まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

934名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/09/24(日) 16:38:33.480

居間のソファに座って雑誌を読んでいたら
「みや愛してる」
と、ももが横から手を伸ばしてきた。そのまま首に抱きつかれる。
みやはそれを無視して雑誌を読み続ける。
ももは立て膝に伸び上がり、体重をかけてきた。重い。頬擦りしてくる。
重い。
みやが雑誌を閉じると、ももは耳元で声を立てずに笑った。
「ねー、みや、しようよ」
「しない」

こいつはみやが飼ってる悪魔だ。人の夢に現れて誘惑する夢魔という。
どれだけ悪さを重ねてきたんだか知らないけど、今は女の子の姿のままうつつに留められ
みやの住むこのおうちに閉じ込められている。

悪魔バスターになって数年。お師匠さんには勘所を心得てるとよく言われた。
セオリーとかよくわかんないけど気合いと好き嫌いだけで乗り切ってきた。
それなりに経験も積んできたけど、さすがに飼うのは初めてで、毎日探り探り。
ときどき思う。
可愛いからいっか、なんてちょっぴり情を移してしまったけど、本当に良かったんだろうか。

ももが頬をつっついてきた。
「ねー」
「決めた時間だけだよって約束したじゃん?」
横からぐいぐい押してくるももの方を振り返ると、間近に顔があった。ももは機嫌を損ねたように目を細めた。
「……そーやってさぁ、管理してくんの」
「管理?……違うわ普通のことだわ普通の規則正しい生活だし」
「ちがうね、上から管理しようとしてる」
「は?」
「もも可愛い、仲良くやっていこーねとか口ばっか。そんなんで懐柔できると思ったら大間違いだからね」
「じゃあ、そっちはどうなの。愛してるとか軽々しく言うけどうちの何を愛してるっていうわけ。消されたくないから適当に言ってるだけなの見え見えだから」
ももが黙ってみやのスカートを捲ってきたので手をペチンと叩いた。
「話してる途中でしょ」
「無意味な会話だったよね。時間損した」
「損って言い方なに。今ので何か失ったものでもあるの」
「……みやは今の話続けたいの?」

そう聞かれると、なんか別に続けたい会話ではない気がする。
みやが考え込んでいるうちにももの手は内股を弄ってくる。
「ダメ、今日はしないの」
「減るもんじゃなし」
片手でももの顎を掴んだ。指で頬をむぎゅーっと潰してやると、ももはイヤイヤと首を振った。
「確かに。減らず口だよねー」
想いっきり首を仰け反らせてから離してやると、ももはふて腐れたように横を向いた。

624名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/10/01(日) 14:09:26.410

………

ももがすっかり拗ねている。
可愛い。頭を撫でてやると、上目遣いに睨んできた。
嫌がってるのが面白くなって、さらに髪をぐしゃぐしゃと撫でていると、両手で手首を掴まれる。
そのままぐいと引っ張られ、あっと思う間に指を噛まれそうになった。

一瞬血の気が引く。
気配を察したのか、ももは勝ち誇ったように笑うと、あーんと口を開けてみやの指を、食べた。
甘噛み。
「痛くしないでね」
負け惜しみに言ってやる。
何をしでかすかわからない。

ももは言われたとおり、力を加減して咬んできた。
片手を預けっぱなしにして、さっきまで見ていた雑誌のページをめくる。
ももは、みやの手の平をモミモミしながら指先を咥え、何度も歯を立てた。
こんなのが楽しいの?まあそれで気が紛れるならいいけど。

何かを確かめるように、小さな歯から少しずつ圧がかけられる。
指の腹をゆっくり齧るように擦られる。
そのうち舌が伸び、関節を舐めた。ちゅるっと唾液を啜る音がした。

雑誌からももの方へ視線を移す。
「おいしい?」と聞いてみた。
ももは顔を上げてこっちを見た。
「ううん。そうでもない」

「じゃあ返して」
そう言って預けていた手を引っ込めようとすると、ももは両手でみやの手首をがしっと掴み直してきた。
「怖いの?」
「別に、怖くなんてないけど」
「だったら、いいじゃん」
「おいしくないならいらないでしょ」
「なんだ、拗ねてんのか」

