「DRAG ON DRAGOON エロパロスレ(暫定"キャビア総合スレ")」の保管庫であり、編集権限は無しです。

広く、青々とした草原に、スッと延びる細い路を、オローとまだ幼いノウェを乗せた馬がゆっくりと進む。
抜けるような青空と心地のよい風は、9年前に世界が滅びかけたことすら忘れてしまったかのように、優しく彼らを包む。
風に吹かれながら馬を進めると、地平線の向こう、陽炎の奥に巨大な門が見えてきた。
「もうすぐだ。」
目の前にちょこんと跨るちいさな少年に声をかけると、門に向けて馬を少し急がせた。


「ノウェよ、行くぞ」
「あ、うん、はい…」

オローは城門を呆けた顔で見つめて固まっていたノウェに声をかけ、手招きをした。
すぐさまノウェはオローの元へと駆け寄る。その顔には少しの不安と、新転地での生活への期待が入り混じっている。

「オロー団長閣下、ご無事なことお喜び申し上げm」
「あぁ、挨拶はいいから。ほら、この子を入城させる書類だ」
「はい…はい、確かに。……あの、団長、この子が…?」
「あぁ。ノウェだ。まだ8歳だがしっかりと礼節をわきまえている。
 多少舌っ足らずなところもあるがよろしく頼むぞ。」
「はい…よぅ、チビ助。これからヨロシクな。」
「はい、よろしくな、です」


城門を守る兵士は一通りの書類に目を通すと、ノウェと目線をあわせ、妙に愛嬌のある笑顔を向ける。
ノウェもすぐに笑顔を返し、不器用ながらもはきはきと挨拶を返す。その様子に兵士はふふ、と笑い、
ノウェの頭をくしゃりと一撫でする。快活な青年だ、とオローも一目おいているようだ。

「あぁ、それと。」
「はい?」

失礼します、と一礼した後、城門の横の小屋へと走り去ろうとした兵士をオローは呼び止め
振り返った兵士に近づいて、耳元で何やら言葉を落とす。兵士は一瞬驚いた顔をしたが、すぐさまにぃっと笑い

「後で酒でも奢って下さらないと割に合いませんな」
「はは、手配しよう。」
「っしゃ。じゃ、詳しい話は後ほど伺いますので。」
「あぁ、頼むぞ。」

いくつか言葉を交わした後、兵士は上機嫌で小屋へと小走りで駆けて行った。
ふぅ、と一息ついたオローがノウェを見やると。再び城門に見とれていた。
今まで山の奥深くに棲んでいた為、人間が作った建物が珍しいらしい。

「すごい、こんな大きな建物、見たこと無い…」
「はは、そうか?まぁ、もっと驚くことになると思うぞ」
「えっ…どういうこと?…あっ…ど、どういうことでした?」
「はっはっは…無理に敬語を使うな。呼び捨てでも構わんぞ。」
「う…はい、……お…おろー。」
「うむ、いい子だ。…では驚いてもらおうか…開門!」


オローの声を合図に、ギギギ、と音を立てて巨大な扉が開く。
扉の向こうには巨大な城塞、封印騎士団の中心である砦と、
広大な敷地が広がっていた。

「□●:@%$!!!!」
「ん?」
「あ、凄い!大きい建物!」

興奮して思わず竜語が出てしまい、慌てて言い直すノウェ。
なんとも、ほほえましいな、とオローは思う。

「これからここがお前の家になる。」
「凄く広いな……あ!」
「ん?どうした。」

ぐるっと砦を見渡し、何かを思いついたかのようにオローの顔を見る。

「この広さならレグナ呼んでもいいだろ?」
「あ、ああ。」

喜々満面の笑顔で頼み込むノウェの顔を見て、
オローは少し迷いつつも、承諾した。
実際、騎士団の皆には「竜と共に育った子供と、
その竜が騎士団詰め所で暮らすことになるだろう」とは伝えてある。
しかし、だ。オロー本人がドラゴン、レグナのことを少し苦手としていた。
ノウェを見つけた時から今まで、
何か他の騎士団員に向ける視線とは明らかに違った目で見られているからだ。
それが殺意では無いにしろ、巨大なドラゴンにそういう視線で見られるのは生きた心地がしない。
ゆえにオローはレグナの前では少し萎縮してしまうのだ。
我ながら情けない、と思いつつも。

「レグナーっ!」

ノウェが空へと向けて甲高い声でドラゴンの名を呼ぶ。
すぐさま音の壁を突き破るかのような速度で黒い竜が頭上を一瞬で通りすぎて行き
遠くで旋回して今度はゆっくりと大地へと降り立った。


「ふん、暫く呼ばれなかったな。儂のことを忘れたのかと思うたぞ、小僧。」
「何いってんだレグナ。5日間会わなかっただけだろ?」

ノウェを見つけた谷間からここまでは一週間はかかる。
その間、人間の生活や言葉、一般常識などを教えるため、
あえてレグナとは離して、馬で砦まで戻ってきた。
当然、宿をとるため途中立ち寄った街中ではレグナは呼べず、
街道や山道では、馬上でオローがノウェにいろいろなことを教える時間となっていたため、
となると、必然的にレグナとノゥエが会う機会も減っていた。
どうやらレグナにはそれが面白くないらしい。

「人間。わざわざ町に泊まらずとも、小僧はもとより外で暮らす身であった。
 外で寝泊りさせてもよかろう。甘やかすな。」
「いや、ノウェはこれから人間のいる世界で暮らしていくんだ。
 俺は少しでも人間の生活に慣れさせてあげたかった。」
「まったく。慣れていないからこそ儂は反対したと言うに…」
「この子は人間だ。あなたとの暮らしも十分満たされているだろうが、
 人間の世界で暮らすこともこの子にとっては必要なはずだろう?」
「ふん、分かっておるわ。人間ごときが儂を諭すな。」

レグナにしても、この男の言うことには隙が無く、
反論できない。ゆえに苦手な相手だった。
だからこそ、ノウェが妙にこの男に懐いてるせいもあってか、
無性に気に喰わない。だからついつい口調もキツくなる。
明らかにこれは子を奪われた親の嫉妬だな、とオローは頬をかき、苦笑する。

「ねぇレグナ。俺、空飛びたい!
 ここ空から見ようよ!」

そんな大人の会話に飽きたのか、
ノウェは小さな体でレグナの体によじ登り、ぎゅうっと首に抱きついて、猫なで声でレグナに頼み込む。
レグナの顔が緩んで見えるのは気のせいでは無いだろう

「うむ。ではしっかりとつかまっているがよい。」

心なしか嬉しそうな様子で羽ばたき、空へと飛んでゆく。
やれやれ、とオローは手をひらひらと返し、安堵の息を吐いた。
レグナはぐるぐると砦の周りを旋回する。砦の兵士達も上空のドラゴンの姿を見て、声を上げた。
手を翳してその様子を見ていたオローの後ろに、先ほどの城門にいた兵士が駆け寄る。


「オロー団長。手続きやらの諸々、終わりました。」
「おお、悪いな。」
「お、竜の子はさっそく砦周りの探索ですかい。元気だねぇ。」
「暢気だな。さっきの話の返答、まさか二つ返事じゃ…」
「いやいや。あの子の世話のことなら、謹んでお受けしますよ?団長閣下。」
「ふん?そうか。では頼んだぞ、ユーリック。」
「お任せあれ。」

ユーリックと呼ばれた兵士は、にぃ、と笑うと、
音速で空を飛び回る竜と、その背中で臆することなく笑う少年を見て、
銀髪を掻きながら「こりゃ骨が折れそうだねぇ」と呟いた。
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