「DRAG ON DRAGOON エロパロスレ(暫定"キャビア総合スレ")」の保管庫であり、編集権限は無しです。

Lv.1
昔、飛べない竜がいた。荒々しいが高潔な心を持つ彼は人間と交わることはなかった。
だがある日、傷ついた若き騎士と一匹の竜が出会う。

Lv.2
竜は騎士を助けると、彼が目覚めるのを見届け、その場を立ち去ろうとした。
翼のない竜は、役立たずと忌み嫌われていたからだ。

Lv.3
別れ際、騎士が言った。『この恩は生涯忘れない』
時が流れ、年老いた竜は人間の軍勢に取り囲まれる。竜が死を覚悟したその時……

Lv.4
『翼なき友よ!長く待たせたな!』あの時の騎士が国王となり、
幾千の兵と共に現れたのだ。竜は忘れていた牙を剥き出しにして吼えた。


風が青草を靡かせ、清々しさに包まれた広大な草原
雲一つ無い青空の下、その清々しさとは真逆に息を荒げる男が一人

「ここらが…限界か…」
左手に押さえられた右肩からは、赤黒い血が溢れている
上等な装飾を施された鎧は原型を留めておらず、右肩以外にも多くの傷を負っていた
大きな岩を背に座り込み、たった今絶命させた死体を見回した後空を見上げた

「クソッ…こんな所で…」
小国の上位貴族である男は、騎士団団長の地位にあった
しかし隣国の度重なる襲撃に、その地位は消えつつある
隣国軍の殲滅のために派遣された、精鋭を集めた騎士団が壊滅状態にあるからだ
国王は病死し、内政の荒れた自国に一刻も早く戻るべきだが、血液が留めなく溢れ出る状態では、帰還どころか立ち上がることすら難しい

「誰か…一人でも良い、生きてはいないのか…?」
痛みに耐えながら発した言葉に、返事をする者は居ない
見渡す限り、視界に入るのは言葉無き骸だけだった

「閣下…申し訳…ありません…」
かつて忠誠を誓った君主に詫びながら、空を見上げ呟く
その言葉を言い終わると、男は糸の切れた操り人形のように首を垂らした

その姿を、遠くから見つめる二つの瞳があった



「…目覚めよ、人間」
澄みきった、良く通る声が男の意識を覚醒させた
破壊された鎧は丁寧にまとめられ、横たわっている男の身体の傍に置かれていた
そこは岩場の奥深く、僅かに差し込む日光だけではあまりにも暗い空間

「…………?」
まだ焦点の合わない目で、その声の主を捜すものの、視界にはそれらしき影は無い

「こちらだ」
その声の方向に首を回し、暗闇に慣れ始めた目でもう一度声の主を探すが、反響する声では判断出来ない

「…どこ…だ?」

「まだ意識が定まらぬか…まぁ、あれだけ血を流せば当然だがな」
大剣を振るうような、鈍い風を切る音が辺りに響き渡る
それが眼前の岩石の上に鎮座した者が、自身の尾を振るった音であることはすぐに分かった

「ドラ…ゴン?」
男を助けたその声と音の主は、神に愛されし高貴なる種族、ドラゴンだった

鋼鉄にも等しき硬度を誇る、美しくも頑強な竜鱗
万物を貫き、引き裂く鉤爪を備えた四本の脚
大きく開かれた顎に植え付けられた強大な犬歯
見間違うはずも無い、ドラゴンの姿であった

「地竜“アースドラゴン”…か?」
金に近い光沢のある表皮から、大まかな分類は容易に推測が出来た

「……厳密には違うのだがな」
含みのある言葉の後、地竜は折りたたんだ脚を伸ばし立ち上がった
その姿は威厳あるドラゴンそのものだが、何故か違和感があった

「怪我の手当てと、ここまで運んだ礼ぐらい…してほしいものだが」

「…あ、あぁ……礼を言おう、助かった、ありがとう」
痛みに耐えながら、僅かに首を下げる
その様子を見た地竜は、喉を唸らせなれながら男の眼前へと移動した

「やはりまだ完治はしていないか…暫く此処で療養するが良い」
有無を言わさぬ程の力のこもった言葉で男にそう言い聞かせ、地竜踵を返した

「どこに行くんだ?」

「この辺りに、人間が食せる物はそう無い…考えて狩をせねばな」
意気揚々と、地竜は岩石の隙間へと近付いていった
慣れた動きで岩石に這い上がり、数分掛からず野外へと出る事となる
その姿は、男にはどこか楽しげに見えた

