高笹萌えの方々に捧げる
熱かった夏も過ぎそろそろ肌寒さを感じる季節。
その日、現視研の部室に顔を出した笹原は高坂が珍しく一人きりでいるのを見いだした。
「あれ？ 高坂くん、春日部さんは？」
「咲ちゃんはなんか家の方に用事ができたみたい」
「へえ・・・・」
隣の椅子に荷物を置いて座りながら笹原は呟く。
四年生は皆就職活動に励んでおり、この日も姿を見せる気配がない。
大野は田中と一緒で朽木はアキバ廻り、荻上は不明だがどうも今日は来そうになく、笹原と高坂は二人きりでだらだらとゲームをしたり雑談をして時間を潰した。
そのうちふと高坂が問いかけてきた。
「そういえば冬コミはどうしたの、会長？」
「えっ？ いや〜、とりあえず申し込んでおきました」
「じゃあまた本を？」
「どうかなぁ・・・・・ま、最悪夏の本の再販ということで」
「あはは」
サークル参加者としては随分へたれた答えに、高坂はいつもの明るい笑いを見せる。
その笑顔を見ながら笹原は彼の夏の女装コスプレを思い起こし、我知らず頬を染めた。
「あ・・・そのさ高坂くん、冬、もし受かったら、また女装のコスプレで売り子してくれるの？」
「ん？ 笹原くんがして欲しいならするよ〜」
（さ・・・�犧�原くんがして欲しいなら�瓩辰董ΑΑΑΑ�）
よくよく考えればそれは単に「会長」の販売方針に従うという意味でしかないのだが、笹原には特別な意味を持つ言葉に思えた。
あの夏コミの日。
突如スペースに現れたコス女装の高坂に笹原は妖しいときめきを抑えることができなかった。
華奢な身体のラインに形のよい臍や生脚、そして何より女性キャラとして全く違和感のない端麗な美貌に魅了された。
あれから何十日も経ってはいたが、未だ笹原は高坂の女装姿を思い出すたびに口に出せない気持ちを抱かせられていた。
「じゃ、じゃ、じゃあさ、そ、そうしてくれるかな！ ほら、その、高坂くんがそれだと本が売れるし！！」
頭の中で違う何かが開いたまま笹原はもつれる舌で一気に言う。
だがさすがに気恥ずかしくて、高坂の顔から視線を逸らしたままだった。
「・・・・・笹原くん」
「へっ？！」
「僕の女装にあてられちゃった？」
すっと椅子から立ち上がり、いつものように微笑みつつ高坂が笹原に近づく。
そして図星を指されて硬直した彼の顔をその両手でふわっと包み込んだ。
「知ってたよ。アレ以来ずっと、きみがいやらしい目で僕を見てたこと」
（あわわわわわｖｆこｓｒｍぷｈｔ！！）
「また女装してもいいよ。でもその代わり、笹原くんも女装して欲しいな」
（マ、マジっすか・・・・？）
「僕一人だけじゃ不公平だものね。どう？」
（俺が女装・・・・・・でもそうすれば高坂くんが・・・・・）
嫌悪と羞恥と打算が笹原の頭の中でグルグル回り続ける。
だが若さは結局は欲望に忠実だった。
「わ・・・・わかった、やる」
（冬コミ、高坂くんと並んで女装コスって、斑目さんたちに何言われるか・・・あ、春日部さんもリアクションがすげーだろうなあ・・・・・）
笹原は現視研唯一の非オタクである彼女の、実にイヤそうな顔を想像して溜息をつく。
と、その時腕を放した高坂が言った。
「じゃあ慣れるためとテストを兼ねて、さっそくしてみようか」
「ええっ？！」
笹原の驚きをよそに高坂は現視研のロッカーの一つを開ける。
そしてそこから一着のセーラー服を取り出した。
「これを着てもらうよ」
「うそ〜ん？！ そんなすぐに？！」
「うん」
「いや、その、こ、心の準備が・・・・・ていうか、サイズ合わないでしょっ？！」
