まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

715 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/13(月) 21:23:07.56 0

あの後自分でも何を言いたいのかわからず帰ってしまった。
そもそも呼び止めたのだって反射的なもので何がしたかったのか明確な目的はなかった。
思い出すのは去年の誕生日。
酔って楽しい気分で桃子と一緒に店を出たのに気づけばベッドの上で。
冷たいのに何処か切なげで寂しそうな目が見えて、気づけばキスをしていた。
その後に与えられた快感の中、冗談とは思えない声音で囁かれた好き。
服の隙間から見えた指輪。
お店でアクセサリーは邪魔だからしないと言っていたのにつけられているそれが妙に気になった。
翌朝、起きたら全身筋肉痛状態で体が悲鳴をあげていた。
どうにか起き上がり身支度を整えたところで気づいたテーブルの上の一枚のメモとお金。
俗に言う一夜の過ち。
それでも囁かれた言葉に勘違いしていた。
それだけにそのメモに頭を殴られたような衝撃を受けた。
人生初の一夜の関係。
痛む全身にヨロヨロとバイトに出るとオーナーに笑われた。
二日酔いかと問われ首を横に振る。
何かに気づいたような表情で鎖骨の付近を指さされた。
ももちゃんが痕つけるなんてよっぽど気に入られたんだねと楽しげに告げられた。
ももちゃん結構遊んでるけど上手かった?とも。
その後は自分が何と返したのかも覚えていない。
オーナーの言葉が信じられず夜に桃子の働いている店の近くを数度、通って見た。
その度、見知らぬ女の人と歩く桃子を見かけ事実だと知った。
心臓が締め付けられるように痛かった。
店に遊びに行こうと何度かオーナーに誘われたがメモの事もあってとても足を運ぶ気になれなかった。
そして今日。
知った事実に頭が爆発しそうな程、混乱していた。
纏まらない思考。
不意に玄関の開く音が聞こえてきた。
間も無く部屋のドアをノックされる。
どう反応していいかわからずだんまりを決め込んだ。
すぐに去っていく足音。
これからどうすればいいかわからなかった。

716 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/13(月) 21:23:55.46 0

あの日を境に普通に聞こえるようになった生活音。
玄関やお風呂、洗面所に置かれた桃子の私物。
それでも姿を見かける事はほとんどなかった。
それに少しほっとしていた。
結局、自分がどうしたら良いのかわからないまま一週間が過ぎていた。
このままでいいとは思えない。
それでも普通に接する事が出来るとも思えない。
一日中、その事に頭を悩ます日が続いていた。

「雅ちゃんは真面目だねぇ。見た目と違って」

閉店作業中に突然、オーナーから声をかけられた。
内容に少しむっとする。

「どういう事ですか?」

「んー、ももちゃんの事。別にそんなに悩まなくてもよくない?だってもう一年くらい前に一回だけなんだから」

「いや、でも…」

「別にお互い初めてだったわけでもないんだし、まさか初めてだったとか無理矢理だったわけでもないでしょ?」

「それはまぁそうですけど…ほら、親戚だったとかまずいじゃないですか」

「そんなにまずいかなぁ。まぁももちゃんが未成年っていうのはまずいかもね。でもヤッちゃったなんて言わなきゃバレないし」

あまりにあけすけな言い方に手が止まってしまう。

「あっ赤くなった」

ニヤニヤと純情なんだからと頬つつかれる。
すぐ手を引き、オーナーはまぁでもと言葉を続けた。

「最初は気まずいかもだけど普通にしてた方がいいと思うよ。という事で今日は飲みに行こ」

いつの間にか閉店作業を終わらしていたオーナー。
ほら行くよーと手を引かれる。

717 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/13(月) 21:24:42.42 0

「いや、あの…」

「一緒に来なかったらクビ」

ニヤリと真意のわからない笑顔。
あまりにひどいパワハラ。

「そんなのひきょーですよ」

「えーこれ以上、店の損益を増やしたくないから業務命令でーす」

その後は有無を言わさずタクシーに乗せられ店の前に。
扉を開くと桃子の姿がない事に少しほっとした。

「はーい。今日は夜遊び禁止でーす」

後ろから聞こえた声に振り返る。
オーナーに手を捕まえられた桃子と見知らぬ女性。
オーナーは見知らぬ女性と顔見知りなのかにこやかに会話。
険悪な空気になる事なく二人に手を振り去って行く女性。
諦めた表情でそれを見送る桃子。

「もーなんの用事なんですか」

邪魔になるからと早々に店内に入り、座った途端の桃子の言葉。

「二人ともちょっと変だから大人としてお節介をやいてみようかと。まあ飲んで心開いて話し合えば解決するでしょ」

ほら一気にグッとという言葉とともに桃子と自分の前に置かれるグラス。

「あっももちゃんのはノンアルコールだから、大丈夫」

グッと親指をたてられる。
はいとグラスを握らされる。
もうわけがわからなくて言われるがままに呷った。
視界の端、慌てた様子の桃子。
抗議するような調子の声と叱る様な声が聞こえたのが最後だった。