625名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/10/01(日) 14:12:19.120

「はぁ?」
そう言って振りほどこうと手を引き寄せたが、がっちりと掴まれ引っ張られている。
そのまま、力比べに入った。が、負ける気はしない。
ももの体ごと引きずるように自分の腕を引きつけた。ももが握りこぶしの横からガブリと噛み付いてくる。
「ちょっ、それはなしでしょ!」
「うぅー」
「痛くしたらヤるからね。こっちは左手空いてんだから」
「……っ」
ももの顔が歪んだ。ようやく力の緩んだスキにぱっと手を振りほどいた。
「…歯型ついてんだけど」
赤くなっている。可哀想。みや可哀想。遊んであげたのにこの仕打ち。

「手、洗ってこないと」
そう言って立ち上がろうとしたら、ももが腰めがけてタックルしてきた。まだやんのかよ。
「しつこい」
「知らない。みやのバカ」

ため息が出る。ももを腰に巻きつけたまま、ソファに座り直した。
読みかけの雑誌が下に落ちていたのを拾ってテーブルの上に置く。
テレビのリモコンを取ってスイッチを入れた。
「なんか見たいのある?」
返事はない。膝枕にはご満悦の様子だった。

悪魔は、悪魔のままなんだろうか。
天使になれとは言わないが、せめて人に寄り添ってくれたりはしないだろうか。
女同士みたいに普通に楽しく過ごせるときもあれば
ヒヤリとさせられる時もある。外には出せないと思う。
外には、出せないよねー。やっぱ。
だから。

「もも、退屈なの?」
「……どこをどう解釈したら、退屈してないなんて思えるわけ」
不機嫌な声音。うっかり、へんなところを突いてしまった。
「そうかな。充分な暮らしを用意してると思うけど」
「うん、充分な暮らしは用意してくれてるね」
いちおうわかってくれているようでホッとする。
「ねえ……なんで、みやのとこに来たの」
「さあ?」
思わず、膝の上にあるももの頭をひっぱたいていた。

「なぁにすんの!」
「え?あっ……ごめんごめん、なんか思わず」
ぐしゃぐしゃになった髪を梳いてやる。
「みやとの暮らしに文句はないよ」
「……なら、いいけど」

626名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/10/01(日) 14:17:57.520

それは、ぬるま湯みたいな気持ちよさ。
何ってももにごはんあげてる時の話なんだけど。
温かい舌が押し付けられた時の
ねだるように突いてくる尖らせた舌先の
寄せられる唇のくすぐったいような感触。
全身が蕩けそうな
だけど溶かしたらいけないような
だから意識の糸を一本、現実に繋いで
いつでも戻れるようにしながら
トロトロとした快楽に首までを浸す。

今日はしない日だったんだけど。と、思うと胸がチクリと痛む。
あんまり譲っていると取り返しのつかないことになりそうで
できれば決めたルールは守りたいんだけど
やっぱ捕まえた責任は取らないとっていうか
アメとムチじゃないけど、厳しくするばっかっていうのもなんか

「……っん」
ももの両手が太腿に巻き付いている。時折指先が腿の上を撫でる。
気がつけば履いていたスカートは腰まで捲り上げられ
ゆるく頭が動く度、お腹に、内腿に髪が触れる。
下着は右足首に落とされていた。

ダラシナイ。

そう思う。この、リョウシンノカシャクを失ってはいけない。
「みや」
くぐもって甘えた声。それから、舌先が押し込まれる。
「んっ……」
熱を帯びた舌が入り口をくすぐる。甘い刺激に腰が浮き上がる。
ももの喉が鳴った。

ちゃんと耳を立てていれば、気づいただろう。
玄関から居間へと繋がる廊下からソロリソロリと近づく足音に。

頭を仰け反らせ、ソファの背もたれに押し付けていた。
きぃっとドアの開く音の意味に気付くのに、少し遅れた。
はっ、と気がつき、その方向を見た時には、ドアはパタンと閉められていた。

見られた!
廊下を早足で去っていく足音。みやは慌てて体を起こした。
「もも」
頬に手をやる。ももは半笑いで顔を上げた。
「知らないよ」
「そういうわけにいかないの!」

628名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/10/01(日) 14:25:26.740

立ち上がって一歩踏み出すと、つんのめりそうになった。
足元を振り返ると、足首に絡んでいたショーツにももが指を引っ掛けていた。
言葉にならず、睨みつける。遊んでる時間ないっての。
ふんっと鼻を鳴らして足を抜いた。
ももの手に下着を残し、急ぎドアに手をかけ、開く。
廊下にはもういない。

誰だった?