「大丈夫、こんな時のために田中さんに作ってもらった笹原くん用のセーラー服だから」
ナンデスカソレハ！ イッタイイツノマニ・・・・・という心の叫びも虚しく笹原は着替えることを余儀なくされる。
（どこで・・・・どこで間違ったんだろうな・・・・）
セーラー服ばかりか下着にいたるまで女性のものを着用させられ、笹原は閉じた目からドバドバと涙を迸らせた。
「はーい泣かない泣かない、せっかくのメイクが落ちちゃうからね」
「ゆ、夕日が目にしみただけだよー・・・・」
そう虚しく強がる笹原に高坂は長髪のカツラをかぶせる。
それで女装は完了だった。
「・・・・ど、どうかな？」
「さすが兄妹だけあって恵子ちゃんに似てるよ。でも、心もちこっちの方が美人かな」
「それ、喜んだほうがいいんかね」
少なくとも笑われなければいい、そう思っていた笹原は高坂の言葉を聞き安堵の溜息をつく。
そしてカツラを脱ごうと頭に手をかけた。
「ま、とりあえず合格って事で・・・・・」
「何言ってるの、テストはこれからだよ」
さりげない動きでカツラを脱ごうとした笹原の手を払い、高坂はにっこり笑う。
「その姿のまま帰って貰うよ。周りに不審な思いをさせずに無事帰れたら合格」
「・・・・・ムリっす！ 絶対ムリ！！ 大学からセーラー服ってムリがあり過ぎ！！」
あまりの難題に頭を抱えた笹原は高坂に叫んだ。
構内にはまだ知り合いがウヨウヨ残っている。正体が知れたら即日変態扱いされるのは目に見えていた。
「平気だよ、僕が一緒にいてフォローするし。学校帰りに大学を見学に来た美少女ってことで」
「ああああああああああっ！」
（高坂くんて、高坂くんて・・・・・・）
持ってきた荷物の代わりに革鞄を持たされ、高坂に引きずられるようにして笹原は部室を、大学を後にする。
そして二人はちょうどラッシュ時の列車に乗り込んだのだった。
（ぐええ人が・・・まあかえって注目されないからいいけど）
帰宅する乗客が充満した車内でドキドキしながら笹原はそっと周りを見回す。
ここに来るまで不審げな視線や声をかけてくる者はいなかったし、椎応大学生が多いはずのこの列車の中でも知り合いの顔は見あたらなかった。
ドアの前で立ちガラス越しに夕暮れを眺めながら笹原はひとまず安堵した。
「どう気分は？」
笹原を守るように後ろに立っていた高坂は耳に唇を寄せてそっと囁く。
地声が周りに聞こえないよう笹原は可能な限り小さな声で返事した。
「もー心臓がバクバクもんですよ。無茶させるよなあ」
「あはは。女の子のコスプレするなら女の子の気持ちを理解できなくちゃね」
そんな脳天気な声音を聞き、ドッと疲労を覚えた笹原は両肩を落とす。
だがスカートの中にそっと忍んできた高坂の手が尻を撫でているのを感じて硬直した。
「コッ、コーサカくんっ？！」
「笹原くんがいけないんだよ。そんなに可愛く頬を染めて、僕を挑発するから」
微かに声を上擦らせ、高坂は笹原の穿いたショーツをくぐりさらにその奥へ指を滑らせる。
それがもっとも敏感な窄まりに到達したとき、笹原は頭を仰け反らせた。
（ううっ！）
必死に声を殺し周りに気づかれないようにしたものの、容赦なく自分の中心に潜り込んでくる指に熱い吐息を漏らさずにはいられない。
「やめ・・・ばれっ・・・」
ともすれば喘ぎに変わりそうな声を小さく抑えて笹原は懸命に訴える。
柔らかな粘膜の中を縦横に蠢くしなやかな侵入物に脚は激しく震え、ドアに寄りかかっていなければ立っていられなかった。
「これだけ混んでれば誰も上半身しか見えないよ。こっち側は当分開かないし。でも大きな声を出したらばれちゃうね」
