242名無し募集中。。。2018/01/02(火) 21:50:40.130
落ち着かない心を抑えたい一心で、一方的にももを呼び出した。
素直に応じてくれたのは、きっとももがそういう気分だったから。
お互い都合よく利用してるよね。まあ良いか、そういうのも。
何かあったの？
そう見える？
なのに、ももの顔を見た瞬間、ざわざわと波打つ胸が一気に鎮まったのはなぜだろう。
熱っぽく見つめてくる瞳に応えて、ももの体を抱き寄せる。
強請るように急かすようにももの手のひらが背中に張り付く。
でも今日はそんな気分じゃなかった。
驚くほど穏やかな気持ちでももを見つめると、なんで？って言われた気がした。
いつもはせっかちな指先を今日はゆっくりと移動させる。
丁寧に丁寧に、ももの全身に触れていく。
うちは、ももや佐紀ちゃんみたいに器用じゃないから、感じて。
……やだ。
絞り出すように訴えられたけど聞こえないふり。
ねえ、みや。それ、やだ。
もう一度そう聞こえて今度は両手を制された。
良い感じに熱が高まってきたのにどうして冷めるようなことするの。
大人しくしてよ。
やだ、ってば。
吐息が頬に触れる。堪らなくなって口付けた。
ちゃんとキスをしたの、初めてかもしれない。
震える体を押さえつけて、口の中の柔らかいところ全部を舌でなぞってあげる。
嫌だって言う割に応じる舌先は「嬉しい」って言ってるみたい。
ももは意気地なしなんだ。ようやく分かった。
気持ちがないんじゃない。
行為に気持ちを重ねることを、拒んでいるだけで。
思えば、ももが臆病だなんて分かりきってたこと。
ちゃちなジェットコースター。子供騙しのお化け屋敷。
そんなものさえ怖がるももが、何かを壊す勇気なんて持ってるはずがなかった。
……やめてよ。
恨めしそうなももの主張を受け流して先へ進む。
243名無し募集中。。。2018/01/02(火) 21:51:39.780
迎えた絶頂の余韻で、まだ朦朧としている瞳がうちを映した。
こんなの……ひどい。
なんで？
ひどいことをしたなんて、うちはちっとも思わない。
ただ腹を満たすよりは、少しでも美味しいものを食べたいし。
硬い床の上で寝るよりは、柔らかな毛布に包まれて寝たいし。
ももだって同じなんじゃないの。
みやじゃなきゃ……なんて、悪夢だよ。
思わずももの顔を凝視していた。
今更だ。あれだけ求めて、そして諦めたものがあっさりと手の内に転がり込むなんて。
いっ、たっ……！
存分に力を込めたデコピンは、綺麗にももの額へと炸裂した。
この前は、誰でもいいって言ったくせに。
……本当、みやって……良い趣味してる。
苦々しげに顔を歪めながら、ももは額を押さえた。
244名無し募集中。。。2018/01/02(火) 21:54:14.290
浅い眠りに浸りながら、不意に衣擦れの音を聞いた。
持ち上げられた布団の隙間から、冷えた空気が流れ込む。
緩く開けた瞼の向こうで、背中を向けるももが見えた。
寝室のドアが、ひどく慎重に閉められる音がする。
ももと事実上の同棲を始めて数週間。
しばらく落ち着いていたようだけど、そろそろ抑えられなくなる頃か。
うちはそっとベッドを抜け出した。
どこ行くの？
笑えるほど俊敏に振り向いたももの顔は、たぶん青ざめていたと思う。
まあ薄暗い中じゃ分かるわけもないんだけど。
違うの、これは。
しどろもどろに言い訳をしようとするももの体を引き寄せる。
ももの体は、熱かった。
キスを誘うふりをして、持っていたそれをももの唇の隙間に押し込んだ。
丸くなる瞳をよそに、ミネラルウォーターのペットボトルをももの唇に押し付ける。
こくりと喉がひとつ波打つのを見て、うちはすっかり満足した。
なに、を……。
ただの睡眠導入剤。
軽いやつだし、きくかどうか分かんないけどさ。
まだ状況が飲み込めていないらしいももの体を引きずるようにしてベッドに連れ戻した。
次に抜け出そうとしてもすぐに目覚められるように、うちの腕の中に閉じ込める。
背中を緩い動作でさすっていると、ももは小さく身を震わせた。
……何もしないの？
なでなでしてるじゃん。
そうじゃなくて、と続く言葉の先は分かっていたけど知らないふり。
ダイエットで痩せられるように、生活リズムを整えて睡眠不足を解消できるように。
もしかしたら、少しでも厄介な体質と付き合う方法があるかもしれないし。
ないって言い切れないなら、探してみたっていいと思う。
……無理に、決まってる。
ももはそう言って勝手に諦めた目をするけど、そんなのに怯んだりしないから。
何だってするって言ったのは本当だし、うちらに時間はたっぷりあるよ。ね、もも。
数分もしないうちに脱力したももの寝息を聞きながら、うちもそっと目を閉じた。