玄関ドアの磨りガラスに人影があった。
慌てて走り寄り、勢いドアを開ける。
長い髪の女性が焦ったように振り返った。

「……な、なんだ、にへ、どうした」
「どぉっ……ていうか、とりあえず今はマズかったかなって」
私空気読めますから。といった風に、有加は少し引き攣った顔で笑ってみせた。
なんだよこの間。
「ううん、ううん全然まずくないから!」
なにか背中にどっと汗をかいたような気がした。気がしただけ。

有加の手を引いて玄関に再び招き入れる。
「ごめんなさい、カギ開いてたんで、悪気はなかったんですけど」
「あー!そっか!カギ、カギね!さっき買い物行った時かけ忘れたかな?」
「物騒だから気をつけてくださいよ」
「ごめんごめん、何か用あるんでしょ?入って」
有加は玄関までは入ったものの、それより中に入ろうとしない。

「どうした?」
「……誰か、いましたよね」
「う……うん」
みやは出てきた居間のドアの方を振り返った。物音はしない。出て来る気配はない。
このスキに隠れただろうか。にへはどこまで見たんだろうか。

いや、ソファの肘掛けに隠れてあんまりよくは見えていないんじゃないだろうか。
そうであって欲しい。
ごまかせる。たぶん。ごまかせるよね。
ソファの下に落ちてたゴミを拾ってもらっていたとか
マッサージしてもらってたとか、えーと、なんか、なんか……
有加がみやの袖を引いた。
「もしかして、今いたのが、みやちゃんが捕まえてきたっていう悪魔ですか?」
「……察しがいいねー」

630名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/10/01(日) 14:28:54.330

居間のドアを大きく開ける。と、ももはソファの端っこに体育座りしてこちらを見ていた。
「こんにちは。お邪魔しますね」
有加の言葉にももはふいっと顔を逸らした。
「にへ、いいよ、どうぞ座って。なんならももの横に座っていいよ」
「あ、そうですね、せっかくなんで近くに」
そう言いながらも、少し距離を置き、有加は反対側の端に腰掛けた。
「にへのこと紹介するね。この子も、悪魔バスターなんだけど」
「いやー、まだまだまだ全然見習いです」
有加は頬を赤くして謙遜してみせ、顔を外に向けたままのももを凝視した。
「しゃべんないんですか?」
「そ……そう。しゃべれないの」
拗ねて黙っているのをいいことに、そういう設定にした。余計なことを話されるより随分ましだろう。
ももは口を開きかけ、みやを睨んでくる。

「みやちゃん、悪魔を一匹捕獲して手元に置くことにしたとかなんとか言ってたじゃないですか。勝手に手乗りみたいなちびサイズでイメージしてました。普通に人間サイズなんですね」
「夢魔だからね」
「あーそっか。人間誘惑するんだから人間サイズですね」
有加が手を伸ばす。
ももは有加から離れようとばかり肘掛けにしがみついた。
「噛むよ」とみやが笑いながら言うと、有加は慌てて手を引っ込めた。

「繋いだりしてないんですね。逃げないんですか?」
「みやの実家にシルバーのカトラリーセットがあって、それ持ってきて外に繋がる全部のドアと窓に貼り付けてある」
「あぁ、なるほど。玄関ドアにフォークがくっついてましたねそういえば」
「家の中では自由にさせてる」
ももは膝を抱え直し、その上に顎を乗せてふーっと息を吐いた。
「白いパジャマなんか着て、羽も尻尾も見えないし、悪魔には見えない。可愛いし」
有加がそう言うと、ももはくすんと鼻で笑った。自虐的にも見えた。

「そうだ、お茶でも入れてくるね」
みやはそう言うとキッチンへ向かった。
悪魔見学というなら、もう少しの間観察でもなんでもしてもらえばいい。
何か参考になるかっていったら、ならないような気もするけど。
しゃべれない設定は早まったかな。せっかくなんだから夢魔の生態でも語ってもらえばよかったかな。
いや、仲間売るようなことまではしないか?
あれ?仲間とかいるのかな。聞いたこともなかったけど。

有加と自分の分、お茶を淹れてトレイに乗せた。
「おまたせー」
そう言いながら居間に戻る。

ソファの上、有加は仰向けに横たわっていた。その上にももが馬乗りになっている。
有加は焦点の合わない目でこちらの方を見た。いや、見えていない。
ももは有加の唇に触れ、指を突っ込もうとしていた。その口許は笑っていた。
そこまでを、見た。