全く悪びれる様子も見せず高坂は囁く。
だが確かに、苦心して脱毛した笹原の生脚も人壁の中で死角になっており、高坂が後ろから覆い被さるように密着して立っているためスカートが捲られていることも分かりにくい。
そしてよほどの悲鳴でもあげない限り、きつい箇所を嬲る濡れた音も、喘ぎも呻きすらも二人以外に届くことなく列車の轟音に埋没してしまうのだった。
「お願いやめて・・・・」
「そうだね、指は抜いてあげる」
腸腔を散々に弄ばれ涙目でそう哀願する笹原に高坂は意外にもあっさり応じる。
だが執拗な玩弄によって柔らかくなったそこに指よりも太く、熱いものがあてがわれた。
（まさか−−！）
それがなんなのか、疑いようもなかった。
そしてそれは指よりも遙かに力強く笹原を引き裂き、内部を満たす。
笹原は自らの手で口を塞ぎ、破瓜の悲鳴をこらえなければならなかった。
「笹原くんは僕にこうしたかったんだよね？ でも、される方が君に似合ってると思うんだ」
「あああ・・あ・・あ・・・・」
「だからされる気持ち良さを分からせてあげる」
拡げられ、塞がれ、貫かれて笹原はドアに身体をきつく押し付けたまま悶え、喘ぐ。
先程の指によって刺激の受容に目覚め始めた前立腺が、さっきとは比べものにならないほどの快感を脳幹に送り込んできていた。
悦びが苦痛を緩和し、下半身を震わせる。
やがて強ばった顔が弛緩して紅潮を深めていった。
高坂はことさら目立つような不自然な動きはしない。
だが列車の激しい振動と、揺れる人波に同調しての抽挿が巧まずして車内陵辱のアクセントとなる。
笹原は人の重みを背にした高坂がぐいと突いてくるたび上半身を震わせ、腰をくねらせずにはいられなかった。
「どう、笹原くん？」
「き・・気持ちい・・・高坂・・・くん」
「僕たち身体の相性もばっちりみたいだね。これからは僕のステディになってくれると嬉しいな」
「・・・なるっ・・・なるよ、だから・・・・もっと・・・・！」
「うん」
思いも寄らなかった箇所を深々と抉られ、そこから生み出される刹那の悦楽に笹原は脳が煮立ち、理性が働かない。
彼にはもう高坂の望みを賤ましく受け入れ、更なる悦びを得ることしか考えられなかった。
「そろそろ逝かせてあげる」
そう囁いた高坂の手が笹原の前に伸び、同性に犯されて熱く脈動する器官を包み込む。
そしてそのしなやかな指が強弱をまじえた精妙な動きで恥悦を奏でた。
「はうっ・・・！」
視線の先には日暮れた後の夜景しかないにも関わらず、笹原の視界で閃光が明滅する。
周りを他人に囲まれていようがもはや望むものはただ一つ、至高の快楽の一瞬のみだった。
「もう僕も・・・・・・一緒に、ね」
高坂はともすれば先に暴発しそうな笹原を絶妙の指技でコントロールし、自分のリズムに引き込む。
目の前のドアが開く寸前、笹原は体内に灼けるような飛沫を受け止めながら粘液を噴き上げ、スカートの裏地をたっぷりと汚したのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」
「さあ下りよう」
驚くべき早業で腰を引きズボンの中に尤物を納めた高坂は笹原にそう促し電車を降りて改札へと向かう。
一方降りてすぐ慌てて乱れた制服の身繕いをした笹原だったが、改札を抜けると異変に気づいた。
「どうしたの？」
「あ・・・その、コーサカくんの・・・・が、出て来ちゃって・・・・・」
そればかりかスカートの前からは自分自身の濃いものが滴り始めている。
もうあたりがとっぷりと暗いのが幸いだったが、それでも狼狽えずにはいられなかった。
