(515)の設定資料集。当wikiは18歳未満(R-18)の閲覧を遠慮して頂いてます。性的な表現、過激な暴力表現・グロテスクな表現があります。このwikiの権限は全てTrashにありますので、記載されている文章・画像・イラスト等の無断使用・無断転載は禁止致します。※PC推奨2011/12/14 Trash

3p〜

今日も1日マイクの経営するバーで過ごす事にした。
また、キャンダイスに会えないだろうか?とふと彼女の存在が気になり、ライヴスペースの前を通ると、出演アーティストの看板にはアンセムの名前はなかった。
少し、残念に思ったが、マイクも居るから仕事に在りつけるかも期待を胸に店へ入っていく。

−マイク「いらっしゃい。昨日は大丈夫だったか?」

心配そうに顔色を伺うマイクにコクリと頷くと、マイクは嬉しそうに「そうか…良かった。」と笑いかけてくれた。

暫く、マイクに出された飲み物を飲みながら、仕事の話等を聞いたのだが、近頃、物騒な怪奇事件が頻繁して起きており、
情報屋との接触が出来ずに、情報が入って来ないとの事だった。仕事がない=食にありつけないと言う方程式は、世界が壊滅した後も成り立っている。
僕は人肉にありつけない期間が長ければ長いほど「奴」のおねだりと言う名の暴走が、昨日の様に気持ちを制御出来ない原因なのだが。
そんな、ネガティブな事を悶々と考え、項垂れていると、突然、背後から誰かにガッシッと肩を掴まれ相手の方を強制的に向かされ吃驚して一瞬、肩が跳ねた。

−キャンダイス「この間は、ライヴ来てくれて有難う!まあ、今日は奢るからさ〜!一緒にメンバー達と飲まない?ってか飲もう!!」

と、僕の意思などは関係なしに、強引に腕を掴まれ引き込まれたVIPルームには、
もう、完全に出来上がったメンバー達が揃い騒ぎ立てていたのだが、マイク意外と話したことがない僕は緊張して、何処に居座ろうか、何を話そうかと思考を巡らせる事に一杯一杯だった。
そんな、僕を見かねて、キャンダイスは手で自分の隣の空いてるスペースに僕を呼び寄せた。一先ず、キャンダイスの指定された席へと着く。
キャンダイスからメンバーの紹介をざっとされたが、キャンダイスは既に呂律が回っておらず、あまり、当てにはならなそうだった。
その場にあった、お気に入りのカシスジュースを手に取り、沢山の人に囲まれていて落ち着かない、僕は仕方なく、メンバーの話に耳を傾けた。

−ジョナサン「キャンダイス嬢!!最近、巷で騒がれてる殺人鬼の話聞いてます?」

男らしく凛々しい顔立ちで、無精髭がトレードマークのこの男は「ジョナサン」。
ムードメーカーなこの男はアンセムギターリストで、ちょいと癖のある男だが意外と噂や情報を多くを把握している。彼がアンセムの中での情報網であり、常にメンバーに話題を提供しているらしい。

−キャンダイス「何?それ?あたし知らない!!」

好奇心旺盛なキャンダイスは直ぐ様、話題に飛び乗った。

何でもジョナサンによると殺人鬼が夜な夜な人を食って歩いてるという話だ。
彼に恋をした人間やネオテニー達は食い殺されると言う、今や都市伝説になりつつあった。
一時期、事件は落ち着いていたのだが、また、最近頻繁にそれも急激に犯行数が増えてるらしいのだ。

−ディビス「あぉ〜!!しってんぜ?俺のダチが一人食われちまった!!アイツ、ケツの軽いBitch(阿婆擦女)だったもん…なッ!!!!!!」

語尾が聞き取れないくらいのスピードで、掻き切れ、ディビスが叫び声を上げた。
最初は何が起きたのか分からなかったが、どうやら、キャンダイスがディビスの頭部にビール瓶を叩き付けたのだった。
余りにもショッキングな場面に出食わし、どう、リアクションをしたら分からずにいる間にも、ディビスの後頭部からビールなのか血液なのか分からない液体が金髪の髪を伝い落ちる。
他のメンバーは相変わらずな調子で飲んで、食って、やりたいように騒ぎ散らかしている。
再起不能かと思われたディビスだが、直ぐにキンキンと耳が痛くなるような、かな切り声を上げて吠える。

−ディビス「いってぇええじゃねぇえかよ!!キャンダイス!!!毎回毎回、人の頭をなんだと思ってんだよ!!」

ディビスは痛みの余り半泣き状態だった。痛みきった金髪はビールと血液に塗れ床を汚していた。
そんな、彼に追い討ちをかける様に今度は空のビール瓶を投げつけるキャンダイス。
ディビスは「うぉっ!!」と叫びながら、何とかビール瓶を交わすと、ソファーの後ろに逃げ込んだ。

