゃんもしょじょじゃないですかぁ」
「ちょっと! 声落として」

ここが個室で良かったってめちゃくちゃ思う。
酔ったにへちゃんが何言い出すか分かんないからって個室を取ったみや、ナイス判断。

「ちょーふしぎなんですけどぉ」
「そう?」
「そーれすよぉ。ぜったいみんなほっとかないのに……もったいないぃ」
「あーはいはい」

よく言われるんだけど、みやにはみやなりの事情がある。にへちゃんにも言ってないような。
意味のない声を上げながら、にへちゃんが机に突っ伏した。
うわあ、このまま寝ちゃいそう。……まあいっか、1時間もすれば起きるでしょ。
みやがのんびり考えていたら、こんこんってノックの音。
ようやくやってきたサングリアを片手に、みやは座椅子の背にもたれかかった。

642名無し募集中。。。2019/03/15(金) 00:55:22.830


帰り道、次の日、それから数日。
にへちゃんに言われたことが、みやにはなんだかずっと引っかかってた。
処女が重い、ねえ。
別に経験がないことを恥ずかしいって思うわけじゃない。誰にも迷惑かけてないし。
ただ、知らない世界に飛び込んでみるのも悪くないかなって、思ってさ。

噂は聞いたことあった。毎週末、とあるバーに現れるという、"三丁目の子猫ちゃん"。
女の子ばっかりを狙うという子猫ちゃんについて、はっきりしたことは分かんない。
みんな酒に酔った後の話らしいから、記憶も曖昧っぽいし。でも、一個だけ確かなことがある。

やつは、めちゃくちゃ可愛い。

そんなぼんやりとした噂だけを頼りに、みやはそのバーに足を踏み入れた。
見た感じ、普通のバーなんだけど。こんなとこに、本当にそんな子が?
ちょっぴり疑いつつ、みやはカウンターの端っこに座った。
落ち着いた雰囲気のマスターが、「何にします?」ってスマートに微笑みかけてくる。
ダメ元で頼んだマッコリは、普通にみやの前へやってきた。

白いとろっとした液体をちびちび飲みながら、みやは店内を見渡した。
まだ、時間早かったのかな。それらしい人は見当たらない。
ま、いっか。この店自体、雰囲気悪くないし。リピートもありかも。
今度にへちゃん連れてこようかな、なんて考えながら、みやは一人でマッコリを飲み続けた。
しばらく経つと、アルコールでだいぶ体温は上がってきていた。
でも、指の先は冷えきったまま。笑っちゃう。みや、きんちょーしてんの?

「マスター、同じの」

みやがそう頼んだ時、ざわっと空気が動いた気がした。

「隣、いーい?」
「どーぞ」

みやを試すように隣に座ってきたのは、思ったよりも小柄な女性、ううん、女の子だった。
ちょっと高めの声は、まっすぐ芯が通ってるって感じの響き。
まさか、って思う。みやの直感が、この子なんじゃ?って騒ぐ。
マスターが差し出したマッコリを受け取る時、指が震えそうになったのは内緒。

「ねえ、ここよく来るんですか?」
「いや、初めてで――」

マッコリをカウンターに置いて、みやはようやくその子と目を合わせる決心をした。
ゆっくり横に向けた視線の先で、うふふって笑うその子は、噂通りめっちゃくちゃ可愛かった。
一瞬、何も言えなくなった。ぐいって目を奪われて、頭から言葉がすっぽ抜けるっていうか。
まずね、肌が白いの。バーの明かりでも分かるくらいの色白。なのに、くりっとした目は強く光る。
ナチュラルめのメイクも分かってんなーって感じ。
自分が可愛いって思ってなかったらできないメイクじゃんね。