718 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/13(月) 21:26:08.78 0

肌寒さを感じ意識が覚醒する。
うっすら目を開くと桃子の顔が間近にあり飛び起きた。
ゴツっと鈍い音。
あまりの痛さに頭を抱える。
視界に入る自分の格好。
何故か下着だけ。
真っ白になる頭。

「何もしてませんから。着替えさせようとしただけです」

頭を抑えながら呻く様に言う桃子。
それに落ち着きかけたが自分の格好を思い出し慌てて手近にあったタオルケットを巻きつける。

「そんな慌てなくても。全部みた事あるんですから。あっもしかして胸小さい事気にしてるんですか?」

あまりに失礼な言葉に枕を投げつける。
あまり力の入らなかったそれは何故か正面から桃子の顔にぶつかった。

「図星だからって枕、ぶつけないで下さいよ」

からかう様に笑いながら枕を持って再び近づく桃子。
間近に迫った顔に思わずぎゅっと目を瞑ってしまった。
ピタリと首に当たる冷たい感触。
そっと肌を滑るタオル。

「拭けそうなら自分でします?」

差し出されたタオルにキョトンとする。

「雅さんお酒零してここベタベタしてますから」

体の前側を指差される。
言われると確かに肌に感じる違和感。

「しゃわーあびる」

立ち上がろうとした体を押し留められる。

「危ないですからシャワーは明日にして下さい。後ろ向いてますからこれで拭くだけで我慢して下さい」

719 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/13(月) 21:27:07.09 0

目の前のタオルを受け取ろうとして失敗する。
ベッドの上に落ちたタオル。

「無理そうですね」

「じぶんでできる」

まるで聞き分けのない子どもを見るような目つき。

「そのままでいいからじっとしてて下さい」

巻きつけたタオルケットの隙間から手を差し入れられる。
腕を背中に回されホックを外された。
鼓動が早く脈打つ。
肌に触れる指に体温が上がる。
一分にも満たない短い時間。
それが異様に長く感じた。

「ベタベタした感触はもう無いですか?」

桃子が離れて、聞こえる荒い自分の吐息。
恥ずかしさから俯き頷く。
差し出される着替え。
着替えようにも上手く着れない。
見かねたのか着替えを手伝われた。
着替え終わり人心地つくも顔が見れない。

「ごめんなさい」

突然の謝罪に顔を上げる。
頭を下げている桃子。

「なにが?」

「あの日の事。あんまりああいう事に慣れてなかったんですよね。今日雅さんが酔い潰れた後に聞きました」

すみませんと真剣な目で言われた。

「難しいと思いますけど何か気の済むようにして下さい」

頭が回らない。
それでもあの日の事を桃子が後悔している事だけは伝わってきた。
それが何かわからないけれどすごく嫌だった。

「明日、ゆっくり話しましょう。休みらしいですから。おやすみなさい」

沈黙をどう解釈したのか終始、申し訳なさそうな態度の桃子。
パタンと静かに閉められたドア。
無性にかなしくなって涙が溢れた。
理由のわからない涙に戸惑う。
グチャグチャに混線した感情。
それでもなにも思考できない頭に諦めてベッドに横になった。
すぐに睡魔に襲われ素直に目を閉じた。

905 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/16(木) 00:57:18.46 0

リビングの方から聞こえてくる物音に目が覚めた。
携帯で時間を確認して慌てて部屋から出た。

「おはようございます。雅さんも食べますか?」

コンビニの袋を持ち上げ聞いてくる桃子に首を振る。
遅刻確定で食べている暇などない。
バタバタと準備していると何かに合点がいったような表情で声をかけられた。

「雅さん、そんなに慌てなくても今日休みですよ」

確かに昨晩そんな事を言われたような気がする。
確かめようと携帯を開くとオーナーからの連絡が一件。
有給休暇にしといたから
内容はそれだけで脱力する。

「まあ、とりあえず朝ごはんにしましょう」

差し出されるコンビニの袋。
ありがたく受け取る。
適当な菓子パンを貰って口をつける。
初めての一緒の食事。
毎朝一人で摂る食事よりもおいしく感じた。
あっという間に終わった食事の時間。
一足先に食べ終えていた桃子が口を開いた。

「何か思いつきましたか?」

一瞬、何を言われているのか理解できなかった。

「できる範囲のことならしますからなんでも言ってください」

昨晩の事が思い返される。
どうしたいかなんてわからない。
第一、桃子が一方的に悪い加害者のような言動にひっかかる。
酔っていたとはいえ無理矢理だったわけでも騙されたわけでもない。
わからないなりに思ったまま口にする。