−キャンダイス「女のあたしの前でそんな汚ぇ言葉遣うんじゃねぇよ。」

と、キャンダイスに一喝されると、彼は縮み上がり慌てて逃げ出だした。
何となく哀れな男だなとは思うのだが、庇う気力も失うくらいの馬鹿。非常に空気の読めない彼の名は「ディビス」。
ツインギターの片割れ、サブパートを奏でる彼は音色も派手だが、外見も非常にチャラく、ノリも軽い。
細くて、薄い身体はジャンキーを彷彿させれれる。アンセムの中で一番弄り易いのかよく、ディビスの発言から察するに毎回、馬鹿を言っては、ビール瓶で頭を割られそうになるらしい。
でも、大体の原因はディビスにある事が取って分かるのだった。

ディビスはぶつぶつと小言を言っているがお構いなしに喧嘩を吹っかけるキャンダイス。

−キャンダイス「てめぇの、そのくだらねぇ根性あたしが叩き直してやる!!」

ディビスは、すっかり、キャンダイスの逆鱗に触れた様だ。再びビール瓶が彼を目掛けて飛んできた。
彼は小さい悲鳴を上げ、隣の男に助けを求めた。

−ディビス「ケンジ!!頼む!!何とかしてくれ。」

ケンジと呼ばれた、男は「仕方ない」と言った具合に腰を上げた。
ニコニコと笑う爽やかな表情は、このアンセムと言うバンドには勿体無いくらいの好青年だった。

−ケンジ「まあ、毎度の事だけど、落ち着けよキャンダイス。」

キャンダイスとディビスの喧嘩にストップを掛けられるのは「ケンジ」と呼ばれたこの男らしい。
彼が、仲裁に入った途端、キャンダイスは納得こそはしてないようだが、黙って自分の席へと戻ってきた。

ケンジは、名前から見て分かる通り、日系アメリカ人だ。常にバンドを纏め上げるアンセムのベーシストで、
クラッシクピアノ・シンセ・ギター等も一人でこなして仕舞う程、多彩な彼がアンセムの楽曲を創っているらしい。
一見、フレンドリーな彼がアンセムの楽曲を作曲していると思うと、どうにも、僕の中でケンジのイメージとのギャップが産まれる。
凶悪な楽曲を作曲している人間とは思えないくらい、笑顔が似合う男だった。

−ケンジ「さっきの話の続きを聞こうか。」

両手にクリスピーを抱えるジョナサンへと話を振ると、話を振られたジョナサンは何事もなかったかの様に話を続ける。

−ジョナサン「この間、友人から話を聞いたんだけど、最近では男も犠牲者になってるって聞いたぜ?」

皆。「マジかよ。」と表情を曇らせた。皆、食事の手を止めて、身を震わせたが、自分は関係ないと言った具合で、
ケンジは目の前に転がるハンバーガーを手にし、包装を開き、ハンバーガーにかぶりついたかと思うと、

−ケンジ「じゃあ、シドは気をつけてな。色々、誘われそうだから。」

コーラー片手にハンバーガーを頬張り、ニコニコと他人事の様に強烈な一言を口にする。
僕は思わずこの強烈な一言に面食らってしまった。

−ジョナサン「昔は自分に恋を寄せて呉れた奴がターゲットだったらしいけど、今は見境なくらしいすよ。」

−キャンダイス「まあ、今は食い物がねぇからな〜でも、お前等は絶対、食われねぇよ!!野郎臭ぇもん!!」

メンバー一同腹を抱えて大爆笑する。
「確かに!」と話を振ったジョナサンですら、キャンダイスの、この一言に納得している様だった。
そんな中、一人沈黙している男がいた。彼だけは、そうは思わなかったらしく黙っている。

−ゴメス「シド…お前本当に…危ない…」

−キャンダイス「ちょっと!!ゴメス!!あたし女の子!!女の子!!心配しなさいよ!!」

この、岩石の様にデカイ図体をしている男はゴメスと呼ばれた。
堅物そうに見えるヴィジュアルだが、根は一番優しいアンセムのドラマー。この、デカイ身体を活かし重いリズムを高速で刻む。
テクニックも光るものはあるが、彼が叩き出す力強いリズムは腹に響いて心地良い。
相変わらず、爆笑するメンバーは口数の少ないゴメスの反応を待っている様だ。
ゴメスは黙り込み、一声うーんと呻ると

−ゴメス「…キャンダイス、強い。相手、敵わない。」

ときっぱり言い切った。
まさか、皮肉にも、始末屋の僕が、狩られる弱者のイメージが強いだなんて事は、自分では思わなかった。
非常に複雑な心境だ。

−ジョナサン「キャンダイスは美人かも知れないけど、扱いづらいしクレイジーだから、俺が殺人鬼だったら置いて逃げ出すよ。でも、シドは美人さんだし大人しいし細いからな。キャンダイスを引っ掛けるより、楽そうだ!」

−シド「えっ…?」

あんまりな、言われ様に、躊躇う。
自分はそんなに、貧弱だろうか、確かに周りのメンバーより筋肉も薄いし、体格も細いかも知れないけど。
人並みにはあると自分では自覚していたのに…ちょっと、ショックだった。
キャンダイスは「そうね〜!」と空いたグラスを手の中で、遊ばせて何かを考えている。
すると、ジョナサンの言葉から何か閃いたのか、立ち上がって此方へ一瞬で歩み寄った。