落ち着かない心を抑えたい一心で、一方的にももを呼び出した。
素直に応じてくれたのは、きっとももがそういう気分だったから。
お互い都合よく利用してるよね。まあ良いか、そういうのも。
何かあったの？
そう見える？
なのに、ももの顔を見た瞬間、ざわざわと波打つ胸が一気に鎮まったのはなぜだろう。
熱っぽく見つめてくる瞳に応えて、ももの体を抱き寄せる。
強請るように急かすようにももの手のひらが背中に張り付く。
でも今日はそんな気分じゃなかった。
驚くほど穏やかな気持ちでももを見つめると、なんで？って言われた気がした。
いつもはせっかちな指先を今日はゆっくりと移動させる。
丁寧に丁寧に、ももの全身に触れていく。
うちは、ももや佐紀ちゃんみたいに器用じゃないから、感じて。
……やだ。
絞り出すように訴えられたけど聞こえないふり。
ねえ、みや。それ、やだ。
もう一度そう聞こえて今度は両手を制された。
良い感じに熱が高まってきたのにどうして冷めるようなことするの。
大人しくしてよ。
やだ、ってば。
吐息が頬に触れる。堪らなくなって口付けた。
ちゃんとキスをしたの、初めてかもしれない。
震える体を押さえつけて、口の中の柔らかいところ全部を舌でなぞってあげる。
嫌だって言う割に応じる舌先は「嬉しい」って言ってるみたい。
ももは意気地なしなんだ。ようやく分かった。
気持ちがないんじゃない。
行為に気持ちを重ねることを、拒んでいるだけで。
思えば、ももが臆病だなんて分かりきってたこと。
ちゃちなジェットコースター。子供騙しのお化け屋敷。
そんなものさえ怖がるももが、何かを壊す勇気なんて持ってるはずがなかった。
……やめてよ。
恨めしそうなももの主張を受け流して先へ進む。
243名無し募集中。。。2018/01/02(火) 21:51:39.780
迎えた絶頂の余韻で、まだ朦朧としている瞳がうちを映した。
こんなの……ひどい。
なんで？
ひどいことをしたなんて、うちはちっとも思わない。
ただ腹を満たすよりは、少しでも美味しいものを食べたいし。
硬い床の上で寝るよりは、柔らかな毛布に包まれて寝たいし。
ももだって同じなんじゃないの。
みやじゃなきゃ……なんて、悪夢だよ。
思わずももの顔を凝視していた。
今更だ。あれだけ求めて、そして諦めたものがあっさりと手の内に転がり込むなんて。
いっ、たっ……！
存分に力を込めたデコピンは、綺麗にももの額へと炸裂した。
この前は、誰でもいいって言ったくせに。
……本当、みやって……良い趣味してる。
苦々しげに顔を歪めながら、ももは額を押さえた。
244名無し募集中。。。2018/01/02(火) 21:54:14.290
浅い眠りに浸りながら、不意に衣擦れの音を聞いた。
持ち上げられた布団の隙間から、冷えた空気が流れ込む。
緩く開けた瞼の向こうで、背中を向けるももが見えた。
寝室のドアが、ひどく慎重に閉められる音がする。
ももと事実上の同棲を始めて数週間。
しばらく落ち着いていたようだけど、そろそろ抑えられなくなる頃か。
うちはそっとベッドを抜け出した。
どこ行くの？
笑えるほど俊敏に振り向いたももの顔は、たぶん青ざめていたと思う。
まあ薄暗い中じゃ分かるわけもないんだけど。
違うの、これは。
しどろもどろに言い訳をしようとするももの体を引き寄せる。
ももの体は、熱かった。
キスを誘うふりをして、持っていたそれをももの唇の隙間に押し込んだ。
丸くなる瞳をよそに、ミネラルウォーターのペットボトルをももの唇に押し付ける。
こくりと喉がひとつ波打つのを見て、うちはすっかり満足した。
なに、を……。
ただの睡眠導入剤。
軽いやつだし、きくかどうか分かんないけどさ。
まだ状況が飲み込めていないらしいももの体を引きずるようにしてベッドに連れ戻した。
次に抜け出そうとしてもすぐに目覚められるように、うちの腕の中に閉じ込める。
背中を緩い動作でさすっていると、ももは小さく身を震わせた。
……何もしないの？
なでなでしてるじゃん。
そうじゃなくて、と続く言葉の先は分かっていたけど知らないふり。
ダイエットで痩せられるように、生活リズムを整えて睡眠不足を解消できるように。
もしかしたら、少しでも厄介な体質と付き合う方法があるかもしれないし。
ないって言い切れないなら、探してみたっていいと思う。
……無理に、決まってる。
ももはそう言って勝手に諦めた目をするけど、そんなのに怯んだりしないから。
何だってするって言ったのは本当だし、うちらに時間はたっぷりあるよ。ね、もも。
数分もしないうちに脱力したももの寝息を聞きながら、うちもそっと目を閉じた。
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