756名無し募集中。。。2017/10/02(月) 20:39:23.760

「ぬるくて甘くてやってらんないよね」
ももはこっちも見ずに言った。
「……なに」
声が掠れた。
「みや、そこから動かないでね」
「何……言っちゃってんの。そっちこそ動かないでよ」
言えた。みやの言葉に、ももは動きを止めた。

視線を置いたまま、トレイをテーブルに置く。ももの背後に回ると襟首を掴んで引っ張った。
あっけなく、上半身が持ち上がる。ももは笑っていた。
「なんにもしてない」
「してるでしょ」
にへを見た。今は目を閉じている。瞼がぴくっと動いた。夢に連れ込まれたか。
ももの両肩を掴んでソファの下、床まで引き摺り下ろした。お腹を片足で踏んで抑え込む。
抜き出した聖剣を仰向けになったももの顔すれすれに突きつけると、ももはにっこりと微笑んだ。

「ぬかったのはどっち。せっかくみやが噛むよって注意してくれたのにね」
「こんなのナシだから。呼び戻して」
「餌置いてキッチンに行っちゃったのは誰?」
「お願いだから」
「ももは怒ってるんだからね!」

震えるわ。怒ってんのはこっちだから。
しばらく睨み合った。
手の中で剣が重みを増す。しっかり握っていないと、落ちてしまう。
お願いだからって、言ってんじゃん。

消させないでよ。

背後からギシッとソファのスプリングの音がして、みやは振り返る。
にへが薄目を開け、片手をついて起き上がるところだった。
目が合う。
「私……どうしたんでしたっけ」
言いながら、泳ぐにへの目は仰向けに倒されているももと、その顔に突きつけられている銀色の剣を捉えたか
一点に釘付けになった。
「……良かった。戻ってこれた?」
息をついたみやの言葉に、にへは一瞬で状況を理解したようだった。

758名無し募集中。。。2017/10/02(月) 20:42:38.620

「ももは言われた通りにしたからね。いつまでこんなもの突きつけてるつもり」
ずっとみやの顔を見据えていたももは一瞬切っ先を見て、眩しそうに顔を顰め、視線を背けた。

「なんだ……喋れるんじゃないですか」
にへがフラつきながら立ち上がる。「早く……みやちゃん……早く、その悪魔消さないとまずいです」
横を向いたまま、ももの口許がひくっと動いた。

「そう。……そうだよね」
視線を落とすと、考えるのをやめたかのように表情を一切なくしているももの横顔。
嫌がるとか、笑うとか、してよ。わかんないじゃん。ねえ。

「いつでも消せる、なんて、消せないのと同義語ですよ」

にへの言葉が響いた。
「おい見習い、言うことが真っ当すぎてつまんないんだけど」
ももの視線が背後のにへに向いた。
表情が動く。ゆっくりと頬を緩ませ、ももが、笑った。

「みやちゃんができないなら私やります」
にへが動く。ソファの後ろを抜け、ももの頭の横を通り過ぎて窓辺に向かい
貼り付けてあったシルバーのスプーンに手をかける。
パキン!という音がして、スプーンが窓枠から剥がれた。
「待って」
口の中だけで呟いていた。待って、まだ、ももから何も、聞いてない。
何を。

にへはスプーンを握り締め、仰臥しているももの頭めがけて駆け寄る。
その場にしゃがみ込む勢いで、手にしたスプーンを振り下ろす。

「やめて!」

761名無し募集中。。。2017/10/02(月) 20:46:11.280

今のは、誰の声だったんだろう。
聞いたことのない声だった。みやじゃないよね。だってみやは悪魔バスタースタビちゃんだもん。
仲間が悪魔を成敗するのを
止める理由なんか。

手の中にあった筈の聖剣が、消えていた。
強い意思の力で形作られる剣だって、お師匠さんが言っていた。どうして。
どうして消えてしまったの?