「下着汚しちゃったんだ。じゃあ早く君の部屋に行って綺麗にしよう」
「え、来るの？！」
「うん。それから第２ラウンドといこうよ」
それを聞いた笹原の顔がまたも真っ赤になる。
だらだらと大汗をかいた彼は、やがて消え入りそうな風情でこくりと頷いた。
その日高坂は笹原のところに泊まり、二人は朝方まで罪深い時を共に過ごしたのだった。
「第５６億７千万回、くじアンＤＶＤ面白かった会議〜〜〜・・・・・って、会長・・・笹原いねーのか」
久々に部室に顔を見せた斑目が室内を見回す。
「そういえばコーサカも今日はつかまらなかったんだよね。あーつまんない」
彼氏のいないことに失望を隠さず咲があくびをした。
そこへ、
「すいません、遅れました！」
走ってきたのか息を切らせ顔を紅潮させた笹原が部室に飛び込んでくる。
その後ろからいつもの笑顔で高坂も現れた。
「コーサカ、さみしかったーーー！！」
「やあ咲ちゃん」
たちまちベタベタとくっつく二人に笹原の強い視線が向けられる。
その瞳には嫉妬と、言い知れぬ優越感があった。
「やあ」
「！？ 初代会長、いたんすか？！」
「ちょっと様子見にね。あそうそう、現会長」
幽然とその場に姿を現した初代会長は声を落とし、笹原だけに聞こえるように言う。
「２階の男子トイレは穴場だけど、声が隣の女子トイレまで漏れることが多いから使わない方がいいね」
そうして初代会長は顔色を変えた笹原を残し、いつの間にか姿を消した。
（初代会長って・・・・本当に何者なんだ？！）
しかし血色を失った顔は、さっき愛されたばかりの場所からどろりと精液が漏れたことを覚ってまた紅くなる。
（また・・・・・綺麗にして貰わないと）
そうして笹原は愛しい者の笑顔を見つつ、淫らな悦びへと思いを馳せるのだった。
その日、現視研の部室に顔を出した笹原は高坂が珍しく一人きりでいるのを見いだした。
「あれ？ 高坂くん、春日部さんは？」
「咲ちゃんはなんか家の方に用事ができたみたい」
「へえ・・・・」
隣の椅子に荷物を置いて座りながら笹原は呟く。
四年生は皆就職活動に励んでおり、この日も姿を見せる気配がない。
大野は田中と一緒で朽木はアキバ廻り、荻上は不明だがどうも今日は来そうになく、笹原と高坂は二人きりでだらだらとゲームをしたり雑談をして時間を潰した。
そのうちふと高坂が問いかけてきた。
「そういえば冬コミはどうしたの、会長？」
「えっ？ いや〜、とりあえず申し込んでおきました」
「じゃあまた本を？」
「どうかなぁ・・・・・ま、最悪夏の本の再販ということで」
「あはは」
サークル参加者としては随分へたれた答えに、高坂はいつもの明るい笑いを見せる。
その笑顔を見ながら笹原は彼の夏の女装コスプレを思い起こし、我知らず頬を染めた。
「あ・・・そのさ高坂くん、冬、もし受かったら、また女装のコスプレで売り子してくれるの？」
「ん？ 笹原くんがして欲しいならするよ〜」
（さ・・・�犧�原くんがして欲しいなら�瓩辰董ΑΑΑΑ�）
よくよく考えればそれは単に「会長」の販売方針に従うという意味でしかないのだが、笹原には特別な意味を持つ言葉に思えた。
あの夏コミの日。
突如スペースに現れたコス女装の高坂に笹原は妖しいときめきを抑えることができなかった。
華奢な身体のラインに形のよい臍や生脚、そして何より女性キャラとして全く違和感のない端麗な美貌に魅了された。
あれから何十日も経ってはいたが、未だ笹原は高坂の女装姿を思い出すたびに口に出せない気持ちを抱かせられていた。
「じゃ、じゃ、じゃあさ、そ、そうしてくれるかな！ ほら、その、高坂くんがそれだと本が売れるし！！」