「…これは食えるな…うん、美味い」

「まったく…人間の味覚は随分と贅沢になったものだな」
小さな焚き火を挟む様に座った男と地竜は、各々肉塊に手を伸ばし胃袋を膨らませていた

「贅沢を言える立場じゃないが、見た事も無い蟲を食えるほど俺に勇気は無い」
細身のナイフを串代わりに、地竜の肉を炙りながら男は地竜に視線を向けそう反論する
言い終わる頃に、肉は丁度良い程度に脂を滴らせていた

「…それも一理あるな」
肉を頬張る男の反論に納得しつつ、地竜も肉塊を前脚で押さえ、鋭い牙で削ぐ様に肉に食らいついた
それから暫く、男と地竜は無言で肉を頬張り続けた

差し込む光は月明かりとなり、焚き火の光だけが辺りを薄暗く照らす

「ふぅ…もう食えん、満腹だ」
男は口の周りに付いた脂を指で拭い、ゆっくりと地面に寝転んだ

「食欲も十分…完治は近いな」
同じく食事を終え、壁にもたれ掛かった地竜は、男の様子を観察し僅かに声を低めながらそう呟いた

「あぁ…ようやくだ」

「…………」
男の言葉に地竜は沈黙

「そろそろ教えてくれ…何故俺を助けた?」

「………………」
地竜は沈黙を貫く

「地学・・薬学・兵法…その他諸々の知識を、何故俺に叩き込んだ?」
地竜にその命を救われてからというもの、今まで毎晩の様に様々な知識を叩き込まれた
それは王族に必要とされる人を統べる為のものもあり、また築城に必要な建築知識もあった

「人と交わる事の無い筈のドラゴンが…何故そこまでした?」

「…それがお前に必要だからだ」
地竜はそれきり男に背を向け、地面に座り込んだまま寝付いてしまった

「………明日の朝、ここを出る…世話になった」
男も同じく寝そべり、地竜に背を向け瞳を閉じる
男が眠りに落ちるのに、今夜は随分と時間が掛かった
その眠りの中、男は自身がまだ幼い時の、忘れ掛けていた出来事の夢を見た

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

「ここ…どこだろ…」
夕暮れ時の荒野に、少年は一人でいた
父親の狩りに付いて行き、こともあろうにはぐれてしまったのだ

「も…暗くなって…」
少年は涙を必死に抑え、辺りを見回すが、人影はまるでない
刻一刻と迫る闇に怯え、ついには足を止めてしまった

「……ぅえ…ぇ…」
耐え切れず泣き出した少年の声は、虚しく響き渡った
次第にその声は大きくなっていくが、それを咎める者も宥める者もいない
その泣き声に釣られ、周辺の獣達が集まり始めている
しかし少年にそんなことを気に掛けるような余裕は無く、泣き声は一層大きくなっていく
それでも何故か、獣達は少年に襲いかかろうとはしない
獣達と同じく、少年を見つめる二つの瞳があまりにも強大な存在だからだ
やがてその二つの瞳の主は少年に向け歩み始めた
獣達は歩み始めたその強大な存在に恐れをなし、早々に自分達の巣へと帰って行った

「泣くな小僧…獣が集まるぞ…」

「ふぇ…?」
そう少年に声を掛けた存在は、少年にとって馴染みのある存在だった

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

「…もう朝か」
男の顔を照らす様に朝日が差し込み、目覚めた男はゆっくりと起き上がる
風が草を揺らす音がなんとも心地良く、二三度深呼吸
その後、辺りを見渡した
傍らには壊れ掛けの鎧
僅かに熱を放つ焚き火の向こうには、何者も居ない

「……ふぅ…」
壊れていない足掛と、左腕部の鎧だけを着々と身に付け、ものの数分で騎士の姿となった
胸部は軽装だが、国に帰るまでのそう遠くない道のりならば問題ないだろう
久しぶりの鎧の感触を確かめつつ、男は再び辺りを見回すが、やはり地竜の姿は無い

