最終更新:ID:EqW2ra/EiQ 2009年08月23日(日) 06:44:36履歴
聞こえたのは、風の音。
他には何も無い。ごうごうと耳元で唸るそれが鬱陶しく、安息に浸っていた竜は苛立った。
だが、この身を包む感覚には覚えがある。厚い壁を切り裂き、全身が内から持ち上げられるような。
ようやくそこで、ぼやけていた視界が像を結んだ。
・・・・・・落ちている?
状況が言葉として形を成した瞬間、全ての意識と感覚が一気に覚醒した。
落ちている。雲を切り裂き、風を受けて。
考えている暇も余裕もなく、両の翼を羽ばたかせる。
同時にやや前方を真っ直ぐに落ちていく人影に気付く。誰であるかはー・・・
確認するまでも、ない。
ーカイム!
意識は戻っていたらしく、呼び掛けに応え腕を伸ばす姿が見えた。
併走するように身体を付ける。しっかりと首筋に掴まる腕を確認し、思わず息が漏れた。
そのまま身体を反転させ、空中に静止する。
首に感じる懐かしい重みを喜ぶには、だがいかんせん思考が纏まらなすぎた。
「何が起きたというのだ・・・」
誰に問うでもなく呟く。この場で唯一答えられそうな背の男からも、当然返事はなかった。
「我らは確かに共に死し、滅びた筈。何なのだ。何なのだこれは。一体、ここは何処なのだ!」
新宿
他には何も無い。ごうごうと耳元で唸るそれが鬱陶しく、安息に浸っていた竜は苛立った。
だが、この身を包む感覚には覚えがある。厚い壁を切り裂き、全身が内から持ち上げられるような。
ようやくそこで、ぼやけていた視界が像を結んだ。
・・・・・・落ちている?
状況が言葉として形を成した瞬間、全ての意識と感覚が一気に覚醒した。
落ちている。雲を切り裂き、風を受けて。
考えている暇も余裕もなく、両の翼を羽ばたかせる。
同時にやや前方を真っ直ぐに落ちていく人影に気付く。誰であるかはー・・・
確認するまでも、ない。
ーカイム!
意識は戻っていたらしく、呼び掛けに応え腕を伸ばす姿が見えた。
併走するように身体を付ける。しっかりと首筋に掴まる腕を確認し、思わず息が漏れた。
そのまま身体を反転させ、空中に静止する。
首に感じる懐かしい重みを喜ぶには、だがいかんせん思考が纏まらなすぎた。
「何が起きたというのだ・・・」
誰に問うでもなく呟く。この場で唯一答えられそうな背の男からも、当然返事はなかった。
「我らは確かに共に死し、滅びた筈。何なのだ。何なのだこれは。一体、ここは何処なのだ!」
新宿
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