頭の中で違う何かが開いたまま笹原はもつれる舌で一気に言う。
だがさすがに気恥ずかしくて、高坂の顔から視線を逸らしたままだった。
「・・・・・笹原くん」
「へっ？！」
「僕の女装にあてられちゃった？」
すっと椅子から立ち上がり、いつものように微笑みつつ高坂が笹原に近づく。
そして図星を指されて硬直した彼の顔をその両手でふわっと包み込んだ。
「知ってたよ。アレ以来ずっと、きみがいやらしい目で僕を見てたこと」
（あわわわわわｖｆこｓｒｍぷｈｔ！！）
「また女装してもいいよ。でもその代わり、笹原くんも女装して欲しいな」
（マ、マジっすか・・・・？）
「僕一人だけじゃ不公平だものね。どう？」
（俺が女装・・・・・・でもそうすれば高坂くんが・・・・・）
嫌悪と羞恥と打算が笹原の頭の中でグルグル回り続ける。
だが若さは結局は欲望に忠実だった。
「わ・・・・わかった、やる」
（冬コミ、高坂くんと並んで女装コスって、斑目さんたちに何言われるか・・・あ、春日部さんもリアクションがすげーだろうなあ・・・・・）
笹原は現視研唯一の非オタクである彼女の、実にイヤそうな顔を想像して溜息をつく。
と、その時腕を放した高坂が言った。
「じゃあ慣れるためとテストを兼ねて、さっそくしてみようか」
「ええっ？！」
笹原の驚きをよそに高坂は現視研のロッカーの一つを開ける。
そしてそこから一着のセーラー服を取り出した。
「これを着てもらうよ」
「うそ〜ん？！ そんなすぐに？！」
「うん」
「いや、その、こ、心の準備が・・・・・ていうか、サイズ合わないでしょっ？！」
「大丈夫、こんな時のために田中さんに作ってもらった笹原くん用のセーラー服だから」
ナンデスカソレハ！ イッタイイツノマニ・・・・・という心の叫びも虚しく笹原は着替えることを余儀なくされる。
（どこで・・・・どこで間違ったんだろうな・・・・）
セーラー服ばかりか下着にいたるまで女性のものを着用させられ、笹原は閉じた目からドバドバと涙を迸らせた。
「はーい泣かない泣かない、せっかくのメイクが落ちちゃうからね」
「ゆ、夕日が目にしみただけだよー・・・・」
そう虚しく強がる笹原に高坂は長髪のカツラをかぶせる。
それで女装は完了だった。
「・・・・ど、どうかな？」
「さすが兄妹だけあって恵子ちゃんに似てるよ。でも、心もちこっちの方が美人かな」
「それ、喜んだほうがいいんかね」
少なくとも笑われなければいい、そう思っていた笹原は高坂の言葉を聞き安堵の溜息をつく。
そしてカツラを脱ごうと頭に手をかけた。
「ま、とりあえず合格って事で・・・・・」
「何言ってるの、テストはこれからだよ」
さりげない動きでカツラを脱ごうとした笹原の手を払い、高坂はにっこり笑う。
「その姿のまま帰って貰うよ。周りに不審な思いをさせずに無事帰れたら合格」
「・・・・・ムリっす！ 絶対ムリ！！ 大学からセーラー服ってムリがあり過ぎ！！」
あまりの難題に頭を抱えた笹原は高坂に叫んだ。
構内にはまだ知り合いがウヨウヨ残っている。正体が知れたら即日変態扱いされるのは目に見えていた。
「平気だよ、僕が一緒にいてフォローするし。学校帰りに大学を見学に来た美少女ってことで」
「ああああああああああっ！」
（高坂くんて、高坂くんて・・・・・・）
持ってきた荷物の代わりに革鞄を持たされ、高坂に引きずられるようにして笹原は部室を、大学を後にする。
そして二人はちょうどラッシュ時の列車に乗り込んだのだった。
（ぐええ人が・・・まあかえって注目されないからいいけど）
