「DRAG ON DRAGOON エロパロスレ(暫定"キャビア総合スレ")」の保管庫であり、編集権限は無しです。

ある王国に姉妹で一本の剣を鍛え上げる刀匠がいた。
二人が剣を鍛える姿を見たものはそれを、天使が踊っているようだ、と詠ったほどである。
そんなある日、美しい容姿の吟遊詩人の男が工房を訪ねてきた。
「君達が噂の刀匠かい」
男の澄み渡った美しい声がそういった。
姉妹は多分そうです、と応えた。
「そうか、よかった。ここまで旅をしてきたかいがあったよ、二人とも美人だ」
などと男は冗談を交えながら話した。
それを聴いたデボが慌てふためいて、こういった。
「わ、わわ私が姉のデ、デボです」
姉が自己紹介したのを聴いた妹のポポも頭を下げて挨拶をした。
「妹のポポです」
落ち着き祓った様子のポポはそういって手を差し出した。
その手を男は掴んで握手をした。
そしてその後デボにも手を差し伸べる。
差し出された手をデボが握ると、男はいった。
「二人ともよろしくね」
このとき姉妹は同時に恋に堕ちた。


あの後吟遊詩人の男は宿屋に帰って行った。
そして姉妹は男の事について話し合っていた。
「はぁ、あの人また明日こないかなぁ」
「もしかしてポポ、あんたも一目惚れしたんじゃ…」
デボは急いで口をつむる。
間違えて“あんたも”と言ってしまったのだ。
ポポはそれを聴いてやっぱり、と洩らした。
「私昔から姉さんと一緒だったもの、好きになるものも、人も」
「…」
「二人ともいっつも手に入れられなかったよね」
ポポはすこし間を置いてから続けた。
「私ね、今度だけは絶対に手に入れてみせる。姉さんにも負けたくない」
そう言うポポの眼には決意が宿っているように思えた。
デボは妹の挑戦を受けて勝つ事を誓った。
「私もあんたには負けない」
デボはそう言ってから部屋を出て行った。


「んんッ」
呻き声をもらし、デボが目を覚ました。
朝陽が目にしみて少し眩しかった。
そしていつもと違う目覚めだった。
いつもなら静寂に包まれる中、妹のポポが起こしに来るのだが今日に限ってなぜかこない。
それともう一つ。
下の階から金属を打つ音が聞えてくるのだ。
その音は激しく、まるで煮えたぎる憎しみが脈打っているようだった。
しかしその音はどこか寂しげだった。
「…」
デボはとりあえず着替えてから下の階に降りて行った。
ポポの姿が台所にないのを確認せずに、そのまま工房の方までいった。
おもいっきり金属の扉を開けた。
すると物凄い熱気が押し寄せてくる。
「ポポ、なにしてるの」
デボが怒りの感情をあらわにして叫んだ。
ポポは炉の火により深紅になった刀身に金槌を振り下ろすのを一瞬止め、答えた。
「私は姉さんとは一緒にはうたない…違う、うてないの」
それだけ言って彼女は再び金槌を振り下ろす。
また金属の悲しい叫びが当たりに響いた。
その時、音を立てて二人を結んでいた何かが崩れ去った気がした。


ポポは焦っていた。
あくまでもポポは“細工”が得意なのであって、決して“剣を打つ”事が得意なのではない。
今まではそれでも十分だった。
足りないところを姉のデボが補っていたから。
そしてそのデボも“剣を打つ”事が得意で、“細工”に関する技術は皆無に等しいのだ。
“自分は剣が打てない”
“姉にアノ人をとられる”
それだけがポポの体を支配していた。
工房には熱いというだけではすまない程の熱気が篭っている。
常人ならそそくさと外に出て行くだろう。
だがポポはもう5時間もずっと工房で剣を打ち続けた。
ただ、姉を超えたいがために…


