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9p〜

6.All Around Me

身体を這う何か、それは何かの生き物の様に体中を蠢く。
これは過去の記憶?それとも、フラッシュバックなのか、ただ、頭を悩ませる深い夢の底。
ただ、今はあの時の様な感覚はない。
寧ろ過去の自分の過ちに嫌悪すら感じ、目の前にいる愛おしい人へ謝罪したい気持ちへと駆られる。
そんな、罪悪感と安らぎを覚えたのは、マイクと過ごしてから1週間が過ぎてからだった。

マイクはネロと新たに加わったカインと名付けられた猫にご飯を食べさせ、仕事へと向かおうと玄関へ足を運ぶ。
まだ、微睡から覚めたばかりのアレンはシャツを軽く羽織りマイクの居る玄関へ慌てて駆け寄った。
1週間監禁状態では流石に参る。

−アレン「俺も、一緒に行く。」

マイクは眉間に皺を寄せ、深い溜息と厭きれた様な表情を浮かべた。
アレンはまた、「我儘言うな」とあしらわれると思ったが、意外な反応が返って来た。

−マイク「お前の気持ちも分からなくもないが、もう少し我慢して呉れないか?」

アレンはマイクが自分に初めて見せる申し訳なさそうな表情に耐えられなくなり、自ら身を引く。

−アレン「分かった。マイクが帰って来るまで、良い子に留守番してるから。」

マイクはその素直な反応に納得したのか、笑顔を浮かべ、「有難う。」とだけ告げ、家を後にするのだった。
バタンと音を立てて閉まる扉の重たさに、少し距離を感じたが、初めて自分に見せて呉れたマイクの表情にアレンは満足していた。
少しずつではあるが、お互いの距離感は縮まった気がした。

唯々、過ぎ行く時間。
カインと戯れ時間を過ごした。最近は腹を撫でても嫌な顔せず受け入れて呉れる。
それが、何だか嬉しくて笑が溢れた。

暫くカインとの楽しい時間を過ごしたが、カインが寝入って仕舞ったので、暇を持て余した。

ぼーっと思考を巡らせ、最近の自分と向き合うととある事に気が付いた。もう二日以上も身体を重ねてはいない。
今までの堕落した生活には戻りたくない。でも、疼く、疼く、まるで蛇が身体中を這うような疼きに耐える。
身体中が熱を帯びたような微熱にも似た感覚に息が上がる。

こいつは堪える。
その、衝動から、アレンは重い玄関の扉を押し開けるのだった。

狭い裏通りを抜け更に小道を突き進むと、寂れた倉庫街へ出て、辺りを見渡す。
何も無い倉庫街に屯する如何にも頭の軽そうなジャンキー共の集団が目に入ったアレンは奴等の濁った眼差しに曝される。
一瞬、躊躇いはしたが、一人、目に濁りのない男に目を引き付けられた。
短髪な金髪を逆立て、ラブレットが貫通した薄い唇には煙草が咥えられており、耳を裂いているのは今では珍しいスパイラル系のピアス。
全身に入れられたタトゥーの中で一際目立つ腕の炎のタトゥーには信念の強さが滲み出ていた。
アレンに気付いた男は、一枚の紙切れを取り出すとアレンと紙切れを見比べ感情の籠らない眼差しでアレンを見遣る。

−チェズ「あんたがアレン?」

煙草と薬で掠れた声はロッカーにも思え、他の荒くれ者共とは一味違う雰囲気を彼は持っていたのだ。
身体の疼きが一段と酷くなるのを感じ、アレンは久々の感覚に戸惑うのだった。

−アレン「そうだけど。あんたは?」

暫しの沈黙が訪れる。
男は一向に名乗ろうとはせず、新たな煙草に火を灯し、深くタールの含まれた息を吐き出すのだ。
アレンは質問を変えて男を読み取ろうと試みる事にした。

−アレン「何でも良いや。あんたは俺を受け入れて呉れるの?」

悲願に近かった。
男は驚きもせず、無感情な爬虫類の様な眼差しでアレンを見上げた。
この、反応からは自分に対して興味を抱いているかは読み取れずに、暫く様子を伺っていると、
男は炎のタトゥーの入った腕でアレンの腕を掴み、仲間達から離れた倉庫街の外れの貨物室に連れ込んだ。

−チェズ「まあ、そういうのも嫌いじゃない。」

強引に組み敷かれ、接吻を交わすと仄かに煙草の味がした。

それが、この場所でのアレンの最後の記憶。

11p〜

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