643名無し募集中。。。2019/03/15(金) 00:57:33.360

そこから先は、噂に聞いた通りだった。
しかもさ、子猫ちゃん、みやが思ってた10倍くらいめっちゃ積極的なの。そんなの、のせられるしかないじゃん?
繋いだ手は子どもみたいにふわふわしてて、温かくて、浮かれモードってあの時のみやのことだと思う。
あんまり覚えてないけど、気付いたらみやはホテルのベッドの上にいた。
目覚めたら、不満げな子猫ちゃんがみやを覗き込んでいた。
やっちゃった、ってみやはちょっと焦った。
緊張のせいか、冷えた指先のせいか、普段より飲み過ぎたせいで寝ちゃってたらしい。
なんのために来たのか分かってんのか、って子猫ちゃんが鳴く。
その言い方は、なんだかお説教されてるみたいでおかしかった。

みやが未経験なんだって知った時はびっくりしてたみたいだったけど、子猫ちゃんはその気になってくれたらしかった。
やっぱ重いかーなんて思いながら、子猫ちゃじゃなかった、ももって呼んでって言われたんだった。
引き寄せられるまま、ベッドの上でももを見下ろす。

「キスして」

とびっきり甘いももの声が、みやを誘う。
あ、でも、こういうのって自分からしたことないかも。
そう思って唇の位置を確かめてたら、ももの声がまた硬くなっちゃった。
さすがに、ファーストキスじゃないよ? あーいや、女の子とって意味なら初めてだっけ。

「女の子の唇、めっちゃ柔らかい……」
「もものが柔らかいの」
「……そっか」

言いながら、みやはちょっぴり泣きそうになった。ねー、今、みや、女の子とキスしてる。
ずっと触ってみたくてたまらなかった、オンナノコの体がね、目の前にあんの。
ずっとずっと誰にも言えなかった感情を、ももはまるごと受け入れてくれるみたいだった。
ぬるん、ってみやの指は一気に三本も飲み込まれてしまって、ぎゅうって締め付けられた。
自分の気持ちも、全部包まれてるような気持ちになる。

「……もも」

……ありがとうって。こんなこと思うの、おかしい?
ももの体が大きく震えるのを感じながら、みやはふわふわなももの体をぎゅっと抱きしめた。

――三丁目の子猫ちゃん、改めももは、噂通り、いや噂以上の、刺激的な女の子だった。

644名無し募集中。。。2019/03/15(金) 00:59:38.080


次、にへちゃんに会ったら、全部話そうって気になっていた。
なんでだろうね。分かんないけど。あ、処女じゃなくなったから?
上がったテンションのまま、にへちゃんを誘ったら早速釣れた。
なんだかんだで付き合ってくれるんだからホントいい子だわー。

そんないい子なにへちゃんは、みやが女の子も好きなんだって話を案外さらっと受け入れた。
みやちゃんなら別に不思議じゃないですよ?って、さも当然みたいに言われたけどなんか納得いかない。
ねーえ、みや、めっちゃ緊張してたのに。

「それよりも……いや、なんでもないです」
「なによー。はっきり言ってよ」

うーん、ってたっぷり10秒くらい悩んだにへちゃんが、ビールをこくりと飲んでから口を開く。

「それ、処女卒業してなくないですか?」
「え?」
「だって、みやちゃん、しただけなんでしょ?」
「えっ……あれっ?」

言われてみれば、確かにそう。
あの日、ももは何度か達してたっぽいけど、ももからは何もされてない。

「うわー、みやちゃんに尽くさせるってどんな人ですか」
「いや、言い方」
「だって信じられないんですもん」

そう? みやわりと尽くすタイプよ?
にへちゃんは「そんなわけないですよ」って口をへの字に曲げる。あー、覚えときなさいよ。
ここまで来たらどうでも良くなってきて、"三丁目の子猫ちゃん"のことも話す。
すると、にへちゃんは、なるほどって感じで首を縦に振った。

「その噂、聞いたことありますよ」
「え、マジ?」
「……同じ人と、二回は寝ないって」
「……うっそ」

「マジです」って言ったにへちゃんの顔は、真剣だった。
もう二度と? そう思ったら、くらっと目眩がする。
うそだ。そんなの信じない。

今週末もまた、あのバーに行こうってみやは心に決めた。

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