まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

575名無し募集中。。。2018/12/21(金) 13:38:55.690

来てしまった
大きな建物を目の前にして、自らの意思でここにいるにも関わらず、その圧倒的存在感に呆然とする

「これから、どうしよ...」

そう、ここからが問題
勢いのままにここへ来たはいいけど、来たからといって何をどうするかまでは考えていなかった

キョロキョロと辺りを見渡してみても、人の姿はない
え、これってどこまで勝手に入っていいんだろ?
まあとりあえず、敷地内に入ってから考えよう

「...はは、めちゃくちゃじゃん」

本当、恥ずかしいくらいすべてが勢いだけの行動
こんなこと、2度とないだろうな
そんなことを考えながら、立派な門を潜った

576名無し募集中。。。2018/12/21(金) 13:39:46.420

どこに向かえばいいのかわからず、とりあえずチャペルの入口まで来てしまった
茶色の大きな扉は閉ざされていて、これ以上近付くなと言われている気がした

私の来るべき場所じゃない

不意にそんな感情が湧き上がってきて、無性に悲しくなって、やっぱり帰ろうと踵を返した
すると、女性が立っていた
あまりに唐突な出現に声を上げるのも忘れて驚く
よく見るとその人はスーツを着ていて、胸の辺りにはネームプレートらしきものを付けている
そこまで理解して、この結婚式場で働いている人かと思い至って焦る

「あ、あの、勝手に入ってしまって申し訳ありません、えーと、その...すぐ、帰りますので」

私、完全に不審者じゃん
恥ずかしい恥ずかしい
とりあえず顔覚えられちゃう前にここから立ち去ろう
女性の横をすり抜けるようにして、元来た道を戻る

「どうぞ」

すると後ろから女性の声が聞こえた
空耳?いやまさかね

「はい?」
「だから、どうぞ」

聞き返すと、女性は綺麗な笑顔を作って繰り返した
ハーフみたい、美人さん
ネームプレートを盗み見ると、そこには菅谷と書かれていた

「今から開けるのでちょっと待っててください」
「...え、はぁ」

577名無し募集中。。。2018/12/21(金) 13:41:03.170

菅谷さんの手によって、扉が開かれる
そして目の前に広がった光景に、思わず息を飲んだ

「き、綺麗」
「ふふ、圧倒されますよね」

真っ直ぐに伸びた、真っ赤なバージンロード
パープルに輝く、ステンドグラス
一昨日雑誌で見たものより、何十倍も素敵だった

みやと彼氏さんは、もう見学に来たのだろうか

そうだよ、本来の目的はそれだったのに
もう1度みやに会って想いを伝えるために、ここへ来た

「あ、あの、今日、見学に来たカップルっていませんか?」

隣にいる菅谷さんの方を見ると、そっと微笑まれた
え、なにその表情

「もも」

その瞬間後ろから聞こえた声に、振り返る
そこには、みやがいた
驚きのあまり、口を開いても言葉が出てこない
なに、なんで、彼氏さんは?
どうして1人なの?

「ではごゆっくり」

菅谷さんは微笑んだままそう言うと、扉の方へ向かう
みやの隣で立ち止まって、ふにゃって笑った

「帰りにまた声掛けてくれればいいから」
「おけ。ありがとね梨沙子」
「どういたしまして」

なになにどういうこと?
2人は知り合いなの?
ますます疑問が増える

菅谷さんはそのまま出て行ってしまった
みやと私だけが、取り残された

578名無し募集中。。。2018/12/21(金) 13:42:43.520

「あの、さ...どういうこと?」

しばらくの沈黙の後、なんとか発した声は掠れていた
みやは困ったように頭を掻く

「ちょっと、長くなるかも。...とりあえず、あっちまで歩きながら話さない?」

みやはステンドグラスの方を指差しながら言った
私はまだ混乱する頭のまま、こくりと1度頷く

みやとこうして隣同士でゆったり歩くと、緊張する
しかも、なんかこう、今歩いてる場所が場所じゃん?
バージンロード
いやいや、別に意味はないはず
ない、よね?