帰宅する乗客が充満した車内でドキドキしながら笹原はそっと周りを見回す。
ここに来るまで不審げな視線や声をかけてくる者はいなかったし、椎応大学生が多いはずのこの列車の中でも知り合いの顔は見あたらなかった。
ドアの前で立ちガラス越しに夕暮れを眺めながら笹原はひとまず安堵した。
「どう気分は？」
笹原を守るように後ろに立っていた高坂は耳に唇を寄せてそっと囁く。
地声が周りに聞こえないよう笹原は可能な限り小さな声で返事した。
「もー心臓がバクバクもんですよ。無茶させるよなあ」
「あはは。女の子のコスプレするなら女の子の気持ちを理解できなくちゃね」
そんな脳天気な声音を聞き、ドッと疲労を覚えた笹原は両肩を落とす。
だがスカートの中にそっと忍んできた高坂の手が尻を撫でているのを感じて硬直した。
「コッ、コーサカくんっ？！」
「笹原くんがいけないんだよ。そんなに可愛く頬を染めて、僕を挑発するから」
微かに声を上擦らせ、高坂は笹原の穿いたショーツをくぐりさらにその奥へ指を滑らせる。
それがもっとも敏感な窄まりに到達したとき、笹原は頭を仰け反らせた。
（ううっ！）
必死に声を殺し周りに気づかれないようにしたものの、容赦なく自分の中心に潜り込んでくる指に熱い吐息を漏らさずにはいられない。
「やめ・・・ばれっ・・・」
ともすれば喘ぎに変わりそうな声を小さく抑えて笹原は懸命に訴える。
柔らかな粘膜の中を縦横に蠢くしなやかな侵入物に脚は激しく震え、ドアに寄りかかっていなければ立っていられなかった。
「これだけ混んでれば誰も上半身しか見えないよ。こっち側は当分開かないし。でも大きな声を出したらばれちゃうね」
全く悪びれる様子も見せず高坂は囁く。
だが確かに、苦心して脱毛した笹原の生脚も人壁の中で死角になっており、高坂が後ろから覆い被さるように密着して立っているためスカートが捲られていることも分かりにくい。
そしてよほどの悲鳴でもあげない限り、きつい箇所を嬲る濡れた音も、喘ぎも呻きすらも二人以外に届くことなく列車の轟音に埋没してしまうのだった。
「お願いやめて・・・・」
「そうだね、指は抜いてあげる」
腸腔を散々に弄ばれ涙目でそう哀願する笹原に高坂は意外にもあっさり応じる。
だが執拗な玩弄によって柔らかくなったそこに指よりも太く、熱いものがあてがわれた。
（まさか−−！）
それがなんなのか、疑いようもなかった。
そしてそれは指よりも遙かに力強く笹原を引き裂き、内部を満たす。
笹原は自らの手で口を塞ぎ、破瓜の悲鳴をこらえなければならなかった。
「笹原くんは僕にこうしたかったんだよね？ でも、される方が君に似合ってると思うんだ」
「あああ・・あ・・あ・・・・」
「だからされる気持ち良さを分からせてあげる」
拡げられ、塞がれ、貫かれて笹原はドアに身体をきつく押し付けたまま悶え、喘ぐ。
先程の指によって刺激の受容に目覚め始めた前立腺が、さっきとは比べものにならないほどの快感を脳幹に送り込んできていた。
悦びが苦痛を緩和し、下半身を震わせる。
やがて強ばった顔が弛緩して紅潮を深めていった。
高坂はことさら目立つような不自然な動きはしない。
だが列車の激しい振動と、揺れる人波に同調しての抽挿が巧まずして車内陵辱のアクセントとなる。
笹原は人の重みを背にした高坂がぐいと突いてくるたび上半身を震わせ、腰をくねらせずにはいられなかった。
「どう、笹原くん？」
「き・・気持ちい・・・高坂・・・くん」
「僕たち身体の相性もばっちりみたいだね。これからは僕のステディになってくれると嬉しいな」