「仕方ないか…」
地竜の不在に溜息を洩らし、何度か地竜が登っていた岩石に近付く
手足を掛ける場所を探すとすぐに見つかり、男は手で岩石を探りながら登り始める
手を伸ばせば手掛かりがあり、難無く外へと出ることが出来た
久し振りに全身で日光を浴び、目を細めた
三度振り返りみる地竜の巣は、やはり地竜の姿は無かった
二回目の溜息の後、草原へ歩みを進めた男の脳裏に、幼い頃父に聞かせれた童話が不意に過ぎった

“昔々…青草が一面に広がる草原に、とても仲の良い番いの竜がいました”

“その天を駆ける番いの竜はとても頭が良く、時に人々に知恵を与えていたりもしました”

“そのおかげで、知恵を与えられた人々は、大きな国を作るまでになりました”


“そしてある日、怪我をした番いのため、竜は遠くまで狩りに出かけていました”

“しかし獲物を獲り、巣に帰るとそこに番いの姿はありませんでした”

“怪我をしているはずの番いが居なくなっている事に驚いた竜は、辺りを捜し回りました”

“そして、草原の只中で無残にも殺されている番いを見つけました”

“番いを殺したのは、なんと竜が知恵を与えた人間達でした”

“怒り狂った竜は、その人間達に襲い掛かりました”

“しかし人間達は竜から得た知恵を巧みに使い、その竜をも殺そうとしました”

“戦いの末竜は翼を失いましたが、番いの仇を討ちました”

“それでも怒りの治まらない竜は、丸一日辺り一帯に響き渡るように吼え続け、やがて自分の巣へと閉じ篭りました”


“そして二度と、人間と接しないことを誓いました”

恩を仇で返すことを戒めるその童話
しかしそれが戒めだけの作り話では無いということに、男は今気付いた
あの竜は『厳密には地竜ではない』と言った
退化した翼ではなく、奪われた翼なのだ
それならば何故、自分を助けたのか
浮かんだ疑問に答えるように、遠くから声が聞こえた


「持って往け…お前ならば使いこなせるだろう」
平らな岩石に突き刺さった槍を示す様に響く声は、どこから聞こえてくるのか
男が辺りを見回すと、暗闇に包まれた一角から声が聞こえてきた事が解った

「……さらばだ人間…唯一の友よ」
その声が男の耳に届いたとき、男は全てを思い出した

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
泣く少年を宥めた存在は、少年が枕元で聞かされた童話の主人公
翼を、そして番いを失った竜だ

「…我を怖がらぬのか?」
竜の姿を食い入る様に見つめる少年は、いつの間にか泣き止んでいた
それどころか竜に近付き、ペタペタと竜の身体を触り始めた

「…怪我は良くなったの?」
質問に答える前に、少年は竜の背中、翼があるであろう場所を見つめ呟いた
その目は真っ直ぐ竜に向けられ、他意は一切感じられなかった

「………当の昔に癒えておる」
竜はそう呟き、腹を地面に付け背を低くした

「乗るがいい、安全な場所まで連れて行ってやろう」

「…うんっ!」
先程までの泣き顔はどこにいったのか、少年は元気良く竜の背中に乗る
立ち上がった竜の背中から見る世界はまるで別世界
ゆっくりと歩く竜の背中の上で、少年はあちこちを見回し、あれこれと竜に訊ねた
次第に竜も饒舌になり、少年の言葉に一々返事をし始めた
やがて少年が落ち着いた頃、その少年は竜の背中のある一部分を撫で始めていた

「…だから当の昔に癒えたと言っておろう?」

「…ごめんなさい」
撫で続け、少年が呟いた言葉は謝罪だった
予想外の言葉に、竜は一瞬言葉を失った

「……お前が謝る道理がどこにある?お前には関係ない話だ」

「……でも…」
少年は竜の声に言葉を詰らせ、黙り込んだ
それから少年と竜は、言葉を交わすことは無かった


「あれ…?」
やがて視線の先に、松明を携え何事か叫んでいる数人の兵士に姿が見えた

「お前を捜しているのだろう…行くがいい、小僧」
やはりゆっくりと背を地に近づけた竜は、小さく呟いた

「我のことは、あ奴等には言うな…面倒な事になる」

「うん…わかった」
少年もそれを察し、小さな声で答えた

「じゃ…ここまでありがとう」
少年は、丁寧に小さな頭を竜に向け下げた

「構わん…早く行け」
素っ気無い竜に再び頭を下げ、少年は兵士達に向かい走り出した
何度も何事か言いたげに、こちらに振り返りながら

「……人間か…久方ぶりに他者の暖かさを感じたようだ…」
そう呟いた後、走り去る少年の背中に向かい、竜は最後にこう声を掛けた

「これからは気を付けるが良いぞ、小さき友よ」
その言葉に、少年は嬉しそうに手を振った
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
「そうか…俺達はあの時…」
男は思い出した過去を懐かしみ、示された槍を掴んだ
音を立てて岩に亀裂が入れば、男に手には一振りの槍が握られていた