その日の午後、吟遊詩人の男がまた訪ねてきた。
工房の様子を見学したい、とポポの眼を見つめながらいう。
ポポは男の視線に耐えられずそっぽを向いてしまった。
その頬は微かにピンク色に染まっていた。
男はポポを見て、熱でもあるのかなと言っておでこに手をやろうとしていったん止めた。
「おっと、これセクハラじゃないからね」
などと笑いながら言って手をおでこに当てた。
ポポはおでこに意識を集中する。
男の体温が感じられた。
それと同時に意識が沼の中に引きずり込まれていくような、妙な感覚に襲われ、意識を失った。

「んんッ」
呻き声をもらし、ポポが目を覚ました。
月明かりが明るく感じられた。
そしていつもと何かが違った。
いつもなら静寂に包まれる中、姉のデボを起こしに行くのだが今日に限ってなぜか夜に目がさめたのである。
それともう一つ。
下の階から金属を打つ音が聞えてくるのだ。
その音は激しく、まるで悪鬼の咆哮にきこえるが、その音どこか悲しげだった。
「…」
ポポはとりあえず着替えようとしてベッドから起き上がり、自分が普段着のままであることに気付き、
そのまま下の階に降りて行った。
音の発生源であろう工房の方に近づくにつれ、悪鬼の咆哮は近づいていく。
おそるおそる金属の扉を押し開けた。
すると物凄い熱気が押し寄せてくる。
「姉さん、なにしてるの」
ポポが落ち着いた感じで囁いた。
デボは炉の火により深紅になった刀身に金槌を振り下ろすのを一瞬止め、答えた。
「私はね、あんたと違って装飾が出来ないの。うらやましかった。ガサツな私と違って繊細なポポ。
家事の出来ない私と何でもこなすポポ…あんたにだけは負けたくない…」
それだけ言って彼女は再び金槌を振り下ろす。
また悪鬼の咆哮が悲しみを掻き消すかのように辺りに響いた。
その時、音を立てて二人を隔ててきた大きな溝がいっそう深く、そして広くなった気がした。


姉妹は剣を打ち続けた。
妹に対する嫉妬を籠めて。
姉に対する憎悪を籠めて。
そして出来上がる剣は紙すら切れないなまくらばかり。
半身だけではまともな剣は打てなかった。
そんなことには二人とも気付いている。
でも二人で剣を打つことはもうないのではないかということにも。
「…」
無言で作業を続ける。
昔はこの工房には二人の奏でる旋律のような音が木霊していた。
しかし今は一人と一人の独唱だ。
悲しい独唱。
そしてそのような状態が半年続いた。
デボが作った剣は3本。
紙が切れない剣はそのうち2本。
木が切れない剣が1本。
全て細工がされてない剣。
ポポが作った剣は2本。
紙が切れない剣はそのうち1本。
木が切れない剣は1本。
全て刀身がまともじゃない剣。
「…どうして」
ポポの目から涙が頬を伝って流れ落ちる。
その質問にはデボは答えぬまま俯いている。
その時工房をこの半年間、ずっと見守ってきた吟遊詩人が言った。
『君たちの剣を打つ音は悲しいね。君たち姉妹は二人で一本の剣を打つんだよね。
それはとてもすごいことなんだよ。一人で何かをつくり上げることよりも、二人で作り
あげるほうがとても難しいんだよ。だからもういいんじゃないかな。一人でがんばらなくても…
君たちは二人なんだから』
と詩人はいった。
二人はなにも言わずにその場で泣き崩れた。
詩人はこの二人を一生護っていくと誓った。
神にではない。
剣にだ。


そしてそれから一ヵ月後。
二人は吟遊詩人と結婚する。
姉妹は最高の剣を鍛え上げることにした。
工房に二人の旋律が木霊する。
ガンッ。
キンッ。
がん。
きん。

そして一振りの剣が出来上がった。
そして吟遊詩人の男が茎に詩を彫った。
この剣を持つものが気付くようにと。
誰しも一人で生きているのではないと気付いてもらうために。
“おぼれゆく者は、海の深さに気をとられ広さを知らぬ”
そうして出来上がった剣の名は吟遊詩人の名を間に挟み、
“デボルポポル”
となる。

それから数十年が経ち、赤き竜が言った事と同じだったというのは誰もしらない。
剣の持ち主は気付けたのだろうか。
誰しも一人ではないということに…
The END

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