「どうしたいとかよくわかんないけどこの何か変な関係なのはなかったことにして普通にしようよ。一緒に食事したり会話したり」

どこか納得のいっていない桃子。

「それはいいですけど何かこうお詫びというか…」

「だったら何かして欲しい事思いついたら言うからそれでいいじゃん」

906 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/16(木) 00:58:19.83 0

渋々とながら納得してくれたのか承諾する桃子。
手始めに生活のルールを新しく決め直す。
あっさりと決まっていくも家事の分担で躓いた。
家事全般が得意でないという桃子。
料理は無理だし掃除も部屋が全く片付いていない事を例に挙げられる。
果ては不公平だから今まで通りにしませんかと提案された。
試しに作ってみて貰った料理。
できた焼きそばは悲惨の一言に尽きた。
それでも笑いながら二人で食べたそれは悪いものではなかった。

どうにか押し切って決まったルール。
圧倒的に増えた会話。
休日と朝食は一緒に摂るようになった食事。
冷蔵庫に入るようになった桃子のモノ。
他の趣味は合わないのに食べ物だけは被って。
お互い食い意地がはってるのか偶におこる些細な口論。
それ以外は何の問題もなかった。
そう思っていたのに。
桃子の部屋を片付ける事になっていた休日。
着々と進む作業の途中、不意に気付いた。
指先ですら一ミリも触れない。
触れそうになると自然に触れる前に離れる。
物があるせいで狭いスペースで二人が動いているのにどこもぶつからない。
物の受け渡しをしても指先一つ接触しない。
急な動作で避けられているわけでもなく自然にみえるが不自然だった。
気にし始めたらキリがなかった。
行動を見ていると触れないように細心の注意を払っているのがわかった。
またモヤモヤした。
夜帰ると既に桃子が帰宅していたここ数日。
真っ暗な部屋に帰り少し違和感を感じた。
新ルールを決めた日からは夜にバイトに入っていても大体同時刻か少し遅い時間に帰ってきていた桃子。
いつもならそろそろ帰宅する時間。
食事を摂ってシャワーを浴び終えても帰ってきていなかった。
翌朝、まだ薄暗い時間に帰ってきたのが音でわかった。
朝食の時に香った微かな香水の匂い。
明らかな移り香。
嫌いな香りではないのに妙に気に障った。
その日からたまに桃子からするようになった香水の匂いに心乱された。

907 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/16(木) 00:59:46.31 0

「お疲れ様でした」

まだ帰り支度の終わっていないオーナーの背中にそう声をかけ先に出た。
それなのに何故か今、腕を掴まれてオーナーの友人の店に連行された。
まだ二十一時前。
店に入るなり目が桃子を探してしまった。

「今日はもうあがったの」

その様子が伝わったのかすぐに告げられた桃子の不在。
席につくと同時に出されるグラス。

「雅ちゃんのはソフトドリンクだから安心して飲んで」

「えーつまんなーい」

「この前の事、忘れたの」

にっこりと笑う、その顔は怒りしか感じられない。
それをものともしないオーナー。
ごめんねとへらりと笑ってこっちに向いた。

「それで、今度は何に悩んでるの?」

「へっ?」

「また難しい表情になってる時があるから」

「悩みというか…」

避けられてモヤモヤして、知らない香りにイライラする。
それが何故なのかがわからない。
簡潔に言えばそれだけの内容。
それなのにあった事から長々と説明していた。
話し終えると顔を見合わせ何とも言えない表情になる二人。

自覚がないとか
もうほんと何歳なの
これ言うべきじゃないでしょ
いやでも
わからないとかないでしょ

ボソボソ交わされても聞こえる二人の言葉。
最終的に二人で頷き合って話を終えていた。

「まあうん。ゆっくり考えたらいいよ。さあ飲も飲も」

打ち切られる話。
あっという間によくわからないテンションにまで振り切れるオーナー。
結局、最後まで話しの続きがされる事はなかった。

908 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/16(木) 01:00:43.64 0

部屋に帰ってもあの二人の言葉が気になった。
どうやら何故かというのがわかってたらしい会話。
自分にはわからないのに。
そんなにわかりやすい事がわからない事にまたモヤモヤした。

翌朝、リビングにいつまでも現れない桃子の食事を冷蔵庫にしまい込む。
少しいつもより遅くなってしまい慌てて玄関から出た。
目の前に桃子。
驚きに見開かれる目。
やはりする香水の香り。
苛立ちとどこかが痛む感覚。
表に出そうになる苛立ちを押し殺し口を開く。

「おはようもも。食事、冷蔵庫に入ってるから食べれたら食べて。じゃ遅刻するから行くね」

返事を聞かずに駆け出した。
走ったせいで逆にいつもより少し早めに店に着いた。
既に来ていた熊井ちゃんに汗だくの状態を指摘された。
時間はまだ早い。
ゆっくりと着替えながら今朝の事を話した。

「 で、気づいたら走ってて」

「みやはその子の事、好きなんだ」

「えっ?」

「だってそれってそうじゃなきゃあんまり気になったりしないでしょ?」

あれ?違った?なんて言う熊井ちゃんに何も返す事ができない。
桃子の事が好き?
そんなまさか。
一日中、仕事に集中できなかった。

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