「本当は、プロポーズ断ってたんだ」
「...は?」

ぽつりと呟いたみやの声にびっくりして、その横顔を凝視する
嘘を言っているようには見えない
真剣な表情をしているみやの話を、しばらくは大人しく聞くことにした

「彼のこと、好きだったけど」
「うん」
「一生添い遂げるってなった時に、そんな未来は、...想像できなかったんだよね」

『この絨毯足に吸い付いてくるみたい』独り言のように呟いてから、みやは話を続ける

「まあそれだけじゃないんだけどね、色々、ね」
「...うん」

その色々がなんなのかはわからない
でも、多分とっても大きな問題だったんだろうとは、察した
だってプロポーズを断るくらいのことでしょ?
ていうかそもそも、プロポーズを断ったのになんでみやはここへ来たんだろう

ゆったりとしたペースで並んで歩きながら、みやの表情を伺う
落ち込んでいるようにも、何かが吹っ切れてスッキリした顔にも見えた
やっぱりみやの感情は読めない
昔はもっとわかりやすくて、いじりがいがあったのに
なんて関係のないことを考える

579名無し募集中。。。2018/12/21(金) 13:45:53.630

不意にみやが立ち止まったから、私も歩みを止めた
目の前には、パープルのステンドグラスが広がっていた
入口で遠目に見た時以上の迫力に、ごくりと1度、唾を飲み込む

「あのね、もも」

隣のみやが、体ごとこっちを向くのがわかって、私もそっちを向いた
みやは、ゆらゆらと視線を彷徨わせた後、意を決したようにしっかりと私の目を見つめてきた

「ずっと前から、もものことが好きだった」

みやの声は、チャペルに響いた
あまりに予想外の展開に、ただ見つめ返すことしかできない
みやはゴソゴソと上着のポケットに手を入れて、そこから小さな箱を取り出した
これって、え、まさか、そんなこと、

「みやと、これからもずっと一緒にいてくれませんか?」

私に向けてパカッと開かれた小箱
そこには、紛れもない、指輪が光っていた
これは夢、きっと、自分に都合のいい夢を見ているに違いない
そう思って頬をつねってみて、その痛みにこれが現実だと突き付けられる

何も答えない私を、みやが不安げな目で見つめている
ちゃんと、伝えなきゃ
今日、みやに会えたら伝えようと思っていた想い
言葉にして、伝えたい

「私、も、みやが好き...ずっと一緒に、いたい」

途中から溢れてきた涙で、上手く喋れない
でも、みやがふわって笑ったのが見えた

「はは、ももブサイク」
「うーっ、ばかみやっ!」

ぎゅーって抱きついたら、優しく抱きしめ返された
あー、やっぱ夢みたいだ

580名無し募集中。。。2018/12/21(金) 13:48:22.360

「...指輪、付けてもいい?」

抱きしめたまま耳元で囁かれた
頷いてから体を離してみやの顔を覗き込むと、ほんのりと頬が赤く染まっていた

そっと左手を持ち上げられる
指輪を持つみやの手が微かに震えてる
ゆっくりと通されて、サイズがぴったりで驚いた

「いつ測ったの!?」
「ふふ、内緒」

照れたように笑うみやがかわいくて、きゅんとする
手を握ったり開いたりしながら、その輝きに目を細めた
嬉しすぎて、口元が緩むのを止められない
するとみやにその手を引っ張られる
左手を握られたまま、キスをされた
柔らかくてあったかい、みやの唇
愛しくてたまらない、みや

ほんとはずっと両思いだったのに、なんだかものすごい遠回りをしてしまった気がする
唇を離すとみやの頬がさらに赤くなっていて、こっちまで照れくさくなる

「今日、来てくれて嬉しかった」
「このために、わざわざ私に雑誌見せたの?」
「うん。来てくれなかったら、もものこと諦めるつもりだった。もし来てくれたら、そしたら、...プロポーズしようと思ってた」

あまりの無謀さに、唖然とする
それと同時に、愛しさが込み上げた

「ぶきっちょみやび」
「...ももに言われたくない」
「かっこつけみやび」
「それは、まあ...賭けだったんだからしょうがないじゃん」

拗ねたように突き出された唇に、今度は私からキスをした
おでこをコツンとぶつけると、みやがくしゃって笑った
2人とも、耳まで真っ赤なんだろうな
甘くて、愛しくて、触れてるところが熱くてたまらない

悲しい過去なんて捨て去って
これから2人で、たくさんの幸せな思い出を作ろうね

みや、愛してる−−−

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