にへが振り下ろしたスプーンは、ももの額の上3cm。
びっくりしたような顔で、にへはみやの方を見て、固まっていた。
ももが手を伸ばし、スプーンを握る。
「え……えっ?」
スプーンを引っ張られて、にへは腰を引く。
「触っても平気。だってこのスプーンはキャンディだからね」

「違う、違う、さっきまで確かにこれ、銀の重みが」
「舐めてみたらいいよ。もも嘘は言ってないから」
ももはそう言って、一旦触れたその先端から手を離した。

ピンクと白のねじねじのキャンディ。にへはそれを凝視する。それから、恐る恐る顔を近づけ
唇を開き、その先端に舌を伸ばす。
「にへ!」
みやが叫んだ瞬間、にへの体はその場に崩れ落ちた。

ここは、夢の中だ。

「そう。夢の中。見習いちゃんは夢の中で夢を見てるだけ」
初めてももを見た時と同じ、ピンク色の絨毯が一面に敷き詰められていた。
白いパジャマで横たわったももがふんわりと笑う。それから、みやの方に向かって両手を伸ばした。

「キスして。みや」

762名無し募集中。。。2017/10/02(月) 20:51:01.640

むせ返るような甘い桃の香り。
その場に膝をついた。這うようにももの顔に寄った。片手で頬に触れる。

人の血が通ってるみたいな、ほんのりとした皮膚の温みがここにあるのに。
その青白い肌に赤みがさす瞬間だって何度も見てきたのに。
光を反射してトロリと輝く瞳は、こんなに無垢にみやを見ているのに。
顔を近づけた。
ももは、目を閉じない。
今のみやの顔、ももには、どんな風に見えてるんだろう。
鼻先が触れた。

「キス、しない」
それだけ言うと、視界が歪んだ。

「そんな意思の力があるなら、もものこと消したら良かったのに」
「だって……消せないんだもん」
ももの右頬に雫が落ちた。

「どっちかに決めなよ、みや。ももを消すか、ももに取り込まれるかさぁ」
「どっちもやだ」
「じゃあ、どうすんのよ」
「……だったら、ももだってどっちかに決めてよ」
「どういう二択?」
「みやに消されるか、みやに寄り添う努力するか」
「どっちもイヤ」
「……ははっ」

ももが手を伸ばし、みやの目元をそっと拭ってきた。
「最初にさぁ、みや、楽しくやれればいいじゃんって、言ってたよ」
「……うん。そう言ったけど」
「悪魔バスターだって続けたらいいよ。別にもも以外の悪魔がどうなろうが知ったこっちゃないし」
「あ、そう、そうなんだ」
「二度とみやのお仲間にヘンな気起こしたりしないって約束だったら、してもいいよ」
「……みや以外の人に触ったりしないで」
ももは目を見開き、それから顔をくしゃっとさせて笑いを堪えるかのように口許を歪ませた。

「みや、もうキスしてくれないの?」
「夢の中では、しない」
「ふぅん。聖剣はきっとまた、みやの手の中に戻るんだろうね」

766名無し募集中。。。2017/10/02(月) 20:55:28.660

「みや、もっとちゃんと手首きつく縛りなよ。見習いちゃんにぬるいと思われるからさ」
「これくらいなら、罰として繋がれました。っぽく見えるんじゃない?」
後ろ手に縛られたももは、柱によりかかり、半笑いでみやを見た。
「みやの好きなSMっぽくさ」
手首を締めている紐を引っ張ると、ももは「いったぁい!」と声を上げた。
「声大きい。二階に寝かせたにへが起きてきちゃうじゃん」
「痛いもんは痛いって騒いだっていいじゃんか。ちゃんと管理してますよってとこ見せてやればいいんでしょ」

「……いいですよ、そんなデモンストレーションは」

振り返ると、居間のドアににへが寄りかかっていた。
ももがふーっと息を吐いた。
「なにその言い方ストレート過ぎ。やっぱりこの子つまんない。みやそう思わない?」
「にへはしっかりしてるから」
みやの言葉に、にへは少し恥ずかしそうな顔をして、視線を逸らした。
「そんなこと言って。みやちゃん、すっかり悪魔に情を移しちゃったってことですか」
「情?」
「同情とか、憐情とか」

「情なんて……ひとっかけらもないかな」
そう言って、ももを見た。柱に頭を擦り付けていたももが、みやの視線に気づいてこちらを見る。
声を出さずに唇だけが動いた。

みやあいしてる。

「ぜっったい嘘!……にへ、ご飯食べ行こ。疲れたし美味しいもの食べよう」
「えっ、いいんですか」
「やらかしたんだから罰は必要だったよね。うん。そのまましばらく繋がれとけばいいわ」
にへに近づき、背中をぽんぽん叩いてドアへと促した。そのまま背を抱いて廊下に出る。

ドアを閉める一瞬、振り返ると
ももはいきり立った膨れ面に涙目でこっちを睨みつけていた。

みやが帰る頃、ふて腐れて眠っていればいい。
そしたら優しく起こしてあげてもいいよ。

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