−キャンダイス「シドは隙がありすぎるんだよっ!あたしが指導してあげる!!」

−シド「−ッ!!」

どう言うことなのかと、質問を返すより先に、キャンダイスの膝蹴りが勢い良く顔面に放たれる。
慌てて、両手でガードすると、キャンダイスの空いていた方の手で、ガードしていた手を捩じりあげられ、
そのまま、どかっと後頭部をソファーのひざ掛けに打ち付けた。

−キャンダイス「ね?シドの捕獲なんて楽勝っしょ!!これじゃ、殺人鬼の餌食だって!」

得意げにキャンダイスは纏め上げている手に一層の力を込めた。
身動きが取れずに痛みに耐えてはいるのだが、キャンダイスの馬鹿力に締め上げられた両手が痺れて感覚が麻痺して来た。
そのまま、腕をへし折られて仕舞いそうだった。僕は、乾ききった喉から絞り出すように言った。

−シド「…痛い…離してキャンダイス…」

メンバー一同「ヒュ〜」と口を鳴らし大盛り上がり。
余りにも、惨めな様に、恥ずかしくて顔を背けてしまった。
一向に離して呉れそうにないキャンダイスの力に、どうしようかと、もがいてはいるのだが完全に腕を纏め上げられていて身動きが取れない。

ディビス「たまんねぇ〜なぁあああ!!おい!!野郎とは思えねぇぜ!!!本当に男にしておくのは勿体ねぇえええ!!ギャハ!!」

−ジョナサン「泣出しそうな面たまんねぇぇ!!そそるぜ!!」

げたげたと下品に笑うディビスとジョナサンの二人に感化されて、キャンダイスがもう、片方の手で、僕のシャツの裾をチラリと捲った。
臍が露わになり、余計、ヒートアップVIPルームの中で馬鹿騒ぎ。
 すると、今まで傍観しているだった、ケンジとゴメスが立ち上がりキャンダイスの手をゴメスがそっと引き上げる。
ケンジは表情こそ穏やかだが、少しばかり呆れ返っている様に見えた。

−ケンジ「キャンダイス…そのくらいにしてやれよ。うちのメンバーならまだしも、シド君はうちの悪乗りには慣れてないんだ。」

−ゴメス「シド…可哀想…痛がってる。」

ゴメスがキャンダイスの腕を再びガッシリ掴み、やっと、痛みから解放された。
腕を見遣ると、くっきり、キャンダイスに纏め上げられた腕に跡が残っている。地味に痛い。
この遣り取りに巻き込まれてみると、メンバーの中ではゴメスとケンジだけには好感を抱けた。
他のメンバーは悪乗りだけで、生きてる気がする…
何となく居辛いのだが、ケンジが気を遣って自分の隣へと僕を誘導してくれたので、不機嫌に座る。

ケンジ「ごめんな。キャンダイスは昔から悪乗りが過ぎるけど良い奴なんだ。許してやってくれ。あれで、結構寂しがり屋だったりするんだ。シド君の事を気に入ってるみたいでさ、友達になりたいんだって言ってたくらいなんだ。」

締め跡を見て、ゴメスは複雑な表情を浮かべた。そして、重い口を開く。

ゴメス「いつも…俺ら…悪乗り……シド…迷惑…ごめん。悪気ない。」

拙い言葉だが、気を遣ってくれているんだと直感で思った。
今までの人生では経験した事がない様な大騒ぎに巻き込まれたくらいに思っていよう。
ケンジとゴメスのフォローがなければ居られなかった空間だったが、思っていた程、この空間の居心地は悪くはない事に気付く。
もう少し、一緒に過ごしてみないと分からないけど、その、価値はありそうだ。まあ、もう、キャンダイスの悪乗りだけは勘弁して欲しいと思う僕なのだが。

そんな、VIPルームでの騒ぎに、疲れ果てて、下のフロアへ戻るとマイクが声を掛けて来た。

−マイク「シド!丁度、新しい蛸レシピが…ってどうした!?その腕!!」

ネロもふにゃー!!と吃驚する程、オーバーなリアクションをかますマイクに事情を問いただされたが、説明が面倒なので、僕は曖昧にはぐらかす事にした。

−シド「さっき、トイレに行った時に…ちょっと…」

−マイク「どんな奴だった?」

マイクは思い当たる節があるようだった。
僕は、先程から話題になっている殺人鬼の件とリンクする物を感じ、突っ込んでマイクに聞く事にした。

−シド「いや、分からない。行き成り、後ろからだから…マイクは思い当たる節があるの?」

−マイク「…最近、話題になってる殺人鬼なんだが、このバー周辺ででターゲットを物色して反抗に及ぶんじゃないかと噂されて、最近、俺の店への客の入りが悪いんだ。
     何とか対策を練らないと商売上がったりだと思って、自分で色々、調べていたんだが、被害者と共通して言えるのは此処の地区に住んでいて、
     この付近の路地裏で被害者が襲われる瞬間を目撃したなんて人物の証言まで出ているみたいだ。
     お前もぼやっとしてるから、気を付けろよ。」

そう、言うとマイクはネロを抱き上げカウンターの奥へと消えていった。

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