「この恩と…あの時の恩は、生涯忘れない…」
振り返り、竜の耳に届くよう力強く発せられた声
竜の気配を帯びた槍、高々と頭上に掲げたその姿は勇ましい

「ありがとう、気高き友よ…また逢える時を楽しみにしている」
深く頭を下げた後、男は草原に向け歩き出した

男の背中に向け、辺り一帯に響き渡るほどの、竜の咆哮が放たれた

十数年後、とある小国の玉座には、類稀なる知識と他者を圧倒する強さを併せ持つ騎士が座っていた
一代で荒れた国政を建て直し、国民の圧倒的な支持を以って国王と成り得た騎士は、慢心する事無く国家の安定に務めた
竜を模した甲冑と、竜より与えられたと云われる竜騎槍を手に先陣を切り戦場を駆けるその姿から、人々は尊敬と賞賛から彼をこう呼んだ

   “竜騎士” と

「ハッハァー!もう逃げられはせんぞ!」
大きく抉れた地に、傷ついた竜を追い詰めた軍勢の長は、自身の地位を思わせない口調で叫んだ
荒れ果てた国民を統率するために、力の象徴たる竜を狩ろうとしている
一時凌ぎにしかなりえない方法に手を出すほど、その国の将軍は追詰められていた

「…我を殺しどうするつもりだ」
傷つきながらも軍勢の半分を屠った竜は、馬上から声を放つだけの将軍に向け侮蔑の口調で訊ねた

「知れた事…貴様の鱗と牙、鉤爪で武具を作るのよ!」

「そして“竜騎士”に成るつもりか…?なんとも愚かな…」

「何とでも言うが良い…!」
馬上から声を張り上げ、同時に手を振り上げた将軍に従い、兵士達は石弓を引き絞った

「ここ…までか…」
足に致命的な傷を負わされていた竜は、抵抗することすら叶わず、最期は気高く逝こうと瞳を閉じた
しかし弓矢の風を切る音はせず、代わり氷柱が爆ぜる音が聞こえた

「し…将軍!囲まれました!」
衛兵の叫び声に辺りを見回した将軍の目には、驚愕の現状が映しだされた
軍勢を取り囲む様に、圧倒的な数の兵がこちらを睨み付けている
掲げられた軍旗には、猛々しく吼える竜の刺繍
構えた盾には、竜の浮き彫りが太陽光を受け輝いていた

「全ての石弓が破壊されました!」
氷柱に貫かれ、稼動部を破壊された石弓はなんの意味も成さない

「くっ…!後方の兵達は何をやっている!?」

「全滅させられたようです!」
最悪の状況報告を受け、衛兵以上に困惑している将軍に向け、取り囲む竜を掲げた軍勢の長が、宣言した

「貴様等は完全に包囲された…降伏するならば命だけは助けよう」
頑強な鎧を纏った兵を退かせ、馬上から降り立った長は、紛れも無い“竜騎士”
“竜騎士”の良く通る声に、傷ついた竜は反応し、首を向けた

「古き友よ、長く待たせたな!」
兜を外した“竜騎士”の顔を見て、竜は傷を物ともせず立ち上がった

「すまぬな…古き友よ」
地響きに似た声と共に、牙を剥きだしにした竜は忘れ掛けていた咆哮を、轟かせた

このページへのコメント

この武器物語は大好き!

0
Posted by s.k 2011年09月18日(日) 23:52:02 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

Menu

管理人の小言

今更気付いたけど
スレ落ちた…

wikiは残しておくのでご自由にどうぞ

捨てアド置いとくので
「更新しろ!」など
何かあれば連絡下さいな
英語のみのメールは
受け付けません。
this.world.are.all.lies@gmail.com

告知

重要な報告等はここでします
多分使うことは無いと思いますが

タグ登録のお願い
詳しくは下記をご覧ください
タグ登録支援告知ページ

どなたでも編集できます