「・・・なるっ・・・なるよ、だから・・・・もっと・・・・！」
「うん」
思いも寄らなかった箇所を深々と抉られ、そこから生み出される刹那の悦楽に笹原は脳が煮立ち、理性が働かない。
彼にはもう高坂の望みを賤ましく受け入れ、更なる悦びを得ることしか考えられなかった。
「そろそろ逝かせてあげる」
そう囁いた高坂の手が笹原の前に伸び、同性に犯されて熱く脈動する器官を包み込む。
そしてそのしなやかな指が強弱をまじえた精妙な動きで恥悦を奏でた。
「はうっ・・・！」
視線の先には日暮れた後の夜景しかないにも関わらず、笹原の視界で閃光が明滅する。
周りを他人に囲まれていようがもはや望むものはただ一つ、至高の快楽の一瞬のみだった。
「もう僕も・・・・・・一緒に、ね」
高坂はともすれば先に暴発しそうな笹原を絶妙の指技でコントロールし、自分のリズムに引き込む。
目の前のドアが開く寸前、笹原は体内に灼けるような飛沫を受け止めながら粘液を噴き上げ、スカートの裏地をたっぷりと汚したのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」
「さあ下りよう」
驚くべき早業で腰を引きズボンの中に尤物を納めた高坂は笹原にそう促し電車を降りて改札へと向かう。
一方降りてすぐ慌てて乱れた制服の身繕いをした笹原だったが、改札を抜けると異変に気づいた。
「どうしたの？」
「あ・・・その、コーサカくんの・・・・が、出て来ちゃって・・・・・」
そればかりかスカートの前からは自分自身の濃いものが滴り始めている。
もうあたりがとっぷりと暗いのが幸いだったが、それでも狼狽えずにはいられなかった。
「下着汚しちゃったんだ。じゃあ早く君の部屋に行って綺麗にしよう」
「え、来るの？！」
「うん。それから第２ラウンドといこうよ」
それを聞いた笹原の顔がまたも真っ赤になる。
だらだらと大汗をかいた彼は、やがて消え入りそうな風情でこくりと頷いた。
その日高坂は笹原のところに泊まり、二人は朝方まで罪深い時を共に過ごしたのだった。
「第５６億７千万回、くじアンＤＶＤ面白かった会議〜〜〜・・・・・って、会長・・・笹原いねーのか」
久々に部室に顔を見せた斑目が室内を見回す。
「そういえばコーサカも今日はつかまらなかったんだよね。あーつまんない」
彼氏のいないことに失望を隠さず咲があくびをした。
そこへ、
「すいません、遅れました！」
走ってきたのか息を切らせ顔を紅潮させた笹原が部室に飛び込んでくる。
その後ろからいつもの笑顔で高坂も現れた。
「コーサカ、さみしかったーーー！！」
「やあ咲ちゃん」
たちまちベタベタとくっつく二人に笹原の強い視線が向けられる。
その瞳には嫉妬と、言い知れぬ優越感があった。
「やあ」
「！？ 初代会長、いたんすか？！」
「ちょっと様子見にね。あそうそう、現会長」
幽然とその場に姿を現した初代会長は声を落とし、笹原だけに聞こえるように言う。
「２階の男子トイレは穴場だけど、声が隣の女子トイレまで漏れることが多いから使わない方がいいね」
そうして初代会長は顔色を変えた笹原を残し、いつの間にか姿を消した。
（初代会長って・・・・本当に何者なんだ？！）
しかし血色を失った顔は、さっき愛されたばかりの場所からどろりと精液が漏れたことを覚ってまた紅くなる。
（また・・・・・綺麗にして貰わないと）
そうして笹原は愛しい者の笑顔を見つつ、淫らな悦びへと思いを馳せるのだった。
2006年07月12日(水) 08:25:49 Modified by korewanetadesu